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2021.11.30
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コメント
では添削いたします。
>東大 2018年
>第2問
>設問A
>(1) シンガポールは、東南アジア域内分業の「中継」地である。香港については、「経済発展」が著しい中国内他都市で「工業製品」の輸出が増えた。(60字)
とてもいいですね。これで十分合格点だと思いますよ。さらに良い答案を目指し、いくつかポイントを挙げていきますね。
まず、本問のように二つの事例(香港とシンガポール)を述べる場合、2つの文に切ってしまった方がいいですね。短い文の方が主述関係などにミスがなくなり、わかりやすい文章となります。ただ、本問の場合、「現状維持」のシンガポールに対し、香港が「変化」した理由を述べることが最大のテーマとなっています。重心はやや香港側に置いた方がいいかもしれません。
さらに使用語句を確認しましょう。「中継貿易」は機械類など工業製品を輸入し、それをそのまま他の地域へと輸出することです。香港もシンガポールも港湾はこの機能を有しており、このキーワードはいずれにでも使えそうです。
「経済発展」はどうでしょう。シンガポールは東南アジアの、香港は中国の、それぞれ港湾ですが、この二つの地域はいずれも高い工業力を背景に「経済発展」を遂げています。これもどちらに使ってもいいキーワードでしょうね。ただし、シンガポールが「現状維持」であるのに対し、香港は地位を低下させ「変化」が生じています。経済発展という変化が生じた地域としてピックアップするべきは中国の方でしょう。
そして「製品」ですが、これについては「工業製品」という使い方をするものと思われますが、やはりシンガポール、香港のいずれでも用いることができるでしょう。「工業製品の輸出」と言った使い方は非常に適切です。ただし、上ど同様に、変化する香港そして中国を説明する際にこちらの言葉を用いた方が適切に思います。
以上より、用語に関しては制限が緩く、自由に使うことができると思います。論述問題では、「語句」を手がかりにして文章を組み立てることが多くあるのですが、本問についてはまず文章の骨組みをつくり、そこに自在にキーワードをはめ込む形が良さそうです。
ではシンガポールから説明しましょう。シンガポールは東南アジア最大にして唯一の中継貿易港です。国際分業が進む東南アジアにおいて各国の貿易額が拡大すれば、シンガポールの重要性の高さは維持されます。
「ASEANの中継貿易の拠点の地位をシンガポールは維持している。」(31字)
まずはこんなものでしょうか。「ASEAN」「シンガポール」でかなり字数を費やしてしまうので内容は限定されてしまいます。
さらに香港ですが、これは表から見て明らかでしょう。他の都市の発展とともに、港湾機能が分散し、香港の地位が相対的に低下しています。上海、深セン(シェンチェン)、寧波(ニンポー)はいずれも中国の港湾都市。
「経済発展著しい中国では他港湾の工業製品の輸出も増加し、香の地位は低下。」(36字)
これらをミックスし、字数を調整します。
「アセアン中継貿易の拠点の地位をシンガポールは維持。経済発展著しい中国では他港湾の工業製品の輸出も増加。香港の地位は低下。」(60字)
どうでしょうか。シンガポールが地位を維持し、一方で香港では中国における「ワン・オブ・ゼム」になっている様子を表現しています。
>(2) (ア)-オーストラリア (イ)-ブラジル
いいですね。正解です。
>(3) 東アジアからは「コンテナ船」の大型化により工業製品の輸送が増える。「アメリカ大陸」からは、「陸上輸送」で運んでいた穀物も「輸送費」の安い「ばら積み船」での輸送が可能となる。相互の輸送量が増える。(90字)
とてもいい解答です。これも合格点です。同じく、細かい分析を進めていましょう。
本問は先ほどの問題とは異なり、指定語句をヒントにして文章を組み立てるタイプの問題に思います。
まず「コンテナ船」です。貨物を入れたコンテナを船舶に積みます。コンテナごと移動できるので、非常に便利な輸送方式ですね。この貨物については工業製品を考えればいいと思います。
これに対し「ばら積み船」については表2−2を参照するといいでしょう。これらがばら積み船によって運搬される品目です。ここでは原油を輸送するタンカーも含まれているようですね。資源や穀物の輸送に用いられます。
