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2018.01.15

添削フォーム26

 コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。


2018.01.15

添削フォーム26

 コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。


2018.01.11

冬期講習のコメント回答その2です

 センター直前となってしまい、すいません。冬期講習で頂いたコメントについての回答その2になります。参考程度に目を通していただければと思います。

 

では、どうぞ。

 

>ホワイトハイランド→白人に注目してケニアですか。

 

第2講の8番の問題ですね。その通りです。比較的気温が低く、衛生環境のよいケニアの高原(ホワイトハイランド)にはヨーロッパ系の白人が入植し、都市を建設しました。

 

>アフリカの内部の下の方にヨーロッパ風のが残っているのはケニアのナイロビと同じ感じですか。

 

これはそうだと思います。とくに南アフリカのヨハネスバーグなどは金鉱を中心に発達した鉱業都市ですが、金鉱を支配していたのはイギリスですし、ヨーロッパの支配が内陸部にまで及んだ典型的な例でしょう。

ギニア湾岸はとにかく伝染病が怖いんですよ。マラリアがやばいです。蚊などによって媒介されますが、熱帯の低地に蔓延しています。

アフリカ南部はさほど伝染病はなく、比較的ヨーロッパ人にとっても安全でした。しかし、現在はこの地域こそ世界で最も深刻なHIV(エイズ)の発症地域となっています。「熱帯=マラリア、南アフリカ=エイズ」と覚えておいてもいいかもしれませんね。

 

>アフリカの言語・宗教について重要なものを教えてください。

 

 アフリカの言語で最も重要なのはアラビア語です。北アフリカ(サハラ以北)のアラブ人が使用し、西アジアも含め、広い範囲で公用語となっています。例えばアルジェリアはフランス領でしたが、フランス語は公用語として採用されていません。ほとんどの住民が使用できるアラビア語があったからです。

 これに対し、中南アフリカでは多くの部族が存在し、さらに部族分布を無視して国境線が策定されたために特定の部族の言語を公用語とすることが困難でした。旧宗主国の言語が公用語として重用され、コートジボワールではフランス語、ナイジェリアでは英語が採用されています。

 民族言語としてとくに重要であるのはスワヒリ語です。インド洋に面した東アフリカ地域の言語で、ケニアでは英語のほか、このスワヒリ語も公用語となっています。

 余談ですが、南アフリカの公用語は英語とアフリカーンス語なのですが、このアフリカーンス語という言語はオランダ語のことなのです。名前だけみるとアフリカの部族の言語という感じがしますが、実は全然違うんですね。それだけに、スワヒリ語も公用語とされているケニアの事例はかなり珍しいのです。

 

 では宗教に行きましょう。アラブ人にはイスラム教徒が多いため(教典コーランはアラビア語で書かれています)北アフリカがイスラム地域なのは納得でしょう。さらにアラブ人が商業民族であったことも思い出してください。彼らの交易路沿いはイスラムに染められていました。アフリカの場合、北アフリカからサハラ砂漠を超えてサヘル地帯までアラブ商人が行き来し、岩塩を交易しましたが、これによりサヘル地帯は「ブラック・ムスリム(黒人・イスラム教徒)」地域となりました。出題率の高い国としてはセネガルがありますから、これを知っておくといいと思いますし。またナイジェリア北部の遊牧民もイスラム教徒です。さらに、最近出題された都市にトンブクトゥーがありますので、これもぜひ知っておきましょう。

 それから、キリスト教の伝播の歴史を考えるべき地域なのですが、エチオピアにキリスト教徒が多くなっています。パレスチナ(現在のイスラエル)の地を追われたキリスト教徒たちは紅海を下り、東アフリカの地へと降り立ちました。彼らが伝えた古代キリスト教(コプト派といいます)は、現在もエチオピアに根付いているのです。

 他については考慮する必要はないと思います。自然崇拝(アニミズム)に由来する伝統宗教が現在でも広く信仰されています。余談ですが、ギニア湾岸(ナイジェリア南部など)の伝統宗教はヴードゥー教です。奴隷として彼らが送られたアメリカ南部やカリブ海地域にもこの信者は多くいます。独特の教義や風習を有し、それが曲解され「ゾンビ」という怪物をハリウッド映画産業は生み出しました。

 

>理系選択ですが数学、英語と理科に時間をかけて地理の勉強時間確保できないです。最低地理は1日何時間取ればいいですか。

 

それでいいと思いますよ。というか、そうあるべきです。勉強の目的は受験ではありません。大学での研究のために、みなさんは勉強をするべきなのです。大学に入ってから重要となる数学や英語、理科の勉強に重心を置いて、地理はあくまでおまけで構わないと思います。もちろん、それは地理を軽視しろというわけではありませんが、あくまであなたたちが社会に対して追うべき役割は「理系学習者」としての使命なのです。地理は一生を決めるほどのものではありません。

 

>学校で地誌東南アジアが最近出ていないから出るかもしれないと聞いたんですが新大陸メインで勉強したほうがいいですか。

 

そうなんですよ。東南アジアが全然出ていないのです。最後に地誌で取り上げられたのが2001年なんで、15年以上出題がありません。私も去年はここを出題予想としたのです(そしたら中国が出ました)。ただし、追試験では比較地誌でフィリピンが登場していますので、ちょっと確率は下がったかな。

 

>なぜモナコやノルウェーはGNIが高いのですか。

 

いえ、モナコやノルウェーはGNIは小さいですよ(笑)

 

>大地形の暗記事項のポイントはどこですか。

 

超重要なのが海底地形です。海嶺と海溝は全てピックアップしておいてください。海嶺は「大西洋中央海嶺」、「インド洋中央海嶺」、「東太平洋海嶺」、それから南極の周囲にも海嶺はあります。

海溝は、太平洋の周囲(ただしアメリカ合衆国の太平洋岸にはありません)をチェック。さらにインドネシアのジャワ島やスマトラ島の南岸に沿うものも確認。

陸上の地形としては、新期造山帯と火山を別個に覚えてください。「新期造山帯=火山」と覚えている人がいますが、例外が多すぎて、むしろ無関係と考えた方が適切なほどです。

