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2021.09.03
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コメント
では添削いたします。
>東大2013年度第1問
>添削よろしくお願いします、
>設問A
>(1)
高緯度では極高圧帯により少雨。氷河に覆われ風化が微弱。低緯度では中緯度高圧帯下で少雨。砂漠気候で乾燥。水が乏しい。
(58字)
まずは図の読解ですね。「風化作用の弱い地域」のうち、低緯度側にあるのは[北アフリカ]や「アラビア半島」ですね。砂漠であることは間違いありません。一方、高緯度側は「カナダ」や「ロシア」の広い範囲です。
まず風化について考えてみましょう。岩石が細かく砕かれて、細かな砂になる減少です。
主に二つのパターンがあります。
一つは「吸水と乾燥」によるもの。岩石が水を含み、それが乾きます。これが繰り返され、岩が砕かれます。
一つは「膨張と収縮」によるもの、短時間のうちに気温の上昇と下降などで岩石が膨張と収縮を繰り返し、やはり砕かれます。
「乾燥地域では水が少ないため吸水による風化作用が弱い。高緯度地域は気温日較差が小さく膨張収縮による風化作用が弱い。」(56字)
字数制限が厳しいので十分な解答とは言いにくいですが、こんな感じでしょうか。
>砂漠気候だと日較差が大きいので風化作用が大きいかと思いましたが、凡例では微妙な数値で記述に困りました…
なるほど、、、本問は難しいですね。たしかにおっしゃる通りにも思います。できなくても仕方なかったかも知れません。
なお、「極高圧帯」は北極点と南極点周辺であり、「高緯度」ならばむしろ「寒帯前線(亜寒帯低圧帯)であり、湿った気候になると思いますよ。やや事実誤認な印象です。
>(2)
赤道収束帯や季節風により多雨。枯れ葉等の分解が活発で腐葉土の形成。低緯度地域が多く、日射量の多さと年平均気温が高い。
(59字)
どうなんでしょう?まず「赤道収束帯」という言葉はありません。「熱帯収束帯」、「赤道無風帯」、「赤道低圧帯」、「低緯度低圧帯」のいずれかです。言葉の使い方には注意しましょう。
また、問題文で「土壌条件を除外」とありますので、「枯れ葉〜形成。」の部分は不適当になってしまいます。
ここは気温と降水量に特化して話しを進めるべきではないかと思いますよ。
「低緯度に位置し、太陽からの受熱量が大きいため気温が高い。熱帯収束帯や季節風の影響によって降水量も多い。(51字)」
こういうことを書けば十分だったと思いますよ。字数が多いわりに内容が薄い問題であり、ちょっと東大の問題としては例外的ですね。
>3)
aは大河川の流域に位置し、モンスーンによる季節性降雨が河川を氾濫させる。下流に上流からの養分が供給される。bはプレート境界付近の火山島で、噴火で土壌が更新。火山灰土壌は肥沃。
(88字)
いいですね。本問については部分点狙いでよかったと思います。問題が適切ではないと思いますよ(詳しくは後述)。
前半部分は十分に解答できていると思います。ただ、「季節的降雨」というのがちょっと気になりますね。「対流性降雨、低気圧性降雨、地形性降雨、前線性降雨」という降水パターンを示す言葉があります。「季節性降雨」としてしまうとそれらと混乱しますよね。「雨季の降雨」などにしてみたら良かったのではないでしょうか。
>シラス大地のイメージで、火山灰土壌≠農業用地のイメージがあったので、火山灰土壌がどう肥沃なのかは分かりませんでした…
そうなんですよ。この問題については私もおおいに疑問なのです。問題自体の完成度が低いとも思うのですが、あるいは東大の先生でこういった火山性の土壌に関する研究をされているかたがいらっしゃるのでしょうか。何ともわかりかねます。
例えば、火山灰に由来する土壌で肥沃とされているものに、東北地方の黒ボク土や関東地方の関東ロームがありますが、これも火山灰そのものに肥沃な成分が含まれているわけではありません。例えば関東ロームについては、富士山や浅間山の爆発により火山灰が関東平野に降り積もったわけですが(上空の偏西風の影響です)、この上に植物が繁茂し長い時間をかけて腐植が形成されたことが肥沃である理由です。
シラスについては桜島の火山灰が大隅半島に積もったものですよね。笠野原台地一帯をシラス台地とも言います。白っぽい色をしていることからシラスと呼ばれるようですね。
