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2017.11.20
添削フォーム18
コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。
コメント
では、こちらにもお答えしておきますね。
>「青いバナナと呼ばれる地域に工業が発達するようになった。」
こちらの形でベストと思います。「青いバナナ」はオランダが含まれていることからわかるよう、人口(人口密度)に関連するキーワードと考えていいと思います。オランダやルール地域は、中小都市の都市圏が重なり合い一体化しています(コナーベーションというものですね)。ヨーロッパでは、こういったパターンは意外に珍しいのです。例えばパリなど大都市ですが、パリ大都市圏を離れてしまうといきなり田園風景が広がり、都市圏(通勤圏と考えてみてもいいですが)の範囲は明瞭となっているのです。人口密度の高い地域がベネルクスからライン川沿岸へと広がり、それにロンドンやイタリア北部を加えて、「青いバナナ」と称しているというイメージです。日本でいえば、東海道メガロポリスに近い感じかなと思っています。東海道メガロポリスは人口(都市)に関連するキーワードであり、工業に関連するキーワードである「太平洋ベルト」とはちょっと違った定義ですよね。
さてさらにヨーロッパですが、私が20年ほど前に必死で勉強した際には、ノート形式の書き込み式の問題集をひたすら利用した覚えがあります。ツイッターでも上げておきましたが、「ゼミノート地理B」(数研出版)など使いやすいと思いますし、また最近捨ててしまって手元にないのですが、学研からも似たようなものが出ていたと思います。山川や河合も地名中心(白地図を組合せた)が出されていて、こちらは単なる地名の羅列になってしまい説明の部分が少ないので個人的には好きではないのですが、もしかしたらなかなか使える教材かもしれません。
これらのノート形式の問題集を複数使って、固有名詞を「覚える」ことを優先するという勉強法も、直前の時期には有効と思いますよ(^^)
- 2017.12.26 12:42
- たつじん
添削していただき有難うございます。
青いバナナは工業には禁句のようですね。気づく事が出来て良かったです、ありがとうございます!では、「青いバナナと呼ばれる地域に工業が発達するようになった。」とすれば、大丈夫でしょうか?(どうしても青いバナナというワードを使いたいという場合ですが、、、)
色々質問ばかりで申し訳ないのですが
ヨーロッパは内容の濃い所でかなり苦労してます(都市や鉱産資源や政治など)。
しっかりマスターする為に流れをつかむための着眼点や暗記をしておかないといけない部分などアドバイスをいただきたいです。宜しくお願いします。
- 2017.12.19 23:05
- Poen
こんにちは。では添削させていただきますね。
>産業革命以降、この地域では石炭の豊富なルール地方のエッセンやドルトムント、ザール地方のザールブリュッケン、ベルギー南部のリエージュや鉄鉱石の豊富なロレーヌ地方のメスなどの都市で原料立地型の重化学工業が発達し、重工業三角地帯を形成した。
とてもいいですね。やや不正確な部分もありますが、十分に許容範囲だと思います。
この地域の資源分布について整理しましょう。
・ルール地方(デュイスブルク・エッセン・ドルトムント)・・・石炭
・ザール地方(ザールブリュッケン)・・・石炭
・ベルギー南部・アルデンヌ地方(リエージュ)・・・石炭
・ルクセンブルク・・・鉄鉱石
・ロレーヌ地方(メス)・・・鉄鉱石
現在は、ロレーヌやルクセンブルクの鉄鉱石は枯渇し、アルデンヌ地方やザール地方の石炭産出もほとんどありません。ルール地方は、現在も大きな炭田は残ってはいるのですが、産業構造の転換によって縮小を余儀なくされています。
またルール地域については、ライン川下流という位置的条件より、河川を利用した輸入が極めて盛んで、主にスカンジナビア地域(スウェーデン北部からノルウェーの港湾を経由して輸送)の鉄鉱石の供給を受けていました。
>第二次世界大戦後、石炭や鉄鉱石が枯渇するようになるとそれらの資源を輸入に頼るようになった。ライン川などの国際河川が水運としてりようされ、輸入に便利な河川沿いのデュイスブルグやボンなどのような臨海立地型の工場が立地するようになった。
こちらもいいですね。ほぼ正確に思います。「鉄鉱石」については「枯渇」と断言してしまっていいでしょう。ただし、石炭についてはルール地方を中心に現在でも多少は産出されており、「枯渇」というとちょっと極端かなとも思います(しかし、もちろん急激に減少していることは間違いないです。おそらくドイツの再生可能エネルギーを中心とした政策と結びついているのでしょう。私もよくわからないので、大学に入ったらぜひ研究してみてください)。