火山を伴わない新期造山帯として、知っておくべきは、「カルパティア山脈」と「カフカス山脈」です。ポーランドからルーマニアへと弓なりに連なるアルバティア山脈は、ヨーロッパ北部で唯一の新期造山帯です。カフカス山脈は、黒海とカスピ海の間の山脈で、この山脈とトルコ、イランを含む山岳地域には火山はありません(実は少しだけあるのですが、無視していいと思います。少なくとも[活火山]はありません)。

その反対で、新期造山帯に属さない火山もあります。「キリマンジャロ」と「ハワイ」です。アフリカ東部のキリマンジャロはアフリカ大地溝帯に沿い(これはプレートの広がる境界であり、海嶺が陸上に現れたものだと考えてください)。赤道直下ですが、標高が極めて高く、山頂付近は常に雪や氷河によって覆われています。

ハワイはプレートの中央部に形成された珍しい火山です(ホットスポットです)。プレートが東から西へと動いているので、ハワイ諸島もこれに対応して、東西につらなっています、

 

>タイは農業国だから都市人口率低いと聞きますが、プライメイトシティとも聞くのですが、どうなんですか?

 

数字で考えるのがポイントです。タイの都市人口割合は50%と、これは実はかなり低い値なのです(先進国は70%以上。50%はアフリカの後発発展途上国など)。タイの人口7000万人のうち、3500万人が都市に住み、残る3500万人が農村(つまり都市以外)に住むということなのです。これに対し、タイのプライメイトシティであるバンコクは人口800万人。総人口の10%が集まる一極集中です。ただ、都市人口が3500万人ということは、2500万人はバンコク以外の都市に住んでいるということですね。もちろん2500万人という値は大きなものとは思いません。タイの場合、「都市人口割合が低い」ということと「プライメイトシティが形成されている」ということが、「バンコク以外に大都市が存在しない」という点において両立しているのです。数字で考えれば、何の矛盾もないでしょう?言葉やそのイメージだけで決めつけるのではなく、数字で考えることが地理には必要なのです。

 

>タイはなぜコメが盛んなのに土地生産性はあんまりなんですか?コメの輸出があんまりなのも教えてください

 

コメは盛んですよ(笑)。コメが盛んだから土地生産性が低いのです。数字で考えましょう。土地生産性は、1ヘクタール当たりの収量の高低が目安となります。つまり「収量」÷「水田面積」なのです。タイは、大河川の沖積平野に低平な国土が広がり、水田に適した地形に恵まれています。つまり水田が大変広いわけですよね。土地生産性は、水田面積に反比例するのですから、当然、この値は下がります。どうですか?水田耕作が盛んだからこそ、土地生産性が低くなるのです。反対に、日本のような山がちな国土ならば水田に恵まれず、土地生産性を上げないと、十分な収量が保たれませんね。

 

さらに「コメの輸出があんまり」とのことですが、たしかにかつては世界最大の輸出国だったのが、現在はインドに抜かれて2位に落ちてしまいましたので、それをさして「あんまり」と言っているのでしょうか。ちょっと意味をわかりかねますが、そのつもりで回答しますね。

 

たしかに、最新の統計では、コメの輸出はインドが1位、タイが2位ですが、これだけをもって、「インドの方がタイよりコメの輸出がさかん」と言っていいのでしょうか。ここもやはり数字の感覺が大切になります。

 

輸出余力すなわち輸出する余裕について、インドとタイのどちらが上なのでしょう。自給率を考えてみましょう。自給率は、「生産量÷国内消費量」です。例えば日本はコメをほとんど自給していますが、一部を輸入していますので、自給率は95%です。同じく日本は小麦については自給率が10%なのですが、国内消費にあたり10%分しか国内で生産できず、90%を海外からの輸入に依存しているのです。一方、アメリカは小麦の世界的な輸出国であるため、自給率は100%を超えています。

 

さて、ここでインドとタイの米をめぐる状況について考えましょう。具体的な数字は調べないとわからないので割愛しますが、十分想像できると思います。

 

13億人の人口を誇るインドは世界2位のコメの生産国であり、その量は莫大なもののはずです。一方、タイは人口7000万人に過ぎず、コメの生産順位も世界5位です(ただ、これだけをみても、人口のわりにコメの生産が多いといえますね)。

 

コメはそもそも生産に比して輸出量が少ない作物なのですが、インドがたとえ世界最大のコメの輸出国である!としても、生産に対する輸出量の割合ってものすごく低いものに過ぎないと思いませんか?生産が圧倒的なのですから、全体からみれば輸出量は小さい。

 

それに対し、タイはそもそもの生産量が多くないのに、輸出は堂々世界2位です。生産量に対する輸出量の割合はかなり高いと思っていいのでは。

 

つまり、自給率を考えた場合、インドは100を僅かに上回る程度であるのに対し、タイの場合は100%をはるかに超える値となるはずです。タイの方が「輸出がさかん」と言って、まず間違いないと思います。

 

>普段ロジック頼りで8割安定していたのですが、この間のプレで5割なって不安で。

 

模試は無視してください。地理は科目研究が他より進んでいないので、模試の精度が極めて低いのです。傾向および難易度は実際のセンターとはかけ離れています。

 

>ウクライナは1人当たりのGNIがあんまりなのに、なぜ医療が充実しているのか教えてください。

 

これがよくわからないのですよ。1人当たりGNIが低い国は医療は発達していないはずで、ウクライナもその例にもれません。ただ、この国がかつてのソ連の一部で社会主義だったことの影響はあるかもしれません。「医療費に占める公的資金の割合」は高いと思います。たしかに模試で病床数のデータが出て(こういうわけのわからないデータが登場する時点で、模試がポンコツだってことですよ・笑)、この値がウクライナが高かったようですが、社会主義時代に国家の方針として病院が多くつくられているのでしょうね。でも、それが医療水準の高さにはつながらないと思いますよ。ベッドだけ多くても、医療機器が十分でなければ、まともな治療はできませんからね。

