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2021.11.10
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コメント
では添削いたします。
>東大 2009年
>第3問
>設問A
>(1) a-医療業 b-食料品製造業 c-輸送用機械器具製造業
d-情報サービス業 e-宿泊業
いいですね。適切です。「福祉・介護の対象者の増加」により「医療業」の値が大きくなっている点にとくに注目してください。
>(2) 高齢化によって、介護や福祉関連の需要が高まっている。一方、政府の歳出削減で、公共事業が削減され、建設需要が低下している。(60字)
とてもいいですね。「公共事業」の縮小が原因であるとは目の付け所が素晴らしいです。
総合工事業の減少については、国の工業事業費の削減という側面があるのです。それまでの日本では、道路や施設など地方を対象とした公共事業が盛んに行われていました。これは「バラマキ」と批判されたこともありますが、地方へとお金を回すためには実は有効な経済対策でもあったのです。
そもそも「総合工事業」という言い方がわかりにくいですもんね。我々からすると、建設だけでなく、土木も含まれるのだなとピンとくるのですが高校生だとなかなか厳しいかも知れません。
同様に我々年代ですと、かつては公共事業によって地方の経済活性化が行われていたことを知っており、さらにそれらが地方への「ばら撒き」と揶揄されたり、「ハコモノ」と呼ばれた公共施設の利用者が少ないことを批判されたりなどの状況も見聞きしていますからね。
かつての自民党政権は「地方」の農村票が支持の基盤でした。ゆえに地方へとふんだんに予算を割き、それは公共事業費の拡大によって表されました。しかし21世紀の日本においては東京への一極集中が顕著になり、地方が顧みられることが少なくなりました。こういった背景が「総合工事業」の縮小につながっているような気もしますね。
※『2009年 第3問 設問A(2)』は、
『2019年 第3問 設問A(2)』と同じ内容が、『(3)』 とは逆の内容が問われていますね。
なるほど、そうでしたか。私も確認しておきますね。
>設問B
> 地方圏では、少子高齢化で「年齢構成」が著しく変化した。 税収の減少や社会保障費の増大に対応し、「財政」基盤を強化するともに「公共サービス」の効率化を図る。そのために、市町村の合併を推進した。(89字)
これもうまいですね。三段論法が意識されています。最初の文→次の文→最後の文 の組み立てが見事ですね。
与られた用語「公共サービス」「財政」「年齢構成」から「何を書いたらいいのか」を瞬時に読み取り、出題者の求める回答を提示できています。「自分の書きたいこと」より「出題者が書かせたいこと」を記述することは非常に重要ですね。
「公共サービスの効率化」という言い方はとてもわかりやすいと思いますよ。
私も書いてみました。
「地方圏のB圏の年齢構成は高齢者に偏り、経済を支える若年労働者の割合が低く財政基盤が弱い。公共サービスの拡充と財政健全化を目指し、中心市による周辺町村の編入や市町村合併が進行した。」(89字)
まず、地方圏で人口の年齢構成が偏っていることを述べ、それがなぜ問題なのかを説明しています。チョウセイさんの文章ならば「税収〜増大」ですね。そしてその解決策として市町村合併が行われたということを、時系列に沿って記述すればいいわけです。
「中心市による周辺町村の編入」とは要するに「市町村合併」のことなのですが、あえて分けて書いてみました。
それから個人的には「生産年齢人口」という言い方が好きではないので(高校生や大学生もこれに含まれることになりますね。また、65歳以上で働いているかたもたくさんいますので)この言葉は用いませんでした。ただ、だからといって「若年労働者」と言い切ってしまうのもどうかなとは思いますね。壮年や高齢者も含めたうまい言い方があればいいのですが。
>設問C
>(1) ア-郊外 イ-都心 ウ-中間
いいですね。非常に「モダン」な問題と思います。2010年代以降の日本の社会情勢をうまく示した問題です(もっとも、本問の出題は2009年ではありますが)。現代の日本の人口変化の特徴は、「郊外のニュータウンにおける高齢化の進行」と「都心への人口回帰」ですからね。トレンドに沿っています。
>(2) 1990年代前半までは、都心の地価高騰と郊外での宅地開発により、生産年齢人口が都心から郊外へ流出した。その後は、地価下落と再開発により宅地供給が増えたため、都心で生産年齢人口が増えた。現在は、経年により郊外に定住した世代の高齢化が進行している。(120字)
グラフを解析していきましょう。このグラフ、指数になっているからわかりにくいですが、老年人口割合や生産年齢人口割合といった「割合」を示すものではなく、老年人口と生産年齢人口そのものの「実数」を表すものですよね。まずはこの点を意識しておきましょう。
ア〜ウのそれぞれの変化を読み取ります。
ア(郊外)については、生産年齢人口も老年人口も1980年以降増加しています。しかし、生産年齢人口は1995年から停滞そして減少しているのに対し、老年人口は伸び方がさらに急になっています。
