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2020.07.01

投稿フォーム109

コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性がありますので、ツイッター(@ts914)にDMをいただけますでしょうか。早々に対応いたします。

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添削いたします。

>東京大学2005年度第一問B

>(1)aーインドネシア bーインド cーカナダ

降水量と降水総量から面積が概算できますね。面積は、カナダ>インド>インドネシアです。適切な解答です。

>(2)外来河川のナイル川から安定した灌漑用水が得られるため。

いいですね。「外来河川」がキーワードであることは言うまでもありません。論述問題とはいえ、実はこのように特定の「語句」の知識が問われることが多いですね。思考力より、暗記による知識量が重要なのです。

>(3)フランスは少量の水で小麦などを栽培できる畑作中心だが、日本は多量の水を灌漑により制御する必要がある水田稲作中心のため。

これもいいですね。両国の農業の違いが明確に語られています。文字数が限られていますので、フランスと日本、それぞれの状況を区別して端的に記述することが求められる問題でした。素晴らしいです。

(4)灌漑用水の過剰散布で地下水位が上昇し、土壌中の塩分が地表に集積する塩害が発生し、耕作不毛地化が進行している。

こちらもいいですね。同じく字数が限定されているので「過剰書き
」スタイルが有効ですね。

一つ一つポイントを絞ってみていきます。

まず「地下水位」ですが、これが「上昇」したら水が増えることになってしまいます。ここは「低下」にしましょう。さらに「灌漑用水の過剰散布」はわかり切っていることですから、とくに記述の必要はないでしょう。それより、地下水位の低下によって何が起こるかを書いたほうがベターです。

例えば、以下のように。

地下水位の低下によって地盤沈下が生じる。

さらに「土壌中の塩分が地表に集積する」のがそもそも「塩害」であり、重ねて説明することはありません。塩害は不適切な灌漑によって生じるものですね。近年はサヘル地帯など伝統的な農業地域においては塩害の被害は縮小し、逆にアメリカ合衆国やオーストラリアの大規模灌漑地域でこそこれは深刻になっているようです。粗放的に機械を用いて大量散水すれば、なるほど塩害は深刻化しそうです。

例えば因果関係を強調するならば、以下のようにしてください。

大規模灌漑によって土壌が塩性化する。

あるいは、逆に、塩性化したからどういったことが生じるのか?に注目してもいいと思います。土壌の塩性化によって作物の生産性が下がるだけでなく、植物の生育も抑えられます。ステップにおける植生喪失すなわち「砂漠化」が生じるわけですね。

砂漠化は「土壌劣化」とも言い換えられます。植物がなくなることで、土を支える根がなくなります。アメリカ合衆国やオーストラリアの企業的な灌漑農業地域においては、土壌侵食(土壌流出)の被害が深刻化しています。

土壌の塩性化によって砂漠化が進行し、土壌流出が生じる。

こういったかたちはどうでしょう。

では、ここまで作った文をまとめてみます。

地下水位の低下によって地盤沈下が生じる。大規模灌漑によって土壌が塩性化する。土壌の塩性化によって砂漠化が進行し、土壌流出が生じる。

これで65字です。ちょっと調整して、以下のようになります。

過剰揚水によって地下水位が低下し地盤沈下が生じる。大規模灌漑によって土壌の塩性化が進行し、砂漠化、土壌流出が生じる。(58字)

こんな感じでしょうか。ちょっと難しい言い回しかもしれませんが「過剰揚水」という言葉を付け加えてみました。余裕があったら使ってみてください。また文を二つに分けているのですが(短文の積み重ねで構成するのは論述問題の鉄則ですね)、それぞれの文の末尾が「生じる」という同じ言葉が繰り返されています。

普通の文章ならば、これは絶対にNGですね。美しくありません。しかし論述問題は「作文」ではなく、普通の文章ではありません。要点だけ淡々と並べていけばいいのです。文章テクニックは必要とせず、こういった形でも全く問題はありません。

論述問題は「いかにキーワードを積み重ねるか」の試験です。実は「知識」に依存する部分が大きいのです。今回は例えば「外来河川」という言葉がうまく使えていましたね。言葉を適切に用いることを今後も意識してみてください。

とても素晴らしい解答でした。


  • 2020.07.06 00:04
  • たつじん

東京大学2005年度第一問B
(1)aーインドネシア
 bーインド
 cーカナダ
(2)外来河川のナイル川から安定した灌漑用水が得られるため。
(3)フランスは少量の水で小麦などを栽培できる畑作中心だが、日本は多量の水を灌漑により制御する必要がある水田稲作中心のため。
(4)灌漑用水の過剰散布で地下水位が上昇し、土壌中の塩分が地表に集積する塩害が発生し、耕作不毛地化が進行している。

  • 2020.07.05 14:22
  • 万物は流転する

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