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2018.01.11

冬期講習のコメント回答その2です

 センター直前となってしまい、すいません。冬期講習で頂いたコメントについての回答その2になります。参考程度に目を通していただければと思います。

 

では、どうぞ。

 

>ホワイトハイランド→白人に注目してケニアですか。

 

第2講の8番の問題ですね。その通りです。比較的気温が低く、衛生環境のよいケニアの高原(ホワイトハイランド)にはヨーロッパ系の白人が入植し、都市を建設しました。

 

>アフリカの内部の下の方にヨーロッパ風のが残っているのはケニアのナイロビと同じ感じですか。

 

これはそうだと思います。とくに南アフリカのヨハネスバーグなどは金鉱を中心に発達した鉱業都市ですが、金鉱を支配していたのはイギリスですし、ヨーロッパの支配が内陸部にまで及んだ典型的な例でしょう。

ギニア湾岸はとにかく伝染病が怖いんですよ。マラリアがやばいです。蚊などによって媒介されますが、熱帯の低地に蔓延しています。

アフリカ南部はさほど伝染病はなく、比較的ヨーロッパ人にとっても安全でした。しかし、現在はこの地域こそ世界で最も深刻なHIV(エイズ)の発症地域となっています。「熱帯=マラリア、南アフリカ=エイズ」と覚えておいてもいいかもしれませんね。

 

>アフリカの言語・宗教について重要なものを教えてください。

 

 アフリカの言語で最も重要なのはアラビア語です。北アフリカ(サハラ以北)のアラブ人が使用し、西アジアも含め、広い範囲で公用語となっています。例えばアルジェリアはフランス領でしたが、フランス語は公用語として採用されていません。ほとんどの住民が使用できるアラビア語があったからです。

 これに対し、中南アフリカでは多くの部族が存在し、さらに部族分布を無視して国境線が策定されたために特定の部族の言語を公用語とすることが困難でした。旧宗主国の言語が公用語として重用され、コートジボワールではフランス語、ナイジェリアでは英語が採用されています。

 民族言語としてとくに重要であるのはスワヒリ語です。インド洋に面した東アフリカ地域の言語で、ケニアでは英語のほか、このスワヒリ語も公用語となっています。

 余談ですが、南アフリカの公用語は英語とアフリカーンス語なのですが、このアフリカーンス語という言語はオランダ語のことなのです。名前だけみるとアフリカの部族の言語という感じがしますが、実は全然違うんですね。それだけに、スワヒリ語も公用語とされているケニアの事例はかなり珍しいのです。

 

 では宗教に行きましょう。アラブ人にはイスラム教徒が多いため(教典コーランはアラビア語で書かれています)北アフリカがイスラム地域なのは納得でしょう。さらにアラブ人が商業民族であったことも思い出してください。彼らの交易路沿いはイスラムに染められていました。アフリカの場合、北アフリカからサハラ砂漠を超えてサヘル地帯までアラブ商人が行き来し、岩塩を交易しましたが、これによりサヘル地帯は「ブラック・ムスリム(黒人・イスラム教徒)」地域となりました。出題率の高い国としてはセネガルがありますから、これを知っておくといいと思いますし。またナイジェリア北部の遊牧民もイスラム教徒です。さらに、最近出題された都市にトンブクトゥーがありますので、これもぜひ知っておきましょう。

 それから、キリスト教の伝播の歴史を考えるべき地域なのですが、エチオピアにキリスト教徒が多くなっています。パレスチナ(現在のイスラエル)の地を追われたキリスト教徒たちは紅海を下り、東アフリカの地へと降り立ちました。彼らが伝えた古代キリスト教(コプト派といいます)は、現在もエチオピアに根付いているのです。

 他については考慮する必要はないと思います。自然崇拝(アニミズム)に由来する伝統宗教が現在でも広く信仰されています。余談ですが、ギニア湾岸(ナイジェリア南部など)の伝統宗教はヴードゥー教です。奴隷として彼らが送られたアメリカ南部やカリブ海地域にもこの信者は多くいます。独特の教義や風習を有し、それが曲解され「ゾンビ」という怪物をハリウッド映画産業は生み出しました。

 

>理系選択ですが数学、英語と理科に時間をかけて地理の勉強時間確保できないです。最低地理は1日何時間取ればいいですか。

 

それでいいと思いますよ。というか、そうあるべきです。勉強の目的は受験ではありません。大学での研究のために、みなさんは勉強をするべきなのです。大学に入ってから重要となる数学や英語、理科の勉強に重心を置いて、地理はあくまでおまけで構わないと思います。もちろん、それは地理を軽視しろというわけではありませんが、あくまであなたたちが社会に対して追うべき役割は「理系学習者」としての使命なのです。地理は一生を決めるほどのものではありません。

 

>学校で地誌東南アジアが最近出ていないから出るかもしれないと聞いたんですが新大陸メインで勉強したほうがいいですか。

 

