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2020.08.31

投稿フォーム188

コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性がありますので、ツイッター(@ts914)にDMをいただけますでしょうか。早々に対応いたします。

コメント

では添削いたします。

>2009年度 第3問

>設問A
>(1)a医療業、b食料品製造業、c輸送用機械器具製造業、d情報サービス業、e宿泊業

非常に難しかったと思いますが、よくできています。適切です。

>(2)人口の高齢化が進んだことで、社会福祉や介護事業の需要が高まった一方、総合工事業は道路などの需要が低くなったから。

こちらも適切です。とくに前半部分は満点解答に思います。「高齢化」は間違いなくキーワードです。「社会福祉や介護事業の需要が高まった」という言い方もいいですね。

それに対し、「総合工事業」というものが何かわかりにくかったのではないですか。我々からすると、「総合」という言い方から「建設」だけでなく「土木」も含まれるのだなとピンとくるのですが、高校生だとなかなか厳しいかも知れません。

同様に我々年代ですと、かつては公共事業によって地方の経済活性化が行われていたことを知っており、さらにそれらが地方への「ばら撒き」と揶揄されたり、「ハコモノ」と呼ばれた公共施設の利用者が少ないことを批判されたりなどの状況も見聞きしています。

かつての自民党政権は「地方」の農村票が支持の基盤でした。ゆえに地方へとふんだんに予算を割き、それは公共事業費の拡大によって表されました。しかし21世紀の日本においては東京への一極集中が顕著になり、地方が顧みられることが少なくなりました。こういった背景が「総合工事業」の縮小につながっているような気もしますね。

とはいえ、いずれにせよ「地理」の範囲からは逸脱している印象です。書ききれなかったとしても無理はないでしょう。


高齢化によって福祉や介護の対象者が増加したから。公共事業による道路や施設などの建設が減少したから。(49字)

「公共事業」という言葉を入れて文章をつくってみました。参考にしてください。

>設問B
>地方圏のB県は、人口の年齢構成が高いことによる公共サービスの需要の高まりがあるものの、三大都市圏内のA県と比べて、財政が不安定であるため、市町村の合併を行ったから。

とてもうまく書けていますね。巧みな文章力があるので、大変わかりやすい文章になっています。与られた用語「公共サービス」「財政」「年齢構成」から「何を書いたらいいのか」を瞬時に読み取り、出題者の求める回答を提示できています。「自分の書きたいこと」より「出題者が書かせたいこと」を記述することは非常に重要ですね

地方圏のB圏の人口構成は高齢者に偏り、経済を支える若年労働者の割合が低く財政基盤が弱い。公共サービスの拡充と財政健全化を目指し、中心市による周辺町村の編入や市町村合併が進行した。(89字)

私も書いてみました。「財政健全化」という言葉が難しいかもしれませんが、便利な言い回しでもあるので、ぜひ使ってみてください。「中心市による周辺町村の編入」とは要するに「市町村合併」のことなのですが、あえて分けて書いてみました。

それから個人的には「生産年齢人口」という言い方が好きではないので(高校生や大学生もこれに含まれることになりますね。また、65歳以上で働いているかたもたくさんいますので)この言葉は用いませんでした。ただ、だからといって「若年労働者」と言い切ってしまうのもどうかなとは思いますね。壮年や高齢者も含めたうまい言い方があればいいのですが。

>設問C

>(1)ア-郊外、イ-都心、ウ-中間

いいですね。非常に「モダン」な問題と思います。2010年代以降の日本の社会情勢をうまく示した問題です(もっとも、本問の出題は2009年ではありますが)。現代の日本の人口変化の特徴は、「郊外のニュータウンにおける高齢化の進行」と「都心への人口回帰」ですからね。トレンドに沿っています。


>(2)郊外は都心と比べて地価がやすく、高齢化した親と成人した子との共同住宅を建てやすいことなどから住宅供給と共に老年人口が増えている。都心では2000年頃まで人口流出によって生産年齢人口が減っていたが、近年では回復傾向が見られる。老年人口はあまり変化は見られない。

