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2021.10.31

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すでにお申し込みされている添削メンバーの方のみ投稿ください(メンバー募集は4月で終わっています。追加募集の予定はありません)。最低、月に1回の投稿がノルマです。これが無き場合は登録取り消しになりますので、ご注意ください。

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コメント

添削いたします。

>東大1999年第二問設問
>A(1)アラブ首長国連邦、シンガポール、ドイツ、イタリア

いいですね。産油国のアラブ首長国連邦はとくに極端な値になるので判別が簡単です。他は人口規模と対応させればいいでしょう。

>(2)石油収入を背景にインフラの整備や工業化を進めているが、人口が少ないため労働者が不足し、それを外国人労働者で補っている。

いいですね。とくに「人口が少ない」ことを指摘している点がいいと思いますよ。

「1970年代以降豊富な石油収入により社会資本などの建設が盛んに。自国の人口は少なく、南アジアなどから安価な労働力を迎え入れた。」(60字)

字数制限が厳しいので、工夫して多くのキーワードを入れています。

>(3)外国人労働者の定住による地域住民との文化的摩擦や景気低迷による外国人労働者の排斥運動がある。結果、外国人労働者に対する医療・社会福祉制度の整備と財源の確保などに関する課題が生じている。


こちらもいいですね。「排斥運動」は適切なキーワードに思います。「文化的摩擦」、「景気低迷」、「医療・福祉制度」、「財源」など多様なキーワードを箇条書きスタイルで挙げている点も素晴らしいと思います。東大論述は、書くべき内容に比べ字数制限が厳しいものが多く、このように用語を挙げつらうだけの箇条書きが有効な場合が多いのです。適切なテクニックだと思いますよ。見事です。

例えば私はこのように書いてみました。良かったら参考にしてください。

「移民の増加でドイツ人の雇用が減少することから、失業者対策や職業訓練制度の充実が必要。言語の多様性から、教育制度の整備など。貧困層の拡大も考えら、社会保障や医療制度の拡充も。」(86字)

いかがでしょうか。ここからは私の個人的な判断になりますが、「宗教・宗派の違いによる民族的・文化的摩擦」は社会制度で解決できるものではありませんよね。例えばイスラームの人々にキリスト教的な生活を法律で強いるわけには行きません。もちろん、雇用や教育(就業や就学)の面において、民族的あるいは宗教的な差別を行ってはいけないといった法律を定めることはできますので、そういったことも解答に含めてもいいでしょうが、私は重要ではないと考え、あえて外しています。それより具体的な雇用対策(職業訓練)、言語教育、社会保障や医療制度が重要だと思います。

>B(1)石炭産業などの基幹産業の衰退で男性労働者が道外へ流出した。

おもしろい問題ですね。まずは表を読み取りましょう。

「人口性比」です。女性100人に対する男性の数ですね。日本全体を考えてみれば、女性の方が多くなり(平均寿命が長いので)、人口性比は100を下回るのが普通です。

しかし、こちらの図で取り上げられているところはほとんどが100を越えています。これはかなり特殊な例なんですよ。「大都市圏」あるいは「工業地域」のように労働力(とくに男性)の人口が多い地域特有のことです。

1965年の段階で「男性>女性」となっているaとbは「都心部」である東京都と大阪府ですね(*)。

一方、1965年には「男性<女性」であるのに(つまり普通)、1975年以降に「男性>女性」となったのは東京大都市圏の郊外にあたる千葉県と埼玉県です。通勤圏(=大都市圏)の拡大によって千葉県や埼玉県に住むサラリーマンが増えたということですね。dが千葉県でしょうか。

逆に常に「男性<女性」であるcは大都市圏に含まれないところとして北海道が該当します。(1)ではその北海道の人口変化について説明することが求められていました。

よく見ると、たしかに「男性<女性」ではあるのですが、男性が急激に減少しているようです。これは北海道の基幹産業である鉱業(石炭採掘)の衰退によるものと見ていいでしょうね。もちろん、女性の長命化を考えてみてもいいですが、男性もそれなりに寿命は伸びているはずですからね。寿命の変化だけで説明できるものではありません。

