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2020.10.30

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コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性がありますので、ツイッター(@ts914)にDMをいただけますでしょうか。早々に対応いたします。

コメント

では添削いたします。

>東京大学2005年度第3問

>設問A
>(1)a-④,b-①,c-②,d-③

なるほど、③と②が逆だったのですね。「人口10万人」の都市はどちらかといえば規模は小さいですよね。バスの本数も限られていると思います。一方で郊外の住宅団地は通勤の時間帯にバスの本数が極端に多くなっている点に注目してください。

>(2)労働力が安価な中国に工場を移し現地生産が行われたため、ビジネス客の利用が観光客とともに多くなったから。

ちょっと注意してくださいね。「現地生産」は現地で販売することを目的に生産活動を行うことで、「労働力が安価」であることとは直接的に関係するものではないのです。

(発展途上国に工場が進出する理由)
・安価な労働力の利用。1人当たりGNIが低い(賃金水準が低い)。
・土地も安く、輸出加工区の設置など行政からの支援もある。
・製品は日本へと逆輸入される。

(先進国に工場が進出する理由)
・現地生産。巨大なマーケットを有する(GNIが大きい)。
・とくにアメリカ合衆国には貿易摩擦の解消のため、日本から自動車工場が進出した。
・その国での販売を目的とし、日本への逆輸入はない。

このことから分かるように、中国への工場進出は「安価な労働力」を目的としたもので、現地生産ではありません。これはしっかり区別してください。

しかし、実は最近の傾向として、中国の国内市場が大きくなったことで、実は現地生産もみられるようになってきたことは事実です。自動車工業がこの例ですね。日系の自動車企業が設立され、中国市場での販売を狙って生産が行われます。この背景には中国の経済規模の大きさ(GNIの大きさ)がありますね。

ですので、無難な解答にするならば「人件費の安さ」ゆえ中国に進出する企業が増えたことだけを論ずるべきです。「現地生産」も言及したかったらならば、両者が別個のものであるというニュアンスを文章内に含めないといけません。

さらにもう一点。

春にさんの解答では、最初は「観光客」がメインだったのに、後から「ビジネス客」がくっついてきたようなニュアンスを感じます。これはもちろん反対ですよね。まずビジネス目的の旅客があり、そして近年観光目的の旅客も増えてきたという順番なはずです。例えば、日系企業の進出数では中国が最大ですが、観光客数ではアメリカ合衆国(ハワイも含む)の方が多いわけです。日本にとって中国がビジネスパートナーであって、観光旅行の対象としては決してトップではありません。

以上のことを踏まえて、こうした文章をつくってみました。

安価な生産コストに加え、現地生産を目的とした工場が多く中国に進出しビジネス客が増加。国際交流の活発化により観光客も増加。(60字)

日本語としてはうまくありませんが、字数制限があるのでこれで目一杯とは思います。中国に進出する日本企業の目的には2タイプあるのだということを強調しています。

さらに、後半の「観光客の増加」についても「国際交流の活発化」という理由を加えています。このように「理由→結果」の組み合わせを常に意識し、文章内に組み入れていくテクニックも学んでください。

>(3)住民の高齢化にともなって、過疎化が進んだから。

2行ですから(60字)もう少し長い文章にして欲しかったところです。出題者側の意図としても、簡単に答えられる問題だからこそ、貴方自身のオリジナルの見解を聞きたかったところなのだと思いますよ。

また、ここでは「過疎化」はキーワードになりません。過疎化は(4)の問題のメインテーマなわけですから、ここでは「地方中小都市」の「中心商店街」特有の事象について述べないといけません。

もちろんキーワードは「モータリゼーション」ですね。そして「ロードサイド」だと思います。

60字制限ですと、本来は2つのトピック(例えば文章を二つの文に分けるなどして)について述べるのが基本ですが、今回は「モータリゼーション」で9字、「ロードサイド」で6字を消費してしまい、多くのことが述べられません。1つの文にしてみました。

モータリゼーションの進展で駐車場を備えた郊外型ロードサイトショップに客が流れ、駅周辺など旧来の中心商店街が衰退した。(58字)

問題文に「中心商店街」とあるので、これをそのまま生かした方が良かったと思います。また「郊外」ですから、これと対照的な言葉として「旧来」「駅前」などの言葉を加えています。ロードサイド店と中心商店街との対比を明確にすることが本問のポイントですね。

>(4)過疎化が進んだ山間部では、高齢者が自家用車を手放すきっかけとなったり、通学者の利用に役立ったりしている。

なるほど、言いたいことはわかるのですが、ちょっと方向性がずれている部分もありますね。

「高齢者が自家用車を手放すきっかけ」となるのは、「バスの運行」を原因とした結果ですよね。「バスが運行しているので、自家用車を手放す」ということだと思います。ただ、本問ではそのような「因果関係」を問うているわけではありません。「このようなバスの運行」が主語ですよ。「このようなバス」とは何でしょう。それは「自治体」によるバスですよね。なぜ民間ではなく自治体がバスを運行しているのだろう、といった観点から解答をつくるべきでした。

例えばこんな感じです。

不採算となり民間のバス路線は廃止された。高齢者や通学者など自家用車の利用が難しい人々のため自治体がバス路線を設けた。(58字)

「過疎化」や「民営化」も使いたかったのですが、ちょっと厳しかったですね。とはいえ、言いたいことはほぼ含まれた解答となっています。

「果たしている役割」を直接的に答えているわけではないかも知れませんが、主題である「民間→自治体」への変化についてはしっかり理由を述べています(不採算ということですね)。地理は経済が重視される科目ですので、常に広く経済を捉える視点は持っておいてください。

