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2022.01.27
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コメント
では添削いたします。
>東京大学 2005年度
>第3問
>設問A
>(1)a – ④ b – ① c – ③ d – ②
本数で考えるのがベストでしょう。五千人の村は人口がかなり少なく(人口1万人で小学校が一つできる計算です、この村には小規模な小学校しかないでしょう)、バスを利用する人も限られています。
「人口10万人」の都市もどちらかといえば規模は小さいですよね。バスの本数も限られているといます。一方で郊外の住宅団地は通勤の時間帯にバスの本数が極端に多くなっている点に注目してください。
騒音規制などにより朝早くと夜遅くの離着陸が制限されているのが航空機ですよね。朝早くとも9時過ぎ、夜遅くとも10時前というのがいかにも航空機だったと思いますよ。
>(2)安価な労働力を求めて、中国で現地生産を行うようになった。そのため、中国へ交渉に向かうビジネス客が増えたから。
「現地生産」は使わない方がいいですね。現地で販売することを目的に工場が進出することで、アメリカ合衆国での日系の自動車工場がその例です。近年は中国でも現地生産が増えている(中国でつくった自動車を中国市場で販売する)のですが、「安価な労働力を求めて」と言っているのですから、ここは「現地生産」は適しません。
以下のように整理してみました。
(発展途上国に工場が進出する理由)
・安価な労働力の利用。1人当たりGNIが低い(賃金水準が低い)。
・土地も安く、輸出加工区の設置など行政からの支援もある。
・製品は日本へと逆輸入される。
(先進国に工場が進出する理由)
・現地生産。巨大なマーケットを有する(GNIが大きい)。
・とくにアメリカ合衆国には貿易摩擦の解消のため、日本から自動車工場が進出した。
・その国での販売を目的とし、日本への逆輸入はない。
このことから分かるように、中国への工場進出は「安価な労働力」を目的としたもので、現地生産ではありません。しかし、最近の傾向として、中国の国内市場が大きくなったことで、実は現地生産もみられないわけではないのです。自動車工業がこの例ですね。日系の自動車企業が設立され、中国市場での販売を狙って生産が行われます。この背景には中国の経済規模の大きさ(GNIの大きさ)がありますね。
ですので、無難な解答にするならば「人件費の安さ」ゆえ中国に進出する企業が増えたことだけを論ずるべきです。「現地生産」も言及したかったらならば、両者が別個のものであるというニュアンスを文章内に含めないといけません。
例えばこんな感じです。
「安価な生産コストに加え、現地生産を目的とした工場が多く中国に進出しビジネス客が増加。国際交流の活発化により観光客も増加。」(60字)
日本語としてはうまくありませんが、字数制限があるのでこれで目一杯です。中国に進出する日本企業の目的には2タイプあるのだということを強調しています。
さらに、後半の「観光客の増加」についても「国際交流の活発化」という理由を加えています。このように「理由→結果」の組み合わせを常に意識し、文章内に組み入れていくテクニックも学んでください。
>(3)人々が自家用車を持つようになり、買い物の際に、駐車場がない商店街より、郊外の大型商業施設を好むようになったから。
本問の難しいのは「モータリゼーション」と「ロードサイド」ですでに15文字を消費してしまっているという点なのです。60字ならば「2つのトピックを2つの文で」が大原則なのですが、本問は字数的にそれは厳しいですね。一つの内容をしっかり記述することがポイントです。
私はこう書いてみました。
「モータリゼーションの進展で駐車場を備えた郊外型ロードサイトショップに客が流れ、駅周辺など旧来の中心商店街が衰退した。」(58字)
問題文に「中心商店街」とあるので、これをそのまま生かした方が良かったと思います。また「郊外」ですから、これと対照的な言葉として「旧来」「駅前」などの言葉を加えています。ロードサイド店と中心商店街との対比を明確にしてみました。
>(4)山間部は過疎化が進み、高齢者が多い。自治体のバスは、高齢者の足となると同時に、安否確認の役割も持つ。
どうなんでしょう?バスの運転手さんが戸別訪問をして、一人一人がお元気かどうか確かめていくのでしょうか。さすがにそういうことはないと思いますよ。
例えばこう言った形はどうでしょう。
「不採算となり民間のバス路線は廃止された。高齢者や通学者など自家用車の利用が難しい人々のため自治体がバス路線を設けた。」(58字)
「民間→公営」となったことについては「採算」と関連づけてみました。過疎化によって民間バスが撤退し、(税金を使った)公営のバスに切り替わった様子を説明して欲しいのです。
