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2020.10.30

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コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性がありますので、ツイッター(@ts914)にDMをいただけますでしょうか。早々に対応いたします。

コメント

では添削いたします。

>東大 2002 第三問

>設問A
>(1)三角州

正解です。いいですね。「三角州」について、その名称から「三角形」をイメージしてしまう人が多いのですが、実際にはこのような河口部が海に向かって突き出した形になることが一般的です。視覚的に理解しましょうね。

>(2)河川が流域の土砂を侵食•運搬して河口に堆積させる。洪水により河川の外側にも堆積させる。この繰り返しにより海退した。(58/60)

なるほど、自分の言葉を使って適切に説明できています。とてもわかりやすいと思いますよ。

個人的には「沖積平野(沖積低地)」という言葉も使って欲しかったとは思いますが。

沖積平野とは、沖積世すなわち現在、つくられつつある平野のことで、具体的には河川の作用によって形成された(形成されるもの)を考えたらいいと思います。「扇状地」、「氾濫原」、「三角州」を含みます。ただ、扇状地は平野の最も山地寄りの箇所に形成されるもの(山地と平野の境界)であるため、今回のYやXの範囲からは外れるでしょう。「氾濫原」と「三角州」についてしっかり述べれば、それで正解となります。

氾濫原は河川中下流の低地で、河川の氾濫によって洪水の被害も大きいところです。「土砂が洪水などにより広く堆積した」ことはまさしく正解となります。三角州も同様に堆積による地形です。目の細かい土砂(泥や粘土)が河口の浅い海底に堆積し、新しく陸地が形成されました。

Xが「三角州」なのですから、これを含む広い地形として「沖積低地」が形成されたことに言及しても良かったかなとは思いますよ。

河川により上流部で侵食された土砂が運搬され、堆積することで沖積低地が形成された。また離水により陸地が拡大し海退が進んだ。(60字)

さらにここでは「離水」も加えました。離水とは相対的に陸地が持ち上がることであり、土地の隆起あるいは海水の減少があります。関東地方は内陸部が台地(洪積台地)、沿岸部が海岸平野です。かつては関東地方の広い範囲は海面下でした。それが隆起により、かつての低地は台地となり、浅い海底は陸化して海岸平野とよばれる、海岸に沿う細長い平野となりました(九十九里平野など)。このように関東平野に生じた土地の動きも考慮にいれたならば、「離水」について述べることもできたでしょう。

>(3)自然堤防

適切です。小地形である「氾濫原」にみられる微地形として「自然堤防」と「後背湿地」があります。全体に低地の地形である氾濫原は水害を受けやすいところですが、その中でも浸水の被害を免れる場所として自然堤防がありますね。「水が豊かな地域では、水を避けるところ」に集落が立地しますが、それが氾濫原における自然堤防に該当します。河川沿いに「列村」がみられたら、それは自然堤防上に発生したものですね。

自然堤防は、数十センチから数メートル程度の微高地で、土が盛り上がっている様子を想像してください。洪水の際に河川から吐き出された比較的目の大きな土砂が、河川沿いに堆積します。周囲の土地より水捌けがよいので、この上に家屋が立てられるわけですね。

河川の氾濫の際には、河川から流出した水が自然堤防を越え、川の反対側の低地へと流れ込みます(後背湿地ですね)。自然堤防自体は水捌けのよい地形であり、さらに一段高い地形であるため(これを「高燥」といいます。「低湿」の反対です)、この上につくられた家屋は浸水を免れます。


>(4)かつては水持ちがよく、水利の良いため水田として利用されていた。今は集落の子供を教育するための学校となっている。(57/60)

悪くはないのですが。。。「水持ちがよく、水利の良い」は同じようなことを二回繰り返している印象ですし、ひとまとめにしてしまった方がいいと思います。また「集落の子供を教育するための」という部分は不要だったかと。そもそも学校にはそういった機能がありますからね。

本問の難しいのは、書くことが求められている内容は簡単であるのに、60字という必要以上に長い文字数制限が設定されている点です。60字ならば2つのトピックを用意して欲しいと思います。例えば、一つがかつて水田として利用されていた理由として「低湿」を挙げていいと思いますし、もう一つは公共の大型施設(ごみ焼却場や体育館、さらにその形状から野球場や陸上運動場があることもわかります)がつくられた理由として「広い土地が得やすい」ことが挙げられたと思います。

さらにせっかくなので「後背湿地」という地理用語も使ってみてはどうだったでしょう。

低湿な後背湿地であり水田として利用されていた。現在は広い土地が得やすいため大型の公共施設が建設された。(51字)

