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2021.06.30

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では添削いたします。

>東大 2020年

>第2問

>設問A 

(1) 飼育頭数増加で過放牧となり、砂漠化や森林減少の原因となる。  (29字)

いいですね。ただ、ちょっと惜しいかなと思います。

過放牧による砂漠化が顕著な地域は例えばサヘル地帯であり、ここでは時給的な遊牧が行われています。世界的な動物性食品(肉類など)の増加については、商業的な農牧業形態による家畜飼育を考えるべきで、その例としては新大陸で行われている企業的牧畜があります。

これについて具体的に考える必要がありましたね。例えばブラジルの熱帯林の破壊などがそれに相当するのではないでしょうか。肉牛飼育のための放牧地を拡大するためにアマゾンの熱帯林が切り開かれている事例はよく知られていると思います。

「企業的牧畜による牧草地の拡大により熱帯林が伐採されている。」(29字)

こういった形でしょうか。

>(2) 伝統的に肉類や乳製品の消費が多かったが、食の多様化や健康志向の高まりに伴い植物性食品の消費が増えたほか、環境保護や動物愛護の観点から、食生活の変化が求められるようになったから。(88字)



これはおもしろい問題ですね。字数に余裕があればベジタリアンやビーガンという言葉も使えたかと思います。

なお、チョウセイさんにちょっと気をつけて欲しいところがあるのですが、今後は「一つ一つの文はできるだけ短く切る」ことを約束して欲しいのですよ。こちらの解答は「ほか」で複数の文を繋いでいますが、ここは切ってしまいましょう。字数も十分に調整できるかと思います。

例えばこうなります。

「伝統的に肉類や乳製品の消費が多かったが食の多様化や健康志向の高まりに伴い植物性食品の消費が増えたから。また、環境保護や動物愛護の観点から食生活の変化が求められるようになったから。」(89字)

というのも、文章はどうしても長文化すればミスが目立つようになります。主述の関係、修飾語と被修飾語の関係が見えにくく、意味が通じない文になる可能性もあります。それを防ぐには、文の組み立てをシンプルにするべきなのですよ。複文や重文を避け、単文にて勝負しましょう。1文の長さの目安は30字です。とくに東大の問題は30字、60字、90字制限ですし、それぞれ1文、2文、3文で対応できます。さらに言えば、東大の問題のパターンとして60字制限ならば2つのトピックを説明することが求められる形が多いのです。「1トピック=1文」として、60字ならば「2トピック=2文」ですよね。これを普段から意識しておくと、東大論述問題への習熟度が深まり、解答が容易になりますよ。

今後、意識していただけると私としても大変嬉しいです。

以下、参考までに。私はこう書いてみました。

「西洋的な食文化を有し伝統的に肉類や油脂の摂取が多かったが肥満や生活習慣病を避けるため野菜や魚介類の摂取も増えた。また近年は環境保護や動物愛護の観点から肉類の摂取を避ける人々も多い。」(90字)

ここでは2つの文に切って、それぞれ別の内容を説明しています。文を短く切り、各々を独立させるという意識を持ってください。


>(3) 山岳地帯や砂漠が多く肥沃な草原を持たないペルーは、企業的農業ではなく、高地でジャガイモなどの伝統的な作物生産が続いており、民族構成も肉食中心のヨーロッパ系移民が多い2国と異なり、先住民であるインディオが多、伝統的な食文化が見られるから。(119字)

こちらも一文が長いですよね。自分で書いていて、ちょっと長すぎると思いませんでしたか?あるいは、無理に一文に詰め込もうとして、ちょっと無理をした部分がありませんか?いくらなんでも一文で120字は、小論文や作文出会ったとしても長すぎると思いますよ。

チョウセイさんはおそらく長文を書くのが癖になっているのでしょうね。もちろん最終的には(受験の際には)長文でも構いませんが、しばらくは悪い癖を取り除くために、意識して文を切る習慣をつけませんか?