>設問B
>(1)都心部での勤務に際して、そこで働く人が地方から通勤するため。

「地方」ですか???これはさすがに不適切に思いますよ。言葉の定義をしっかりしてください。

「都市圏=通勤圏」ですよね。

そして「都市圏=都心部+郊外」です。

都心部へと通勤してくるのは都市圏内の人に限られ、都市圏外すなわち「地方」の人々は都市圏とは無関係になります。

つまり、地方から都心部に通勤してくるのは理論的に不可能なのです。

こういった言葉の使い方、より慎重になってください。

地理は「理系」的な科目です。言葉の定義は厳密であり、そこに曖昧さは許されません。国語的なニュアンスや雰囲気といったものとは無縁の科目なのです。

「都市圏」、「都心部」、「郊外」についてそれぞれ言葉の定義を厳密に考えながら、以下のような解答を作ってみました。

地価高騰で都心部の人口が減少。都市圏の拡大で郊外の人口が増加。都市機能の集中が進む都心部へと郊外からの通勤者が増えた。(59字)

どうでしょう?わかりやすいと思いませんか。「都心部の人口減少」「郊外の人口増加」「郊外から都心部への通勤者の増加」を順序立てて述べていくのです。

都心部での人口減少については「地価高騰」という言葉を理由として入れています。もちろん理由は地価高騰だけでないでしょうが(例えば「住環境の悪化」など)、字数制限を考えれば、細かく説明する部分でもないと思います。

「郊外」から「都心部」へと通勤者が生じていることを確実に述べています。結局、これが問題に対する「答え」ですからね。ここをしっかり述べることで得点になるはずです。


>(2)バブル経済の影響で地価が安くなり、再開発によってマンションが建設され、都心部に人が集まるようになったから。

「バブル経済」では地価は上昇しましたよね。「バブル経済崩壊」ならわかるのですが。。。

「都心部に人が集まる」も極めて曖昧な言い方です。都市圏において郊外から都心部に通勤により「人が集まる」のか、休日にレジャーを楽しむために遠隔地から都心部に「人が集まる」のか、転居して都心部に移住して「人が集まる」のか、明確に言い切らないといけません。

おそらく自分では理解しているのだろうと思うのですが(だから知識が足りないわけではありませんよ。今さら「基礎」固めなどは不要です。演習によって「訓練」するしかありません)、それを表現する段階で「曖昧」になってしまっているのです。[言葉]に注意してくださいね。

バブル崩壊後に地価が下落。都心部で再開発が行なわれ、集合住宅も建設される。富裕層を中心に都心部へと転居する人が増えた。(59字)

どうでしょうか。「上手い文章を書かない」のがコツだと思いますよ。事実のみを時系列に沿って淡々と記述する。これだけで答えになりますよね。「文章」を書こうとして、逆に「言葉」への意識が低下しているような気がします。難しいことは書かなくていいのですから、むしろ簡単なことを確実に記述しましょう。

>時刻表は自分の感覚とずれていて確認が必要だと思いました。

そうでしたか。ただ、本問で判定が難しいのはaの過疎地域とbの航空機の判定だったと思いますよ(航空機は通勤時間帯の運行がない)。そこができているので問題ありません。

>また、設問全体を通して、要求されていることにうまく答えられていない回答をしてしまい、そこを次からはしっかり詰めていこうと強く感じました。

素晴らしいと思いますよ。その意識が大切です。「解答」ではなく「回答」を書くのだという気持ちが重要です。

>設問A(3)の地理的要因は最初に書くときは思いつかなかったです...。

そうでしたか、これは比較的基本的な問題と思うのですが。ただ、こうした二次試験の場合、満点を取る必要はありませんし、多少のロスは織り込み済みです。わからない問題はすっぱり諦め、他の部分で部分点を狙っていけばいいと思いますよ。

全体的に見て気になるのは。やはり言葉の使い方ですね。「安価な労働力」を目的とした工場進出と「現地生産」を目的とした工場進出は違いますよね。これ、曖昧なままにしていませんか。
さらに「都市圏」についても「地方」をいう言葉を安易に使ってしまっています。地方ならば「都市圏外」であり、ここから都心部に通勤することは不可能です。

地理には科学的な視点が必要になります。こうした言葉を厳密に捉える点において、意外なことに理系の受験生の方が優れた面があります。文系はどうしても「雰囲気」や「直感」に頼ってしまうのです。次回はこういった点に気をつけて、言葉の定義に一つ一つ留意して「回答」を導いてくださいね。

  • 2020.11.05 17:39
  • たつじん

東京大学2005年度第3問

設問A
(1)a-④,b-①,c-②,d-③
(2)労働力が安価な中国に工場を移し現地生産が行われたため、ビジネス客の利用が観光客とともに多くなったから。
(3)住民の高齢化にともなって、過疎化が進んだから。
(4)過疎化が進んだ山間部では、高齢者が自家用車を手放すきっかけとなったり、通学者の利用に役立ったりしている。

設問B
(1)都心部での勤務に際して、そこで働く人が地方から通勤するため。
(2)バブル経済の影響で地価が安くなり、再開発によってマンションが建設され、都心部に人が集まるようになったから。


時刻表は自分の感覚とずれていて確認が必要だと思いました。また、設問全体を通して、要求されていることにうまく答えられていない回答をしてしまい、そこを次からはしっかり詰めていこうと強く感じました。設問A(3)の地理的要因は最初に書くときは思いつかなかったです...。

  • 2020.11.01 23:49
  • 春に笑ふために

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