字数がやや短いですので、これに加え「区画整理が進み」、「用水路が整備され」、「宅地開発も進み」など述べても良かったでしょう。

>(5)集落があるのは、波による堆積と海退により海岸線と平行に出来た浜堤。浜堤は微高地なため浸水を防げて畑作ができるから。(58/60)

これは素晴らしいですね。ほぼ満点だと思います。「浜堤」をしっかり挙げ、その成因を最初の文で説明しています。続く文ではその特徴について「微高地」という言葉を用いてさらに説明を続けています。

やや文章表現に改善できる場所もあるので、書き直してみますね。

集落は浜堤に立地。浜堤は海岸線に平行する微高地で波による土砂の堆積と土地の隆起により形成。浸水被害が避けられる。(56字)

「ある」を「立地」、「できた」を「形成」にするとオシャレな文章になりますよ。

また、本来なら「波による土砂の運番と堆積」としたかったのですが、字数が厳しく、こういった形になりました。さらに「土地の隆起」により内陸部に複数の浜堤がみられることを説明したかったのですが、これも曖昧になってしまいました。

なお、「畑作」は関係ないと思いますよ。自然堤防同様に「水害」を防ぐことができるのが浜堤に集落が立地する理由です。むしろ堤間湿地(浜堤の間の低地)を水田に利用でき、水田との近接性こそ有利な点かも知れません。人間が生きるのに必要なものは、やはり「米」ですからね。水田に近いこと、これこそ集落立地の最大の要因なのです。

>設問B
>海に面した低平な土地のため台風などの低気圧とそれによる強風で波が高くなった際に高潮。土壌が粘土質で緩いため、地震の際の液状化現象や地盤沈下。地下水としての排水機能が弱いため大雨の際に洪水。低平なため温暖化による海面上昇で水没が起こる。
(119/120)

悪くはありませんが、思い込みで書いているような気がしますね。

最も気になるのは「地盤沈下」ですが、これは地震によって生じるものでしょうか?地震によって地盤沈下が起こった例が仮にあったとしても、それは一般的なものではなく、少なくとも地理という科目においては地震と地盤沈下は結びつきません。

地盤沈下の原因は(よく知られているように)地下水の汲み上げすぎですよね。主に工業用水として地下水を過剰に揚水してしまうため、地盤沈下が生じるのです。

指定された使用語句は3つです。「台風」、「地震」、「地下水」です。それぞれ「台風=高潮」、「地震=液状化」、「地下水=地盤沈下」に関連させて記述すればいいわけですね。

台風など強い低気圧による激しい上昇気流と吹き込む風によって高潮が生じ洪水の危険性が高まる。地盤が軟弱で水分を多く含むため。地震の際には液状化の被害が生じる。工業地域である場合、地下水の過剰は揚水が行われ地盤沈下が発生する。(111字)

このような感じでしょうか。120字制限ですが、3つの使用語句に沿って3つのトピックを一つずつ順番に書いていけばさほど困難ではないと思います。長文だからといって臆せずに、シンプルな文章を積み重ねることを意識してください。

一つ気になるのは「粘土質で緩い」という部分ですが、粘土は目が細かいですから、これが地盤が弱いことの原因にはならないと思いますよ。参考書の模範解答では粘土質に触れられていましたが、私は必要ではないと思います。さらに粘土質の土壌だからこそ、逆に水分を通さないことがありますよね。土砂の目の大きさはここでは問題ではなく、単に陸化してまだ年月が浅いことにより土壌中に多くの水分が含まれ、それがゆえに「軟弱」であると考えた方がベターでしょう。

>解答と違う所も多く出来が良くないかもしれませんが、今週もよろしくお願いします!

全体としてとても良かったと思いますよ。次回はさらに「文章の組み立て」や「言葉の使い方」に気をつけて、自分なりの解答をつくってみましょう。

  • 2020.11.20 16:44
  • たつじん

東大 2002 第三問

設問A
(1)三角州

(2)河川が流域の土砂を侵食•運搬して河口に堆積させる。洪水により河川の外側にも堆積させる。この繰り返しにより海退した。(58/60)

(3)自然堤防

(4)かつては水持ちがよく、水利の良いため水田として利用されていた。今は集落の子供を教育するための学校となっている。(57/60)

(5)集落があるのは、波による堆積と海退により海岸線と平行に出来た浜堤。浜堤は微高地なため浸水を防げて畑作ができるから。(58/60)

設問B
海に面した低平な土地のため台風などの低気圧とそれによる強風で波が高くなった際に高潮。土壌が粘土質で緩いため、地震の際の液状化現象や地盤沈下。地下水としての排水機能が弱いため大雨の際に洪水。低平なため温暖化による海面上昇で水没が起こる。
(119/120)

解答と違う所も多く出来が良くないかもしれませんが、今週もよろしくお願いします!

  • 2020.11.17 19:52
  • かい

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