集水域の問題

尾根線と谷線、集水域に関する問題を集めてみました            

画像(地形図)がアップできませんでしたので、以下よりPDFをダウンロードしてください。

PDFはこちら

 

実は地理Bでは、最近地形図問題は簡単になっていて、ちょっと慣れておいたら簡単に解けるものばかりです。今回取り上げた問題は全て地理Aのものです。「難しいな」と思った人はスルーしちゃってください。地理Bではこのパターンの出題はないかもしれません。

 

[1]次の図2は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図の一部(原寸、一部改変)である。図中の破線サセのいずれかが示す地形の特徴について述べた文として適当でないものを、下の①④のうちから一つ選べ。 (2012年地理A本試験第1問問6)

① 破線サの両端は山頂であり、中央部は低くなっている。

② 破線シは尾根線を示しており、南端付近には池がみられる。

③ 破線スは尾根線を示し、並行した谷線が東側にみられる。

④ 破線セの北半分では傾斜が急で、南半分ではゆるやかである。

 

では最初は尾根線と谷線の問題です。

まず尾根線の判定をしてみましょう。スの北端がわかりやすいと思います。ここに等高線が閉曲線になった部分がみられますね。中に「・532」とあります。このように等高線がシンプルな閉曲線となっている場合、そこは必ず「山頂」となります。とくに今回は独立標高点と標高を表す数値まで書かれていますから、たいへんわかりやすくなっています。閉曲線の内側を赤く着色し、盛り上がっている(つまり山頂である)ことを協調しておきましょう。山頂のような高所から「等高線が凸の方向に降りていく」のが尾根線です。スがはっきりとした尾根線になっていることを確認しましょう。「山折り」になっているのです。それに対し、スのすぐ東側に「谷折り」の部分があるのがわかるでしょうか。高所からみて、等高線の凹になっている方向に下りていくのです。さらによく観察してください。谷折りに沿って、細い線が描かれていることがわかりますか?地形図において「細い線」で示されるものは「等高線」、「(大型車は通行できない)道路」、「小さい河川の流れ」の3つです。等高線同士が交わるわけはないので、候補は2つに絞られます。この細い線を上方へと辿っていくと、ずっと谷筋を通過しつつ、地図の北側へと消えていきます。どうでしょうか。もちろん道路の可能性もゼロとはいえませんが、これを小河川とみることは妥当と思いませんか。選択肢③は正文となりますが、この要領で尾根線と谷線の判定をしてみてください。

さあ、どうでしょうか。ポイントはシなのです。シはスと違って周辺に明確な山頂(つまり閉曲線)はないのですが、それでも土地の高低ははっきりしています。等高線(とくに太く描かれたものを計曲線といいます)の高さを示す「750」や、独立標高点「644」の数字をヒントにして、650メートルの等高線(計曲線)より高い部分を赤く塗ってみてください。どうでしょうか?シの線は、「高所から等高線が凹の方向に降りている」線となりませんか。これは谷折りつまり「谷線」となり、シについての記述が誤り(正解)となります。高低を見極めることが極めて大切なのです。

 

 

[2]次の図3は、ある地域の2万5千分の1地形図(原寸、一部改変)である。図3中の地点P〜Sやそれらを結ぶ線(破線)の周辺の様子について述べた文として適当でないものを、下の①〜④のうちから1つ選べ。(2015年地理A追試験第1問問7)

 

① 地点Pの北側には、谷線に沿って行政界がみられる。

② P—Qの標高差は、Q—Rの標高差よりも小さい。

③ 地点Rの東側と西側には、斜面の崩れた跡がみられる。

⑤ R—S区間の西側斜面の傾斜は、上部が急で下部がゆるやかである。

 

今度はちょっとした発展問題です。表されている線は1つですが、そもそもこれが尾根線なのか、谷線なのかわからない(涙)。標高を表す数値はほとんどみられない地形図になっているのです。これは厳しい。

そこで、今度は閉曲線を探してみましょう。等高線が閉曲線となっている場合は、必ず中央が盛り上がっている「山頂」なのです。図の右端に沿って、やや下方に小さな閉曲線がありますよね。まずはこれを赤く塗ってみましょう。そして、その1つ外側の計曲線を確認して、その内側も簡単に着色してみてください。この部分が「高所」なのです。周囲に向かって、斜面が下っています。さらにその2つ下の計曲線に「100」と書かれていませんか。これはおそらく「1000」だと思うのですが、この計曲線も強調して、ずっと辿ってみてください。どうでしょうか?Sの点について、その周囲をぐるっとこの線が取り囲んでいませんか。この線の北西側が高所で、南東側が低所であることはすでにはっきりしています。R—Sの線は、「高所から等高線が凸の方向に下りている」ことがわかりませんか?つまりこれは「尾根線」なのです。Rが高く、Sが低くなっています。

それさえわかれば、本問は解答できます。Rのすぐ上の計曲線(等高線のうち、太い線で描かれているもの)の内側を赤で着色してください。ちなみに、この等高線は1600メートルなのですが、Rの北側に標高1600メートルを超える尾根線が東西に走っていることがわかります。「山折り」をイメージしてくださいね。行政界(ー(・)—(・)—(・)—の線です。市の境界です)は、この高所に沿って描かれ散ることが明らかです。つまり「尾根線」であり、冒頭の選択肢が誤りとなります。

 

[3]次の図3は、ある地域の2万5千分の1地形図(原寸、一部改変)である。図3中に示した地点PSに大雨が降った場合、地表面を流れる雨水が地点Xに達する地点として最も適当なものを、下の①④のうちから一つ選べ。(2014A追第1問問7)

 

 

 

では最後に集水域(流域)の問題です。尾根線の判定が重要になるのは言うまでもありませんが、あまり意識しすぎる必要はありませんよ。要するに「高いところを探したらいいんだ」と開き直ってください。まずは地点Xおよび、そこから流れる合法谷川の流れを青く辿ってみましょう。さらに「水垣内山」の「710」を参考に、650メートルより高いところを「赤」、550メートルより高いところを「オレンジ」、450メートルより高いところを「黄色」でそれぞれ着色してみてください。どうでしょうか。土地の起伏がはっきりとわかりませんか。P、R、SはいずれもXからみて、高所の反対側にあり、これらに降った雨水がX側(合法谷川)に流れ込むことはありません。それに対し、Qはどうでしょうか。高所が北側にあり、Qは南に傾いた斜面の上にあることがよくわかります。Qに降った雨水は南側に流れ、Qおよび合法谷川へと流れ落ちることが想像できるでしょう。これが正解ですね。このような雨水が集まる範囲のことを「流域」または「集水域」といいます。

 

スタディサプリスタディサプリ/たつじん地理

検索

ページの先頭へ