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2021.11.10
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コメント
では添削いたします。
>東大 2005年
>第3問
>設問A
>(1) a-④ b-① c-③ d-②
いいですね。aについては通勤通学の8時台にバスがあるのがヒントになっていますね。
2と3も判定が難しかったと思いますが、こちらはよくできていますね。
「人口10万人」の都市はどちらかといえば規模は小さいですよね。バスの本数も限られていると思います。一方で郊外の住宅団地は通勤の時間帯にバスの本数が極端に多くなっている点に注目してください。
>(2) 対外開放政策により、航空路線増加で中国への「観光客」が増えた。低賃金「労働力」を求めた日本企業の進出により、「ビジネス客」も増えた。
(60字)
>※設問文で、『中国から成田空港への航空便』の方は言及されておらず、『成田空港から中国への航空便』の方のみ言及されています。したがって、答案では、【日本から中国への訪問】についてだけ述べました。あへて【中国から日本への訪問】については述べませんでした。
いい認識です。問題文がしっかり読めています。ただ、人々は往復するわけですから「日本人の中国への訪問」だけでなく、「中国人の日本からの帰国」を考えてみてもいいと思います。日本人の移動に限定せず、中国人も含めた総括的な人口流動の多さに言及すれば良かったのではないでしょうか。
「60字=2トピック」ですから、「観光」に関すること、「ビジネス」に関すること、この2つをしっかり述べるのがカギですね。
「対外開放政策」が気になりますね。中国の「改革開放政策」が始まったのは1980年ですし、それも企業進出など経済的な側面が大きくなっています。「観光客」に結びつけるのはやや不適当かと思いますよ。
後半のビジネスに関する内容は問題ありません。
私はこう書いてみました。
「安価な労働力利用に加え、現地生産を目的とした工場が多く中国に進出しビジネス客が増加。国際交流の活発化により観光客も増加。」(60字)
前半はビジネスに関する内容です。現在中国に進出する工場には2種類あり、一つは「安価な労働力の利用」、一つは「現地生産」ですね。
(発展途上国に工場が進出する理由)
・安価な労働力の利用。1人当たりGNIが低い(賃金水準が低い)。
・土地も安く、輸出加工区の設置など行政からの支援もある。
・製品は日本へと逆輸入される。
(先進国に工場が進出する理由)
・現地生産。巨大なマーケットを有する(GNIが大きい)。
・とくにアメリカ合衆国には貿易摩擦の解消のため、日本から自動車工場が進出した。
・その国での販売を目的とし、日本への逆輸入はない。
前者の例が衣服や電気機械、後者の例が自動車ですね日系の自動車企業が設立され、中国市場での販売を狙って生産が行われます。この背景には中国の経済規模の大きさ(GNIの大きさ)がありますね。
後半の「観光客の増加」についての理由は「国際交流の活発化」というアバウトなものです。字数制限が厳しいため、これぐらいでいいかと思います。字数が多ければ日本への入国制限が緩和されたことが書き加えられます。所得制限が下げられ、中間層の観光客が増加していますね。日本のインバウンドツーリズムが拡大しています。
ちなみに「中国 海外旅行 所得制限」で検索すると、このような記事gヒットします。ロイターの「中国人観光客のビザ要件、一段緩和へ」という記事ですが、参考までにどうぞ。
https://jp.reuters.com/article/chinese-visa-idJPKBN171148
>(3) 「モータリゼーション」が進展した。車での買物が難しい中心商店街は、郊外に大「駐車場」を完備した「ロードサイド」店舗に、客を奪われた。(60字)
うまいですね。本問の難しいところは「モータリゼーション」と「ロードサイド」に字数をとられてしまうため、どうしても字数制限が厳しくなる点にあるのです。
私はこう書いてみました。
「モータリゼーションの進展で駐車場を備えた郊外型ロードサイトショップに客が流れ、駅周辺など旧来の中心商店街が衰退した。」(58字)
問題文に「中心商店街」とあるので、これをそのまま生かすのが適切ですね。また。ロードサイド店が「郊外」にあることを強調しています。字数制限の厳しさから「1文」にまとめてしまっていますが、チョウセイさんのように「2文」に切った方が適切ですね。とてもうまいと思いますよ。
>※設問文で『地理的要因』と指示があります。なので、『大規模小売店舗法の規制緩和』などの政治的要因については書く必要はないと考えました。
いいですね。地理の場合、法律に関する記述は最小限にするべきかと思います。(2)の観光に関する問題でも中国からの観光客増加の背景には法律の改正があったのですが、それも詳しく書く必要はないでしょう。