そして「陸上輸送」ですが、これは「アメリカ大陸」と組み合わせて用いられる言葉でしょう。中国で生産された工業製品が、アメリカ合衆国の人口稠密地域である太平洋岸へと輸送される場合には、なるほど陸上輸送も使われていたのでしょう。これが船舶(コンテナ船)に入れ替わったことを考えてください。
そしてそのような輸送手段の変更はもちろん「輸送費」上のメリットが生じますね。陸上輸送に比べ、スピードこそ遅いですが、海上輸送の方が大量かつ安価に商品を輸送できます。
なお、「アメリカ大陸」にはもちろん南米も含まれるでしょう。中国はブラジルから大量の大豆(穀物の一種と考えていいと思います)と鉄鉱石を輸入っしています。
東アジアとアメリカ大陸太平洋岸との貿易はかつては陸上輸送に依存していた。パナマ運河拡張により東アジアからの工業製品の輸出はコンテナ船、アメリカ大陸から輸出される資源や穀物はばら積み船が利用され、輸送費が下がり、低コストで大量の品目が輸出入されるようになった。(129字)
まずはこのような形で「試作品」をつくってみました。しかし、さすがに字数が多すぎますね。ここから調整しないといけません。
「かつて→陸上輸送、現在→海上輸送」という形にしていますが、これはあまり意味がなかったようです。問題文の中で、こうした時間の経過による変化を説明する必要には触れられていません。この部分の説明は最小限で。
さらに「パナマ運河」という固有名詞を外しただけでなく、「運河拡張」というキーワードも削っています。これはわかり切ったことでしょう。
東アジアからはコンテナ船での工業製品の輸出、アメリカ大陸大西洋側からはばら積み船を用いた資源や穀物の輸出が、共に増加。陸上輸送に比べ安価で大量の輸送が可能となり、貿易額が拡大。(88字)
なんとか字数以内に収めてみました。問題集の模範解答では「アメリカ大陸東部」となっていますね。そちらの方が字数を節約できてベターだったように思います。
>設問B
>(1) A-インドネシア B-インド イランは、イスラム法に基つ”く政教一致の共和国である。A国は政教分離の国で、多様性が認められる。(60字)
いいですね。イランは特徴的な国ですんで、確実に理解しましょう。
>(2) イギリス植民地時代、マレーシアで天然「ゴム」の、南アフリカ共和国で「さとうきび」の、プランテーション用労働力が必要であったから。(60字)
こちらもいいですね。難易度は高くなかったと思います。適切です。
>(3) 東南アジアからは、安価な工業製品の輸出が増加し、アフリカにおける資源開発の投資や労働集約型工業の進出が予想される。(58字)
これについてはとくに「答え」はないと思いますよ。自分の思いつくままに書き述べればそれが正解です。
「南アジア」にあって「東南アジア」や「アフリカ大陸インド洋沿岸」にないものは何でしょう。やはり「莫大な人口」であり「豊富な資源」、そして「高い経済成長率」でしょうね。さらにインドはIT産業の集積地の一つですから知識産業における優位性もあります。
この辺りのことをミックスして解答すれば満点解答です。とてもいい解答だったと思いますよ。
- 2021.12.04 23:09
- たつじん
東大 2018年
第2問
設問A
(1) シンガポールは、東南アジア域内分業の「中継」地である。香港については、「経済発展」が著しい中国内他都市で「工業製品」の輸出が増えた。(60字)
(2) (ア)-オーストラリア (イ)-ブラジル
(3) 東アジアからは「コンテナ船」の大型化により工業製品の輸送が増える。「アメリカ大陸」からは、「陸上輸送」で運んでいた穀物も「輸送費」の安い「ばら積み船」での輸送が可能となる。相互の輸送量が増える。(90字)
設問B
(1) A-インドネシア B-インド イランは、イスラム法に基つ”く政教一致の共和国である。A国は政教分離の国で、多様性が認められる。(60字)
(2) イギリス植民地時代、マレーシアで天然「ゴム」の、南アフリカ共和国で「さとうきび」の、プランテーション用労働力が必要であったから。(60字)
(3) 東南アジアからは、安価な工業製品の輸出が増加し、アフリカにおける資源開発の投資や労働集約型工業の進出が予想される。(58字)
- 2021.11.30 20:59
- チョウセイ
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