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2020.08.17
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コメント
では添削いたします。
>2018 東大 第3問
>設問A(下線部の語句の直前に*を付記)
>(1)A-東京都 B-沖縄県 C-埼玉県 D-福岡県
こういったグラフは現在の値から考えるのがコツです。現在の日本で特に人口増加率の高い県は東京都と沖縄県ですので、AとBのいずれかがこれに該当します。
東京都の場合は高度経済成長期からバブル期にかけて、地価の高騰などで人口(常住人口)が郊外へと流出しました。このため、人口増加率は低い値(もしくはマイナス)となっています。2000年代以降は再開発による住宅開発によって都心への人口回帰が生じ、人口増加率が上がりました。Bが東京都ですね。
一方、Aが沖縄県となります。こちらは一定の高い人口増加率をキープしています。沖縄県の人口増加は自然増加によるものですね(経済レベルが低い地域ですので、社会増加はマイナスとなりますが、それをはるかに上回る自然増加率の高さなのです)。沖縄県の自然増加率が高い主な理由は、戦争による当時の若い世代の死亡ですね。今なら高齢者となっているはずのこの世代が大きく欠けており、一貫して死亡率が低くなっているのです(すでに戦争によって死んでしまっているわけですから、人はこれ以上死にません)。死亡率が低い状態で、高い出生率が維持されたならば、図のような高い人口増加率が続くわけです。
CとDについては現在の人口増加率はさほど高くありません。過去に注目してみましょう。東京都との対比でわかると思います。高度経済成長期からバブル期にかけて都心部から人口が郊外に流出し、多くのニュータウンが建設されました。ドーナツ化現象という言い方も知られていますね。「郊外」型のキャラクターを持つ県で特に人口増加率が上がり、Cが埼玉県となります。地方中枢都市のキャラクターを持つ福岡県はさほど極端な値とはなりません。
(2)これらの2県は東京や大阪といった*都市規模の大きな場所からの*距離が比較的近く、*移動が容易になっているため。
なるほど、この問題は決して難しい内容を問うているわけではないのですが、字数制限がキツく、さらに使用語句の指定もあり、かなり書きにくい問題となっていますね。この手の問題がスムーズに書ければ、合格は近いですよ。じっくり取り組んでみましょう。
まず山梨県と和歌山県ですが、「周辺の都府県」と比べて、人口減少が顕著になっていますね。周辺とはもちろん東京大都市圏、大阪大都市圏に含まれる都府県です。東京や大阪といった巨大な都市に近接するという有利な条件がありながら、なぜかこの二つの県は人口が大きく減っています。
おそらくこれは山がちな地形であるという自然環境に由来するものではないでしょうか。「距離」は近いものの「移動」が困難な地形が多く、決してアクセスは良くない。こういったことを順を追って正しく述べていけばいいと思いますよ。(ですので、移動は「容易」ではありませんよね。「困難」なはずです)
両県とも大都市からの距離は近いが、山がちな地形であるため、都心部へのアクセスは悪く、人口が流出している。(52字)
こういった形でしょうか。「距離」「地形」を使っています。工夫すれば「移動が困難」「高速交通が未整備」「東京や大阪など都市規模の大きな都市」のように他の言葉も使えたとは思いますが、これでもとくに問題ないと思います(満点は狙えないかもしれませんが。。。)
>(3)①が生じたのは、三大都市圏からの*距離が短いほうが*移動しやすくなっているため、②が生じたのは、新幹線等の*高速交通が発達している県の方が、*都市規模が大きく、人口が流出しづらいため。
なるほど、これはおそらく後半の方がポイントになっていますね。東北地方で仙台を抱える宮城県で人口減少率が低いことに注目してください。地方中枢都市の存在によって、人口が惹きつけられるわけですね。語群に「地方中枢都市」という言葉はありませんが、おそらく「広域中心都市」という言葉で代用せよということだと思います。ほぼ同じ意味ですからね。
①について。経済や産業の三大都市圏への集中が強まり、その周辺では人口の流出率が低い。②について。地方は大きく人口が減少しているが、広域中心都市では人口の流入がみられる。(84字)
こういったことだと思いますよ。決して難しい内容ではないと思います。言われてみれば納得できる、極めて簡単なことを、シンプルに解答(回答)するのが東大入試の特徴ですね。
>設問B
>(1)
>鹿児島の都市域は、当初の山麗から、錦江湾沿いに拡大した。
いいですね。沿岸部に拡大したことが述べられています。
>広島の都市域は、当初の氾濫原から、三角州、扇状地へと拡大した。
これも適当に思います。沖積平野の範囲で拡大した様子が述べられています。
>金沢の都市圏は、当初の扇状地から、氾濫原と周辺に拡大した。
「都市圏」ではなく「都市域」ですね。都市圏は通勤圏ですので、実際の市街地とは重なりません。注意してください。
>設問Bの地形条件の判別が曖昧です。
全体的にこのような感じで問題ないと思いますよ。僕もどうもこの問題にはちょっと疑問があります。入試問題としてどうなのかな、と。曖昧で答えにくい問題ですよね。
僕ならどうやって書くかな、と。ちょっと挑戦してみました。
金沢;内陸部の扇状地から沿岸部へ。海岸沿いにも拡大。
広島;三角州から沿岸部へ。内陸の扇状地や谷底平野へも拡大。
鹿児島;山地に接した狭隘な平野から海岸に沿って拡大。
