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2020.08.10

投稿フォーム157

コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性がありますので、ツイッター(@ts914)にDMをいただけますでしょうか。早々に対応いたします。

コメント

では添削いたします。

>東京大学2009年度第3問設問

>(1)順に、医療業、食料品製造業、輸送用機械器具製造業、情報サービス業、宿泊業

とてもいいですね。適切です。

>(2)少子高齢化によって、肉体労働を用する総合工事業に従事する若者が減り、高齢者数の増加で社会福祉の需要が増えたため。

後半部分は素晴らしいと思います。まさにその通りです。前半部分の「総合工事業」に関する説明をもうちょっと加えることができればベストだったでしょう。

総合工事業の減少については、国の工業事業費の削減という側面があるのです。それまでの日本では、道路や施設など地方を対象とした公共事業が盛んに行われていました。これは「バラマキ」と批判されたこともありますが、地方へとお金を回すためには実は有効な経済対策でもあったのです。

そもそも「総合工事業」という言い方がわかりにくいですもんね。我々からすると、建設だけでなく、土木も含まれるのだなとピンとくるのですが高校生だとなかなか厳しいかも知れません。

同様に我々年代ですと、かつては公共事業によって地方の経済活性化が行われていたことを知っており、さらにそれらが地方への「ばら撒き」と揶揄されたり、「ハコモノ」と呼ばれた公共施設の利用者が少ないことを批判されたりなどの状況も見聞きしていますからね。

かつての自民党政権は「地方」の農村票が支持の基盤でした。ゆえに地方へとふんだんに予算を割き、それは公共事業費の拡大によって表されました。しかし21世紀の日本においては東京への一極集中が顕著になり、地方が顧みられることが少なくなりました。こういった背景が「総合工事業」の縮小につながっているような気もしますね。

とはいえ、いずれにせよ「地理」の範囲からは逸脱している印象です。書ききれなかったとしても無理はないでしょう。

>B
>B県は年齢構成において、高齢者の割合が上昇し、公共サービスの需要が増大した。だが、税収が少なく財政が圧迫されたため、市町村合併によって財政基盤を強化したため。

いいですね。とくに前半の文章はうまいと思います。とてもよく意味月渡ります。その一方で後半の文章はやや弱いようにも思いますが、内容的には間違っていません。十分合格圏の答案でしょう。

後半部分については、このような形はいかがでしょう。

だが生産年齢人口の減少によって財政状況が悪化。財政基盤の強化のために市町村合併が行われた。

「〜ため」が重なって使用されているため、ややぎこちない印象を受けます。ここは文章を2つに分けてしまい、シンプルな形にしました。最後も「〜ため」はカットしています。国語(現代文)の論述問題ではないので「理由が尋ねられているから『〜から』で締めくくらないといけない」とう決まりごとはありません。わかりやすい表現になれば、それがベターです。

ちなみに私の解答はこういった感じです。

地方圏のB圏の人口構成は高齢者に偏り、経済を支える若年労働者の割合が低く財政基盤が弱い。公共サービスの拡充と財政健全化を目指し、中心市による周辺町村の編入や市町村合併が進行した。(89字)

「中心しによる周辺町村の編入」とは要するに「市町村合併」のことなのですが、あえて分けて書いてみました。

それから個人的には「生産年齢人口」という言い方が好きではないので(高校生や大学生もこれに含まれることになりますね。また、65歳以上で働いているかたもたくさんいますので)この言葉は用いませんでした。ただ、だからといって「若年労働者」と言い切ってしまうのもどうかなとは思いますね。壮年や高齢者も含めたうまい言い方があればいいのですが。

>C(1)順に、郊外、都心、中間

いいですね。非常に「モダン」な問題と思います。2010年代以降の日本の社会情勢をうまく示した問題です(もっとも、本問の出題は2009年ではありますが)。現代の日本の人口変化の特徴は、「郊外のニュータウンにおける高齢化の進行」と「都心への人口回帰」ですからね。トレンドに沿っています。

