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2021.08.19

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では添削いたします。

>東大2021第一問設問

>A(1)陸では永久凍土の融解が進み地盤が陥没する。海では海氷が融解し新たな航路の開拓が行われる一方、魚類などの海洋資源が失われる上、生物の生息地域が変化し生態系が見出される。(83字)

いいですね。最初の文が短く切られている点が好印象です。とてもわかりやすいです。2つ目の文は長文ですが、主述関係や修飾、被修飾の関係に不整合はみられず、こちらもしっかり文意は通っています。(最後の「見出される」は「乱される」でしょうか)

図1―1を参照すると、「平均気温3℃以上上昇」するエリアは北半球の高緯度地域に限られていますね。シベリアの広い範囲が含まれ、永久凍土層が大きく融解することが予想されます。「地盤の陥没」はまさにその通りですね。あるいは永久凍土層に含まれていたメタンが大気中に発せられ、地球温暖化がさらに助長されることも考えられます。メタンは温室効果ガスの一つです。さらに降水量が増加することから、水によって地盤が大きく侵食されることも予想されます。字数に余裕があれば、これらに言及することもできたでしょう。

海洋については北極海が中心になります。年間を通じて氷に閉ざされている北極海ですが、気温上昇により海氷が融解し、新たな船舶の航路が設けられることが予想されます。さらにホッキョクグマなどの行動範囲が限られてしまうことから、生態系に大きな影響が与えられることも十分に考えられますね。

なお「魚類などの海洋資源が失われる」という部分は不要だったかなとは思います。氷が溶けることで移動が制限されてしまうホッキョクグマに比べれば、海中の魚類への影響は大きくないのではないでしょうか。むしろ(海の部分が増えるのですから)魚類やクジラなどの活動範囲は広がることになり、「海洋資源」は豊かになるかも知れません。やや不正確な印象の箇所です。

>(2)減少ーD 増加ーA

減少についてはDが該当しますね。このグラフは地中海性気候のものですが、南ヨーロッパは減少地域となっています。
増加についてはBが該当します。これはムンバイのグラフですね。インド半島西岸であり、増加地域となっています。
Aは熱帯雨林気候です。マレー半島(シンガポール)やコンゴ盆地です。増加でも減少でもありません。アマゾン低地にも熱帯雨林気候はみられますが、やや内陸部です。ブラジル北部が減少地域になっていますが、この範囲には熱帯雨林気候は含まれません。
Cは温暖湿潤気候です。日本やアメリカ合衆国東部ですが、こちらも増加、減少はみられません。

>(3)大気中の水蒸気量が減少し、干ばつや森林火災が生じる。

いいですね。「干ばつ」に言及できれば十分でした。字数を調整するために「大気中の水蒸気量が減少し」という部分を加えた点も評価できます。

>(4)順に、EU、インド、ロシア、日本

いいですね。1−4のグラフがわかりやすいと思います。aは絶対量でEU。人口および経済規模が大きい地域です。その分だけエネルギー消費も大きいはずです。
bは成長率に注目してインドです。21世紀に入り急激に増加しています。
cは減少していることからロシアです。大国ソ連が1991年に崩壊し、旧式の工場が閉鎖されるなど、工業生産が大幅に落ち、エネルギー消費も減りました。
dは日本です。1960年代に大きな伸びをしていますね。現在は停滞もしくは微増です。

1−5のグラフは補助的にみれば十分でしょう。

>(5)石炭中心の中国は太陽光発電によって国内の大規模需要に応えている。一方、石油や天然ガス中心のアメリカ合衆国はシェールオイルの開発でエネルギー自給率を高めている。(79字)

やや惜しいですね。「太陽光発電」については例えば「太陽光発電など」をしておくだけでもかなり違ったと思いますよ。中国は太陽光のみでなく多様な再生可能エネルギーの開発に積極的で、風力発電やバイオマスも重要なエネルギー源になっています。また巨大なサンシャダムを有するなど、水力発電量は世界最大です。

さらに「シェール」とは地下の頁岩(けつがん)層のことであり、ここには原油と天然ガスが埋蔵されています。シェールオイルに限定されず、シェールガスも含まれています。こちらも「など」を加えておくだけで、より正しい文になったと思います。

>B(1)順に、三角州、リアス海岸

これも惜しいですね。山地が沈降して形成された入江を「溺れ谷」というのですが、これが連続してみられる海岸を「リアス海岸」といいます。

チェサピーク湾は深い入江が一つみられるのみです。単独であるので「溺れ谷」となります。繰り返しますが、これがたくさん連続して「ノコギリの歯」のようになっているとリアス海岸なのです。

>(2)図1ー6では土砂が上流から河川の運搬により下流へと供給され堆積した。図1ー7では河谷が沈水し海水が侵入して形成された。

いいですね。文章を二つに切っている点もとてもわかりやすいです。問題ありません。前半の文章では「下流」でななく「河口付近の浅海底に堆積した」まで言及できればさらに良かったでしょう。

>(3)養殖業。外界に比べ波が穏やかである。周辺の大都市から生活排水や工場排水が流入し、湾内が汚染され、魚類の死滅につながる。

赤潮について説明しているとは思うのですが、その場合は「工場廃水(工場の場合は「廃水」です)」は不要ですし、「汚染」もふさわしい言葉ではありません。

生活排水(こちらは「排水」です)により「富栄養」になることを説明してください。

「養殖業。波が静かな入江で、河川から有機養分の供給がみられる。環境問題は赤潮。生活排水の流入で湾内が富栄養化する。」(56字)

こうした深い入江の場合、河川によって(適度な)有機養分が供給されることも養殖業にとっては有利な条件となります。ただ、その養分が過剰となってしまう(富栄養)ことでプランクトンが異常発生し、水域内の酸素を消費してしまうため、魚介類が死滅してしまいます。

「生活用水→富栄養化→赤潮」といった流れを意識してくださいね。

  • 2021.08.26 20:38
  • たつじん

東大2021第一問設問
A(1)陸では永久凍土の融解が進み地盤が陥没する。海では海氷が融解し新たな航路の開拓が行われる一方、魚類などの海洋資源が失われる上、生物の生息地域が変化し生態系が見出される。
(2)減少ーD 増加ーA
(3)大気中の水蒸気量が減少し、干ばつや森林火災が生じる。
(4)順に、EU、インド、ロシア、日本
(5)石炭中心の中国は太陽光発電によって国内の大規模需要に応えている。一方、石油や天然ガス中心のアメリカ合衆国はシェールオイルの開発でエネルギー自給率を高めている。
B(1)順に、三角州、リアス海岸
(2)図1ー6では土砂が上流から河川の運搬により下流へと供給され堆積した。図1ー7では河谷が沈水し海水が侵入して形成された。
(3)養殖業。外界に比べ波が穏やかである。周辺の大都市から生活排水や工場排水が流入し、湾内が汚染され、魚類の死滅につながる。

  • 2021.08.24 21:18
  • 万物

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