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2020.11.05
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コメント
では添削いたします。
>東大 2003 第3問 A
>⑴ア-繊維 イ-金属 ウ-機械
>⑵a-化学 b-金属 c-紙
これらは問題ありませんね。正解です。
>⑶1980年代をピークに水使用量が多い重化学工業が衰退する産業構造の転換が発生、さらに水を循環利用するシステムが整えられた。
いいですね。満点解答です。
それを踏まえた上で、気になる点を指摘させていただきます。参考にしてください。
まず「衰退」という表現です。重化学工業といえば鉄鋼業や石油化学工業が頭に思い浮かびますが、日本は現在でも世界3位の鉄鋼生産国ですし、石油化学コンビナートにしても閉鎖されているものはありません。「衰退」しているわけでもないように思いますよ。
せっかく「産業構造の転換」という表現を使っているのですから、さらに問題の中でそれぞれの工業(金属や化学、機械など)の対比が扱われているのですから、これらを意識するべきと思います。
冷却用に水を大量消費する重化学工業から用水消費の少ない機械工業へと産業構造が転換した。水の循環利用のシステムも整う。(58字)
いかがでしょうか。「重化学工業→機械工業」へと日本の工業の中心が意向したことを明示してみました。無理に年号を書かずに、キーワードとして「冷却」を挟み込んでいます。
用水使用型の工業としては製紙業(製品処理用水として利用)もあるのですが、字数制限もあり、触れることができませんでした。
>B
⑴
>オイルショック後、アメリカ合衆国の市場で日本車の売れ行きは好調だったが、1985年のプラザ合意が円高を起こし、貿易摩擦への反感もあり海外生産に日本企業が移行した結果、輸出が減少した。
なるほど、地理の解答というより公民や現代社会の解答という感じがしますね。もちろんこれで大正解なのですが、より「地理」的な解答を指向しても良かったかなと思います。
まず地理では「プラザ合意」や「円高」という言葉は用いません。地理は理論的な科目ですので、プラザ合意といった「外的な要因」によって状況が変化させられたのではなく、経済原則によって状況が変わっていったことを説明しないといけません。
そもそも、なぜプラザ合意の必要があったのでしょう?他の科目ならば「プラザ合意があったから○○という状況が生じた」という理由で十分かも知れませんが、地理は「●●だったのでプラザ合意が必要となり、○○という状況が生じた」という書き方になりますし、そして「●●だったから○○という状況が生じた」という表現が理想形となります。つまりプラザ合意という言葉自体が不要なのです。
これ、気候の問題でもよくあるんですよ。「西ヨーロッパでは穏やかな気候がみられるがその理由を説明せよ」という問題に対し、「ケッペンの気候区分で西岸海洋性気候だから」と答える人がかなりいます。でも、コレでは答えになっていないのがわかりますよね。そもそもなぜ西岸海洋性気候になるのかを尋ねているわけです。「暖流や偏西風の影響」と答えるのが正解ですよね。こういった「地理的な思考法」、マスターしてくださいね。
まず最初の段階。「アメリカ合衆国の市場で日本車の売れ行きが好調だった」とありますが、この理由は何でしょう。歴史や公民科目においては事実を端的に述べることが重要で、理由や原因に言及することは稀ですが、地理ではそうはいきませんもんね。
オイルショック後の原油価格高騰によって燃費がよく性能が高い日本車の需要が高まった。
こういった書き方でどうでしょう?難しいことではありませんよね。
使用語句に「円高」はありますので、これはさり気なく入れてしまっても構いませんが、しかし主役ではありません。
そして本問は実は罠が仕掛けてあるのですよ。それに気づくかどうかが、合格へのカギとなっているはずです。
それは「海外生産」です。これ、気づきました?海外生産は「現地生産」とは違う言葉ですよ。地理でそもそも海外生産なんていう言葉はありませんから、これは一般的な言葉として「海外で生産する」という意味だと思います。
しかし「現地生産」はどうでしょう?これは地理の専門用語といっていいですね。「現地での販売を目的として、外国(海外)で生産を行うこと」です。
