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2021.11.21

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すでにお申し込みされている添削メンバーの方のみ投稿ください(メンバー募集は4月で終わっています。追加募集の予定はありません)。最低、月に1回の投稿がノルマです。これが無き場合は登録取り消しになりますので、ご注意ください。

コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性があります。その際は他のフォームに再投稿していただけますでしょうか。お手数ですが、よろしくお願いいたします。(従来のDMによるお問い合わせは取りやめといたしました。ご理解くださいませ)

コメント

遅れて申し訳ありません。添削いたします。

>東大 2005年

>第2問

>設問A

>(1) a-ラサ b-上海 c-ウルムチ d-香港

問題ないでしょう。適切です。

(2) 北京は、季節風の影響で、夏多雨冬乾燥となる。年中湿潤の秋田は、冬の季節風が海洋で水蒸気を供給され、冬期の方が降水量が多い。(60字)

本問の難しいのは60字で4トピック(北京の夏、北京の冬、秋田の夏、秋田の冬)を説明しないといけないところです。よって、どうしても強調と省略が必要になりますよね。夏についてはともに比較的降水量が多くなりますが(北京はやや少なく米作に十分な降水とはいえませんが、しかし冬より多雨であることは間違い無いですよね)、冬の降水量が全く違います。強調する部分は「冬の降水」であり、省略する部分は「夏の降水」です。このことが十分に意識されている適切な解答かと思いますよ。

北京について「夏多雨冬乾燥」はとくに問題ありませんが、せっかくなら表現を揃え「夏多雨冬少雨」でも良かったのではないでしょうか。とくに冬は平均気温がマイナスとなり理論上蒸発量がありませんので、「乾燥」とは断言しにくいですよね(乾燥は「降水量<蒸発量」です)。また夏についても必ずしも「湿潤」ではありません。北京は全体としては乾燥気候(ステップ気候)に分類され、基本的な状態として乾燥しています。そもそも乾燥しているからこそ米作ができないわけですからね。夏の気温は高く、蒸発量も多くなります。「湿潤」だと不正確になりかねませんから、冬と比べて「多雨」という言い方がベターだと思います。

なお、私はこう書いてみました。

ちなみに私はこのように書いてみました。

「北京は冬季少雨。シベリア高気圧の影響。秋田は冬の降水量が多い。日本海上空で水分を蓄えた北西季節風による降雪。」(54字)

やはり「シベリア高気圧」はキーワードとして含めたかったですね。季節風については「北西」と風向を加えるのがベターです。文字数の都合で夏の気候については触れることはできませんでしたが、これは止むを得ないでしょう。

>(3) 上海は、集約的「稲作」農業や、近郊農業による「野菜」栽培が見られる。乾燥地のウルムチは、「家畜」の遊牧他、オアシス農業が見られる。
(60字)

うまいですね。理想的な解答です。ホイットルセー農牧業区分のキーワードが使用できています。園芸農業ではなく近郊農業にしたのも適切だと思いますよ。ここでは都市近郊での野菜栽培に限定されているわけですし。

放牧ではなく「遊牧」という言葉を使っている点も評価が高いです。放牧は単なる一般名詞ですが、遊牧こそホイットルセー農牧業区分の特別な言葉ですよね。

私もこう書いています。

「上海付近では沖積平野での集約的稲作農業と野菜など近郊農業。ウルムチ付近は乾燥しており家畜の遊牧とオアシス農業の小麦作。」(59字)

「沖積平野」や「小麦」などの言葉を加えています。

>設問B

> 家畜の肉や乳製品を中心とした食生活である。多くの住民がイスラム教を信仰しているため、漢民族で消費の多い豚肉は食さない。
(59字)

いいですね。「漢民族で消費の多い」という付帯事項を加えているのは字数調整でしょうか。よく工夫されています。

ただ、ウイグルはじめ中央アジアは灌漑(オアシス農業)によって小麦の生産が比較的多く、ナンがよく食べられています。小麦や西アジアが原産であるなど、乾燥に強い作物です。遊牧文化のモンゴルとはこの点がちょっと異なっています。(余談ですが、トルコは世界で最も人口当たりの小麦消費が多い国です。中央アジアはトルコ系民族であり、その文化的影響も強いと思いますよ)。