たとえば、政経でしたら、1980年代の日本企業の海外進出について「プラザ合意による円安」を挙げるのですが、地理の場合は「経済成長による賃金水準の上昇」という言い方の方が適切になります。地理は「科学的視点」、「数字による思考」が重要な科目であることを意識してくださいね。
>(4) 「過疎化」により、民間バスは経営難となった。「自動車」の利用が困難な「高齢者」や「通学者」等に、自治体が公共交通を提供する役割を果たす。(60字)
いいですね。チョウセイさんはこのような「時系列」に沿った書き方がうまいと思いますよ。
最初に「過疎化→民間バスは経営難」であることを述べ、そこから「自治体が公共交通を提供」という順序が明確になっています。このような書き方ができる技術を身につけることはとても文章作成において有利なことかと思います。
「不採算となり民間のバス路線は廃止された。高齢者や通学者など自家用自動車の利用が難しい人々のため自治体がバス路線を設けた。」(58字)
「自動車」に関する説明も大切でしたね。バス路線がなくても自家用車があれば問題ないわけですからね。自家用車を持たない交通弱者に対する目線が必要な問題でした。
>設問B
>(1) 居住環境の悪化で、都心の夜間人口が減った。一方、オフィスの集積や高層化が進み、通勤者数が増加し、都心の昼間人口が増えた。(60字)
なるほど、いい組み立てですね。「夜間人口が減った」ことと「昼間人口が増えた」ことの両方を述べるべき問題です。
私は「都心部」という言い方をしますが、「都心」でも問題ないと思います。都心の人口減少の理由として真っ先に挙がるのは「地価高騰」とは思いますが、「居住環境の悪化」でもいいでしょう。
文章内のどこかで「郊外」という言葉を使えたらさらに良かったかと思います。都心(都心部)と郊外は対になる概念ですし、郊外での人口増加(ドーナツ化現象)や、郊外で夜間人口が少ないことなど、ポイントになる話題も多かったと思います。「都市圏」とは「都心部」と「郊外」の組み合わせですよね。「都心部」という言葉を、「郊外」との対比によって用いて欲しかったところです。
私は以下のように書いてみました。
「地価高騰で都心部の人口が減少。都市圏の拡大で郊外の人口が増加。都市機能の集中が進む都心部へと郊外からの通勤者が増えた。」(59字)
「都心部の人口減少」「郊外の人口増加」「郊外から都心部への通勤者の増加」を順序立てて述べています。
「居住環境の悪化」という言葉は使えませんでしたが、逆に「郊外」の人口動態については明確に述べています。参考にしてくださいね。
>(2) バブル崩壊による「地価」下落、及び規制緩和による都心部での「再開発」により、高層ビルなど住宅供給量が増加し、人口が再び流入した。
(60字)
いいですね。ジェントリフィケーションに関する問題ですが、ジェントリフィケーションという言葉は用いる必要はありませんでしたね。
そういえば、他の問題で「フェアトレード」という言葉を用いず、その概念を説明するものがありましたね。一つの言葉の意味ではなく、それを取り巻く状況を包括的に捉えるパターンの問題が東大には多いようですね。
私も書いてみました。
「バブル崩壊後に地価が下落。都心部で再開発が行なわれ、集合住宅も建設される。富裕層を中心に都心部へと転居する人が増えた。」(59字)
ここでは「富裕層」という言葉を用いています。住民の階層が上がるジェントリフィケーションの意味合いを加えてみました。
さらに演習を続けましょう。
- 2021.11.18 19:10
- たつじん
東大 2005年
第3問
設問A
(1) a-④ b-① c-③ d-②
(2) 対外開放政策により、航空路線増加で中国への「観光客」が増えた。低賃金「労働力」を求めた日本企業の進出により、「ビジネス客」も増えた。
(60字)
※設問文で、『中国から成田空港への航空便』の方は言及されておらず、『成田空港から中国への航空便』の方のみ言及されています。したがって、答案では、【日本から中国への訪問】についてだけ述べました。あへて【中国から日本への訪問】については述べませんでした。
(3) 「モータリゼーション」が進展した。車での買物が難しい中心商店街は、郊外に大「駐車場」を完備した「ロードサイド」店舗に、客を奪われた。(60字)
※設問文で『地理的要因』と指示があります。なので、『大規模小売店舗法の規制緩和』などの政治的要因については書く必要はないと考えました。
(4) 「過疎化」により、民間バスは経営難となった。「自動車」の利用が困難な「高齢者」や「通学者」等に、自治体が公共交通を提供する役割を果たす。(60字)
設問B
(1) 居住環境の悪化で、都心の夜間人口が減った。一方、オフィスの集積や高層化が進み、通勤者数が増加し、都心の昼間人口が増えた。(60字)
(2) バブル崩壊による「地価」下落、及び規制緩和による都心部での「再開発」により、高層ビルなど住宅供給量が増加し、人口が再び流入した。
(60字)
- 2021.11.16 17:00
- チョウセイ
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