 

とりあえず。医療に限らず、「旧社会主義国は、民間ではなく、政府による公的資金の割合が高い」と覚えておいたらいいのではないでしょうか。

 

>知らない地名が出てきたらどうすればいいですか。過去問を問いていて4つ中3つ知らない地名があって焦りました。

 

いいではありませんか(笑)4つ中3つ知らない地名があれば、残った一つが答えですよ。センター試験にそもそもそんな難しい地名は出ませんし、そうしたものが登場した場合は、「外れ選択肢」の可能性が非常に高いです。出題者としては、絶対に選択肢を4つ用意しないといけないわけですよね。どうしたって、苦し紛れの選択肢はありますよ。特殊な地名や都市名をそうした選択肢で用いるケースはかなり多いと思いますよ。「知らないものは知らない」という考え方でいいではありませんか。知らない言葉(地名や都市名)が出てきたらラッキーに思ってください。それは答えにはなりませんから。正文判定問題(適当なものを選べ)ならば「誤文」であり、誤文判定問題(適当でないものを選べ)ならば「正文」になります。解答に選んではいけません。

 

>ヨーロッパの河川が覚えられません。それぞれどんな特徴があるのでしょうか。

 

3本の国際河川だけ覚えておいてください。「沿岸国の自由航行が認められている河川」のことです。「国際」とかいて「ふね」と読んでください。

ライン川は「工業」の河川であり、河口は「デルタ」となっています。中下流には炭田があり、ルール工業地帯が形成されました。河口のデルタを掘り込んで、ロッテルダムにユーロポートが建設されました。

エルベ川も「工業」ですが、こちらは河口が「エスチュアリー」です。中世の自治都市として発展したハンブルクが位置し、造船業など発達しています。

ドナウ川は「農業」の河川であり、河口は「デルタ」です。ハンガリー盆地には肥沃なレスが広がり、小麦とトウモロコシの栽培が行われています。余裕があれば、地図帳でドナウ川を確認し、「音楽の都・ウィーン」、「双子都市・ブダベスト(ブダとペストが合体)」、「旧ユーゴスラビアの首都・ベオグラード」を通過していることを確認しておきましょう。

 

 

というわけで、とりとめもなく書き連ねてしまいましたが、いかがだったでしょう。細かいところやわけのわからないところは無視してください。センターに特殊な知識は出題されませんから、あとはリラックスして楽しんでくれたらいいと思いますよ(^^)

 

 

 

 

 