イ(都心)についてはトータルとして人口が減少し続けてきました。しかし、2000年以降は人口が増加し、とくに生産年齢人口の伸び方は顕著です。
ウ(中間)はおそらく地方都市などでしょう。非大都市圏に位置する。人口に大きな変化はありませんが、日本全体の人口動態の特徴である「微減」「老年人口の増加」をそのまま反映しています。
以上を考慮して、さらに考えを進めていきます。
都心と郊外の典型的な人口動態は以下のとおりです。
都心・・・最初は人口が減少しているが、現在は急増。
郊外・・・人口は増加しているが、現在は高齢者の割合が高まっている。
その原因について「住宅供給」と合わせて考えてみます。都心では、まず高い地価によって人口が減少していたものの、現在は「再開発」により多くの集合住宅が建設されたことが背景にあるはずです。郊外ではニュータウンの建設でしょうか。ただしそれは本図から考えるに1980年代までが中心であり、現在は住民構成の高齢化が際立ちます。
「都心では高地価で人口が郊外に流出したが、近年は再開発によって多くの集合住宅が建設され、とくに若年層の人口流入が目立つ。」(59字)
「郊外ではニュータウン建設によってとくに若い世代の入居が多かったが、現在は年齢構成の上昇により高齢者が増加している。」(57字)
これらを合わせて以下のようになります。
「都心では高地価で人口が郊外に流出したが、近年は再開発によって多くの集合住宅が建設され、とくに若年層の人口流入が目立つ。郊外ではニュータウン建設によってとくに若い世代の入居が多かったが、現在は年齢構成の上昇により高齢者が増加している。」(116字)
どうでしょうか。とくに難しい言葉は使っていませんが、無理のない説明にはなっていると思います。120という長い文章ですが、トピックを分化させ、さらに「出題者が求める内容」を意識して(今回は「住宅」ですね)文章を構築するのがコツです。
チョウセイさんの解答と比較してみましょう。
まず構成は大きく異なっていますね。もちろんいずれの構成でも良かったと思いますよ。
1)1990年代前半までは、都心の地価高騰と郊外での宅地開発により、生産年齢人口が都心から郊外へ流出した。
2)その後は、地価下落と再開発により宅地供給が増えたため、都心で生産年齢人口が増えた。
3)現在は、経年により郊外に定住した世代の高齢化が進行している。(120字)
チョウセイさんは、まず1)で過去に生じた都心と郊外との大まかな人口増減の様子を言い切り、2)や3)で現在の人口移動を説明しています。2)では都心、3)では郊外ですね。これはとてもいい組み立てだと思いますよ。
1)都心では高地価で人口が郊外に流出したが、近年は再開発によって多くの集合住宅が建設され、とくに若年層の人口流入が目立つ。
2)郊外ではニュータウン建設によってとくに若い世代の入居が多かったが、現在は年齢構成の上昇により高齢者が増加している。
私は2文構成で、1)で都心の過去と現在、2)で郊外の過去と現在を述べています。
キーワードとしては、都心は「地価高騰(高地価)」や「再開発」、郊外では「宅地開発(ニュータウン建設)」がありますね。
チョウセイさんは、都心部で流出した人口および流入した人口について「生産年齢人口」であることを強調していますね。大変適切だと思います。私は流出については年代ごとの区分を示していませんが、流入については「若年層」としています。
郊外では「高齢化(高齢者の増加)」がポイントですね。
字数制限に余裕があるので、いろいろな書き方ができたかと思います。東大論述で120字は長い方ですが、整理して組み立てを考えていけば、決して難しいものではありませんね。これからも長文問題に数多く取り組んでください。
- 2021.11.11 15:09
- たつじん
東大 2009年
第3問
設問A
(1) a-医療業 b-食料品製造業 c-輸送用機械器具製造業
d-情報サービス業 e-宿泊業
(2) 高齢化によって、介護や福祉関連の需要が高まっている。一方、政府の歳出削減で、公共事業が削減され、建設需要が低下している。(60字)
※『2009年 第3問 設問A(2)』は、
『2019年 第3問 設問A(2)』と同じ内容が、『(3)』 とは逆の内容が問われていますね。
設問B
地方圏では、少子高齢化で「年齢構成」が著しく変化した。 税収の減少や社会保障費の増大に対応し、「財政」基盤を強化するともに「公共サービス」の効率化を図る。そのために、市町村の合併を推進した。(89字)
設問C
(1) ア-郊外 イ-都心 ウ-中間
(2) 1990年代前半までは、都心の地価高騰と郊外での宅地開発により、生産年齢人口が都心から郊外へ流出した。その後は、地価下落と再開発により宅地供給が増えたため、都心で生産年齢人口が増えた。現在は、経年により郊外に定住した世代の高齢化が進行している。(120字)
- 2021.11.10 20:52
- チョウセイ
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