やや事実誤認があるようです。郊外で近年高齢化が進むのは「高齢化した親世代」の流入が原因ではありません。年月を経て、ニュータウンの居住者が歳をとったからです。入居時には20代や30代の若者だったかも知れません。しかし、そういったニュータウンが開発から40年以上の年月を重ねることで、当時の若者が60代や70代の高齢者となってしまうのです。ニュータウンは住民の年齢構成に偏りがあります。特定の世代のみが突出して人口が多いのです。彼らが同じ街に住み続け、同じように歳を取るならば、一気に高齢化が進みますね。「ニュータウンの高齢化」が大きな社会問題です。

以上のことを踏まえて、解答をつくってみましょう。

まずは都心と郊外それぞれについて人口動態を整理です。

ア(郊外)については、生産年齢人口も老年人口も1980年以降増加しています。しかし、生産年齢人口は1995年から停滞そして減少しているのに対し、老年人口は伸び方がさらに急になっています。

イ(都心)についてはトータルとして人口が減少し続けてきました。しかし、2000年以降は人口が増加し、とくに生産年齢人口の伸び方は顕著です。

その原因について「住宅供給」と合わせて考えてみます。都心では、まず高い地価によって人口が減少していたものの、現在は「再開発」により多くの集合住宅が建設されたことが背景にあるはずです。郊外ではニュータウンの建設でしょうか。ただしそれは本図から考えるに1980年代までが中心であり、現在は住民構成の高齢化が際立ちます。

都心では高地価で人口が郊外に流出したが、近年は再開発によって多くの集合住宅が建設され、とくに若年層の人口流入が目立つ。(59字)

郊外ではニュータウン建設によってとくに若い世代の入居が多かったが、現在は年齢構成の上昇により高齢者が増加している。(57字)

どうでしょうか。上記の内容を組み合わせ、字数制限に合わせてボリュームを調整すれば十分な解答になると思いますよ。とくに難しい言葉も使っていませんので、無理のない説明にはなっているまずです。120という長い文章ですが、トピックを分化させ、さらに「出題者が求める内容」を意識して(今回は「住宅」ですね)文章を構築するのがコツです。

>設問Cに関して、都心の人口が少ない状態をイメージできなかったことや都心と郊外における生産年齢人口と老年人口の流れが未だによくわかっていないことから難しく感じました。

たしかにやや十分な理解に達していないように思いましたが、決して難しい内容ではないので、今回の問題を通じ、明確化は図れたのではないでしょうか。

とりあえず「ニュータウンの高齢化」は非常に重要ですので、こレをしっかり理解してくれたら現時点では満点です。

では次回も期待しています(^^)

  • 2020.09.03 15:12
  • たつじん

大学は東京大学の問題を使用いたしました。

  • 2020.08.31 23:01
  • 春に笑ふために


2009年度 第3問

設問A
(1)a医療業、b食料品製造業、c輸送用機械器具製造業、d情報サービス業、e宿泊業

(2)人口の高齢化が進んだことで、社会福祉や介護事業の需要が高まった一方、総合工事業は道路などの需要が低くなったから。

設問B
地方圏のB県は、人口の年齢構成が高いことによる公共サービスの需要の高まりがあるものの、三大都市圏内のA県と比べて、財政が不安定であるため、市町村の合併を行ったから。

設問C
(1)ア-郊外、イ-都心、ウ-中間
(2)郊外は都心と比べて地価がやすく、高齢化した親と成人した子との共同住宅を建てやすいことなどから住宅供給と共に老年人口が増えている。都心では2000年頃まで人口流出によって生産年齢人口が減っていたが、近年では回復傾向が見られる。老年人口はあまり変化は見られない。

設問Cに関して、都心の人口が少ない状態をイメージできなかったことや都心と郊外における生産年齢人口と老年人口の流れが未だによくわかっていないことから難しく感じました。
添削よろしくお願い致します。


  • 2020.08.31 22:58
  • 春に笑ふために

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