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2024.09.13
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2024年度たつじんオープン添削投稿フォームになります。第27回の分をこちらに投稿してください。
コメント
ドゥーチェさんこんにちは。では添削いたします。
>‘19 第3問
>設問A
(1)
知識産業に必要な高度人材・研究機関が存在し、情報も集まる東京都に情報通信業や学術研究が一極集中。(48字)
他地域と経済格差が拡大。(12字)
いいですね。この問題は構成はおもしろく、2つ目の文の内容(格差が拡大)がメインであり、それを1つ目の文で理由づけするという組み立てです。こういった文章の関係性にも注意しながら、解答を組み立てることは大切ですよね。十分な解答になっていますよ。
>(2)
若年層流出、高齢化加速で、介護施設や医療サービスの需要増加。(30字)
未発達な製造業の雇用が少なく、就業者が医療・福祉分野へ流出。(30字)
こちらもいいですね。2つのトピックをそれぞれ独立させて記述することが大切だったと思います。わかりやすい解答になっています、
>(3)
震災・原発事故による観光客減少や、店舗・工場の被災で、宿泊業や製造業が衰退。(38字)
復興にあたり住居建設が進み、建設業が増加。(21字)
(2)と同様に2つのトピックの立て方が重要な問題でした。言われてみれば当たり前のことですが、意外に2つ目の内容は思いつかないこともあると思うので注意してくださいね。震災があったゆえに増える仕事もあるのですね。
>(4)
大都市圏から離れており製造業は不振。(18字)
一方、豊かな自然を活かした観光が盛んで宿泊業が発達する他、(30字)
公共事業で建設業も多い。(12字)
なるほど、うまく短い字数に多様なエッセンスを含めていますね。いい解答です。最初の文で「不振」と言い切ってしまっているのがとくにいいと思いますよ。シンプルにできる箇所は簡単に言い切ってしまうのがコツですね。
>設問B
>(2)
ニュータウン開発時の入居者の高齢化。(18字)
若年層の都心への流出。(11字)
こちらも短い字数にどれぐらいの内容を詰め込むことができるかがカギでした。こういった箇条書きスタイルが適した問題ですね。このような問題で下手に「文章」を書こうとするとミスにつながります。
>(3)
グローバル化で国家間の人・モノ移動が活発化。(22字)
D半島は、国際分業を背景に航空輸送を利用した臨空港立地型のハイテク産業が、(37字)
E半島は、伝統産業を目的とする外国人観光客増加で観光業が発達。(31字)
こちらの問題はD半島とE半島の特定が難しかったですね。仮にわからなかったとしても(固有名詞を答える問題ではないので)それっぽく書いてしまえばよかったわけですよね。ドゥーチェさんはうまく解答できています。十分な合格圏です。
>A⑴…たった7都道県だけで「全国レベル」の変化が分かるのには驚きました。日本列島中心の滋賀を境とした「東京⇔大阪(大都市圏)」、「福島⇔高知(過疎地域)」、「北海道⇔沖縄(自然豊かな最南北端)」の対比構造は、「与えられた資料に過不足がない」、いかにも東大らしい問題ですね。
さすがドゥーチェさんですね。視点が鋭いですよ。そしてその鋭い視点はまさに「地理」という試験において重要となります。共通テストでも、たとえば日本地理を問う問題で選択肢が4つならば、それぞれ「都心」「郊外」「地方中枢都市」「地方(農村)」という4つの違うキャラクターが用意されたりしますよね。地理は「具象的」な科目と思われてしまうきらいがありますが、実は「抽象的」な科目であり、具体的な事例を抽象化・一般化することによって、そこから法則を導き出す科目です。私など全く地理的な知識に乏しい者ですが、しかし地理を指導することができているのは、この抽象化を徹底的に行っているからだと思います。知識を増やすのではなく、知性を高めてくださいね。