>設問B
>(1)経済発展で企業が都心に集中して昼間人口が増えるとともに、地価高騰で若い世代が郊外で居を構えるようになったから。
「経済発展」が「企業が都心に集中」する理由ではないと思いますよ。都市圏が大きくなると、都市では「機能分化」が生じます。都心部に明確な中枢管理機能が集中する一方で、郊外には住宅地が拡大します。
いわば、これは都市の発達の過程では「当たり前」のことですので、とくに論ずる必要はなかったと思います。
また、「地価高騰」がどこの説明なのかわかりません。文章の後半にこの言葉があるので「郊外」が「地価高騰」しているのかと勘違いされてしまいますよ。
「都心では地価高騰で人口が減少。企業が集まるため昼間人口が大きくなる。地価の安い郊外で人口が増加。都心への通勤者も多い。」(59字)
例えばこう書くことができたと思いますよ。
私はこう考えてみました。
「都市圏」の正しい理解が必要な問題です。「都市圏=通勤圏」ですよね。そして「都市圏=都心部+郊外」です。
「都市圏」、「都心部」、「郊外」についてそれぞれ言葉の定義を厳密に考えながら、以下のような解答を作ってみました。
「地価高騰で都心部の人口が減少。都市圏の拡大で郊外の人口が増加。都市機能の集中が進む都心部へと郊外からの通勤者が増えた。」(59字)
どうでしょう?わかりやすいと思いませんか。「都心部の人口減少」「郊外の人口増加」「郊外から都心部への通勤者の増加」を順序立てて述べていくのです。
都心部での人口減少については「地価高騰」という言葉を理由として入れています。もちろん理由は地価高騰だけでないでしょうが(例えば「住環境の悪化」など)、字数制限を考えれば、細かく説明する部分でもないと思います。
「郊外」から「都心部」へと通勤者が生じていることを確実に述べています。結局、これが問題に対する「答え」ですからね。ここをしっかり述べることで得点になるはずです。
>(2)ドーナツ化現象で地価が急落した都心において再開発が行われ、大勢が入居可能な高層マンションが乱立したから。
「ドーナツ化現象」が理由で地価が急落というのはちょっと意味が通りにくいと思いますよ。
「地価高騰→ドーナツ化現象」なわけです。ドーナツ化現象が生じている限りは地価は高い状態のはずです。
例えば「バブル崩壊」などを理由にしてみてはどうですか?
例えばこうなります。
「バブル崩壊後に地価が下落。都心部で再開発が行なわれ、集合住宅も建設される。富裕層を中心に都心部へと転居する人が増えた。」(59字)
いわゆるジェントリフィケーションの説明になりますね。先進国の大都市では一般的にみられる状況です。
「大勢」は「多くの」で十分です。「乱立」はちょっといい言い方ではないと思いますよ。「多く建設された」とするべきでしょう。さらに言えば(1)で「居を構えた」とありますが、これも「流入した」や「転居した」のような表現が適切です。
地理は国語(現代文)ではありませんから、言葉はシンプルにしてください。とくに「乱立」という表現はちょっとネガティブな意味合いが入ってしまう気がします(「乱」という語は決していい意味では使いませんよね)。文章に余計な意味は与えず、フラットな表現を心がけて欲しいのです。
東大論述のコツは「文を短く切る」ことです。30字=1トピック(1文)」の組み立てを意識してください。まずは30字を単位として文を組み立ててみるのです。もちろんそこから1つの文につなげても構いませんが、あくまで意味的には「2つの文」に区切れるような形とするのです。
その方が丁寧な文章をつくることができますよ。
残りわずかな期間ですが、丁寧に「短い文」を書くという意識を持てば、論述力は比較的に上がるはずですよ。
- 2022.02.04 18:54
- たつじん
東京大学 2005年度
第3問
設問A
(1)a – ④ b – ① c – ③ d – ②
(2)安価な労働力を求めて、中国で現地生産を行うようになった。そのため、中国へ交渉に向かうビジネス客が増えたから。
(3)人々が自家用車を持つようになり、買い物の際に、駐車場がない商店街より、郊外の大型商業施設を好むようになったから。
(4)山間部は過疎化が進み、高齢者が多い。自治体のバスは、高齢者の足となると同時に、安否確認の役割も持つ。
設問B
(1)経済発展で企業が都心に集中して昼間人口が増えるとともに、地価高騰で若い世代が郊外で居を構えるようになったから。
(2)ドーナツ化現象で地価が急落した都心において再開発が行われ、大勢が入居可能な高層マンションが乱立したから。
よろしくお願いいたします。
- 2022.01.29 14:54
- ゆう
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