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2020.05.28

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コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性がありますので、ツイッター(@ts914)にDMをいただけますでしょうか。早々に対応いたします。

コメント

では添削いたします。

>東大の地理27ヵ年_2017年度第3問(ヨーロッパと日本の産業・社会変化より)

これ、いい問題ですね。添削しながら非常に興味をそそられました。問題セレクトも的確です。問題を選ぶことによっても解答のセンスは磨かれます。とてもいいことですよ。

>設問A
(2)生産年齢人口が減少し高齢化が進んだことで、労働力の不足による経済の衰退や社会保障制度の維持が困難だと思われる

いいですね。内容的にとても正しい文章になっています。

少しずつ修正しましょうか。

まず「生産年齢人口」ですが、僕は実はあまりこの言葉を使いません。15〜64歳までの人口のことですよね。高校生や大学生も含んでしまい、あまり適当でないような。

さらに言えば、年少人口(0〜14)、生産年齢人口(15〜64)、老年人口(65〜)は、社会的な用語ではなく、人間を生物として捉えた場合の言葉なのです。年少人口はまだ子どもをつくる能力がなく、生産年齢人口は子をつくり育てる世代、老年人口は生物的には価値のない年代となるのです。もちろん、現在はこういった生物的な意味は薄まり、社会的経済的な概念として使うことが一般です。だから、もちろんのいさんのような用法は大正解ですよ。

ただ、僕なら生産年齢人口の代わりに「若年労働力」という言葉を用いますし、「高齢化が進む」にしても、これは「老年人口割合の上昇」という意味ですから、老年人口という概念を含んだものですよね。ここはそのまま直接的に「高齢者の増加」でいいと思いますよ。ウのグラフは割合を示したもので実数ではありませんが、そもそもスウェーデンの人口はこの20年間に大きな変化はしていないでしょうから、割合の上昇下降については実数の増加減少とそのままイコールと考えていいはずです。

もっとも、若年労働力としてしまえば、壮年や高齢者で仕事をしている人はどうなるんだというお叱りの声も聞こえてきますが、もちろんそういった世代の労働力も存在するものの、やはりカギとなるのは若い世代です。決して「労働者全体」を表す言葉ではありませんが、「若年(に代表される広い世代の)労働者」を意味すると考えていいと思います(それにしてもつくづく思うんですが、これを表すうまい言葉はないものかと。。。)。

さらに「二つ」とありますよね。これもわかりやすく書いた方がいいです。のいさんの答案も、よくみると「経済の衰退」「社会保障制度の維持が困難」と二つ書かれているのですが、もっと明確にプッシュした方が適切な回答(解答ではなく、回答。出題者に対する受け応え)になるでしょう。

若年層の減少により労働力が不足し、産業の衰退、経済の停滞が生じる。高齢者の増加によって医療費や社会保障費などの財政負担が深刻となる。(66字)

とりあえずこうしてみました。字数がオーバーしているので調整して、

若年層の減少で労働力が不足。産業の衰退や経済の停滞が生じる。高齢者の増加で医療費や社会保障費の財政負担が深刻となる。(58字)

「産業の衰退」は何となく入れてみたかっただけです。とくに必要ではありません。また、経済については「停滞」とした方がいいですよ。決まり文句のようなものです。経済は「作る」ものではなく「回す」ものですので、活性化や停滞という言い方がしっくり来ます。

それから「財政」について言及したので、医療「費」、社会保障「費」としました、「社会保障制度の維持」も適切な言い方ですが、こちらの方がより具体的な感じがすると思います。

(3)社会主義体制の崩壊による社会不安が、低出生・高死亡率に繋がったことと、EUの加盟による若年層の西欧への流出が原因である

こちらもいいですね。ただ、これものいさんのクセなんでしょうが、「二つ」答える必要があるのに、それを一気に言い切ってしまおうとする。二つの独立した文に切ってしまったらどうですか?地理は国語や小論文ではありませんから、高い文章力は不要です。文章を書くという意識を捨て、シンプルに「問題に答える」という気持ちを持ってください。

社会主義体制の崩壊により社会不安が増す。出生率の低下と死亡率の上昇により自然増加率がマイナスとなった。EU加盟により労働者の流動が自由化され、若年層が流出。社会増加率もマイナスとなった。(93字)

とりあえずこういった内容になるかとは思います。ただしさすがにこれでは文字数が多すぎるのでカットしないといけません。

社会主義体制崩壊による社会不安に伴い人口の自然減が生じた。EU加盟で若年層が西欧諸国へ流出し、社会減ともなった。(56字)

かなり苦しいですが、こんな感じでしょうか。

>(4)仕事に従事する女性の割合が高く女性の社会進出が活発であるため、育児と就労の両立ができる労働環境が整備されたから。

いいですね。スウェーデンが福祉国家ということはよく知られています。税金こそ高いと言われていますが、社会補償や年金制度などが整えられ、将来の不安が少ない国なので貯蓄率も低いようですね。