2018.01.11

冬期講習のコメント回答その2です

 センター直前となってしまい、すいません。冬期講習で頂いたコメントについての回答その2になります。参考程度に目を通していただければと思います。

では、どうぞ。
>ホワイトハイランド→白人に注目してケニアですか。
第2講の8番の問題ですね。その通りです。比較的気温が低く、衛生環境のよいケニアの高原(ホワイトハイランド)にはヨーロッパ系の白人が入植し、都市を建設しました。
>アフリカの内部の下の方にヨーロッパ風のが残っているのはケニアのナイロビと同じ感じですか。
これはそうだと思います。とくに南アフリカのヨハネスバーグなどは金鉱を中心に発達した鉱業都市ですが、金鉱を支配していたのはイギリスですし、ヨーロッパの支配が内陸部にまで及んだ典型的な例でしょう。
ギニア湾岸はとにかく伝染病が怖いんですよ。マラリアがやばいです。蚊などによって媒介されますが、熱帯の低地に蔓延しています。
アフリカ南部はさほど伝染病はなく、比較的ヨーロッパ人にとっても安全でした。しかし、現在はこの地域こそ世界で最も深刻なHIV(エイズ)の発症地域となっています。「熱帯=マラリア、南アフリカ=エイズ」と覚えておいてもいいかもしれませんね。
>アフリカの言語・宗教について重要なものを教えてください。
 アフリカの言語で最も重要なのはアラビア語です。北アフリカ(サハラ以北)のアラブ人が使用し、西アジアも含め、広い範囲で公用語となっています。例えばアルジェリアはフランス領でしたが、フランス語は公用語として採用されていません。ほとんどの住民が使用できるアラビア語があったからです。
 これに対し、中南アフリカでは多くの部族が存在し、さらに部族分布を無視して国境線が策定されたために特定の部族の言語を公用語とすることが困難でした。旧宗主国の言語が公用語として重用され、コートジボワールではフランス語、ナイジェリアでは英語が採用されています。
 民族言語としてとくに重要であるのはスワヒリ語です。インド洋に面した東アフリカ地域の言語で、ケニアでは英語のほか、このスワヒリ語も公用語となっています。
 余談ですが、南アフリカの公用語は英語とアフリカーンス語なのですが、このアフリカーンス語という言語はオランダ語のことなのです。名前だけみるとアフリカの部族の言語という感じがしますが、実は全然違うんですね。それだけに、スワヒリ語も公用語とされているケニアの事例はかなり珍しいのです。
 では宗教に行きましょう。アラブ人にはイスラム教徒が多いため(教典コーランはアラビア語で書かれています)北アフリカがイスラム地域なのは納得でしょう。さらにアラブ人が商業民族であったことも思い出してください。彼らの交易路沿いはイスラムに染められていました。アフリカの場合、北アフリカからサハラ砂漠を超えてサヘル地帯までアラブ商人が行き来し、岩塩を交易しましたが、これによりサヘル地帯は「ブラック・ムスリム(黒人・イスラム教徒)」地域となりました。出題率の高い国としてはセネガルがありますから、これを知っておくといいと思いますし。またナイジェリア北部の遊牧民もイスラム教徒です。さらに、最近出題された都市にトンブクトゥーがありますので、これもぜひ知っておきましょう。
 それから、キリスト教の伝播の歴史を考えるべき地域なのですが、エチオピアにキリスト教徒が多くなっています。パレスチナ(現在のイスラエル)の地を追われたキリスト教徒たちは紅海を下り、東アフリカの地へと降り立ちました。彼らが伝えた古代キリスト教(コプト派といいます)は、現在もエチオピアに根付いているのです。
 他については考慮する必要はないと思います。自然崇拝(アニミズム)に由来する伝統宗教が現在でも広く信仰されています。余談ですが、ギニア湾岸(ナイジェリア南部など)の伝統宗教はヴードゥー教です。奴隷として彼らが送られたアメリカ南部やカリブ海地域にもこの信者は多くいます。独特の教義や風習を有し、それが曲解され「ゾンビ」という怪物をハリウッド映画産業は生み出しました。
>理系選択ですが数学、英語と理科に時間をかけて地理の勉強時間確保できないです。最低地理は1日何時間取ればいいですか。
それでいいと思いますよ。というか、そうあるべきです。勉強の目的は受験ではありません。大学での研究のために、みなさんは勉強をするべきなのです。大学に入ってから重要となる数学や英語、理科の勉強に重心を置いて、地理はあくまでおまけで構わないと思います。もちろん、それは地理を軽視しろというわけではありませんが、あくまであなたたちが社会に対して追うべき役割は「理系学習者」としての使命なのです。地理は一生を決めるほどのものではありません。
>学校で地誌東南アジアが最近出ていないから出るかもしれないと聞いたんですが新大陸メインで勉強したほうがいいですか。
そうなんですよ。東南アジアが全然出ていないのです。最後に地誌で取り上げられたのが2001年なんで、15年以上出題がありません。私も去年はここを出題予想としたのです(そしたら中国が出ました)。ただし、追試験では比較地誌でフィリピンが登場していますので、ちょっと確率は下がったかな。
>なぜモナコやノルウェーはGNIが高いのですか。
いえ、モナコやノルウェーはGNIは小さいですよ(笑)
>大地形の暗記事項のポイントはどこですか。
超重要なのが海底地形です。海嶺と海溝は全てピックアップしておいてください。海嶺は「大西洋中央海嶺」、「インド洋中央海嶺」、「東太平洋海嶺」、それから南極の周囲にも海嶺はあります。
海溝は、太平洋の周囲(ただしアメリカ合衆国の太平洋岸にはありません)をチェック。さらにインドネシアのジャワ島やスマトラ島の南岸に沿うものも確認。
陸上の地形としては、新期造山帯と火山を別個に覚えてください。「新期造山帯=火山」と覚えている人がいますが、例外が多すぎて、むしろ無関係と考えた方が適切なほどです。
火山を伴わない新期造山帯として、知っておくべきは、「カルパティア山脈」と「カフカス山脈」です。ポーランドからルーマニアへと弓なりに連なるアルバティア山脈は、ヨーロッパ北部で唯一の新期造山帯です。カフカス山脈は、黒海とカスピ海の間の山脈で、この山脈とトルコ、イランを含む山岳地域には火山はありません(実は少しだけあるのですが、無視していいと思います。少なくとも[活火山]はありません)。
その反対で、新期造山帯に属さない火山もあります。「キリマンジャロ」と「ハワイ」です。アフリカ東部のキリマンジャロはアフリカ大地溝帯に沿い(これはプレートの広がる境界であり、海嶺が陸上に現れたものだと考えてください)。赤道直下ですが、標高が極めて高く、山頂付近は常に雪や氷河によって覆われています。
ハワイはプレートの中央部に形成された珍しい火山です(ホットスポットです)。プレートが東から西へと動いているので、ハワイ諸島もこれに対応して、東西につらなっています、
>タイは農業国だから都市人口率低いと聞きますが、プライメイトシティとも聞くのですが、どうなんですか?
