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2025.06.12
2116
2025年度たつじんオープン添削投稿フォームになります。第12回の分をこちらに投稿してください。
コメント
アボさんこんにちは。では添削いたします。
>2008年 第2問
B
(1)オイルショックや他国の台頭で重厚長大型の鉄鋼業から先端技術産業などの第三次産業へと変化した。
悪くないのですが、字数的にはどうなのでしょう?アボさんならもっと字数ギリギリを攻められたのではないですか?
「かつては鉄鋼業が盛んだったが新興国の台頭や設備の老朽化で衰退。現在は先端技術産業と大学との産学共同で発展している。」
他のかたの回答を例として挙げておきます。「衰退」→「再開発」という、いかにも「2つのトピックを用意しましたよ。これに沿って2つの文で答えてくださいね」という東大からのメッセージが聞こえる問題だと思いませんか?それに沿って素直に「2文=30字×2=2トピック」という骨組みに沿って回答すればいいのですよ。まずは「形」にこだわってください。
またオイルショックより(おそらくこのことは動画でもお話ししているかと思います)新興国の台頭や施設の老朽化の方が鉄鋼業衰退の理由としては一般的です。とくに米国の鉄鋼不況が深刻j化したのは1980年台であり、韓国をはじめとするニーズの急成長の時期(1980年代)と重なります。オイルショックは1970年代ですね。
>(2)中心部の居住環境の悪化によって周辺地区へ人口が流出した。
こういった問題の方がかえって難しかったのではありませんか。与えられた資料に沿って、そのまま回答するという形ですね。自分の主張を交えずに素直に書くという練習をしておきましょうね。
>(3)産業構造の変化によってエネルギー消費量が減少し、環境問題を緩和した。中心部の再開発や市街地の拡大によって過密問題が解消され、大気汚染などの環境問題の改善にもつながった。
こちらの文章はとてもリズムがいいですね。
・産業構造の変化(転換)→エネルギー消費量が減少→環境問題が緩和
・中心部の再開発→過密問題解消→大気汚染などの改善
因果関係が結びつくような論理構成を常に意識しましょうね。
>A
>(1)アー日本 イーアメリカ合衆国 ウードイツ エー中国 オー韓国
>(2)エ国は国内に豊富にある低品質の資源を用いて旧来の技術力に乏しい施設で安価な鉄鋼を大量に生産している。オ国は外国資本を積極的に取り入れ、高度な技術を活かしつつ、輸入した高品質の資源を利用して質の高い鉄鋼を生産している。
内容的には適切です。素晴らしい回答かと思います。ただ、現時点ではあくまで「形」に徹底的にこだわってほしいのですよ。2つの事例を対比させる問題って多く出題されますよね?その際に、それぞれに対比的なキーワードを配して、文章を組み上げてほしいのです。
(エ国)
「国内に豊富にある」
「低品質の資源」
「旧来の技術力に乏しい施設」
「安価な鉄鋼」
「大量」
(オ国)
「外国資本を積極的に取り入れ」
「高度な技術を活かしつつ」
「輸入した高品質の資源」
「質の高い鉄鋼」
これらが対比的な表現ですよね。内容をシンプルにして、さらに対比がわかりやすいように組み上げていくのです。
エ国の鉄鋼業は国内の低品質の資源を利用。技術力に乏しい旧来の施設にで低品位の鉄鋼を生産。内陸部に位置する小規模製鉄所。
オ国の鉄鋼業は輸入された高品質の資源を利用。高い技術力による最新鋭の施設で高品位の鉄鋼を生産。臨海部に位置する巨大工場。
アボさんのような「文章力」が高い受験生が陥ってしまうミスなのですが、回答として「文章」を書いてしまう癖があるのですよ。地理論述は自由作文でもエッセイでもありません。あえていえば「報告書」であり、「レジュメ」なのです。要点だけを箇条書きすることが求められるのです。その際に「対比的」はキーワードを配して、それぞれの違いが明確になるように仕上げるのです。
