ブログ
2020.06.17
投稿フォーム101
コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性がありますので、ツイッター(@ts914)にDMをいただけますでしょうか。早々に対応いたします。
コメント
では添削いたします(^^)
>東大2003年度 第3問 設問B
>(1)オイルショックにより低燃費の日本車の輸出台数が増加した。アメリカ合衆国との貿易摩擦の解消の必要性や円高による日本車の国際競争力の低下から、海外での現地生産を拡大し、輸出が減少した。(90字)
非常にうまいですね。感心しました。一つ一つのトピックが簡潔に示されていて、地理の論述問題の解答としては理想型だと思います。
まず「オイルショックにより」とスッキリ言い切っているのが適切です。ここで「オイルショックによる原油高でガソリン価格が高騰し、燃費のいい日本車の人気が高まり・・・」のように理屈をつなげたくなるのですが、論述問題は一般に字数制限がシビアで細かい説明が不可能な場合が多いです。「A→B→C」と順を追って因果関係を語るより、「A→C」と途中を省いて説明するのは、むしろ適切なことです。
さらに後半こそうまいですね。「貿易摩擦の解消」は必須キーワードです。これについて「アメリカ合衆国」と限定しているのも悪くありません。使用語句の中には「EU」も含まれていますが、当時はEUではなく、無理にここで挙げるべき言葉とも思いません。
そして「円高」ですが、これは地理では使用することがあまりない言葉です。ただ、本問の場合は使用語句の中に含まれていますから、もちろんこれを文章内に含めることは適切です。円高についても詳しく述べることは不要で、あっさりと流してしまえばいいキーワードです。その点でも、この解答中における使用法は適切に思います。
「現地生産」も同じく適切です。ただ、本問の使用語句は「海外生産」であるのが気になりますね。現地生産は「固有名詞」的な使い方をする言葉で意味が明確です。「外国においてその国での販売を目的に生産する」ことで、1980年代のアメリカ合衆国やヨーロッパでの日系工場における自動車生産の「枕詞」でもありますね。安価な労働力を目的とした発展途上国での生産とは意を異とします。(とはいえ、近年では中国での現地生産も拡大しています。中国の日系工場では中国市場向けの自動車生産が行われています)
これに対し「海外生産」は、単に「海外で生産する」ことでこちらは「一般名詞」的な用法になります。先進国だろうと発展途上国だろうと、海外でつくれば全て海外生産です。
使用語句の中で不適当な言葉は、「労働力」「ASEAN」「OPEC」でしょうか。前者2つは、衣類や電気機械工業には当てはまりそうですが(安価な労働力を目的として発展途上国へと工場が進出)自動車には不適です。OPECもオイルショックと結びつけることができるかも知れませんが、厳密にはオイルショックにつながる原油価格高騰を主導したのはOAPECですね。
非常に素晴らしい答案だったと思います。私もちょっと書いてみました。
オイルショック後、低燃費の日本車人気が高まり輸出が拡大。85年以降はアメリカ合衆国との間の貿易摩擦の解消、円高による国際競争力の低下などにより現地での海外生産が行われ、輸出が低迷。(90字)
年代を加えてみました。ただ、これは問題文の中ですでに断られていることであるので(85年を境にした変化について書くことがそもそも求められている)、とくに文章内に含める必要はなかったかもしれませんね。
できれば「市場」という言葉も使ってみたかったのですが、ちょっと無理でしたね。
>(2)円高の進行や国内の賃金の上昇を受けて安価な労働力・工業用地を求め輸出加工区を設けるASEANなどでの海外生産を拡大した。国内生産は減ったが日本企業の海外生産品の逆輸入が増えた。(84字)
これも素晴らしいですね。上で述べた、安価な労働力を目的とした発展途上国への工場進出について述べるわけです。今度は「労働力」や「ASEAN」が必須ワードになります。
円高や国内での賃金水準の上昇により国際競争力が低下。安価で豊富な労働力を求め、ASEANや中国など発展途上地域に生産拠点が進出。海外生産品を輸入し、輸入が増大。(80字)
できれば「輸出加工区」という言葉も使いたかったのですが、うまく行きませんでした。その代わり「中国」を含めています。「海外生産」については自由度が高い言葉ですので、ここでは「海外生産品」という使い方で十分な気がします。単なる「輸入」より「逆輸入」の方が良かった気もしますね。
とても素晴らしい解答でした。さらに問題のセレクトもいいですね。興味深い問題だったと思います。問題を選ぶことも勉強の一つですからね。次回も期待しています。
- 2020.06.30 13:33
- たつじん
東大2003年度 第3問 設問B
(1)オイルショックにより低燃費の日本車の輸出台数が増加した。アメリカ合衆国との貿易摩擦の解消の必要性や円高による日本車の国際競争力の低下から、海外での現地生産を拡大し、輸出が減少した。
(2)円高の進行や国内の賃金の上昇を受けて安価な労働力・工業用地を求め輸出加工区を設けるASEANなどでの海外生産を拡大した。国内生産は減ったが日本企業の海外生産品の逆輸入が増えた。
- 2020.06.28 20:49
- あお
- 投稿フォーム100
- main
- 投稿フォーム102