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2021.05.17

投稿フォーム383

すでにお申し込みされている添削メンバーの方のみ投稿ください(メンバー募集は4月で終わっています。追加募集の予定はありません)。最低、月に1回の投稿がノルマです。これが無き場合は登録取り消しになりますので、ご注意ください。

コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性があります。その際は他のフォームに再投稿していただけますでしょうか。お手数ですが、よろしくお願いいたします。(従来のDMによるお問い合わせは取りやめといたしました。ご理解くださいませ)

コメント

では添削いたします。

>2002第3問
>設問A
>(1)三角州

正解です。いいですね。「三角州」について、その名称から「三角形」をイメージしてしまう人が多いのですが、実際にはこのような河口部が海に向かって突き出した形になることが一般的です。視覚的に理解しましょうね。

>(2)洪水により河川が上流から大量の土砂を運搬した。土砂は勾配の小さい河口付近に堆積していき、海岸線は次第に海側に進んだ。

これは上手い表現ですね。とてもわかりやすいと思います。「勾配の小さい河口付近」という書き方が秀逸です。「海岸線が次第に海側に進んだ」という表現も的確に思います。

>(3)自然堤防

適切です。図の読解が正しくできています。小地形である「氾濫原」にみられる微地形として「自然堤防」と「後背湿地」があります。全体に低地の地形である氾濫原は水害を受けやすいところですが、その中でも浸水の被害を免れる場所として自然堤防がありますね。「水が豊かな地域では、水を避けるところ」に集落が立地しますが、それが氾濫原における自然堤防に該当します。河川沿いに「列村」がみられたら、それは自然堤防上に発生したものですね。

自然堤防は、数十センチから数メートル程度の微高地で、土が盛り上がっている様子を想像してください。洪水の際に河川から吐き出された比較的目の大きな土砂が、河川沿いに堆積します。周囲の土地より水捌けがよいので、この上に家屋が立てられるわけですね。

河川の氾濫の際には、河川から流出した水が自然堤防を越え、川の反対側の低地へと流れ込みます(後背湿地ですね)。自然堤防自体は水捌けのよい地形であり、さらに一段高い地形であるため(これを「高燥」といいます。「低湿」の反対です)、この上につくられた家屋は浸水を免れます。

>(4)後背湿地では稲作が盛んだったが、米需要が低下した。そのため広大で周囲に集落がないことを活かし、迷惑施設を建設した。

ちょっと疑問が残る解答ですね。まず「米需要が低下した」ことについては触れなくていいと思いますよ。それよりここでは「都市化」が進み(都市化については単に人口が増えたことと同義であると考えてください)、こうした公共施設の建設が必要になったことが理由になるかと思います。「米需要の低下」→「減反により水田が他の用途に転用される」ことはなるほどと思いますが、「他の用途」が「体育館」である必要はないわけですよね。理由を積極的の述べようという姿勢は素晴らしいと思いますが、よく考えると「米需要の低下」と「体育館の建設」の間には因果関係はありませんよね。

ここではシンプルに「かつては稲作が行われていた」ぐらいの書き方で十分です。

「後背湿地が広がり、かつては水田地帯だった。広い土地が確保出来ることから現在は体育館などの公共施設がつくられている。」(57字)

この程度の解答で良かったと思います。いろいろ書きたいことがあるのはわかるのですが、地形図をテーマとした問題の場合「見たまま」を述べるということも重要なテクニックではあるのです。

「迷惑施設」については下のコメントで。

>(5)相対的海面低下で沿岸州が陸地化した浜堤上に集落を形成。水はけの良い微高地のため洪水の被害が少なく、居住に適するから。

「浜堤(ひんてい)」について述べたものですね。この機会に浜堤についても理解を深めておくといいでしょう。以下が一般的な浜堤の定義です。

浜堤は、砂浜海岸において、海岸線に並行してみられる微高地です。数十センチから数メートル程度の土の盛り上がりをイメージしたらいいと思いますよ。つまり、海岸バージョンの自然堤防ですね。

ただ、成因が自然堤防とは違っており、自然堤防が河川の作用によって形成されたものであるのに対し、浜堤は波や風の力によるものです。海からの強い風や波によって砂が内陸部に向かって持ち上げられ、周囲よりやや高い地形がつくられます。これが浜堤です。自然堤防と同様に、河岸や海岸に沿って帯状の地形となり、この上につくられた集落は「列村」の形態となります。

なお、土地が隆起することで、海岸線が後退し(陸地が前進するということ。かつて海だった部分が陸地となる)、浜堤が海岸線から離れます。新たな海岸線に沿って、改めて浜堤がつくられることとなり、さらに集落が立地します。千葉県の九十九里平野においては、こうやって作られた何重もの「浜堤+列村」の組み合わせがみられることになります。

Koudaiさんは浜堤の形成のされ方について「沿岸州が陸地化した」としていますが、これも適切だと思いますよ。上述のように私はこういった言い方はしませんが、もちろんこちらのパターンも正解です。「微高地」も正しいですね。「洪水」も適切です。洪水には河川による氾濫もあれば、高潮によるものもありますからね。満点解答だと思います。

>設問B
海岸線付近の低地のため地震による津波と台風による高潮が起こる。地盤が軟弱なため地震による液状化現象が起こる。地下水の過剰揚水により地盤沈下が起こる。これらは人的被害や建物の倒壊を招く。(92字)