(*)なお大阪府については東京ほどの産業集積はみられず、現在は日本の他地域と同様に「男性<女性」となっています。bが大阪府です。

私はこう書いてみました。

「基幹産業の石炭採掘業が衰退。労働者である男性が道外へ流出。」(29字)

こういう形でしょうか。単なる「鉱業」ではなく、資源名の「石炭」も挙げています。また、それが「基幹産業」であるがゆえ、北海道全体の経済や人口動態に影響が大きい様子も記述しています。

>(2)製鉄工業や石油化学工業、自動車工業などの発展により男性労働者の雇用力が高まり、県外から男性労働者が流入した。

上述の通り、dが千葉県となります。郊外化によって東京に住む労働者が居を定めました。

eは愛知県でしょう。名古屋大都市圏は雇用が多く「男性>女性」のバランスとなっています。東京や大阪と同じように大都市圏の都心部に該当するからです。

ただ、本問の場合、問題の意図がよくわからないのですが、その「共通の理由」とありますよね。千葉は郊外なので「男性>女性」なのです。愛知県は都心部であるがゆえに「男性>女性」です。そもそも理由が異なっているのです。

だから仕方ありません。全く違う内容を述べるしかないのです。すでに上で述べているように「男性>女性」となる条件は「大都市圏」以外にもありますよね。それが「工業地域」なのです。愛知県はとくに日本最大の鉱業出荷額を誇る県です。工業をキーワードとしていいでしょう。

具体的にはこういったことです。

愛知県・・・自動車工業・鉄鋼業(自動車の部品をつくるため)
千葉県・・・石油化学工業・鉄鋼業(臨海型の京葉工業地域)

ただし、このうち、鉄鋼業と石油化学工業は資本集約型工業であり、労働力を必要としません。これらの工業種について強調しても、労働力(男性)の増加の説明には結びつかないのです。

その点、自動車工業は労働集約型工業であり、間違いなく男性労働力を必要とします。愛知県で男性が多いのはこれが理由です。しかし、千葉県には自動車工業はないんですよね。。。

千葉県で男性が多い理由は間違いなく「郊外」だからです。しかし、ここでそれを言っても仕方ありません。二つの県に共通した理由として、「漠然と」工業と言い切ってしまっていいと思います。具体的に自動車工業(千葉にはないではないか)や化学工業(労働力は要らないじゃないか)を挙げたところで、それは不正確な理由にしかなりません。問題意図が正直よくわかりません。

曖昧に、ごまかして書くしかないように思いますね。

「dは労働集約型である自動車工業が立地。eの臨海部は重工業地域として急成長。いずれも労働者となる男性人口が流入している。」(59字)

dとeの工業の種類をバラバラにしています。またeについてはそもそも労働力は必要とされない工業種ですが、「急成長」ということで相対的に現在の方が労働力が増えている様子を示しています。

問題として不完全な悪問と思います。時にはこういった問題もありますから仕方ありませんね。

さらに演習を進めましょう。

  • 2021.11.04 15:28
  • たつじん

東大1999年第二問設問
A(1)アラブ首長国連邦、シンガポール、ドイツ、イタリア
(2)石油収入を背景にインフラの整備や工業化を進めているが、人口が少ないため労働者が不足し、それを外国人労働者で補っている。
(3)外国人労働者の定住による地域住民との文化的摩擦や景気低迷による外国人労働者の排斥運動がある。結果、外国人労働者に対する医療・社会福祉制度の整備と財源の確保などに関する課題が生じている。
B(1)石炭産業などの基幹産業の衰退で男性労働者が道外へ流出した。
(2)製鉄工業や石油化学工業、自動車工業などの発展により男性労働者の雇用力が高まり、県外から男性労働者が流入した。

  • 2021.10.31 20:54
  • 万物

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