また「デュイスブルク」はライン川最大の河港を有し、鉄鋼業が盛んなのはその通りなのですが、ボンは工業都市とは違いますね。ボンは学術都市(伝統的な大学が位置)であり、ベートーベンの生誕地として有名です。西ドイツ時代には首都が置かれ、現在でも一部の首都機能を担っています(キャンベラやワシントンのような計画的に建設された政治都市ではないの。で注意してくださいね)。
輸入鉄鉱石に依存した鉄鋼都市として挙げるならば、ライン川の支流であるルール川やその周辺の運河(ドルトムントエムス運河など)に沿う、エッセンやドルトムントでしょう。とくに地域最大の鉄鋼都市です。
ただ、河川に沿っているのでさすがに「臨海」は不適切かなとは思います。「河港」に近接して成立した、程度の書き方で良かったのではないでしょうか。
>その後、エネルギー革命によって主なエネルギー資源が石炭から石油への転換されると、オランダのユーロポートを中心にロッテルダムやアムステルダムで臨海立地型の石油化学工業が盛んになり
こちらもいいですね。「ロッテルダム郊外にライン川河口デルタを掘削して人工港のユーロポートが建設され、臨海型の石油化学工業が立地した」という感じでしょうか。なお、アムステルダムはとくに工業都市というわけでもなかったと思いますので、確認しておいてください。
>イギリス南部から北イタリアにかけて青いバナナという工業地域が形成された。
「青いバナナ」というのはどうなんでしょうね。工業地域という意味でなく、人口密度が高いエリアのことであり、同時に経済活動が活発になっている一帯のことだと思われます。ロンドン〜オランダ〜フランクフルト〜ミラノなど。工業よりも商業や文化の中心としての意味合いの方が強いのではないでしょうか。
また「青いバナナ」という名称は最近のもの(そもそも「青」とはEUの旗の色に由来しているはずです)ですが、この地域は古来より人口が集まり、経済活動が活発だったわけなので、最近になって「形成」されたという言い方にも違和感があります。ちょっと書き方を工夫してみましょう。
>一方で原料立地型工業都市は衰退したが、近年ハイテク産業へ移行し、最発展も見られる。
こちらもいいですね。正確です。よかったら近年のルール工業地域の再開発について、整理しておきましょう。
例えば、教科書の記述です。
ドイツのルール工業地域は、豊富な石炭とライン川の水運に恵まれて、EU最大の工業地帯に発達した。しかし、1970年代以降、炭田や鉄鉱山を基盤とする工業地域は縮小し、失業率が増加するなどの問題をかかえている。一方、閉鎖された工場群や炭坑が再開発される例もみられ、オフィスや観光施設に転用されるものもある。
なお、「旺文社問題正解」の模範解答には。地中海の港湾から原油や天音ガスをパイプラインで送ることで成り立っている石油化学工業都市もとりあげられていましたが、さすがにそこまで言及することはないでしょう。
良かったら、ドイツ北部のブレーメルハーフェンという都市を地図帳で確認しておいてください。ウェーザー川のエスチュアリーに接する都市で、ブレーメンの外港です。輸入した石炭・鉄鉱石を利用して、臨海型の製鉄業が立地しています。
では次回も期待してます!
- 2017.12.18 15:50
- たつじん
すみません。
筑波大学2013年第4問です。
宜しくお願いします。
- 2017.12.14 23:34
- Poen
同時にこちらの方も添削して頂けるとありがたいです。
宜しくお願いします。
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筑波大学2014年第4問です。
産業革命以降、この地域では石炭の豊富なルール地方のエッセンやドルトムント、ザール地方のザールブリュッケン、ベルギー南部のリエージュや鉄鉱石の豊富なロレーヌ地方のメスなどの都市で原料立地型の重化学工業が発達し、重工業三角地帯を形成した。第二次世界大戦後、石炭や鉄鉱石が枯渇するようになるとそれらの資源を輸入に頼るようになった。ライン川などの国際河川が水運としてりようされ、輸入に便利な河川沿いのデュイスブルグやボンなどのような臨海立地型の工場が立地するようになった。その後、エネルギー革命によって主なエネルギー資源が石炭から石油への転換されると、オランダのユーロポートを中心にロッテルダムやアムステルダムで臨海立地型の石油化学工業が盛んになりイギリス南部から北イタリアにかけて青いバナナという工業地域が形成された。一方で原料立地型工業都市は衰退したが、近年ハイテク産業へ移行し、最発展も見られる。
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以上です。宜しくお願いします。
- 2017.12.14 23:33
- Poen
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