水はけが良いことから根菜の栽培に適し(というか、水もちが悪いので水田耕作には適さないわけですね)、鹿児島県西部から宮崎県南部にかけての一帯はサツマイモの栽培に特色がある地域となり、これが餌として豚や牛、鶏の飼育に利用されています。
とはいえ、だからといってシラスが肥沃とはいいにくいですよね。むしろ肥沃ではないからこそ、イモ類のような厳しい自然環境でも生育できる作物をつくっているわけですし。
以上より、本問についてはbの説明は何とも困難だったかと思います。部分点狙いで十分な設問だったでしょう。
おそらく私が受験生ならば火山灰に関することは全くわからないので(知らない知識については無理せず、自分のわかる範囲で解答することが大切です)、次のような解答をつくると思います。
「aでは河川氾濫による。夏季の南西季節風やサイクロンにより多雨となり、上流から周辺の沖積平野へと腐植土が運ばれる。bでは旺盛な植物の生育。年中高温多雨で腐植土が常時供給される。(87字)」
このような解答でも部分点なら十分に狙えたでしょう。完璧な正解にこだわらず、自分の書ける範囲で解答することも是としてください。
設問B
>(1)
斜面が削れて針葉樹林が消滅。斜面が削れて尾根から谷に変化。
(30字)
いいですね、これ。「尾根から谷に変化」という部分は地形図を正確に読み取れていますよ。十分な解答です。
>(2)
XからZに向けて流下した。流下の途中でY周辺の森林を砂礫地に変えながら、Z付近を侵食しながら流れ出た。
(52字)
なるほど、これもいいですね。私も書いてみたのですが、こういった感じです。
「土砂は崖を越えYへと溢れ出し、樹林地を砂礫地に変えた。谷に沿って南西方向に流下し、Zでは更に谷を深く削った。」(54字)
Zがさらに深い谷になったことを強調しています。ただ、つかのまさんの言い方(「侵食しながら」)でもちろん十分だったと思います。
>(3)
下流部の民家に土砂が流れて住宅地が壊滅。また、土砂崩れによる交通網の機能停止は、住民救助の遅れの二次被害を及ぼす。
(58字)
なるほど、これもおもしろいですね。二次被害にまで触れるとは興味深いと思います。決して模範解答ではないでしょうが、私が採点官なら高得点をつけると思います。
東大の問題はこのような「60字=2つのトピック」が多いですよね。形式にも慣れていきましょう。
私も書いてみました。
「土石流により建物が倒壊し、耕地や林地が土砂で埋まる。土砂が斜面を削ったり、谷を埋めるなど、地形の改変が生じる。」(56字)
前半の文は、建物や農地など「人工物」に対する被害です。後半の文は「自然地形」に関する被害です。このように明確な違いをもって文章を組み立てるのもコツです。
今回は問題がちょっと難しかったですよね。というか、そもそも問題として成り立っていないような気もします(火山灰土壌の部分など)。
それでも自分なりに解答を組み立て「ベスト」ではなくとも「ベター」な文章を提示したつかのまさんの能力はかなり高いと思います。感嘆しました。
この調子でペースを守ってさらに演習を続けていきましょう。
- 2021.09.12 00:29
- つかのま
東大2013年度第1問
添削よろしくお願いします、
設問A
(1)
高緯度では極高圧帯により少雨。氷河に覆われ風化が微弱。低緯度では中緯度高圧帯下で少雨。砂漠気候で乾燥。水が乏しい。
(58字)
砂漠気候だと日較差が大きいので風化作用が大きいかと思いましたが、凡例では微妙な数値で記述に困りました…
(2)
赤道収束帯や季節風により多雨。枯れ葉等の分解が活発で腐葉土の形成。低緯度地域が多く、日射量の多さと年平均気温が高い。
(59字)
(3)
aは大河川の流域に位置し、モンスーンによる季節性降雨が河川を氾濫させる。下流に上流からの養分が供給される。bはプレート境界付近の火山島で、噴火で土壌が更新。火山灰土壌は肥沃。
(88字)
シラス大地のイメージで、火山灰土壌≠農業用地のイメージがあったので、火山灰土壌がどう肥沃なのかは分かりませんでした…
設問B
(1)
斜面が削れて針葉樹林が消滅。斜面が削れて尾根から谷に変化。
(30字)
(2)
XからZに向けて流下した。流下の途中でY周辺の森林を砂礫地に変えながら、Z付近を侵食しながら流れ出た。
(52字)
(3)
下流部の民家に土砂が流れて住宅地が壊滅。また、土砂崩れによる交通網の機能停止は、住民救助の遅れの二次被害を及ぼす。
(58字)
- 2021.09.06 17:53
- つかのま
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