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2020.06.01
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コメント
では添削いたします(^^)
>東大 1996 第1問
>設問A アーインド イー韓国 ウー日本 エーカナダ
問題ありませんね。完璧です。
>設問B ポーランドでは二酸化炭素を多く出す石炭による火力発電が、ノルウェーでは水力発電が、主なエネルギー供給源であるから。(57/60)
正解です。これで完璧な解答に思います。「エネルギー供給」という言い方もスマートでいいですね。エネルギー消費と同じ意味なのですが(本問の問題文や表においては「消費」という言葉が用いられていますね)、個人的には「供給」」という言い方は好きです。もちろん合格点です。
せっかくですので、ワンランク上の解答を目指すためのアドバイスを。
「エネルギー」と「発電」という言葉を明確に分けてみましょう。地理で「エネルギー」という場合には「一次エネルギー」のことを指すのが普通で、「石炭」「石油(原油)」「天然ガス」を考えれば大丈夫です。石油は原油の加工品ですから、本来は「二次」なのではないかとも思うのですが、その辺りの区別はされないようです。ただ、石炭の加工品であるコークスや、液化天然ガスはやはり二次エネルギーに分類されるようです。定義がいい加減ですよね(笑)
統計要覧などをみると、「一次エネルギー供給」については(データブック オブ・ザ・ワールドの82ページなど)、石炭、石油、天然ガスの他に「電力」ともありますが、これは実際には「その他」と考えるべきです(石炭や石油、天然ガスも発電用に用いられるものがありますからね)。「風」「太陽光」「バイオマス」など、それ以外のエネルギー源です。電力そのものは二次エネルギーになります。
この「エネルギー」については、例えば鉄鋼生産における燃焼用の石炭や自動車のガソリンも含まれています。我々の生活を支えるエネルギーといして、電力は決して全てではなく、工業用やエンジンを動かすための燃料も大切ですよね。「エネルギー=電力」ではないことを意識してください。
そうなるとかいさんの解答の書き方もちょっと変わってくるはずですよ。
「ポーランド=石炭、ノルウェー=水力」は間違っていませんが、ポーランドの石炭には工業用(鉄鋼業など)のものも含まれ、決して発電だけに利用されるわけではありません。ノルウェーでは発電には水力が利用されていますが、暖房などには化石燃料も使われているでしょうし、もちろん自動車も普及しています。エネルギーのほとんどが水力に依存という言い方は誤解を招きそうです。
これらを踏まえて、「要点をぼかして」ごまかしながら書いてみましょう。
ポーランドではエネルギー供給の多くを石炭に依存している。ノルウェーでは水力発電が盛ん。(43字)
ポーランドの説明では発電に言及していません。逆にノルウェーの説明では全体のエネルギーの話は抜きにして発電だけを話題にしています。
字数に余裕があるのでもうちょっと余計な話も詰め込んでみます。
ポーランドでは燃料効率が悪く二酸化炭素排出の多い石炭にエネルギー供給の多くを石炭に依存。ノルウェーは水力発電が盛ん。(58字)
こんな感じでしょうか。石炭は、不純物として硫黄などが含まれているため、燃焼に時間がかかります。長時間燃やさないといけないので、その分だけ余分に二酸化炭素が排出されるのですね。
>設問C 先進国が重化学工業の発展に伴うエネルギー供給源として二酸化炭素を多く出す化石燃料を多く使用してきたために二酸化炭素濃度が上昇してきた。今後は人口増加し、その絶対数も多い開発途上国で同様に工業化したり、森林伐採が進むことで急激に上昇する。(118/120)
これもいいですね。120字という長い文字数制限でありながら、それを十分に生かして記述されています。言うことはありません。長文を書くスキルが十分に備わっていますね。
では少しだけ補足事項を。
「現在まで上昇してきた理由」と「今後急激に上昇が予測されている理由」の2つを答えることが求められています。それぞれ60字としてみましょうか。
まず「現在まで」。これは18世紀後半から2000年ぐらいまでです。18世紀後半といえばもちろん「産業革命」ですね。これにより石炭の消費量が増え、二酸化炭素が多く排出された様子を記述するべきです。さらに20世紀の後半に伸び率がやや高まっています。これにも注目してみてください。
現在まで。産業革命による工業化で石炭消費が拡大し、さらに20世紀後半の重工業化で主に先進国で二酸化炭素排出量が増加。(58字)
今後。人口増加率の高い発展途上国で工業化や生活水準の向上によりエネルギー消費量が急増。森林の減少による影響も。(55字)
かなり詰め込んでみましたが、いかがでしょうか。120字と思うと雑な文章となってしまい、内容が薄れてしまうことがあります。60字の文章を二つ書くのだと考え、それぞれ「濃い」内容を目指してください。
文字数に余裕があれば森林の話題をもう少し詳しく書きたかったのですが、ここは改善の余地ありでしたね。。。
>設問D 両国では国土の大部分が海抜の低い土地である島国で、温暖化に伴う海水面の上昇でそれらが沈没する恐れがあるから。(54/60)
悪くありませんが、おそらく本問は「サンゴ礁」というキーワードが必要だったと思いますよ。
隆起サンゴ礁による平坦で標高の低い国土を有する。地球温暖化で海水が膨張するなどして海面が上昇すると水没の危機が生じる。(59字)
単なる「サンゴ礁」ではなく「隆起サンゴ礁」としてみました。単にサンゴ礁でいいとは思いますが。
「標高の低い」の時点で「平坦」であるのは当たり前ですが、何となくこの言葉を加えてみました。
地球温暖化については厳密には理由がわかっていません。一般的には二酸化炭素濃度の上昇と言われていますが、それならなぜ二酸化炭素濃度が上昇したのか?これも地理という科目の範囲では設問Cにあったように工業化による石炭消費の増大とされているものの、それが直接的に結びつくものなのかどうか。意外に難しいテーマなのです。
一方で、地球温暖化によって海水面が上昇するシステムは明確です。大陸氷床の融解も重要ですが、最大の要因は海水の膨張ですね。ここではこのことを強調してみました。そのためかなり文字数が厳しくなってしまっているのですが、許容範囲でしょうか。
以上になります。今回もとてもよく書けていました。とくに120字をスムーズに書き切る文章能力の高さには感心しています。次回も期待しています。
- 2020.06.12 14:20
- たつじん
東大 1996 第1問
設問A アーインド イー韓国 ウー日本 エーカナダ
設問B ポーランドでは二酸化炭素を多く出す石炭による火力発電が、ノルウェーでは水力発電が、主なエネルギー供給源であるから。(57/60)
設問C 先進国が重化学工業の発展に伴うエネルギー供給源として二酸化炭素を多く出す化石燃料を多く使用してきたために二酸化炭素濃度が上昇してきた。今後は人口増加し、その絶対数も多い開発途上国で同様に工業化したり、森林伐採が進むことで急激に上昇する。(118/120)
設問D 両国では国土の大部分が海抜の低い土地である島国で、温暖化に伴う海水面の上昇でそれらが沈没する恐れがあるから。(54/60)
今週もよろしくお願いします!
- 2020.06.08 12:07
- かい
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