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2022.01.27

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コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性があります。その際は他のフォームに再投稿していただけますでしょうか。お手数ですが、よろしくお願いいたします。(従来のDMによるお問い合わせは取りやめといたしました。ご理解くださいませ)

コメント

では添削いたします。

>東大1996年度第1問
>設問B
>ポーランドでは二酸化炭素の排出量が多い石炭が主なエネルギー源。ノルウェーでは天然ガスや原油、水力発電が中心であるため。

これはうまいですね。すっきりしています。何よりうまいのは「エネルギー」と「発電」を区別できている点ですね。

地理で「エネルギー」という場合には「一次エネルギー」のことを指すのが普通で、「石炭」「石油(原油)」「天然ガス」を考えれば大丈夫です。石油は原油の加工品ですから、本来は「二次」なのではないかとも思うのですが、その辺りの区別はされないようです。ただ、石炭の加工品であるコークスや、液化天然ガスはやはり二次エネルギーに分類されるようです。ただ、これらが話題になることはないので、深く考える必要はないと思います。

統計要覧などをみると、「一次エネルギー供給」については(データブック オブ・ザ・ワールドの82ページなど)、石炭、石油、天然ガスの他に「電力」ともありますが、これは実際には「その他」と考えるべきです(石炭や石油、天然ガスも発電用に用いられるものがありますからね)。「風」「太陽光」「バイオマス」など、それ以外のエネルギー源です。電力そのものは二次エネルギーになります。

この「エネルギー」については、例えば鉄鋼生産における燃焼用の石炭や自動車のガソリンも含まれています。我々の生活を支えるエネルギーといして、電力は決して全てではなく、工業用やエンジンを動かすための燃料も大切ですよね。「エネルギー=電力」ではないことを意識してください。

エネルギーと電力を混乱して考えてしまうと、次のような解答になってしまいます。

「ポーランドは火力発電中心。ノルウェーは水力発電中心。」

これでは不適切であることを理解してください。


>設問C
>産業革命以降、先進国で工業化が進み化石燃料の使用量が増加したため、二酸化炭素濃度が上昇してきた。今後、開発途上国での工業化が著しく進展する。人口急増に伴い農地開拓が進められ、森林伐採が進み、二酸化炭素を吸収する森林も減少すると予想される。

いいですね。完全に文章を2つに区切っています。最初の文では「現在まで=先進国」、後の文では「今後=発展途上国」という区分が明確です。

欲を言えば後半の文章をさらに充実させることもできたと思いますよ。「開発途上国」の「工業化」による二酸化炭素排出量の増加に言及していますが、ここについては「生活水準の向上」によるものもあるかと思いますよ。むしろこちらの方がメインかもしれません。

せっかくですので、補足的な解説もしておきますね。

「現在まで上昇してきた理由」と「今後急激に上昇が予測されている理由」の2つを答えることが求められています。それぞれ60字としてみましょうか。

まず「現在まで」。これは18世紀後半から2000年ぐらいまでです。18世紀後半といえばもちろん「産業革命」ですね。これにより石炭の消費量が増え、二酸化炭素が多く排出された様子を記述するべきです。さらに20世紀の後半に伸び率がやや高まっています。これにも注目してみてください。

「現在まで。産業革命による工業化で石炭消費が拡大し、さらに20世紀後半の重工業化で主に先進国で二酸化炭素排出量が増加。」(58字)

「今後。人口増加率の高い開発途上国で工業化や生活水準の向上によりエネルギー消費量が急増。森林の減少による影響も。」(55字)

かなり詰め込んでみましたが、いかがでしょうか。120字と思うと雑な文章となってしまい、内容が薄れてしまうことがあります。60字の文章を二つ書くのだと考え、それぞれ「濃い」内容を目指してください。