日本が貿易摩擦解消のために欧米に工場を進出させるのは「現地生産」ですよね。「専門用語」である現地生産と「一般名詞」である海外生産とを区別しないといけません。出題者側はこれを問うていますよ。「罠」なんです。海外生産という言葉を無造作に使ってしまうと思わぬミスとなります。
つまりこういうことです。
日本車の輸出が拡大したが欧米との間に貿易摩擦が生じ、この解消のために現地生産が増加した。輸出が減少。
前半と後半をつなげて、字数を調整してみましょう。
オイルショック後の原油価格高騰によって燃費がよく性能が高い日本車の需要が高まった。日本車の輸出が拡大したが欧米との間に貿易摩擦が生じこの解消のために現地生産が増加した。輸出が減少。(90字)
「アメリカ合衆国」や「EU」という言葉を使いたかったのですが、字数制限のために不可能でした。ただ「オイルショック」と「貿易摩擦」というとくに重要となるワードは使えているので問題ないでしょう。
また「貿易摩擦の反感」とするならば「貿易摩擦の解消」とした方がベターに思います。定型文とも言うべき決まりきった言い回しですので、ぜひ使ってみてください。
>⑵
労働力の賃金上昇、円高によって国内生産より海外生産のコストが低くなり、海外生産量は増大し国内生産量は急減した。賃金の安いASEANなどからテレビを輸入するようになり、輸入量は増加した。
とてもいいと思います。合格圏です。
それを踏まえてこちらもいくつかアドバイスさせていただきます。
まず最初の文章で、日本の企業が工場をASEANなど低賃金国へと進出されたことをしっかり述べてください。mkさんの文章では単に「海外生産」とあり、これが日系企業によるものなのかはっきりしません。
地理は国語(現代文)ではありませんから、上手い文章を書く必要はありませんよね。上手い文章特有の修辞的表現が多くなることによって、かえって意味が曖昧になり、わかりにくくなることさえあります。「連絡事項を伝える」といった気持ちで文章をつくるといいですよ。
そして常に「因果関係」をはっきりさせること。「原因→結果」の順でも「結果→原因」の順でも構いません。淡々と事実のみを書き連ねるのです。
日本企業が工場をASEANなど低賃金国へと進出させた。安価で豊富な労働力の利用により生産コストを抑える。国内の賃金上昇や円高が原因。国内の生産が減少し、海外生産された製品輸入が増加。(87字)
つまりこういうことですよね。冒頭の「日本企業〜進出させた」の文で事実を述べ、これについて「安価で〜抑える」と「国内の〜原因」と二つの理由(原因)を付け加えています。
文章を整理して、以下のようにします。
日本企業が工場を、安価で豊富な労働力の利用により生産コストを抑えるためASEANなど低賃金国へと進出させた。国内の賃金上昇や円高が原因。国内の生産が減少し、海外生産された製品輸入が増加。(89字)
ここでは「日本企業」としていますが、「日系企業」でも問題ないと思います。日系企業とは「日本企業の現地法人」であり、「日系企業が工場を進出させた」は本来おかしいのですが(これを言うなら、「日系企業がその国に設立された」とするべきですよね)、許容範囲とは思います。
極めて高い文章力を感じます。ただ、その「上手さ」が逆に弊害になってしまっているような気がしますね。「淡々と連絡事項を伝える」という気持ちで、感情や思い込みに流されない冷静な文章を心がけてください。mkさんは本当に能力が高いですから、「何を伝えるべきか」といった判断はできると思います。地理的な思考に基づいて、因果関係のはっきりとした文章をつくりましょう。
- 2020.11.23 23:45
- たつじん
東大 2003 第3問 A
⑴ア-繊維 イ-金属 ウ-機械
⑵a-化学 b-金属 c-紙
⑶1980年代をピークに水使用量が多い重化学工業が衰退する産業構造の転換が発生、さらに水を循環利用するシステムが整えられた。
B
⑴オイルショック後、アメリカ合衆国の市場で日本車の売れ行きは好調だったが、1985年のプラザ合意が円高を起こし、貿易摩擦への反感もあり海外生産に日本企業が移行した結果、輸出が減少した。
⑵労働力の賃金上昇、円高によって国内生産より海外生産のコストが低くなり、海外生産量は増大し国内生産量は急減した。賃金の安いASEANなどからテレビを輸入するようになり、輸入量は増加した。
- 2020.11.22 00:00
- mk
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