そうなんですよ。東南アジアが全然出ていないのです。最後に地誌で取り上げられたのが2001年なんで、15年以上出題がありません。私も去年はここを出題予想としたのです(そしたら中国が出ました)。ただし、追試験では比較地誌でフィリピンが登場していますので、ちょっと確率は下がったかな。

 

>なぜモナコやノルウェーはGNIが高いのですか。

 

いえ、モナコやノルウェーはGNIは小さいですよ(笑)

 

>大地形の暗記事項のポイントはどこですか。

 

超重要なのが海底地形です。海嶺と海溝は全てピックアップしておいてください。海嶺は「大西洋中央海嶺」、「インド洋中央海嶺」、「東太平洋海嶺」、それから南極の周囲にも海嶺はあります。

海溝は、太平洋の周囲(ただしアメリカ合衆国の太平洋岸にはありません)をチェック。さらにインドネシアのジャワ島やスマトラ島の南岸に沿うものも確認。

陸上の地形としては、新期造山帯と火山を別個に覚えてください。「新期造山帯=火山」と覚えている人がいますが、例外が多すぎて、むしろ無関係と考えた方が適切なほどです。

火山を伴わない新期造山帯として、知っておくべきは、「カルパティア山脈」と「カフカス山脈」です。ポーランドからルーマニアへと弓なりに連なるアルバティア山脈は、ヨーロッパ北部で唯一の新期造山帯です。カフカス山脈は、黒海とカスピ海の間の山脈で、この山脈とトルコ、イランを含む山岳地域には火山はありません(実は少しだけあるのですが、無視していいと思います。少なくとも[活火山]はありません)。

その反対で、新期造山帯に属さない火山もあります。「キリマンジャロ」と「ハワイ」です。アフリカ東部のキリマンジャロはアフリカ大地溝帯に沿い(これはプレートの広がる境界であり、海嶺が陸上に現れたものだと考えてください)。赤道直下ですが、標高が極めて高く、山頂付近は常に雪や氷河によって覆われています。

ハワイはプレートの中央部に形成された珍しい火山です(ホットスポットです)。プレートが東から西へと動いているので、ハワイ諸島もこれに対応して、東西につらなっています、

 

>タイは農業国だから都市人口率低いと聞きますが、プライメイトシティとも聞くのですが、どうなんですか?

 

数字で考えるのがポイントです。タイの都市人口割合は50%と、これは実はかなり低い値なのです(先進国は70%以上。50%はアフリカの後発発展途上国など)。タイの人口7000万人のうち、3500万人が都市に住み、残る3500万人が農村(つまり都市以外)に住むということなのです。これに対し、タイのプライメイトシティであるバンコクは人口800万人。総人口の10%が集まる一極集中です。ただ、都市人口が3500万人ということは、2500万人はバンコク以外の都市に住んでいるということですね。もちろん2500万人という値は大きなものとは思いません。タイの場合、「都市人口割合が低い」ということと「プライメイトシティが形成されている」ということが、「バンコク以外に大都市が存在しない」という点において両立しているのです。数字で考えれば、何の矛盾もないでしょう?言葉やそのイメージだけで決めつけるのではなく、数字で考えることが地理には必要なのです。

 

>タイはなぜコメが盛んなのに土地生産性はあんまりなんですか?コメの輸出があんまりなのも教えてください

 

コメは盛んですよ(笑)。コメが盛んだから土地生産性が低いのです。数字で考えましょう。土地生産性は、1ヘクタール当たりの収量の高低が目安となります。つまり「収量」÷「水田面積」なのです。タイは、大河川の沖積平野に低平な国土が広がり、水田に適した地形に恵まれています。つまり水田が大変広いわけですよね。土地生産性は、水田面積に反比例するのですから、当然、この値は下がります。どうですか?水田耕作が盛んだからこそ、土地生産性が低くなるのです。反対に、日本のような山がちな国土ならば水田に恵まれず、土地生産性を上げないと、十分な収量が保たれませんね。

 

さらに「コメの輸出があんまり」とのことですが、たしかにかつては世界最大の輸出国だったのが、現在はインドに抜かれて2位に落ちてしまいましたので、それをさして「あんまり」と言っているのでしょうか。ちょっと意味をわかりかねますが、そのつもりで回答しますね。

 

たしかに、最新の統計では、コメの輸出はインドが1位、タイが2位ですが、これだけをもって、「インドの方がタイよりコメの輸出がさかん」と言っていいのでしょうか。ここもやはり数字の感覺が大切になります。

 

輸出余力すなわち輸出する余裕について、インドとタイのどちらが上なのでしょう。自給率を考えてみましょう。自給率は、「生産量÷国内消費量」です。例えば日本はコメをほとんど自給していますが、一部を輸入していますので、自給率は95%です。同じく日本は小麦については自給率が10%なのですが、国内消費にあたり10%分しか国内で生産できず、90%を海外からの輸入に依存しているのです。一方、アメリカは小麦の世界的な輸出国であるため、自給率は100%を超えています。