>A⑵…動画視聴前、「陸続きで隣接する県が存在しない地域や山地面積割合が高い地域。他地域からの医療物資供給が不便で、それらの多くを自地域で賄う。(60字)」という頓珍漢な答案を作成してしまいました。(こちらは「医療、福祉」でなくても当てはまるという理由で誤りですよね…)
いえいえ、それもドゥーチェさんの個性が伝わる解答ならば素晴らしいと思いますよ。論述問題は「人間性」を伝えるものです。大学の先生からすれば、これから入学する大学生たちはいわば「同じ研究をする仲間」です。嫌味のない、まっすぐな考え方をする人間を求めているはずです。かりにわからない問題が出題されたとしても、そこは逆に開き直って、自分の人間性を伝えてみたらどうでしょう。私はこういう人間なのだと訴えることによって、大学側にとって必要とされる人材ならば合格に達しますよ。
>B⑴…クイズ感覚で楽しめる、個人的に結構好きな問題です。D(国東半島)の「(富貴寺)大堂」は日本史の文化史で必ず履修しますし、E(能登半島)の「棚田」は中学校で使った地理の教科書の表紙(挿し絵)に載っていたため分かりました。
そうだったですか、本問は東大でしばしば登場する日本地理の難問ですよね。高校地理の範囲かはら逸脱している(例えば細かい日本の地名は中学受験地理(つまり小学生の学習内容です)の方が詳しかったりしますからね)。ただ、そういった問題であって、上記のような一般化によって「それなりの」解答ができてしまうのが東大の問題のおもしろさだと思います。単純な「うんちく」を問うているわけでもないんですよね。
次回も期待しています。
- 2024.10.06 08:22
- たつじん
‘19 第3問
設問A
(1)
知識産業に必要な高度人材・研究機関が存在し、情報も集まる東京都に情報通信業や学術研究が一極集中。(48字)
他地域と経済格差が拡大。(12字)
(2)
若年層流出、高齢化加速で、介護施設や医療サービスの需要増加。(30字)
未発達な製造業の雇用が少なく、就業者が医療・福祉分野へ流出。(30字)
(3)
震災・原発事故による観光客減少や、店舗・工場の被災で、宿泊業や製造業が衰退。(38字)
復興にあたり住居建設が進み、建設業が増加。(21字)
(4)
大都市圏から離れており製造業は不振。(18字)
一方、豊かな自然を活かした観光が盛んで宿泊業が発達する他、(30字)
公共事業で建設業も多い。(12字)
設問B
(2)
ニュータウン開発時の入居者の高齢化。(18字)
若年層の都心への流出。(11字)
(3)
グローバル化で国家間の人・モノ移動が活発化。(22字)
D半島は、国際分業を背景に航空輸送を利用した臨空港立地型のハイテク産業が、(37字)
E半島は、伝統産業を目的とする外国人観光客増加で観光業が発達。(31字)
A⑴…たった7都道県だけで「全国レベル」の変化が分かるのには驚きました。日本列島中心の滋賀を境とした「東京⇔大阪(大都市圏)」、「福島⇔高知(過疎地域)」、「北海道⇔沖縄(自然豊かな最南北端)」の対比構造は、「与えられた資料に過不足がない」、いかにも東大らしい問題ですね。
A⑵…動画視聴前、「陸続きで隣接する県が存在しない地域や山地面積割合が高い地域。他地域からの医療物資供給が不便で、それらの多くを自地域で賄う。(60字)」という頓珍漢な答案を作成してしまいました。(こちらは「医療、福祉」でなくても当てはまるという理由で誤りですよね…)
B⑴…クイズ感覚で楽しめる、個人的に結構好きな問題です。D(国東半島)の「(富貴寺)大堂」は日本史の文化史で必ず履修しますし、E(能登半島)の「棚田」は中学校で使った地理の教科書の表紙(挿し絵)に載っていたため分かりました。
今週もよろしくお願いいたします。
- 2024.09.14 08:33
- ドゥーチェ
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