「イスラームが信仰され豚は嫌悪される。乾燥に強い羊が遊牧されその肉や乳製品が食される。穀物は小麦中心。灌漑により栽培。」(58字)

こういった感じでしょうか。設問A(3)と重なる部分も多いですが問題ないでしょう。

>設問B

> イスラム教徒が多いため、漢民族が多く食す豚肉を忌避する。ハラールの羊肉や乳製品、小麦から作るナンを中心の食生活を送る。(59字)

こちらに書き直しがあったのですね。こちらの方がより適切な内容ですよ。「ハラール」を加えた点も興味深いと思います。


>設問C

> 改革開放政策によって発展した東部と、西部との経済格差の是正。(30字)西部で開発された電力や天然ガスの輸送による、東部の工業地域でのエネルギー不足の解消。(42字)西部少数民族による独立運動の封込め。(18字)
(計 90字)

どうなんでしょうね?「西部少数民族による独立運動の封じ込め」については記述する必要があったのでしょうか。地理は政治に関する科目ではありませんので、こういった政治的にデリケートな問題には触れない方がいいかと思いますよ。

我々の世代で政治に関心ある層は、多少「左寄り」の思想をもっている人が多く、「右寄り」の若い世代とは価値観が相違していたりします。それが採点に影響するとは思いませんが、一応頭に入れておいた方がいいかと思います。とくに本問のようにあえて中国を取り上げて出題しているわけですから、中国を研究対象としている先生が関わっている可能性が高く、あまりネガティブな話題を出すと印象が悪くなるかも知れません。

また、問題の求めるものが「そのような政策の背景」を述べることですよね。もちろん西部での資源開発のような具体的な政策の内容に触れることも適切ですが、それ以上に、そうしたことが行われるようになった理由(つまり背景)を強調しても良かったのでは。具体的には最初の文ですね。「改革開放〜是正」の部分にもう少し文字数を使うことも可能だったでしょう。

例えば私はこう書いてみました。

「改革開放政策や経済特区の設置で外資の導入が進み沿海部は経済発展を遂げたが、内陸部との格差は拡大。その是正のため西部大開発が行われ、内陸部の資源を沿海部へ送る西気東輸も行われた。」(88字)

こういった感じでしょうか。前半には「経済特区」や「外資の導入」による経済発展であるという「背景」を書き入れています。後半では「西部大開発」や「西気東輸」という言葉も使ってみました(西部内陸部の天然ガス資源を東部沿海部へ送る)。字数節約のため、シンプルにキーワードだけを挙げることも問題なかったと思います。
他に中国には「緑の長城計画」、「退耕還林」、「一帯一路構想」など様々なキーワードもありますので、チェックしておくといいでしょう。

  • 2021.11.24 15:36
  • たつじん

東大 2005年



第2問


設問A

(1) a-ラサ b-上海 c-ウルムチ d-香港

(2) 北京は、季節風の影響で、夏多雨冬乾燥となる。年中湿潤の秋田は、冬の季節風が海洋で水蒸気を供給され、冬期の方が降水量が多い。(60字)

(3) 上海は、集約的「稲作」農業や、近郊農業による「野菜」栽培が見られる。乾燥地のウルムチは、「家畜」の遊牧他、オアシス農業が見られる。
(60字)


設問B

 家畜の肉や乳製品を中心とした食生活である。多くの住民がイスラム教を信仰しているため、漢民族で消費の多い豚肉は食さない。
(59字)


設問B

 イスラム教徒が多いため、漢民族が多く食す豚肉を忌避する。ハラールの羊肉や乳製品、小麦から作るナンを中心の食生活を送る。(59字)


設問C

 改革開放政策によって発展した東部と、西部との経済格差の是正。(30字)西部で開発された電力や天然ガスの輸送による、東部の工業地域でのエネルギー不足の解消。(42字)西部少数民族による独立運動の封込め。(18字)
(計 90字)

  • 2021.11.22 09:40
  • チョウセイ

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