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2020.06.01
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コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性がありますので、ツイッター(@ts914)にDMをいただけますでしょうか。早々に対応いたします。
コメント
では添削いたします。
>2016年度第3問(日本の都市、環境と災害より)
>設問A
>(2)合流による河川の増水の防止と河川水を速やかにながすため。
いいですね。うまく書かれていると思います。合格点です。
(3)1975年頃まで工業化が進んだため、地下水の過剰揚水が行われいた。その後安定しているのは、地盤沈下が公害とみなされて、揚水が規制されたため。
いいですね。これも適切です。
いくつかポイントを加えましょう。
まず「1975年」とわざわざ示されている点が重要です。これ、高度経済成長が終わった時期と重なりますよね。公害やオイルショックによって高度経済成長は頓挫しました。ですので、「高度経済成長」という言葉は入れた方がいいと思いますよ。
高度経済成長期に重工業化が進み、地下水が過剰に汲み上げられ地盤沈下が生じた。これを防ぐため地下水の利用が規制された。(58字)
このような形でしょうか。「過剰揚水」という言葉は便利ですが、なかなか難しい言葉だと思いますので。ここでは「汲み上げ」や「利用」という平坦な言葉に変えています。また「地盤沈下が公害とみなされ」とありますが、公害に認定されるまでもなく、地番沈下が建造物や都市施設に与える影響は大きいのですから、ここはシンプルに「地盤沈下を防ぐ」という言い方で十分に思います。ある程度、常識的に意味が伝わると思われる部分はどんどんシェイプアップした方がいいでしょう。
>(4)1つは、大雨による河川の氾濫が考えられ、堤防の高さを上げることで対策できる。2つ目は、地震による地盤の液状化で、対策として地面をアスファルトで固めることが考えられる。
いいですね。ただ、地盤の液状化が弱いですね。液状化は土地が水分を含んでいると発生します。振動によって分子同士がぶつかり、地表面に押し上げられるのです。液状化の最も有効な対策は土地の水分を抜くことにあるのです。
豪雨による洪水。土地の嵩上げ、堤防の建設。地震にともなう地盤の液状化。土地の水分を抜くなど土木工事による地盤の改良。(58字)
箇条書きスタイルにしてしまいましたが、できれば文章にした方が良かったかも知れませんね。洪水対策としては、土砂などにより土地の嵩(かさ)上げをして、建物を高所につくることも対策になります。
>設問B
>(1)A市は市街地が市域になっていた。また、尾根を境界に町村を囲うことで自治単位が明瞭に分かれていた。
いいですね。適切な解答です。十分に合格点でしょう。
もうちょっと突っ込んで考えてみましょうか。
「A市」および「山間部の村」ですよね。平野部の村は含まれません。
さらに「考え方」ですよね。一言だけでもこれに関することを書き加える必要があります。
A市では商工業の集積する市街地が市域とほぼ一致していた。
まずはこんな感じでしょうか。「商工業」が集積し、一つの街としての機能が明確だったからこそ、独立した自治体となっていたのでしょう。
山間部の村は尾根が境界となっていた。
これは絶対的なことです。では尾根を境界にする理由は何でしょう?
