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2021.11.01
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コメント
では添削いたします。
>東大 2009年
>第2問
>設問A
>(1) ア-フランス イ-イギリス ウ-スペイン
適切です。とくに問題ありませんね。正解です。
>(2) イギリスでは、冷涼な気候に適した穀物の生産が多く、やせ地での栽培に適したいも類の生産も多い。スペインでは、温暖な気候を生かした野菜の輸送園芸が盛んで、乾燥高原での羊の飼育も多い。(89字)
いいですね。90字という余裕ある字数制限いっぱいを使って丁寧に説明できています。
まずイギリスの特徴について。まず冷涼であることが挙げられますね。さらに(氷河に削られ)地力に乏しいこともポイントになるかもしれません。これらは、やせた土壌や厳しい環境にも適応するジャガイモの生産と関連づけられます。
さらに、こちらが実は非常に重要になるのですが、イギリスは世界で最も生産性の高い農業を行っている国の一つです。農業就業人口割合が極めて低い(1%)であることはよく知られていると思います。省力化が進み、労働生産性が高くなります。
さらに大規模化が進み、農業従事者当たりの農地面積も広いものとなります。以前は小麦を輸入していましたが、現在は輸出国となっています。EUの共通農業政策の恩恵を最も受けた国といえます。ただ、本問の時点では穀類の自給率は「99%」であり、輸出については触れない方がいいかもしれませんね。穀物生産が増加し、農業収益が上がったイギリスは、今度は農業後進地域への援助金の負担を強いられることになります。農業支出金の負担増も、この国のEU離脱の一つの要因でした(このような国際政治に関する話題は、東大論述では問われないので、簡単に知っておけば十分です)。
以上のことを踏まえてまずイギリスについて記述しましょう。
「イはイギリス。大規模で生産性の高い小麦栽培が行われる。冷涼な気候でイモ類の生産も多い。」(43字)
後半はスペインですね。温暖な気候を生かした輸送園芸は適切です。野菜ですね。さらに家畜としては豚が重要です。イベリコ豚ですね。
スペインといえば地中海性気候=地中海式農業を思い浮かべますが、これについては今回はとくに触れる必要もなかったかと思います。地中海性気候は高温乾燥となる夏の気候に対応した農業形態であり、耐乾性の樹木栽培を原則とします。「地中海式農業=樹木農業」とも呼ばれています。たしかにスペインでは地中海性農業地域がみられ、オレンジ(灌漑による)やオリーブの栽培が行なわれていますね。
スペインについては次のような記述でしょう。
「ウはスペイン。温暖な気候を利用しての輸送園芸農業や養豚が盛ん。野菜や肉類は輸出される。」(43字)
自給率が100を超えているので、ここではあえて「輸出」を強調してみました。
2つの文を合わせた解答がこちらです。
「イはイギリス。大規模で生産性の高い小麦栽培が行われる。冷涼な気候でイモ類の生産も多い。ウはスペイン。温暖な気候を利用しての輸送園芸農業や養豚が盛ん。野菜や肉類は輸出される。」(86字)
>(3) 干拓地ポルダーでは、牧草地が広がっており、酪農が盛んである。また、沿岸の砂丘地帯では、園芸農業による野菜類の生産が多い。(60字)
うまいですね。「酪農」、「園芸農業」といったホイットルセー農牧業区分のキーワードが散りばめられています。オランダでは「干拓地=穀物栽培には適さない=牧草地として利用=酪農」、「海岸砂丘=水はけがよい=球根や野菜の栽培=園芸農業」です。とくにオランダは人口過密地域であり、都市出荷用の野菜(鶏卵や生乳を含む)が生産されるため、園芸農業の中でもとくに「近郊農業」と考えてしまっても構いません。
私も書いてみました。こんな感じでしょうか。
「海面下の干拓地が広く、牧草地として利用され酪農が行われる。海岸沿いには砂丘が広がり、野菜栽培など園芸農業が行われる。」(58字)
酪農と園芸農業を強調しています。「干拓地が広く」、「砂丘」など「国土の特性」のみに注目し、気候に関する記述は外しています。
>(4) 寒冷な気候であるため、裏作が難しく、米の単作が中心である。そして、米は熱量は高いが価格は低い。よって、比率(B)/(A)が低い。(60字)
いいですね。本問の最大のキーワードは米の「単作」でした。これと寒冷(雪)を絡めて記述することが求められています。