出生率の向上ためにさまざまな施策がなされ、一時期は合計特殊出生率が(人口置換水準である)2.1を上回ったことも。

字数も少なめであり、さらに使用語句も限定されているなど、コンパクトに要点だけ書くことが求められていますね。

「女性の社会進出が活発」という言い方はいいですね。これ、使える表現です。

「労働環境の整備」、これもいいですね。適切な表現です。

これらを使って「無理のない」文章を組み立てたらオッケイです。

女性の社会進出が活発であり仕事を持ちながら出産や子育てができるよう労働環境が整備された。十分な育児休暇や所得補償など。(59字)

二つの文に分け、最初の分でほぼ内容を全て言い切ってしまい、二つ目の文で具体例を加えています。女性だけでなく男性も育児休暇が取りやすいよう、法律が定められています。また休暇中でも十分な所得が得られるよう補償(保証)されています。余裕があれば、具体的にどんな方策がなされているか、調べておくといいですね。

>設問B
>(2)輸送用機械は関連産業の集積の利益や輸出・輸送の関係から転移しにくいが、電気機械は輸送し易いため安価な土地を求めるから

これもうまいですね。とくに「集積」という言葉には感心しました。輸送用機械の代表例である自動車工業は「集積立地」とされています。「関連産業」の集積が必須だからですね。

自動車など輸送用機械は関連産業の集積が必要であるため、他に移動しにくい。(36字)

「転移」より「移動」という表現の方がシンプルでいいとは思いますよ。

さらに電気機械ですが、こちらも「輸送しやすい」ことが絶対条件ですね。ただし、「安価」であるのは「土地」でしょうか。たしかに非大都市圏である「地方」は土地が安いですが、「労働力」も重要なファクターになりますよね。

電気機械は軽量高付加価値であり、労働コストや地価の安い地方に移動する。(35字)

こんな感じでしょうか。ここでは「軽量高付加価値」という便利な言葉を使ってみました。本来ならIC部品にこそ用いる言葉ですが、自動車に比べ軽量である電気機械に使ってもとくに問題ないと思います(ICも電気機械の一つですからね)。

字数を調整してみます。

自動車など輸送用機械は関連産業の集積が必要であり立地移動しない。軽量高付加価値の電気機械は労働費や地価の安い地方に移動。(60字)

無理やり詰め込んでみましたが、特に問題ないと思います。

>(3)リーマンショック後のアジア諸国との競争に敗れたデジタル家電の生産が多かった県は大幅に減少し、ICなどの輸出しても利益が十分に得られる産業が発展している県は減少をわずかに留められた。

なるほど、よく書けています。この問題、かなり難しかったと思いますよ。リーマンショックを取り上げた点は高く評価できます。

ちょっと私も書いてみますね。

デジタル家電の分野では、アジア地域の工業化により輸出が増え、競争力の弱い国内の工業地域は圧迫された。一方で、自動車工業、鉄鋼や化学などの基礎素材工業はその影響が少ない。(84字)

基本的にはこういった形かと思います。リーマンショックに代表される世界的な経済危機について言及できなかったのが残念ではあります。

本問のポイントは、表中の右列「出荷額等の上位業種」ですね。大きく値を減らしている県の主要業種は「電子部品等」や「情報通信機械」などのデジタル家電であるのに対し、さほど低下していない県は「輸送用機械」つまり自動車といった日本が長い間アドバンテージを持ち続けている「お家芸」的な工業種、そして鉄鋼や化学などの資本集約型工業です。とくに資本集約型工業については労働力に依存しませんから、(安価な労働力を目的として)海外に工場が立地移動しないことがわかるでしょう。

福岡と大分からIC工業をイメージしたことはわかるのですが、おそらくそれでは出題者の狙うところの解答には辿りつかないと思います。与えられている材料(使用する用語、表やグラフなど)から、「どういったことを回答することが求められているのか」といったことを想像しながら書くことが重要でした。

今回も非常によく書けていました。もちろん過去問集の解説はどんどん見ていいのですが、それを超えたオリジナリティある解答をつくろうという意思も感じます。

では次の答案についても1週間を目安に添削しますので、今しばらくお待ちください。

  • 2020.06.08 22:16
  • たつじん

のいです
東大の地理27ヵ年_2017年度第3問(ヨーロッパと日本の産業・社会変化より)

設問A
(2)生産年齢人口が減少し高齢化が進んだことで、労働力の不足による経済の衰退や社会保障制度の維持が困難だと思われる
(3)社会主義体制の崩壊による社会不安が、低出生・高死亡率に繋がったことと、EUの加盟による若年層の西欧への流出が原因である
(4)仕事に従事する女性の割合が高く女性の社会進出が活発であるため、育児と就労の両立ができる労働環境が整備されたから。

設問B
(2)輸送用機械は関連産業の集積の利益や輸出・輸送の関係から転移しにくいが、電気機械は輸送し易いため安価な土地を求めるから
(3)リーマンショック後のアジア諸国との競争に敗れたデジタル家電の生産が多かった県は大幅に減少し、ICなどの輸出しても利益が十分に得られる産業が発展している県は減少をわずかに留められた。

添削お願いします。

  • 2020.06.01 15:26
  • のい

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