いずれも釈然としませんね。。。金沢や広島は河川沿いということは分かるのですが、扇状地や三角州の判定が困難です。鹿児島にしても、そもそもの城跡の位置がちょっとわかりにくいですよね。丘陵に接しているのでしょうか。曖昧すぎますよね。東大の入試問題らしくないと思います。
>(2)両都市に共通する自然災害は、狭い海や湾からの高潮や洪水、周辺の山地からの土砂災害や崖崩れ、地滑りが考えられる。
なるほど、いずれの市街地も沿岸部と山間部へと拡大していますね。両方について書かないといけないので、かなり字数的に厳しくなります。箇条書きスタイルで、用語を書き連ねていくことが大切ですね。
沿岸部では台風の際の高潮や地震の際の液状化。内陸部の傾斜地では崖崩れや土石流。(39字)
字数は少ないですが、こんな感じでしょうか。どうも本問は解答しにくいですね。東大の問題としてはクオリティが低いような気が。。。
>設問C(下線部の語句には直前に*を付記)
>(1)大都市は*地価が高いため、オフィスや百貨店が集まり、*中心業務地区が形成される。生活圏は地価が大都市より安く、*生鮮食品も近郊農業によって手に入りやすいので、二者は区別されている。
これも曖昧な問題ですね。「大都市の土地利用と生活圏との関係」っていうのがよくわかりません。指定語句から書くべき内容を類推しないといけないでしょう。
大都市では、地価の高い都心部は中心業務地区であり買回り品を扱う商業施設も集まる。地価の安い郊外は生鮮食料品など最寄り品を扱う店舗が多く、都心部へと通う人々の生活圏となっている。(88字)
どうなんでしょうね。会話文を読んで僕がピンときたのは「買回り品」と「最寄品」なんですけどね。買回り品とは高級品や耐久消費財のことで、これを扱う商店は都心部に集まります。デパートですね。最寄品や日用雑貨や生鮮食料品で、人が住むところどこでもあります。コンビニやスーパーであり、「郊外」に限定はされないのですが、会話文を読む限り「近所のスーパー」に関する内容が、郊外に住む自分の家の近所のことを全体に取り上げられているようで、とくに「郊外」限定であっても問題ないかと思います。
本問については、「買回り品」「最寄品」という言葉が使われているかどうかが、勝敗の分かれ目だったと思いますよ。
>(2)日用品店は都市部よりも利益の出やすいニュータウン等の郊外への出店を増やし、都市部への出店に積極的でないため。
ん〜、、、「都市部」って何でしょうか?言葉の定義が曖昧だと思いますよ。「郊外」と対比させるならば「都心部」と言わないといけません。そもそも「都心部+郊外」が「都市圏」ですから、「都市圏=都市部」と定義するなら郊外も都市部に含まれますよ。こういった、ちょっとした言葉についても一つ一つの定義をしっかりさせてください。先程の問題の「買回り品」「最寄品」もそうなんですが、この辺りの言葉の使い方が上手くないように思いますよ。
論述問題は、むしろ「単語」を答える試験なのです。適切な言葉が用いられていればポイントとなります。「文章を書く」ことが大切なのではなく、「用語」を答えることこそ最優先にしてください。そこがちょっと弱点だったと思います。
都心部である。高地価により常住人口が減少し、最寄品を扱う店舗が減少。利便性の高い商業施設は郊外に多い。(51字)
こういった感じでしょうか。言葉の定義を一つ一つはっきりさせてくださいね。
全体的に自分の言葉で書こうとしている点が好感が持てます。今回は問題が難しかった(曖昧だった)と思いますよ。自分では不満足な解答になってしまったところもあったかと思いますが、気にしないでください。
それよりも「地方中枢都市」であったり「都市圏」、「買回り品」「最寄品」であったり、当然知っておくべきキーワードについての理解が足りないという弱点が明確になったことを良しとしないといけません。
拙著「間違えやすい地理B用語をセットで覚える本」(KADOKAWA)など利用して、言葉(用語)に対する感覚を磨いてください。
「文章を書く」のではなく「用語を答える」という意識を大切に。さらに過去問を積極的に解いて、その弱点を克服してくださいね。
- 2020.08.28 02:35
- たつじん
2018 東大 第3問
設問A(下線部の語句の直前に*を付記)
(1)A-東京都 B-沖縄県 C-埼玉県 D-福岡県
(2)これらの2県は東京や大阪といった*都市規模の大きな場所からの*距離が比較的近く、*移動が容易になっているため。
(3)①が生じたのは、三大都市圏からの*距離が短いほうが*移動しやすくなっているため、②が生じたのは、新幹線等の*高速交通が発達している県の方が、*都市規模が大きく、人口が流出しづらいため。
設問B
(1)鹿児島の都市域は、当初の山麗から、錦江湾沿いに拡大した。
広島の都市域は、当初の氾濫原から、三角州、扇状地へと拡大した。
金沢の都市圏は、当初の扇状地から、氾濫原と周辺に拡大した。
(2)両都市に共通する自然災害は、狭い海や湾からの高潮や洪水、周辺の山地からの土砂災害や崖崩れ、地滑りが考えられる。
設問C(下線部の語句には直前に*を付記)
(1)大都市は*地価が高いため、オフィスや百貨店が集まり、*中心業務地区が形成される。生活圏は地価が大都市より安く、*生鮮食品も近郊農業によって手に入りやすいので、二者は区別されている。
(2)日用品店は都市部よりも利益の出やすいニュータウン等の郊外への出店を増やし、都市部への出店に積極的でないため。
設問Bの地形条件の判別が曖昧です。
添削よろしくお願いします。
- 2020.08.23 17:25
- KZM
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