 

さて、ここでインドとタイの米をめぐる状況について考えましょう。具体的な数字は調べないとわからないので割愛しますが、十分想像できると思います。

 

13億人の人口を誇るインドは世界2位のコメの生産国であり、その量は莫大なもののはずです。一方、タイは人口7000万人に過ぎず、コメの生産順位も世界5位です(ただ、これだけをみても、人口のわりにコメの生産が多いといえますね)。

 

コメはそもそも生産に比して輸出量が少ない作物なのですが、インドがたとえ世界最大のコメの輸出国である!としても、生産に対する輸出量の割合ってものすごく低いものに過ぎないと思いませんか?生産が圧倒的なのですから、全体からみれば輸出量は小さい。

 

それに対し、タイはそもそもの生産量が多くないのに、輸出は堂々世界2位です。生産量に対する輸出量の割合はかなり高いと思っていいのでは。

 

つまり、自給率を考えた場合、インドは100を僅かに上回る程度であるのに対し、タイの場合は100%をはるかに超える値となるはずです。タイの方が「輸出がさかん」と言って、まず間違いないと思います。

 

>普段ロジック頼りで8割安定していたのですが、この間のプレで5割なって不安で。

 

模試は無視してください。地理は科目研究が他より進んでいないので、模試の精度が極めて低いのです。傾向および難易度は実際のセンターとはかけ離れています。

 

>ウクライナは1人当たりのGNIがあんまりなのに、なぜ医療が充実しているのか教えてください。

 

これがよくわからないのですよ。1人当たりGNIが低い国は医療は発達していないはずで、ウクライナもその例にもれません。ただ、この国がかつてのソ連の一部で社会主義だったことの影響はあるかもしれません。「医療費に占める公的資金の割合」は高いと思います。たしかに模試で病床数のデータが出て(こういうわけのわからないデータが登場する時点で、模試がポンコツだってことですよ・笑)、この値がウクライナが高かったようですが、社会主義時代に国家の方針として病院が多くつくられているのでしょうね。でも、それが医療水準の高さにはつながらないと思いますよ。ベッドだけ多くても、医療機器が十分でなければ、まともな治療はできませんからね。

 

とりあえず。医療に限らず、「旧社会主義国は、民間ではなく、政府による公的資金の割合が高い」と覚えておいたらいいのではないでしょうか。

 

>知らない地名が出てきたらどうすればいいですか。過去問を問いていて4つ中3つ知らない地名があって焦りました。

 

いいではありませんか(笑)4つ中3つ知らない地名があれば、残った一つが答えですよ。センター試験にそもそもそんな難しい地名は出ませんし、そうしたものが登場した場合は、「外れ選択肢」の可能性が非常に高いです。出題者としては、絶対に選択肢を4つ用意しないといけないわけですよね。どうしたって、苦し紛れの選択肢はありますよ。特殊な地名や都市名をそうした選択肢で用いるケースはかなり多いと思いますよ。「知らないものは知らない」という考え方でいいではありませんか。知らない言葉(地名や都市名)が出てきたらラッキーに思ってください。それは答えにはなりませんから。正文判定問題(適当なものを選べ)ならば「誤文」であり、誤文判定問題(適当でないものを選べ)ならば「正文」になります。解答に選んではいけません。

 

>ヨーロッパの河川が覚えられません。それぞれどんな特徴があるのでしょうか。

 

3本の国際河川だけ覚えておいてください。「沿岸国の自由航行が認められている河川」のことです。「国際」とかいて「ふね」と読んでください。

ライン川は「工業」の河川であり、河口は「デルタ」となっています。中下流には炭田があり、ルール工業地帯が形成されました。河口のデルタを掘り込んで、ロッテルダムにユーロポートが建設されました。

エルベ川も「工業」ですが、こちらは河口が「エスチュアリー」です。中世の自治都市として発展したハンブルクが位置し、造船業など発達しています。

ドナウ川は「農業」の河川であり、河口は「デルタ」です。ハンガリー盆地には肥沃なレスが広がり、小麦とトウモロコシの栽培が行われています。余裕があれば、地図帳でドナウ川を確認し、「音楽の都・ウィーン」、「双子都市・ブダベスト(ブダとペストが合体)」、「旧ユーゴスラビアの首都・ベオグラード」を通過していることを確認しておきましょう。

 

 

というわけで、とりとめもなく書き連ねてしまいましたが、いかがだったでしょう。細かいところやわけのわからないところは無視してください。センターに特殊な知識は出題されませんから、あとはリラックスして楽しんでくれたらいいと思いますよ(^^)

 

 

 

 

 

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