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2020.09.02
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コメント
では添削いたします。
>東大1995年度第1問
>A(1)ヴォルガ川
正解です。ヴォルガ川はヨーロッパ最長の河川ですので、地図帳でチェックしておくといいですね。モスクワを中心としたロシア平原を流域に収め、カスピ海へと流れ込みます。カスピ海のような外海へと流出河川のない湖を「内陸湖」と言い、内陸湖に注ぐ河川を「内陸河川」と言います。ヴォルガ川はその典型例ですね。カスピ海周辺地域(同時にヴォルガ川の河口付近でもあります)の乾燥がいかに激しいかが想像できます。
>(2)安定陸塊に属し東ヨーロッパ平原が広がる低平な地形である。亜寒帯湿潤気候区であり、気温の年較差が大きく冬季の寒さが厳しいが、降水量の年較差は小さい。
いいですね。的確に答えています。あまり複雑なことは書かずに、自分の知っていることだけを確実に答えるのがベストの解答です。
「地形」と「気候」の両面から説明している点が素晴らしいです。ただ「亜寒帯湿潤気候」については「冷帯湿潤気候」の方が一般的な言い方ですね。1文字節約できますし、こちらの方がいいと思いますよ。
私はこうやって書いてみました。
地形は先カンブリア代に造陸運動を受けた安定陸塊。ロシア卓状地の低平な地形。気候は上中流域で冷帯湿潤気候。土壌は灰白色のポドゾル。下流はステップ気候。黒土のチェルノーゼムが分布。(88字)
地形については「安定陸塊」であること、そして「ロシア卓状地」であることの2点を強調しています。卓状地は安定陸塊に含まれる地形ですね。東ヨーロッパ平原は、このように卓状地に分類される場合、構造平野に分類される場合の両方がありますので、良かったら知っておいてください。古代の岩盤の上に地層が乗り(つまり一時期は海底だったということですね)、長期間の侵食によって平坦な地形となりました。
気候については気候区分だけでなく、土壌にも言及しています。またボルガ川の最下流部(カスピ海沿岸)はステップ気候ですので、これにも触れています。黒土(チェルノーゼム)が分布しています。
>(3)降水量よりも湖面からの蒸発量が多いため、河川からの水の流入で湖水位が保たれていたが、綿花栽培の農業用水を確保するためにアムダリア・シルダリア川で灌漑が行われた結果、河川流入量が著しく減少し、湖への流入水量を湖面からの蒸発量が上回ったから。
これもいいですね。とてもわかり易いですよ。自分が知っている範囲の知識を確実に伝えようという意思が感じられ、好印象です。無理に「知ったかぶり」をすると減点対象です。背伸びする必要はありません。
全体が1文で言い切られていてさすがに長い印象がありますが、とくに問題ないでしょう。同じ文の中で「ため」が繰り返し使われているなど、ややぎこちない文章となっていますが、地理は現代文ではありません。細かい文章力の有無は問われませんし、逆にうまい文章を書くことで主張があいまいになることもあります。形式にとらわれず、エッセンスのみを伝えましょう。
私はこう書いてみました。
ソ連時代に中央アジアの綿花栽培地域の拡大がなされ、農業用の灌漑用水としてアムダリア・シルダリア川からの取水が行われたが、過剰であったため、アラル海への河川流入量が激減し、湖面面積が縮小した。湖面面積の縮小の度合いに伴って、湖面降水量も減少しているが、湖面縮小の直接的な原因ではない。(141字)
これを制限字数以内に縮めるわけですが、
ソ連時代に中央アジアの綿花栽培のため、農業用の灌漑用水としてアムダリア・シルダリア川からの取水が行われた。過剰であったため、アラル海への河川流入量が激減し、湖面面積が縮小。湖面降水量は、湖面縮小に伴いその分だけ減少している。(112字)
なんとも締まりのない文章になってしまい申し訳ありませんが、120字ですと、余裕をもって文章を組み立てることができますね。東大としては珍しい文字数の多さです。
>B(1)自動車の排気ガス。自動車の排気ガスに多く含まれる二酸化窒素の排出量が(ロ)では(イ)よりも多くなっているから。
これはいいですね。あえていえば「排気ガス」ですと「気」と「ガス」が意味的に重複しますので、ここは「排ガス」でいいでしょう。
>(2)1970年頃は工場のような固定発生源から二酸化硫黄などが排出され、工業地域で大気汚染が発生し、1990年頃は産業構造の変化と物流の発達、自動車の普及により人工集中地域で大気汚染が生じた。
うまいですね。今回の答案の全体から感じるのですが、自分の伝えたいことを自分の言葉で確実に伝える姿勢に好感が持てます。下手に文章力がある生徒ですと、文章を飾ってしまうのですよね。論述問題は「論文」ですから、脚色は不要です。シンプルに事実のみを挙げていけばいいのです。
唯一気になる点は、「工場からの二酸化硫黄の排出が減少した」理由について言及されていないところです。もちろん「産業構造の変化」(重工業からサービス業へ)も大きな理由の一つなのですが、やや足りないような気がします。高度経済成長期以降、日本では公害に対する規制が厳格化され、また脱硫技術の向上で工場から排出される硫黄酸化物は激減しました。こういった背景も調べておくといいですね。
私はこのように書いてみました。
規制の強化や技術の向上により二酸化硫黄の固定発生源であった工場からの排出は減少。一方、産業構造の変化や物流の活発化によって交通量が増し、人口集中地域である都市部からの二酸化窒素の排出は増加した。(97字)
ちょっと字数がオーバーしましたね。調整してみましょう。
規制の強化や技術の向上で二酸化硫黄の固定発生源である工場からの排出は減少。産業構造の変化や物流の活発化によって交通量が増し、人口集中地域である都市部からの二酸化窒素の排出は増加。(89字)
このような形にはなると思います。本問は「石炭の燃焼→二酸化硫黄」「自動車の排ガス→二酸化窒素」という組み合わせがわかっているかどうかが解答のポイントだと思います。前者は法律の整備、脱硫装置の設置などにより克服されましたが、後者は自動車が増加していることもあり有効な対策がありません。今後は電気自動車の普及で状況が変わるのかもしれませんが。
何回も触れていますが、とにかく「自分の言葉で書こうとしている」点が評価できます。さらにいろいろな問題にチャレンジしていきましょう。
- 2020.09.24 05:17
- たつじん
東大1995年度第1問
A(1)ヴォルガ川
(2)安定陸塊に属し東ヨーロッパ平原が広がる低平な地形である。亜寒帯湿潤気候区であり、気温の年較差が大きく冬季の寒さが厳しいが、降水量の年較差は小さい。
(3)降水量よりも湖面からの蒸発量が多いため、河川からの水の流入で湖水位が保たれていたが、綿花栽培の農業用水を確保するためにアムダリア・シルダリア川で灌漑が行われた結果、河川流入量が著しく減少し、湖への流入水量を湖面からの蒸発量が上回ったから。
B(1)自動車の排気ガス。自動車の排気ガスに多く含まれる二酸化窒素の排出量が(ロ)では(イ)よりも多くなっているから。
(2)1970年頃は工場のような固定発生源から二酸化硫黄などが排出され、工業地域で大気汚染が発生し、1990年頃は産業構造の変化と物流の発達、自動車の普及により人工集中地域で大気汚染が生じた。
- 2020.09.21 12:38
- あお
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