数字で考えるのがポイントです。タイの都市人口割合は50%と、これは実はかなり低い値なのです(先進国は70%以上。50%はアフリカの後発発展途上国など)。タイの人口7000万人のうち、3500万人が都市に住み、残る3500万人が農村(つまり都市以外)に住むということなのです。これに対し、タイのプライメイトシティであるバンコクは人口800万人。総人口の10%が集まる一極集中です。ただ、都市人口が3500万人ということは、2500万人はバンコク以外の都市に住んでいるということですね。もちろん2500万人という値は大きなものとは思いません。タイの場合、「都市人口割合が低い」ということと「プライメイトシティが形成されている」ということが、「バンコク以外に大都市が存在しない」という点において両立しているのです。数字で考えれば、何の矛盾もないでしょう?言葉やそのイメージだけで決めつけるのではなく、数字で考えることが地理には必要なのです。
>タイはなぜコメが盛んなのに土地生産性はあんまりなんですか?コメの輸出があんまりなのも教えてください
コメは盛んですよ(笑)。コメが盛んだから土地生産性が低いのです。数字で考えましょう。土地生産性は、1ヘクタール当たりの収量の高低が目安となります。つまり「収量」÷「水田面積」なのです。タイは、大河川の沖積平野に低平な国土が広がり、水田に適した地形に恵まれています。つまり水田が大変広いわけですよね。土地生産性は、水田面積に反比例するのですから、当然、この値は下がります。どうですか?水田耕作が盛んだからこそ、土地生産性が低くなるのです。反対に、日本のような山がちな国土ならば水田に恵まれず、土地生産性を上げないと、十分な収量が保たれませんね。
さらに「コメの輸出があんまり」とのことですが、たしかにかつては世界最大の輸出国だったのが、現在はインドに抜かれて2位に落ちてしまいましたので、それをさして「あんまり」と言っているのでしょうか。ちょっと意味をわかりかねますが、そのつもりで回答しますね。
たしかに、最新の統計では、コメの輸出はインドが1位、タイが2位ですが、これだけをもって、「インドの方がタイよりコメの輸出がさかん」と言っていいのでしょうか。ここもやはり数字の感覺が大切になります。
輸出余力すなわち輸出する余裕について、インドとタイのどちらが上なのでしょう。自給率を考えてみましょう。自給率は、「生産量÷国内消費量」です。例えば日本はコメをほとんど自給していますが、一部を輸入していますので、自給率は95%です。同じく日本は小麦については自給率が10%なのですが、国内消費にあたり10%分しか国内で生産できず、90%を海外からの輸入に依存しているのです。一方、アメリカは小麦の世界的な輸出国であるため、自給率は100%を超えています。
さて、ここでインドとタイの米をめぐる状況について考えましょう。具体的な数字は調べないとわからないので割愛しますが、十分想像できると思います。
13億人の人口を誇るインドは世界2位のコメの生産国であり、その量は莫大なもののはずです。一方、タイは人口7000万人に過ぎず、コメの生産順位も世界5位です(ただ、これだけをみても、人口のわりにコメの生産が多いといえますね)。
コメはそもそも生産に比して輸出量が少ない作物なのですが、インドがたとえ世界最大のコメの輸出国である!としても、生産に対する輸出量の割合ってものすごく低いものに過ぎないと思いませんか?生産が圧倒的なのですから、全体からみれば輸出量は小さい。
それに対し、タイはそもそもの生産量が多くないのに、輸出は堂々世界2位です。生産量に対する輸出量の割合はかなり高いと思っていいのでは。
つまり、自給率を考えた場合、インドは100を僅かに上回る程度であるのに対し、タイの場合は100%をはるかに超える値となるはずです。タイの方が「輸出がさかん」と言って、まず間違いないと思います。
>普段ロジック頼りで8割安定していたのですが、この間のプレで5割なって不安で。
模試は無視してください。地理は科目研究が他より進んでいないので、模試の精度が極めて低いのです。傾向および難易度は実際のセンターとはかけ離れています。
>ウクライナは1人当たりのGNIがあんまりなのに、なぜ医療が充実しているのか教えてください。
これがよくわからないのですよ。1人当たりGNIが低い国は医療は発達していないはずで、ウクライナもその例にもれません。ただ、この国がかつてのソ連の一部で社会主義だったことの影響はあるかもしれません。「医療費に占める公的資金の割合」は高いと思います。たしかに模試で病床数のデータが出て(こういうわけのわからないデータが登場する時点で、模試がポンコツだってことですよ・笑)、この値がウクライナが高かったようですが、社会主義時代に国家の方針として病院が多くつくられているのでしょうね。でも、それが医療水準の高さにはつながらないと思いますよ。ベッドだけ多くても、医療機器が十分でなければ、まともな治療はできませんからね。
とりあえず。医療に限らず、「旧社会主義国は、民間ではなく、政府による公的資金の割合が高い」と覚えておいたらいいのではないでしょうか。
>知らない地名が出てきたらどうすればいいですか。過去問を問いていて4つ中3つ知らない地名があって焦りました。
いいではありませんか(笑)4つ中3つ知らない地名があれば、残った一つが答えですよ。センター試験にそもそもそんな難しい地名は出ませんし、そうしたものが登場した場合は、「外れ選択肢」の可能性が非常に高いです。出題者としては、絶対に選択肢を4つ用意しないといけないわけですよね。どうしたって、苦し紛れの選択肢はありますよ。特殊な地名や都市名をそうした選択肢で用いるケースはかなり多いと思いますよ。「知らないものは知らない」という考え方でいいではありませんか。知らない言葉(地名や都市名)が出てきたらラッキーに思ってください。それは答えにはなりませんから。正文判定問題(適当なものを選べ)ならば「誤文」であり、誤文判定問題(適当でないものを選べ)ならば「正文」になります。解答に選んではいけません。
>ヨーロッパの河川が覚えられません。それぞれどんな特徴があるのでしょうか。
3本の国際河川だけ覚えておいてください。「沿岸国の自由航行が認められている河川」のことです。「国際」とかいて「ふね」と読んでください。
ライン川は「工業」の河川であり、河口は「デルタ」となっています。中下流には炭田があり、ルール工業地帯が形成されました。河口のデルタを掘り込んで、ロッテルダムにユーロポートが建設されました。
エルベ川も「工業」ですが、こちらは河口が「エスチュアリー」です。中世の自治都市として発展したハンブルクが位置し、造船業など発達しています。
ドナウ川は「農業」の河川であり、河口は「デルタ」です。ハンガリー盆地には肥沃なレスが広がり、小麦とトウモロコシの栽培が行われています。余裕があれば、地図帳でドナウ川を確認し、「音楽の都・ウィーン」、「双子都市・ブダベスト(ブダとペストが合体)」、「旧ユーゴスラビアの首都・ベオグラード」を通過していることを確認しておきましょう。
というわけで、とりとめもなく書き連ねてしまいましたが、いかがだったでしょう。細かいところやわけのわからないところは無視してください。センターに特殊な知識は出題されませんから、あとはリラックスして楽しんでくれたらいいと思いますよ(^^)

