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添削いたします。

＞東大　2005 第二問

＞設問A(1)a-ラサ　b-上海　c-ウルムチ　d-香港

問題ないでしょう。適切です。

＞(2)北京はユーラシア大陸から高気圧による渇いた風が吹くため冬季小雨。秋田は日本海を通る北西の湿った季節風により冬季多雨。(60/60)

いいですね。本来なら「北京の夏」「北京の冬」「秋田の夏」「秋田の冬」の４つのパターン全てを説明しないといけないのですが。字数的には困難です。開き直って冬の気候だけに言及するのは適切です。

いずれも「理由」が示されているのがいいですね。

いくつかポイントを。

・ペキンの冬季少雨（小より少の方がいいと思います）については「シベリア高気圧」と書き切った方が適切でしょう。もちろん現状でも構いませんが。

・秋田については「多雨」より「降雪」の方が適切に思います。日本列島の日本海側を特徴づける気象はやはり「雪」です。雨ではやや不適当なのではないでしょうか。せめて「降水が多い」ならオッケイなのですが。

ちなみに私はこのように書いてみました。

北京は冬季少雨。シベリア高気圧の影響。秋田は冬の降水量が多い。日本海上空で水分を蓄えた北西季節風による降雪。（54字

字数が厳しいので夏の降水は省略（減点ポイントになるかも知れませんね。本来適切ではありません）。また北京の冬について「少雨」としています。北京の冬の平均気温は氷点下であり、蒸発量は極めて少なくなります。乾燥（降水量＜蒸発量）となるかどうかは際どいところだと思います。（年間を通じて考えれば乾燥気候（ＢＳ）で問題ないのですが）

＞(3)前者は温暖湿潤で大都市なので園芸農業による野菜栽培や長江河口の稲作、後者は冷涼で乾燥するため家畜放牧や灌漑農業が盛ん。(60/60)

こういった問題では「ホイットルセー農牧業区分」を使ってしまうのがコツですよ。「稲作」ではちょっと弱いですね。「集約的稲作農業」が適切です。
上海は中国の華中（年間降水量は１０００ミリ以上）であり「集約的稲作農業」地域に位置します。

また「河口」で稲作というのは、まさか海の中で稲作というわけでもないでしょうが、表現としては誤解を与えやすいかも知れません。河口付近の「デルタ」や、デルタを含めた「沖積平野（沖積低地）」が適切だったでしょう。

ウルムチは内陸の乾燥地域であり「遊牧」と「オアシス農業」がみられます。

「放牧」は一般名詞であり、地理的なキーワードではありません。単なる放し飼いのことで、例えばかいさんのうちの近所でも行われているかも知れません。「灌漑農業」にしても、伝統的な灌漑農業である「オアシス農業」を記述した方が得点になりますよ。

野菜についてはこう考えましょう。野菜を栽培する農業形態は「園芸農業」です。園芸農業には「近郊農業」と「輸送園芸農業」が含まれます。日本で考えれば、東京圏で野菜をつくる方が近郊農業（千葉県など）、促成栽培によって遠方から送る方が輸送園芸農業（四国や九州）。大都市である上海では周辺で、園芸農業（近郊農業）が行なわれていると考えてみていいのではないでしょうか。

このように書いてみました。

上海付近では沖積平野での集約的稲作農業と野菜など園芸農業。ウルムチ付近は乾燥しており家畜の遊牧とオアシス農業の小麦作。（59字）

「沖積平野」や「小麦」といったキーワードも入れています。これらはとくに必須の言葉でもなかったかと思います。

こうした農業の問題はホイットルセ−農牧業区分に関するキーワードが使えるので「おいしい」ですよ。ホイットルセ−農牧業区分を、かいさんの武器としてしてください。

＞設問B
＞かつてのシルクロードの影響でイスラム教が信仰される。そのため豚肉は避けられ、灌漑農業による小麦、羊やヤギの肉が主食。(58/60)

いいですね、「羊」の「肉」に注目できた点が素晴らしいです。イスラームといえば「豚を嫌悪」しか書けない人も多いとは思いますが、それだけではいけませんね。乾燥地域の一般的な食材として羊肉を挙げる必要があります。

単に乾燥地域であることを踏まえれば「羊」中心の食生活であることはわかるでしょうし、「オアシス農業」によって灌漑がなされることを考えれば、比較的少雨気候に対応する小麦が栽培されていることも想像できると思います。「知識」に頼るのではなく、ある程度は「カン」というか「雰囲気」で書いてしまっても構いません。

イスラームが信仰され豚は嫌悪される。乾燥に強い羊が遊牧されその肉や乳製品が食される。穀物は小麦中心。灌漑により栽培。（58字）

こういった感じでしょうか。設問Ａ（３）と重なる部分も多いですが問題ないでしょう。

＞設問C
＞えんがんぶが高所得で西武が低所得であり、経済格差が拡大した。西気東輸などで西部にある資源を利用し、工業化の推進を試みている。独立の気運が高い西武の自治区に対する支配力を強めたかった。(88/90)

とてもいいですね。十分合格圏の解答です。字数制限が長いので、かえって文章をつくりやすかったのではないでしょうか。案外、短い字数に十分な内容を詰め込む方が難しいですからね。

私はこう書いてみました。

改革開放政策や経済特区の設置で外資の導入が進み沿海部は経済発展を遂げたが、内陸部との格差は拡大。その是正のため西部大開発が行われ、内陸部の資源を沿海部へ送る西気東輸も行われた。（88字）

こういった感じでしょうか。「沿岸部」ではなく「沿海部」という言葉を使っています。沿海部は中国の東部地域を指しますが、経済成長が著しい地域です。「西部大開発」や「西気東輸」という言葉も使ってみました（西部内陸部の天然ガス資源を東部沿海部へ送る）。無理やりキーワードを入れたので、ちょっと詰め込みすぎの印象もありますが。これらの言葉についても調べて、自由自在に使えるようにしてください。他に中国には「緑の長城計画」や「一帯一路構想」など様々なキーワードもありますので、チェックしておくといいでしょう。

共通テスト直前で忙しい時期とは思いますが、自分のペースで勉強を積み重ねてくださいね。

東大　2005 第二問

設問A(1)a-ラサ　b-上海　c-ウルムチ　d-香港

(2)北京はユーラシア大陸から高気圧による渇いた風が吹くため冬季小雨。秋田は日本海を通る北西の湿った季節風により冬季多雨。(60/60)

(3)前者は温暖湿潤で大都市なので園芸農業による野菜栽培や長江河口の稲作、後者は冷涼で乾燥するため家畜放牧や灌漑農業が盛ん。(60/60)

設問B かつてのシルクロードの影響でイスラム教が信仰される。そのため豚肉は避けられ、灌漑農業による小麦、羊やヤギの肉が主食。(58/60)

設問C えんがんぶが高所得で西武が低所得であり、経済格差が拡大した。西気東輸などで西部にある資源を利用し、工業化の推進を試みている。独立の気運が高い西武の自治区に対する支配力を強めたかった。(88/90)

今週もよろしくお願いします！