「熱量に比して価格の安い米の生産が盛ん。降雪に見舞われるため冬季の農業に適さないため、水田単作地帯となっている。」(55字)
私も書いてみました。前半で「熱量は大きいが価格が安い」ことんついて述べて、いったん文章を切っています。その後で改めて「これらの道県に共通する農業の特徴」として「冬に農業ができない」ことを説明しています。「水田単作地帯」については中学地理でも登場するキーワードですが、知らなければ無理に使う必要はないでしょう。北海道は野菜栽培や家畜の飼育もさかんで、全体としてみれば水田単作地帯とは言いにくいですからね。
>(5) 大都市に向けて野菜や果実を出荷する、園芸農業が盛んである。野菜や果実は熱量は低いが価格は高い。よって、比率(B)/(A)が高い。(60字)
いいですね。(3)の問題と対比的になっています。とくに低カロリー食品として「野菜」が重要ですね。「園芸農業」も適切に思います
私はこう書いてみました。
「熱量に比して価格の高い野菜栽培が盛ん。大都市圏から遠方にあり、温室での促成栽培を中心とした野菜の輸送園芸農業が行われる。」(60字)
果実は外し、とくにカロリーが低い野菜を中心に述べています。また、四国や九州南部の促成栽培をメインに論じてみました。
>設問B
>(1) ア-インドネシア イ-ベトナム ウ-タイ エ-フィリピン
問題ありません。適切です。
>(2) 大人口を養うために、食糧自給を達成するのが目的。農地の拡大や灌漑の整備及び、緑の革命による多収量品種の導入に取り組んだ。(60字)
いいですね。目的と内容を別個に述べています。こういった問題こそ、1つの文に無理矢理詰め込んでしまい、意味がわからなくなるケースが多いです。2つの文に分けるのは、解答のテクニックですね。
私はこう書いてみました。
「人口大国であり米は輸入に頼っていた。自給率を向上させるために、灌漑施設の整備、品種改良などによって米の増産に成功した。」(59字)
緑の革命という言葉もどこかに入れるべきだったとは思いますが、意味的には通用すると思います。
>設問C
> 経済成長を達成し、「所得水準」が向上した。「肉類」を多く消費する食生活となった。よって、家畜の飼料としての大豆の需要が急増した。(60字)
いいですね。2つの文の組み立てが意識されています。最初の文で「経済成長による食生活の変化」を述べ、後半の文で「肉類の飼料として大豆の需要が増えた」ことを述べているわけです。60字=2トピックですから、こうした2文の組み立てを真っ先に考える必要があります。今後もこの形式を意識してくださいね。
なお私はこう書いてみました。
「所得水準の向上により食生活が変化し肉類の消費が増加。飼料となる大豆が国内生産だけでは不足し輸入に依存するようになった。」(59字)
大豆の「需要が増えた」ことと並べて、「国内生産だけでは不足」という「供給の少なさ」にも言及しています。需要が増えても、国内生産も同じほど増えたら輸入する必要はないわけですからね。ちょっとしたことですが、こういったことも考慮してみてくださいね。
- 2021.11.11 09:45
- たつじん
東大 2009年
第2問
設問A
(1) ア-フランス イ-イギリス ウ-スペイン
(2) イギリスでは、冷涼な気候に適した穀物の生産が多く、やせ地での栽培に適したいも類の生産も多い。スペインでは、温暖な気候を生かした野菜の輸送園芸が盛んで、乾燥高原での羊の飼育も多い。(89字)
(3) 干拓地ポルダーでは、牧草地が広がっており、酪農が盛んである。また、沿岸の砂丘地帯では、園芸農業による野菜類の生産が多い。(60字)
(4) 寒冷な気候であるため、裏作が難しく、米の単作が中心である。そして、米は熱量は高いが価格は低い。よって、比率(B)/(A)が低い。(60字)
(5) 大都市に向けて野菜や果実を出荷する、園芸農業が盛んである。野菜や果実は熱量は低いが価格は高い。よって、比率(B)/(A)が高い。(60字)
設問B
(1) ア-インドネシア イ-ベトナム ウ-タイ エ-フィリピン
(2) 大人口を養うために、食糧自給を達成するのが目的。農地の拡大や灌漑の整備及び、緑の革命による多収量品種の導入に取り組んだ。(60字)
設問C
経済成長を達成し、「所得水準」が向上した。「肉類」を多く消費する食生活となった。よって、家畜の飼料としての大豆の需要が急増した。(60字)
- 2021.11.10 09:55
- チョウセイ
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