例えば一つには水の利用があると思います。尾根の反対語は谷ですね。尾根が境界ならば、村の中心地は谷沿いということになります。水が利用しやすい状況にあったのでしょう。
さらにいえば交通の便を考えてもいいでしょう。高い山地を挟んでの交流は厳しいものがあります。尾根の両側が同じ自治体では不都合も生じるでしょう。
これを踏まえて以下のように書いてみました。
山間部の村は河川の利用や交通の便を考え、尾根線が境界となっていた。
2つの文をミックスしてみましょう。
A市では商工業の集積する市街地が市域とほぼ一致。山間部の村は河川の利用や交通の便を考え、尾根線が境界となる。(54字)
字数制限があるため説明がやや足りない部分もありますが、許容範囲でしょう。出題意図として「考え方」を示す必要があったと思いますよ。
>(2)市町村の合併を経たことで、山間部で生活していた人々が利便性の観点などから市街地に流入してきたから。
>(この問題を見たときに僕は、「人口集中地区の面積は増えたのに人口はあまり増えてないのは、人口の移動のセオリーで説明できる。従って、山から生活に便利な平野部に出てきたからだ」と考えたのですが、解説を読むと指針が大幅にずれていると感じました。この問題の指針はどういう根拠から説明しているのか全く分かりません。そこから教えていただきたいです。)
なるほど、これは問題の意味を読み違えていますね。A市(2010年)全体を考えれば、まさにのいさんの言うとおりです。大正解です。すばらいい考え方と思いますよ。
ただ、問題の読み取り方にミスがあったように思います。話題となっているのは「人口集中地区」だけなのです。
1965年の人口集中地区をみてください。これ、狭いですよね。例えば1平方キロとしてみましょうか。
これが2010年には3倍ほどに拡大しています。3平方キロです。
人口集中地区の人口密度は4000以上ですから、人口集中地区(1965)の人口が例えば4000人であるのに対し、人口集中地区(2010年)の人口は12000人になっていれば、これはスムーズなことです。
でも実際にはそうなっていないのです。3倍ではなく、わずか30%の増加。例えば、人口集中地区(1965)人口が10000人としましょう。人口集中地区(2010年)は13000人です。
つまり、人口集中地区(1965)の人口密度は4000人どころではなく、きわめて高かったということなのです。それが2010年には薄まってしまった。一応、人口密度4000はキープしているけれど、かつてほどの神津ではない。
ここで想像してください。以前は狭い旧市街地に面積の狭い家屋が軒を連ねていたのではないでしょうか。長屋のようなものだったのかも知れません。
それが現在は一軒あたりの敷地面積も増加し、比較的余裕がある土地利用となっている。庭付きの家が並ぶニュータウンなのかもしれません。もちろん、最低でも人口密度は4000ないといけないのですから、過疎というわけではありません。「緩やかな過密」とでも言うべきものでしょうか。
以前は狭い市街地に多くの家屋が密集していた。現在は住宅地の開発によって周辺地域に広い一戸建てが多く設けられた。(55字)
こういった形でしょうか。さすがにこの問題は特殊だと思いますし、「悪問」の部類かも知れません。気にしなくて構わないでしょう。
>(3)行政上の問題は、総人口に対する山間部の人口の比率が低いため、山間部の住民の主張が反映されにくくなること。生活上では、平野部と山間部で1人あたりの交通費において格差が生じてしまうこと。
具体的に書かれていてとてもいいと思いますよ。
・行政・・・かつての町村役場が廃止され、各種の行政サービスを受けにくくなっている。
・生活・・・インフラの整備が遅れ、買い物や通勤、通院など不便である。
こういった内容が基本だったでしょうか。
全体としてよく書けています。良問が多い東大入試ですが、一部には解答に頭を悩ませるものもあります。ただ、論述問題はそもそも満点を取るべき試験でもありませんよね。自分の理解できる範囲で、しっかりと文章を作っていきましょう。
- 2020.07.04 19:44
- たつじん
2016年度第3問(日本の都市、環境と災害より)
設問A
(2)合流による河川の増水の防止と河川水を速やかにながすため。
(3)1975年頃まで工業化が進んだため、地下水の過剰揚水が行われいた。その後安定しているのは、地盤沈下が公害とみなされて、揚水が規制されたため。
(4)1つは、大雨による河川の氾濫が考えられ、堤防の高さを上げることで対策できる。2つ目は、地震による地盤の液状化で、対策として地面をアスファルトで固めることが考えられる。
設問B
(1)A市は市街地が市域になっていた。また、尾根を境界に町村を囲うことで自治単位が明瞭に分かれていた。
(2)市町村の合併を経たことで、山間部で生活していた人々が利便性の観点などから市街地に流入してきたから。
(この問題を見たときに僕は、「人口集中地区の面積は増えたのに人口はあまり増えてないのは、人口の移動のセオリーで説明できる。従って、山から生活に便利な平野部に出てきたからだ」と考えたのですが、解説を読むと指針が大幅にずれていると感じました。この問題の指針はどういう根拠から説明しているのか全く分かりません。そこから教えていただきたいです。)
(3)行政上の問題は、総人口に対する山間部の人口の比率が低いため、山間部の住民の主張が反映されにくくなること。生活上では、平野部と山間部で1人あたりの交通費において格差が生じてしまうこと。
よろしくお願いします。
- 2020.07.01 00:38
- のい
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