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2020.09.24

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コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性がありますので、ツイッター(@ts914)にDMをいただけますでしょうか。早々に対応いたします。

コメント

添削いたします。

>A
>(1)順に、フランス、イギリス、スペイン

適切です。とくに問題ありませんね。正解です。

>(2)イは冷涼な気候の下じゃがいもの栽培や大規模な小麦栽培が盛んでいも類・穀類の自給率が高く、ウは地中海式農業で野菜類の自給率が高く、養豚も盛んで肉類の自給率が高いため。

とてもいいですね。90字という制限に対し、イギリスとスペインの2か国について説明するため、各国45字ずつを意識したらいいですね。

(3)の方ではホイットルセー農牧業区分を答えることが重要となりますが、こちらの(2)はそうでもなさそうですね。イギリスは酪農、スペインは地中海式農業ですが、表中の作物(穀物やイモ類、野菜)とはあまり関係ありません。

まずイギリスの特徴について。まず冷涼であることが挙げられますね。さらに(氷河に削られ)地力に乏しいこともポイントになるかもしれません。これらは、やせた土壌や厳しい環境にも適応するジャガイモの生産と関連づけられます。

さらに、こちらが実は非常に重要になるのですが、イギリスは世界で最も生産性の高い農業を行っている国の一つです。農業就業人口割合が極めて低い(1%)であることはよく知られていると思います。省力化が進み、労働生産性が高くなります。

さらに大規模化が進み、農業従事者当たりの農地面積も広いものとなります。以前は小麦を輸入していましたが、現在は輸出国となっています。EUの共通農業政策の恩恵を最も受けた国といえます。ただ、本問の時点では穀類の自給率は「99%」であり、輸出については触れない方がいいかもしれませんね。穀物生産が増加し、農業収益が上がったイギリスは、今度は農業後進地域への援助金の負担を強いられることになります。農業支出金の負担増も、この国のEU離脱の一つの要因でした(このような国際政治に関する話題は、東大論述では問われないので、簡単に知っておけば十分です)。

以上のことを踏まえてまずイギリスについて記述しましょう。

イはイギリス。大規模で生産性の高い小麦栽培が行われる。冷涼な気候でイモ類の生産も多い。(43字)

後半はスペインですね。これも非常にいいと思います。スペインは豚の世界的な飼育国ですから、これに触れるのは適切です。ただし、ちょっと気になるのは「地中海性気候=野菜類」としていることです。地中海性気候は高温乾燥となる夏の気候に対応した農業形態であり、耐乾性の樹木栽培を原則とします。「地中海式農業=樹木農業」とも呼ばれています。たしかにスペインでは地中海性農業地域がみられ、オレンジ(灌漑による)やオリーブの栽培が行なわれていますが、これらは「野菜」ではありませんよね。野菜を栽培する農業形態は「園芸農業」であり、これは都市周辺で行なわれる「近郊農業」と遠隔地で行なわれる「輸送園芸農業」の二つがあります。スペインはヨーロッパの主要部(オランダやフランス北部、ドイツ西部)からは遠く、「輸送園芸農業」が該当するでしょう。もしくは農業区分に関する記述は避け、単に「温暖な気候で野菜が栽培される」だけでも構いません。

このような書き方はどうでしょう。

ウはスペイン。温暖な気候を利用しての輸送園芸農業や養豚が盛ん。野菜や肉類は輸出される。(43字)

自給率が100を超えているので、ここではあえて「輸出」を強調してみました。

>(3)冷涼な気候が卓越するが、低湿な干拓地では酪農が行われ、砂丘では野菜の栽培などの園芸農業が行われている。

こちらもいいですね。「酪農」、「園芸農業」といったホイットルセー農牧業区分のキーワードが散りばめられています。オランダでは「干拓地=穀物栽培には適さない=牧草地として利用=酪農」、「海岸砂丘=水はけがよい=球根や野菜の栽培=園芸農業」です。とくにオランダは人口過密地域であり、都市出荷用の野菜(鶏卵や生乳を含む)が生産されるため、園芸農業の中でもとくに「近郊農業」と考えてしまっても構いません。

私も書いてみました。こんな感じでしょうか。

海面下の干拓地が広く、牧草地として利用され酪農が行われる。海岸沿いには砂丘が広がり、野菜栽培など園芸農業が行われる。(58字)

酪農と園芸農業を強調しています。「国土の特性」のみに注目し、気候に関する記述は外しています。

>(4)降雪のある冬季に熱量は大きいが価格は安い米の生産が盛んであるため。

なるほど、表現したい内容はわかるのですが「冬季に米の生産が盛ん」ではちょっとおかしくありませんか。文章表現を工夫してみましょう。

「これらの道県に共通する農業の特徴」を回答することが求められていますね。まずこれについて述べてしまいましょう。それから付帯事項を続けていけばいいですね。

熱量に比して価格の安い米の生産が盛ん。降雪に見舞われるため冬季の農業に適さないため、水田単作地帯となっている。(55字)

こういった形はどうでしょう。前半で「熱量は大きいが価格が安い」ことんついて述べて、いったん文章を切っています。その後で改めて「冬に農業ができない」ことを説明しています。「水田単作地帯」については中学地理でも登場するキーワードですが、知らなければ無理に使う必要はないでしょう。北海道は野菜栽培や家畜の飼育もさかんで、全体としてみれば水田単作地帯とは言いにくいですからね。

>(5)熱量は低いが価格は高い果物類や野菜類などの生産が盛んであるため。(32字)

こちらも悪くありません。ただ、もうちょっと字数を稼いで欲しかったところです。(4)と同様の組み立てにしたらいいと思いますよ。まず「野菜の生産が盛ん」であることを述べ、その背景を「理由」として付け加えればいいのです。なお、果実は比較的熱量(カロリー)が高いため、ここでは外した方が無難でしょう。あくまで野菜に限定してしまっていいと思いますよ。

こんな形でどうでしょう。

熱量に比して価格の高い野菜栽培が盛ん。大都市圏から遠方にあり、温室での促成栽培を中心とした野菜の輸送園芸農業が行われる。(60字)

ホイットルセー農牧業区分を国内の農業において持ち出すことは不要ですが、本問ではあきらかに「関東地方=近郊農業」「四国・九州=輸送園芸農業」の対比がなされています。「園芸農業=近郊農業+輸送園芸農業」であり、輸送園芸農業という言葉を使うとより適切だったでしょう。

「温室での促成栽培」は中学地理でもよく取り上げられる話題ですね。ナスやピーマン、トマト、キューリなどの園芸野菜は輸送しやすい上に価格も高いので、本来の収穫期から外れ市場での出荷量が少ない時期(これを「端境期」といいます)に、四国や九州から東京圏へと運ばれます。

なかなかいいところを突いているのですが、全体としてやや惜しいところが感じられます。焦らずに、じっくり回答しましょう。

  • 2020.09.29 21:42
  • たつじん

東京大学2009年度第2問設問
A(1)順に、フランス、イギリス、スペイン
(2)イは冷涼な気候の下じゃがいもの栽培や大規模な小麦栽培が盛んでいも類・穀類の自給率が高く、ウは地中海式農業で野菜類の自給率が高く、養豚も盛んで肉類の自給率が高いため。
(3)冷涼な気候が卓越するが、低湿な干拓地では酪農が行われ、砂丘では野菜の栽培などの園芸農業が行われている。
(4)降雪のある冬季に熱量は大きいが価格は安い米の生産が盛んであるため。
(5)熱量は低いが価格は高い果物類や野菜類などの生産が盛んであるため。

  • 2020.09.29 09:51
  • 万物は流転する

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