>設問D
今後地球温暖化が進み海面が上昇すると、海抜高度が低く大部分がサンゴ礁から成る島国の国土は水没し消滅する可能性があるため。

いいですね。本問は「サンゴ礁」というキーワードが重要でした。必要なことは全て述べられている素晴らしい解答かと思いますよ。

私はこう書いてみました。最初の文で「この国がサンゴ礁の島である」こと、二つ目の文で「海面上昇による水没」について述べています。

「隆起サンゴ礁による平坦で標高の低い国土を有する。地球温暖化で海水が膨張するなどして海面が上昇すると水没の危機が生じる。」(59字)

単なる「サンゴ礁」ではなく「隆起サンゴ礁」としてみました。単にサンゴ礁でいいとは思いますが。

「標高の低い」の時点で「平坦」であるのは当たり前ですが、何となくこの言葉を加えてみました。

地球温暖化については厳密には理由がわかっていません。一般的には二酸化炭素濃度の上昇と言われていますが、それならなぜ二酸化炭素濃度が上昇したのか?これも地理という科目の範囲では設問Cにあったように工業化による石炭消費の増大とされているものの、それが直接的に結びつくものなのかどうか。意外に難しいテーマなのです。

一方で、地球温暖化によって海水面が上昇するシステムは明確です。大陸氷床の融解も重要ですが、最大の要因は海水の膨張ですね。ここではこのことを強調してみました。そのためかなり文字数が厳しくなってしまっているのですが、許容範囲でしょうか。

>東大1997年度第2問

>設問A
>小麦は世界各国で生産・消費される商品作物。米は生産・消費共にアジアが中心で、生産量の大部分が国内で消費される自給的作物。

悪くありませんが、小麦については自給的にも栽培されますので、商品作物と断言しない方が良かったと思いますよ。「商品作物としても栽培される」や「輸出用に生産されることが多い」のようにやや表現を柔らげてみてはどうだったでしょう。

>設問C
>米の消費量は人口と比例するといえるので、(a)は最も人口が多い国と判断。輸出用作物から米への転作が進んだ国でもある。

いいですね。インドネシアについては人口の多さを指摘することが最も重要でした。

>設問D
>外資導入により工業化を進め、自動車など機械類の輸出が増加。エビなどの輸出も増加し、米の割合が相対的に低下したため。

いいですね。電気機械の輸出が増加したことによって、相対的に米の地位が低下したことに言及できれば正解です。

ただ、エビはさほど重要な輸出品目でもないので、これに触れる必要はなかったかと思いますよ。

私はこう書いてみました。

「外国企業の進出による工業化で労働集約型工業が発達し、電気機械や自動車などの輸出が増加した。輸出品としての米の地位が低下。」(60字)

「労働集約」という言葉を用いています。工業のキーワードですね。


  • 2022.02.16 11:22
  • たつじん

東大1996年度第1問
設問B
ポーランドでは二酸化炭素の排出量が多い石炭が主なエネルギー源。ノルウェーでは天然ガスや原油、水力発電が中心であるため。
設問C
産業革命以降、先進国で工業化が進み化石燃料の使用量が増加したため、二酸化炭素濃度が上昇してきた。今後、開発途上国での工業化が著しく進展する。人口急増に伴い農地開拓が進められ、森林伐採が進み、二酸化炭素を吸収する森林も減少すると予想される。
設問D
今後地球温暖化が進み海面が上昇すると、海抜高度が低く大部分がサンゴ礁から成る島国の国土は水没し消滅する可能性があるため。

東大1997年度第2問
設問A
小麦は世界各国で生産・消費される商品作物。米は生産・消費共にアジアが中心で、生産量の大部分が国内で消費される自給的作物。
設問C
米の消費量は人口と比例するといえるので、(a)は最も人口が多い国と判断。輸出用作物から米への転作が進んだ国でもある。
設問D
外資導入により工業化を進め、自動車など機械類の輸出が増加。エビなどの輸出も増加し、米の割合が相対的に低下したため。

  • 2022.02.09 13:31
  • いぇい

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