では添削に入りましょう。

まず理由を2つ述べることが求められています。60字の解答を2つ作るわけですよね。

「山岳地帯」などという言葉がありますから、一つは「自然環境」に由来することでしょう。気候や地形です。さらに「民族構成」となり、こちらは歴史や社会に由来する内容を述べるべきでしょう。先住民インディオの伝統的な生活を考えればいいですね。

まずは最初の60字から。

国土が砂漠や山岳地帯、熱帯雨林に覆われ、食肉用の家畜の飼育環境に適さないことが挙げられます。

後半の60字について。

人口の過半が先住民インディオによって占められ、彼らは伝統的にジャガイモやトウモロコシの栽培を行っているから。これが理由ですよね。

以上のことをそれぞれ60字を目安とする文として、つなげてみればいいのです。



「ペルーの国土は砂漠や山岳地帯、熱帯雨林が主である。食肉用の家畜を飼育する企業的牧畜に適した牧草地に適した土地に乏しい。」(59字)

「民族構成は先住民の割合が高く、彼らは伝統的な農業を行う。ジャガイモなどを中心とした食文化であり、肉類の摂取は少ない。」(58字)

この2つを繋げてしまえばいいわけですよね。文を繋ぐ「また、」や理由を示す「〜から」はお好みで(?)つけてみてください。キーワードが含まれ、文意が通っていれば加点されますので、それらがないことで減点対象とはならないでしょう。

>設問B 

>(1) A―マレーシア B―ベトナム C―タイ D―インドネシア
E―フィリピン

>(2) 生産量は微増だが、工業化による経済発展と人口増加のため需要量増加の方が上回り、国内供給用に輸入が増え自給率は低下した。(59字)

うまいですね。とてもいい解答かと思います。

ただ、ポイントはD国との違いですよね。(3)でD国が問われています。Dのインドネシアでは自給率の向上を目指し、穀物生産の強化が行われました。緑の革命ですね。一方で、この(2)の問題ではそれとは違った状況が問われているわけです。ここを想像して記述することが本問では求められていました。

「生産量は微増だが」はその通りです。よく図表が読解できています。

ただ、マレーシアでは元来プランテーション農業が盛んであり、特に近年は油ヤシ園の拡大が顕著にみられています。工業国でありながら、パーム油が主要輸出品目の一つにもなっていますよね。

このことを解答に含めることができれば、さらに良かったと思いますよ。

「商品作物の生産に力が入れられ、米の生産は伸び悩んでいる。生活水準の向上や人口増加により需要が拡大し、米の輸入が増加した。」(60字)

こういう形でしょうか。マレーシア特有の事例をいかに述べるかが高得点への鍵だったと思います。

>(3) 「人口増加により需要は増大しているが、多収量品種の導入による緑の革命の結果、生産量が急増し、Ⅱ期には米の自給を達成した。」(59字)

こちらはインドネシアの事例ですね。的確です。緑の革命の内容には多様なものがありますが(灌漑の整備など)、字数的に多収量品種の導入のみ言及すればいいでしょう。

全体的にとてもよくできています。次回からは「文を短く切る」ことを意識してみてください。60字ならば1文にまとめてしまっても許容範囲ですが、さすがに90字や120字ならば文章が適切かどうか以前に、読みにくいものになってしまいますよね。それではチョウセイさんの高い文章能力が活かされません。「小学生が理解できる」ように文章を簡単にしてみてください。表現をシンプルにするからこそ、高いレベルの内容を伝えることができるのです。



  • 2021.08.05 12:44
  • たつじん

東大 2020年



第2問


設問A 

(1) 飼育頭数増加で過放牧となり、砂漠化や森林減少の原因となる。  (29字)

(2) 伝統的に肉類や乳製品の消費が多かったが、食の多様化や健康志向の高まりに伴い植物性食品の消費が増えたほか、環境保護や動物愛護の観点から、食生活の変化が求められるようになったから。(88字)

(3) 山岳地帯や砂漠が多く肥沃な草原を持たないペルーは、企業的農業ではなく、高地でジャガイモなどの伝統的な作物生産が続いており、民族構成も肉食中心のヨーロッパ系移民が多い2国と異なり、先住民であるインディオが多、伝統的な食文化が見られるから。(119字)


設問B 

(1) A―マレーシア B―ベトナム C―タイ D―インドネシア
E―フィリピン

(2) 生産量は微増だが、工業化による経済発展と人口増加のため需要量増加の方が上回り、国内供給用に輸入が増え自給率は低下した。(59字)

(3) 人口増加により需要は増大しているが、多収量品種の導入による緑の革命の結果、生産量が急増し、Ⅱ期には米の自給を達成した。(59字)

  • 2021.07.29 11:37
  • チョウセイ

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