例えば「豊富に」や「大量」、「積極的」などは全てカットできますよね。それらの言葉を用いるのならば「内陸部(原料地指向)」であったり「臨海部(輸入に適した)」などのキーワードを入れた方がいいですよね。
文章を書くのではなく、単なる報告書やレポートを書くのだという意識があるとより適切な回答が書けるようになると思いますよ。文章力が高い人が陥るミスなのですよ。もちろんアボさんの高い文章力は国語(現代文)や小論文の際に大いに発揮してください。地理論述は単なる「報告書」だと割り切ってほしいのです。
>今回は鉄というテーマから様々な現象が発生するというのが興味深かったです。今回のピッツバーグのようなパターンは多々見られるのでしっかりと抑えておきたいと思いましたが、「ルネサンス計画」というのは初耳でした。
>A(2)で中国も外国企業からの高い技術を取り入れていると思っていましたが、大量生産を重要視するために老朽化した小規模工場が乱立しているということには驚きました。今週もよろしくお願いします。
とても鋭い視点ですよ。鉄鋼地域の移動については十分に理解されているとは思いますが、それが世界中のすべての国で生じていることも意識してくださいね。
原料地指向型(原料産地の多くは内陸部なので、内陸立地とも言えます)→臨海指向(輸入に適する)への移動ですね。
以下が「原料→臨海」の組合せです。
日本;室蘭・釜石・北九州→太平洋ベルト(鹿島・和歌山・倉敷・大分)
中国;三大鉄鋼基地(アンシャン・パオトウ・ウーハン)→パオシャン(シャンハイ近郊)
ドイツ;ルール(エッセンなど)→ブレーメン(ブレーメルハーフェン)
フランス;ロレーヌ→ダンケルク。フォス
イギリス;ミッドランド(バーミンガム)→カーディフ
アメリカ合衆国;ピッツバーグ→ボルチモア
中国についてもかつては内陸部ん三大鉄鋼基地が中心でした。しかし現在は資源を輸入に依存するようになっているので、臨海部が鉄鋼生産の中心になっています。
問題はあくまでこの2カ国の具体的な事例ですが、意味的には「鉄鋼業は内陸部(原料産地)から臨海部(輸入に適した港湾)へと移動する」というセオリーについて答えることが求めらえていますよね・。「具体」と「抽象」です。いわゆる「頭のいい」人はこの抽象化が得意なんですよね。知識をひたすら溜め込み具体的な事例のみ知ることは決して頭の良さとは関係ありません。物事を抽象化する力を養いましょうね。そしてそれが論述問題を解く上でのカギとなるのです。
次回も期待しています。
- 2025.06.24 17:57
- たつじん
2008年 第2問
B
(1)オイルショックや他国の台頭で重厚長大型の鉄鋼業から先端技術産業などの第三次産業へと変化した。
(2)中心部の居住環境の悪化によって周辺地区へ人口が流出した。
(3)産業構造の変化によってエネルギー消費量が減少し、環境問題を緩和した。中心部の再開発や市街地の拡大によって過密問題が解消され、大気汚染などの環境問題の改善にもつながった。
A
(1)アー日本 イーアメリカ合衆国 ウードイツ エー中国 オー韓国
(2)エ国は国内に豊富にある低品質の資源を用いて旧来の技術力に乏しい施設で安価な鉄鋼を大量に生産している。オ国は外国資本を積極的に取り入れ、高度な技術を活かしつつ、輸入した高品質の資源を利用して質の高い鉄鋼を生産している。
今回は鉄というテーマから様々な現象が発生するというのが興味深かったです。今回のピッツバーグのようなパターンは多々見られるのでしっかりと抑えておきたいと思いましたが、「ルネサンス計画」というのは初耳でした。A(2)で中国も外国企業からの高い技術を取り入れていると思っていましたが、大量生産を重要視するために老朽化した小規模工場が乱立しているということには驚きました。今週もよろしくお願いします。
- 2025.06.17 19:45
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