2018.01.04

冬期講習のコメントに対する回答です(^^) その1

 

冬期講習のコメントに対する回答・その1

 

スタディサプリ冬期講習(12月16日17日)にいただいたコメントについて回答しています。できるだけ全てのコメントに回答したいのですが、さすがにそれは無理だった(涙)でもできるだけ返事してみましたんで、良かったら読んでみてくださいね。とりあえず前編って感じです。後編は数日中に!

 

>インドネシアはキリストなのにどうしてバリ島だけヒンドゥー教なんですか。ずっと気になってました。

 

そもそも東南アジアはヒンドゥー教地域なんですよ。アラブ人の交易によって、新しい宗教であるイスラム教が広められたのですが、バリ島には港がなく(砂浜のビーチが広がる島です)、アラブ商人たちはこの島をスルーしました。これによりイスラム教が伝えられず、ヒンドゥー教が残されたのです。

 

 

>問題を反復して解き、間違いノートをつくるか、どんどん問題をこなしていくかどっちがいいと思いますか。

 

直前の時期ですから、問題をこなすことが最優先です。というか、一回解いた問題について再度目を通し、出題内容を覚えることを目標にしてください。同じことが何回も出ているんですから、覚えないと損ですよ。

 

 

>一夫多妻ってどうなの?って思ってけど、すごい優しい制度だったのか

 

そうなんですよ。本来は女性保護の観点によるのです。それまでの「一夫無限妻」制度を改めつつも、共同体によって戦争未亡人を救済しようというのが根本の考えなのです。ただし、今ではそれは悪用されてしまっていますね。一部の富裕層が、複数の「愛人」を持つための口実に使っています。どんな教義であっても、それを解釈する人次第というわけです。

 

 

>インドは女性が差別されているイメージがありました、、、

 

そうです、まさにその通りです。残念ですが、女性に関して負のデータ(識字率や就学率が低い。社会進出が進まない)などあれば、それはインド(南アジア)です。

 

 

>差を是正するのがイスラムか

 

そうなんですよ。イスラムは商人の宗教なので、身分差別があると困るのです。貧富の差があり、格差が固定されると消費は進まず、経済は停滞します。自由な経済活動によって、経済を活性化させるのがイスラムの考え方なんですよ。

 

 

>豚は飼育することが大変ってことか!

 

これ、本当にそうなんですよ。家畜飼育ってめちゃめちゃコスパが悪いんです。1キログラムの肉を得るために、どれぐらいの穀物が必要かってことなんですよ。それなら穀物を直接食した方が高いカロリーが得られるわけです。

 

 

>カシミールはごちゃごちゃ

 

そうなんです。王様がヒンドゥー教徒で住民がイスラム教徒。身分差別が会った方がいい人と、平等を望む人の違いなわけですね。これでは相容れませんよ。

 

>外海河川は乾燥?

>湿潤地域から乾燥地域に流れるのが外来のはず

 

その通りです。外来河川の本来の意味は。「異なる気候環境の地域を流域に含む河川」であり、この場合の気候環境とは湿潤と乾燥のことです。乾燥とはそもそも「降水量<蒸発量」ですので、乾燥地域では水は余りません。言葉の定義からすれば、「乾燥地域に水源を発し、湿潤地域に流れ込む河川」も「湿潤地域に水源を発し、乾燥地域に流れ込む河川」も外来河川なのですが。前者は理論的にはありえないことがわかりますよね。外海河川の実施的な定義としては、後者の「湿潤→乾燥」で構わないのです。

黄河、インダス川、ナイル川、ニジェール川、コロラド川(←超重要)、マリー川などです。

 

コロラド川はアメリカ合衆国の西部を流れる河川です。グランドキャニオンを刻み、多目的ダムの開発も進みます。流域では綿花や野菜の栽培が行われ、遠方のロサンゼルスに生活用水・工業用水を供給します。

 

 

>白地図学習しているんですがどう思いますか

 

とてもいいと思いますよ(^^) もっとお、私はそういった学習法はしたことがないので、自分で工夫してみてくださいね。

 

 

>Aを受ける注意は

 

地理Aは知識中心で、地理Bが「なぞなぞ」ならば、こちらは「クイズ」ですね。民族宗教、都市名、国際機構・条約が多く出題され、一問一答で解答していく感じです。地理Bで60分以上かかる人でも、地理Aは30分で終わると思います。ただ、知らないと解けない問題ばかりなので、対策は難しいですね。実際、平均点も際立って低いです(おそらく、他のA・B区分がある科目の中でも、地理が最もAとBの格差が大きいはずです)。

知識に偏ったジャンル以外では、図法や時差計算、交通、観光(旅行)の話題が多く出題されています。

 

 

>都市と村落なにをすればいいですか

 

この時期にできることは限られていますね。「都市と村落」は最近毎年のように大問として取り上げられている頻出ジャンルなので要注意なのですが、逆にいえば過去問の数が多く対策しやすいともいえます。とりあえず過去問に出てきた内容は必ず確認しておいてください。さらに地形図や写真、都市の街路図などがよく登場しますので、機会あれば教科書の図や写真をみておいてください。見慣れておくだけで、かなり効果的と思いますよ。

 

 

>先生の解説見ています。説明がわかりやすいです。過去問の解説はよくわからないです。

 

なんや。ディスられてるのかと思った(笑)あ、赤本など市販の過去問集の解説がわかりにくいってことですよね。たつじんオリジナル解説を有効に使っていただけると幸いです。

 

 

>模試は思うように点取れないけど自信でてきた笑

 

模試なんか時間を使う練習ですよ(笑)誰がつくってるか知らんけど、本当にレベルが低い。それに対し、センターの問題は奥が深くて素晴らしい問題ばかりです。上質の映画や小説を楽しむように、センター問題をじっくり味わってください。

 

 

>学校のセンターパックの地理はどれぐらい重視すればいいですか。

 

「やらない」のがベストですが、学校でやらされるのかな。時間を使う練習として、ゆっくり解いてみてください。時間が足りなかったら最高!

 

 

>サプリの模試は達人模試?

 

これが違うんですよ、すいません。でも、しっかり時間を使って解いてみて下さいね。

 

 

>効率の良い復習の仕方教えてください

 

「問題を覚える」ことを意識してください。それからこれはよく言うことですが、「人に教える」ことは最も優れた勉強法です。家族に問題を解かせて、わからなかったら、あなたが先生になったつもりで教えてみたらどうでしょう。ドヤ顔で(笑)

 

 

>センターで8割とれますが9割とれません

 

センター地理はとてもむずかしい試験ですし、とくに上位者は点数が伸びません。これは、私が直接受け持っている生徒には最初に言っておくことです。覚悟をもって勉強してください、と。それが嫌なら他の科目に行った方がいいです。

地歴は平均点を合わせないといけないので、世界史や日本史と地理は問題のセレクトが極めてシビアです。しかし、私大文系が多く受ける日本史や、一応必修となっているため底辺校からの受験生も多い世界史に比べ、地理は国立理系がメインでもちろん医学部もいて多浪もかなり多くなっています。明らかに受験生のレベルは高いのです。しかし、それでも平均点が世界史や日本史と同じっておかしくないですか?そう、地理は「難しい」んです(もちろん、覚える量が圧倒的に少ないという有利点はありますし、さらに思考力が問われるので地頭(じあたま)が良い人にとっては勉強しやすい科目であります)。

さらに地理は得点偏差の狭い科目であります。ゼロ点がいないかわりに満点もいない。誰でも解ける問題が多い反面、解答不能なほど難しい問題も数問含まれています。平均点を合わせるためにはこれは仕方ないことですし、最近難化が著しい公民に比べれば遥かにマシでああるのですが。

つまり「20点」の受験生が「30点」に点数を上げるのは簡単なんですが、「80点」を「90点」に上げるのは極めて難しいのです。この辺りはセンター地理という試験の宿命ですので、受け入れないといけません。

本気で90点を取ろうとするならば、執念深く勉強を続けて、分析を深めていかないといけません。正直かなり厳しいです。しかし、それだけに達成した時の喜びはたいへん大きいはずです。期待しています。ベストを尽くしてください!

