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2021.04.21
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コメント
では添削いたします。
>東大 2016年
>第2問
>設問A
>(1) A―パーム油 B―大豆油 C―菜種油
AとBの判定はマストです。基本的な統計ですね。Cはわからなくていいと思います。
>(2) (a)―マレーシア (b)―中国 (c)―アルゼンチン
(d)―ウクライナ
aについてはインドネシアとマレーシアがパーム油の主生産国であることは必ず知っておきましょう。cについても大豆の生産が南アメリカで多いことがわかれば、アルゼンチンの判定は難しくありませんね。統計を確認です。
bは難しかったと思います。できなくて問題ないでしょう。むしろdのウクライナをぜひ知っておいて欲しいところです。チェルノーゼム地帯では小麦の他、ヒマワリの栽培が盛んです。
>(3) 中国やインドなどで、経済発展に伴う食生活の変化のため植物油の需要が増加し、さらにバイオ燃料として使用するようになったから。(60字)
とてもいいと思います。実は本問の場合は「字数が余る」ことに課題があるのですね。書くべき内容は簡単なのに、それを60字フルに使って記述することが意外に難しいのです。
自分なりに「余計な」ことを付け加えながら論述しないといけないのです。チョウセイさんの場合は「中国やインドなどで」で字数を費やしています。これはとても有効かと思いますよ。上手いテクニックです。
私も書いてみました。
「発展途上国の経済発展で生活水準が向上し、食の西洋化で植物性油脂の需要が拡大。植物性バイオマスとしてアルコール燃料の抽出。」(60字)
私の場合は「生活水準」や「食の西洋化」などがいわゆる余計な言葉になっています。バイオマスについても「アルコール燃料」と言葉を言い換えています。おもしろい問題でしたね。
>(4) 油ヤシの農園造成による熱帯林伐採の結果、生物多様性が失われ、温室効果ガスである二酸化炭素の吸収量が減り、温暖化が進行する。 (61字)
いいですね。使うべき言葉が限定されているので、それに沿って記述するだけです。(3)とは異なり、こちらはあまり自分の意思が反映される部分がありませんでしたね。とはいえ、こういう問題でこそ実力の差がつきますので、丁寧に対応しましょう。
私も書いてみました。
「油ヤシ農園の拡大のため熱帯林が伐採され、生物多様性が失われる。森林減少により二酸化炭素の吸収量が減少する。(53字)」
二酸化炭素について「温室効果ガス」であることや、その濃度上昇が「地球温暖化」の原因になることなどについても記述したかったのですが、字数の都合でカットしました。
2つの文について、前半部分で原因、後半部分で結果を述べています。「トピック1;原因→結果、トピック2;原因→結果」という組み立てですね。本問は60字ですので、トピックは2つ入ります。30字単位で一つのトピックを取り上げるという構成も意識するといいでしょう。
>設問B
>(1) (イ)―アメリカ合衆国 (ロ)―タイ (ハ)―中国
小麦のデータがわかりやすいですね。輸出が多いアメリカ合衆国、熱帯で小麦の栽培に適さないタイです。
>(2) 食料自給を目的とした政策を採り、地中海性気候区に適した野菜や果実などが生産され、農産物は近隣諸国を中心に輸出されている。(60字)
とてもいいと思いますよ。ただし、せっかく表が与えられているのですから、これを正確に読解し、それから得られる情報を元に文章を作ってみても良かったと思います。
例えば私はこのように書いてみました。
「温暖な気候で野菜や果実が栽培され経済的関係が緊密なEUへと輸出。乾燥地域で農業生産が振るわない西アジア諸国に小麦の輸出。」(60字)
表を正確に読解してみましょう。トルコで自給率が100を上回っている(輸出している)のは「小麦」「砂糖類」「野菜」「果実」「肉類」の5品目。EUは小麦と肉については自給していますので、この2品目は他地域への輸出であるはずで、西アジアが候補として上がってきます。一方、果実と野菜についてはEU市場向けでしょう。
トルコとEUの関係については「経済的関係が緊密」「経済的つながりが強い」ぐらいでいいと思います。西アジア地域については同じイスラームで食生活の指向性が近い(肉はおそらく羊の肉でしょう。トルコはケバブなど羊肉料理で有名な国ですね)ことを「社会条件」に挙げたかったのですが、字数が足りませんでした。
なお、あえて「地中海性気候」には触れていません。地中海性気候=地中海式農業であり、これに適応した作物は耐乾性のオリーブやぶどうですよね。果実についてはオレンジ類が多数を占めている可能性もありますし、これは本来地中海性気候に適応するものではありません。また、野菜こそ地中海性気候というより、単に「温暖」なことがポイントとなります。チリのようにぶどうやワインが主要輸出品目でしたら地中海性気候=地中海式農業を強調するべきでしょうが、本問の場合はその必要性を感じませんでした。
>(3) NAFTAに加盟したことでアメリカ合衆国から安い穀物を輸入し、温暖な気候を利用した生産費の安い野菜や果実が輸出される。(59字)
いいですね。とくに「安い」という部分に注目した点が素晴らしいと思います。なかなか経済面に注目できる受験生はいませんからね。たいへん感心しました。地理において経済の概念は重要です。
NAFTAは「協定」ですの正確には「調印」ですが、とくに問題ないかと思います。NAFTAは現在はUSMCAに発展していますが、これはもちろん知っていますよね。
私も書いてみました。
「メキシコは米国と国際協定により自由貿易が実現。温暖で野菜や果実を米国に輸出し、大量生産による安価な穀物を米国から輸入。」(59字)
こういった形でしょうか。やはり字数が厳しいので、アメリカ合衆国については「米国」としています。野菜や果実についてはメキシコの安価な労働力による生産も記述したかったのですが、字数が足りませんでした。
全体的にとてもよく書けています。自分なりの言葉を使って、的確に表現できている箇所が際立ちます。さらに演習を続けていきましょう。
- 2021.06.19 17:56
- たつじん
東大 2016年
第2問
設問A
(1) A―パーム油 B―大豆油 C―菜種油
(2) (a)―マレーシア (b)―中国 (c)―アルゼンチン
(d)―ウクライナ
(3) 中国やインドなどで、経済発展に伴う食生活の変化のため植物油の需要が増加し、さらにバイオ燃料として使用するようになったから。(60字)
(4) 油ヤシの農園造成による熱帯林伐採の結果、生物多様性が失われ、温室効果ガスである二酸化炭素の吸収量が減り、温暖化が進行する。 (61字)
設問B
(1) (イ)―アメリカ合衆国 (ロ)―タイ (ハ)―中国
(2) 食料自給を目的とした政策を採り、地中海性気候区に適した野菜や果実などが生産され、農産物は近隣諸国を中心に輸出されている。(60字)
(3) NAFTAに加盟したことでアメリカ合衆国から安い穀物を輸入し、温暖な気候を利用した生産費の安い野菜や果実が輸出される。(59字)
- 2021.05.31 20:10
- チョウセイ
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