いいですね。短文の組合せで攻めているところがとても好ましいです。わかりやすい文章になっていますよ。

ちょっと気になるのは「人的被害」でしょうか。これがよくわからないのですが。地盤沈下によって足元がすくわれ転倒事故が増えたりすることなのでしょうか。とくに減点ポイントとも思わないので、このままでも構わないのですが、ちょっと気になったので。。。

字数制限は長いですが(120字)、使用語句が指定されており、それに従って論を進めることがアウトラインとして見えていますので、決して難しい問題ではなかったと思います。答えるべき内容は明確でしたね。

地震→液状化→地盤が水分を多く含む
台風→豪雨や高潮→浸水被害
地下水→過剰な汲み上げによる地盤沈下

Koudaiさんは「地震→津波」も解答に含めていますが、これはどちらでも良かったかなとは思います。津波の被害がとくに大きいのは三陸海岸のようなリアス海岸ですよね。もしリアス海岸がテーマとして問題で取り上げられていたら津波を挙げることは必須でしたが、本問の場合はそれに当てはまらないため、とくに言及はマストではなかったかなとも思います。

私はこのように書いてみました。

「台風など強い低気圧による激しい上昇気流と吹き込む風によって高潮が生じ洪水の危険性が高まる。地盤が軟弱で水分を多く含むため。地震の際には液状化の被害が生じる。工業地域である場合、地下水の過剰な揚水が行われ地盤沈下が発生する。」(111字)

このような感じでしょうか。120字制限ですが、3つの使用語句に沿って3つのトピックを一つずつ順番に書いていけばさほど困難ではないと思います。字数に余裕がありすぎて(目安は「30字=1トピック=1文」ですので、120字ならば4つのトピックを取り上げる余裕があります)、「余分なこと」を書く必要が生じている点に困難さがありますが、そこは工夫してみましょう。

質問1
体育館は迷惑施設と呼んでいいのでしょうか?

なるほど、そういう見方もあるのでしょうね。ただ、あくまで入試であることを考えると、そうしたネガティブな表現は避けた方が無難と思いますよ。体育館は本来ポジティブな目的のために使用されるものですよね。それなのに、ネガティブな面を強調するというのはいかがなものでしょう。たしかに体育館には、市民のスポーツ振興のために利用されるというメリットだけでなく、騒音や渋滞などデメリットあるかもしれません。しかし、だからといってデメリットばかりを取り上げれば採点者にとって、あまりいい気持ちはしませんよね。

同様に、体育館に比べてより「迷惑施設」の度合いが高い「ゴミ処理場」や「斎場(火葬場)」についても露骨に「迷惑」とは書かない方がいいと思いますよ。例えば「家屋の密集地を避けてつくられている」などといった書き方で十分に意味は伝わるはずです。

質問2
浜堤は自然堤防と似た性質をもつと考えてよろしいですか?

いいですね。とてもいい認識です。「土砂の堆積した微高地であり、その上に集落(列村)が成り立つ」という点において共通しています。その認識で間違いありません。

ただし、浜堤の場合はそれがしばしば海岸線に沿って何列にも重なって見られるケースが多々ありますよね。海岸線に沿って内陸側からA、B、Cの浜堤がみられる場合、最も古い時代に形成されたものがA、次がB、最も新しいものがCです。これは土地の隆起によるものです。かつてはA付近に海岸線があり、波の力によってAの浜堤がつくられました。やがて土地が隆起し、Bまで海岸線が進みます。Bの浜堤がつくられます。さらに隆起し、Cまで土地が広がりました。現在はCの浜堤がつくられているところです。

このように浜堤については「土地の隆起」とセットで出題されることがあるので注意してくださいね。自然堤防はもちろん土地の隆起や沈降とは全く関係ない地形です。

(おまけ)
浜堤とにた地形に「砂丘」があります。
なお、浜堤と砂丘は異なる地形ですので、注意してくださいね。砂丘は文字通り「砂の丘」で、規模の大きな地形です。地形図でみると等高線が示されている(つまり数十メートルの高さをもつ)ものも多くなっています。

砂丘に接して集落がつくられる場合は、浜堤のように「上」ではなく、「風下側」の斜面下に立地することが多いです。風対策ですね。日本海側ならば冬の北西季節風が強いため、これを避けるために砂丘の南東側に集落が自然発生することになります。



  • 2021.05.30 13:18
  • たつじん

2002第3問
設問A
(1)三角州

(2)洪水により河川が上流から大量の土砂を運搬した。土砂は勾配の小さい河口付近に堆積していき、海岸線は次第に海側に進んだ。

(3)自然堤防

(4)後背湿地では稲作が盛んだったが、米需要が低下した。そのため広大で周囲に集落がないことを活かし、迷惑施設を建設した。

(5)相対的海面低下で沿岸州が陸地化した浜堤上に集落を形成。水はけの良い微高地のため洪水の被害が少なく、居住に適するから。

設問B
海岸線付近の低地のため地震による津波と台風による高潮が起こる。地盤が軟弱なため地震による液状化現象が起こる。地下水の過剰揚水により地盤沈下が起こる。これらは人的被害や建物の倒壊を招く。


質問1
体育館は迷惑施設と呼んでいいのでしょうか?

質問2
浜堤は自然堤防と似た性質をもつと考えてよろしいですか?

  • 2021.05.24 17:49
  • Koudai

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