 

 

>達人の9割とれる本をかって寝る前に30分ぐらい読んでるのですが、また7割に達したことがありません。過去問の演習不足でしょうか。

 

本当にすいません。。。私の力が足りず。そうですね。過去問演習を徹底してください(^^)

 

 

>今日日韓戦

>あきらかにコメント数が少ない

 

テレビばっかり見てるなぁ。大丈夫か!? テレビとか見ない方がいいと思うよ。

 

 

>学校でもこんな授業受けたかった。一問一答やり続けるだけでまったく頭に入らんかった

 

いやいや。私も学校で授業していますが、生徒たちはほとんど聞いてませんよ(笑)おしゃべり、居眠り、内職のオンパレードです。学校の先生こそ本当は素晴らしい授業をしているのですから、その内容を最後に思い出し、担任の先生や科目の先生たちに感謝する気持ちをもって、試験に取り組んでください。

 

>今年の地誌はどこが出ると思いますか。

 

08・インド、09・カナダ、10・ヨーロッパ、11・アフリカ、12・北アメリカ、13・地中海沿岸、14・西アジア、15・南アメリカ、16・ヨーロッパ、17・中国。この10年の傾向は、「アジア・アフリカ」→「新大陸」→「ヨーロッパ周辺」のローテーションで、18年は「新大陸」の出番。オーストラリア(オセアニア・太平洋)はセンター地理B本試験では出題されたことがないので(追試や地理Aでは多い)、本命は「アメリカ合衆国」となります。同じ地名は連続して出題される傾向があるので、今回でいえばデトロイトとロサンゼルスですね。五大湖周辺の衰退(ピッツバークは再開発が進むが、人口は減少している、など)、大都市における都市構造と住み分け(ロサンゼルス都心部は黒人やヒスパニックが多いが、混住しているわけではなく、住み分けがなされている。「人種のるつぼ」ではなく「民族のサラダボウル」である、など)。

 

ちなみに、比較地誌は、16年が本試インド・南アフリカ、追試イラン・トルコ、17年が本試ドイツ・ポーランド、追試フィリピン・ニュージーランド。南北アメリカは外れています。

 

また、2017年は地理B本試がインドであることはすでに述べましたが、追試はロシア(こんなマイナーな地域は地理Bでは出ない)、地理A本誌で南アメリカ!そして追試がアフリカ。北アメリカは出題されていません。

 

一応、2001年以来15年以上登場していない東南アジアも候補にはなりますが、やはりド本命がアメリカ合衆国

 

 

>サウジアラビアは女性の地位が低いから車の免許をもってる人が少ないと習いました

 

そうなんですよ、これもむちゃむちゃな話しで免許保持が原則として禁じられています。ただ、そもそもイスラム教は身分差別を禁じているのに(コーランのもとに完全平等)王様が君臨していたり、偶像崇拝が禁じられているのに、よくアラブの王様の肖像画って見ませんか?あれ、本来は全部ダメですよ。

 

ただ、短絡的に「女性の地位が低い」とはしないでください。やはり、1人当たりGNIはそれなりに高い(韓国と同じぐらい)ので、就学率や識字率は高いのです。インドなどとは異なって、女性の教育を受ける権利は保障されています。

 

しかし、せっかく学問を積んでも、それが社会で生かされる機会は少ないのです。女性は家族以外には顔を見せることはできませんし、1人で(女性のみで)外出することもできません。私は、これは本来のイスラムの考え方とは違っていると思います。イスラム以前の西アジアの古代伝統社会の考え方です。イスラムという先進的な考え方をもってしても、西アジアの伝統的な女性蔑視社会は改まらないということです。

 

>海峡の名前でとくに覚えておいた方がいいものってありますか             

 

次に挙げておきます。名前は全く重要ではありませんので無視してください(地図で調べやすいように、一応、記してあるだけです)

 

(重要度高;単独でも出題されている)

マラッカ海峡。マレー半島とスマトラ島の間でシンガポールが面する。日本向けのタンカーの通り道だが水深が浅く、座礁の事故も。

ボスポラス海峡。黒海と地中海を結ぶ海峡の一つ。イスタンブールが面する。イスタンブールは人口1000万人に達し(しかし首都ではない)、かつてキリスト教やイスラム教の大国家の都でもあった。東西文化の十字路。

 

(重要度中;他の選択肢と組み合わせて出題されている)

ホルムズ海峡。ペルシャ湾の出口。石油戦略上、最も重要。

ジブラルタル海峡。地中海と大西洋を結ぶ。ジブラルタルはイギリス領であり、軍港が置かれる。

 

(重要度小;出題歴はないが、知っておくといい)

ベーリング海峡;ユーラシアと北アメリカの間。氷河期には陸化しており、モンゴロイドが移動した。

ロンボク海峡;ジャワ島の東に隣接するバリ島と、さらにその東のロンボク島の間の海峡。水深が深く、氷河期も陸化しなかった。アジア区とオーストラリア区の動植物の分布境界。

 

 

>地下水路の呼び方ってなんで地域ごとに違うんですか

 

なんででしょうね、よくわかりません(笑)っていうあ、カンなんとかっていうのもありましたね。どうでもいいでしょう。

 

 

>モロッコは白人多くはないですか?