>(2)都心では生産年齢人口は減少した後住宅供給の増加により増加。老年人口割合も停滞状態から増加へ転じた。郊外では生産年齢人口は住宅開発の進展で増加。老年人口割合は高齢化に伴い著しく増加。

悪くありませんが、せっかくなのですから表現に気をつかってみましょう。

統計に登場する数値には「実数」と「割合」の2種類があることは理解できると思います。この区別を明確にしておきましょう。

実数は「多い、少ない」「増える、減る」「増加、減少」などで表現されるのに対し、割合は「高い、低い」「上昇、低下」などで表現されます。

本問で扱われている統計は指標という形ではありますが、1980年の値に対するそれぞれの年次の値の大きさですから、実数を示していることは明らかですね。万物が流転するさんの文章ではこれが曖昧なところがあります。「老年人口割合も停滞状態から増加に転じた」「老年人口割合は高齢化に伴い著しく増加」とあります。「割合」が「増加」ではおかしいですよね。「老年人口が増加」あるいは「老年人口割合が上昇」と述べなくてはいけません。どちらでもいいとは思いますので、自分の意図に合った方を選んでください。

ではここからはそれぞれのグラフの動きから都心と郊外の特徴について考察しましょう。

ア(郊外)については、生産年齢人口も老年人口も1980年以降増加しています。しかし、生産年齢人口は1995年から停滞そして減少しているのに対し、老年人口は伸び方がさらに急になっています。

イ(都心)についてはトータルとして人口が減少し続けてきました。しかし、2000年以降は人口が増加し、とくに生産年齢人口の伸び方は顕著です。

ウ(中間)はおそらく地方都市などでしょう。非大都市圏に位置する。人口に大きな変化はありませんが、日本全体の人口動態の特徴である「微減」「老年人口の増加」をそのまま反映しています。

以上を考慮して、さらに考えを進めていきます。

都心と郊外の典型的な人口動態は以下のとおりです。

都心・・・最初は人口が減少しているが、現在は急増。
郊外・・・人口は増加しているが、現在は高齢者の割合が高まっている。

その原因について「住宅供給」と合わせて考えてみます。都心では、まず高い地価によって人口が減少していたものの、現在は「再開発」により多くの集合住宅が建設されたことが背景にあるはずです。郊外ではニュータウンの建設でしょうか。ただしそれは本図から考えるに1980年代までが中心であり、現在は住民構成の高齢化が際立ちます。

都心では高地価で人口が郊外に流出したが、近年は再開発によって多くの集合住宅が建設され、とくに若年層の人口流入が目立つ。(59字)

郊外ではニュータウン建設によってとくに若い世代の入居が多かったが、現在は年齢構成の上昇により高齢者が増加している。(57字)

どうでしょうか。とくに難しい言葉は使っていませんが、無理のない説明にはなっていると思います。120という長い文章ですが、トピックを分化させ、さらに「出題者が求める内容」を意識して(今回は「住宅」ですね)文章を構築するのがコツです。

今回はややテクニカルな要素が必要な問題が多かったですね。しかし、問われている内容は決して難しくありません。シンプルな内容について、形式に最大限に留意しながら文章全体を組み立てていく。こうした意識を徹底してくださいね。




  • 2020.08.15 11:52
  • たつじん

(投稿フォーム156の万物は流転するさんの投稿をこちらに移しています)

東京大学2009年度第3問設問
A(1)順に、医療業、食料品製造業、輸送用機械器具製造業、情報サービス業、宿泊業
(2)少子高齢化によって、肉体労働を用する総合工事業に従事する若者が減り、高齢者数の増加で社会福祉の需要が増えたため。
B B県は年齢構成において、高齢者の割合が上昇し、公共サービスの需要が増大した。だが、税収が少なく財政が圧迫されたため、市町村合併によって財政基盤を強化したため。
C(1)順に、郊外、都心、中間
(2)都心では生産年齢人口は減少した後住宅供給の増加により増加。老年人口割合も停滞状態から増加へ転じた。郊外では生産年齢人口は住宅開発の進展で増加。老年人口割合は高齢化に伴い著しく増加。

  • 2020.08.14 01:40
  • たつじん

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