 

なるほど、そう考えるのは無理もないことです。モロッコはアラブ人が多数を占める国で、アラビア語が公用語です。ヨーロッパ系とは違いますね。

ただ、解釈が難しいのですが、アラブ人(アラビア語)はセム・ハム(アフロ・アジア)系の民族(言語)で、人種区分としてはコーカソイドすなわち白人なのです。

こう考えてください。白人=コーカソイドには2つの系統があり、一つがインド・ヨーロッパ系、一つがセム・ハム系。アラブ人は広い意味では「白人」といえるのですが、実際には褐色の肌をもち、「ヨーロッパ系の白人」というわけではないのです。文化的には完全にヨーロッパと切り離されていると考えていいと思いますよ。

 

 

>インドってなんでデリーが首都なんですか?

 

なんででしょうね、私もよく知りません。言われてみれば植民地経営の中心地だったムンバイが首都でもいいような。デリーの中心部は、イギリスによって造り替えられているんですよ。整然な街路区画や近代的な建築物が配置された、この政治地区を「ニューデリー」といいます。沿岸部が首都である(もしくは独立時には首都だった)パターンは多いですが、内陸部のデリーは特殊な例かもしれません。

 

 

>倫政にすればよかったわー

 

まぁまぁそう言わないで(苦笑)。僕も別に地理が好きなわけじゃないですが、暗記ではなく、思考によって答えが導かれるところは気にいっています。残り少ない日々、がんばってくださいね。

 

 

>白地図しているんですがどう思いますか。

 

ストレスなく楽しく勉強できていればそればベストに思いますよ(^^) 私は白地図を使った勉強はしたことはないのですが、絵を描いたりするのは好きなので、楽しいかなとは思います。

 

 

>あー本試験と追試験両方やってしまいまいした。

 

もちろん、それは素晴らしいことですよ。そこまでできる受験生はなかなかいないんで、自信をもっていいと思います。

私は、高校で直接受け持っている子らには、本試験、追試験さらには地理A本試験追試験も解かせています。勉強した経験は自信につながります!

 

 

>アフリカで金といわれたら南アフリカだと思っていいですか。

 

いいと思います。「金=南アフリカ、ダイヤモンド=コンゴ民主」が大原則です。アフリカで他に金が獲れる国にはガーナがあるのですが、いずれもイギリス領ですね。イギリスが世界の金の流通を握り、勢力を伸ばしていった様子がわかります。

ただ、注意して欲しいのですが。南アフリカの輸出品目に金は出て来ないのですよ。白金や機械類などが中心です。これ、政府が金の輸出量を発表していないので、統計に現われて来ないんですよね。ややこしいですね。ちなみに、ガーナの最大の輸出品目は金です。

 

 

>正直、EUの加盟国って覚えるべきですか。

 

いえ、いらないでしょう。私もよく知りません(笑)

最低限、次の3つです。

・イギリスは跡から入った。たから共通通貨ユーロも使っていないし、脱退もすでに決まっている。

・ノルウェーやスイスといった、極めて1人当たりGNIの高い国は加盟していない。

・かつて社会主義地域だった東ヨーロッパ諸国や旧ソ連の国も加盟している。1人当たりGNIが低く、低賃金労働力が得られることが最大のメリット。

要するに、EUっていうのは、ドイツの自動車メーカーの社長さんが、安く自動車をつくるために結成されたっていうことです。

 

>サハラ砂漠は回帰線砂漠ですか

 

そう考えていいと思います。ただ、今回はシンプルに考えて欲しいのでそれで構いませんが、「回帰線だから乾燥する」わけではないことも知っておいてくださいね。「たまたま、現在の地球は回帰線付近で少雨気候となりやすい」だけなのです。回帰線は、夏至の日の正午の太陽高度が90°となる緯線(地球の場合、北緯23.4°、南緯23.4°)のことで、全ての惑星(恒星の周りをまわってる星ですね)には、これが存在します。それに対し、サハラ砂漠が少雨となる理由は「亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯)」の影響が大きいからで、それがたまたま回帰線付近に形成されているからですよね。地球の傾きが違ったり、空気の質量や地球の重力が違えば、回帰線と中緯度高圧帯の緯度帯は一致しないはずですからね。というか、そもそも空気と水がある星は地球だけなのですから、亜熱帯高圧帯も地球にしかありません。短絡的「回帰線=乾燥」と覚えるのはなく、こうした理論的な思考にまで踏み込んで、考察を重ねてください。今後の勉強に役立つはずですよ(^^)

 

 

>学校がカトリックで来週ミサがあります。休んでいいですよね?笑

 

もちろん休んでください。っていうか、休みましたか?(笑)

 

>クリスマスぐらい行け

 

いえ、受験生は勉強しましょう(^^)

 

>勉強せい!

 

その通りです笑

 

ちなみに、イスラム教のラマダーン(昼間は飲食不可ってやつね)って、実は全然厳密ではなく、旅行中、戦争中、病気中(妊娠、生理含む)は強制されないんですよ。だから日本という外国で、サッカーという戦いをしているハリル監督はラマダーンをしなくても全然いいんです。宗教的な儀礼などあくまで形式的なものなのですから、自分の都合を優先させましょう。もちろん君たちにとっては受験ですよ!

 

>私の学校プロテスタントなのにクリスマス普通に補修(笑)

 

素晴らしいです(笑)その人にとって最大の利益を考えることが本当の信仰です。

 

>うちもプロテスタントだけど休みだわ

 

おっと、自主的に勉強しましょう!

 

>プロテスタントのが自由だからな。

 

歴史的な経緯を考えると、放埒にすぎた(金儲け主義、権力主義みたいな)カトリックに対し、「厳格」に聖書主義を打ち出したのがプロテスタントなのですが、たしかにカトリックの方がいろいろやかましいイメージがありますよね。宗教については、理論的な考察を加えると非常におもしろいので、みなさん、大学に入ったらいろいろ勉強してみてくださいね(^^)

 

 

 

 

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