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2021.10.31

562

すでにお申し込みされている添削メンバーの方のみ投稿ください(メンバー募集は4月で終わっています。追加募集の予定はありません)。最低、月に1回の投稿がノルマです。これが無き場合は登録取り消しになりますので、ご注意ください。

コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性があります。その際は他のフォームに再投稿していただけますでしょうか。お手数ですが、よろしくお願いいたします。(従来のDMによるお問い合わせは取りやめといたしました。ご理解くださいませ)

コメント

では添削いたします。

>東大 1999年

>第2問

>設問A

>(1) a-アラブ首長国連邦  b-シンガポール  c-ドイツ 
   d-イタリア

いいですね。産油国のアラブ首長国連邦はとくに極端な値になるので判別が簡単です。他は人口規模と対応させればいいでしょう。

>(2) 石油収入による資金を使って、工業化や社会資本整備を進める。人口が少なく、不足する労働力を海外からの出稼ぎで補っている。(59字)

いいですね。前半と後半とで2つのトピックを明確にして述べている点がとてもいいと思います。前半が「労働者が必要である理由」であり、後半が「労働者が足りない理由」です。多面的な説明が重要です。

私も書いてみました。

「1970年代以降豊富な石油収入により社会資本などの建設が盛んに。自国の人口は少なく、南アジアなどから安価な労働力を迎え入れた。」(60字)

「南アジア」という言葉を使ってみました。

>(3) 異なる言語・宗教を持つ人々の受け入れに伴う、文化摩擦。低所得層である外国人労働者向けの、教育費・社会保障費の増大。景気低迷による失業率の上昇が、外国人労働者の排斥運動につながる。(89字)

いいですね、90字ですので3つの文から構成されている点も適切です。1文「文化摩擦」と3文「排斥運動」は内容が被るような印象もありますが。3文の方では「失業率の上昇」と経済的な要因から生じる排斥運動であることを強調しています。明確化されており、とてもいいと思いますよ。

私はこう書いてみました。

「移民の増加でドイツ人の雇用が減少することから、失業者対策や職業訓練制度の充実が必要。言語の多様性から、教育制度の整備など。貧困層の拡大も考えら、社会保障や医療制度の拡充も。」(86字)

テーマは「社会制度」についての課題ですので、法整備に特化して書き進めています。雇用対策、教育、社会保障が3本の柱ですね。

>設問B
>(1) 鉱業などの域内産業が衰退し、男子労働力が域外へ流出したから。(30字)

おもしろい問題ですね。まずは表を読み取りましょう。

「人口性比」です。女性100人に対する男性の数ですね。日本全体を考えてみれば、女性の方が多くなり(平均寿命が長いので)、人口性比は100を下回るのが普通です。

しかし、こちらの図で取り上げられているところはほとんどが100を越えています。これはかなり特殊な例なんですよ。「大都市圏」あるいは「工業地域」のように労働力(とくに男性)の人口が多い地域特有のことです。

1965年の段階で「男性>女性」となっているaとbは「都心部」である東京都と大阪府ですね(*)。

一方、1965年には「男性<女性」であるのに(つまり普通)、1975年以降に「男性>女性」となったのは東京大都市圏の郊外にあたる千葉県と埼玉県です。通勤圏(=大都市圏)の拡大によって千葉県や埼玉県に住むサラリーマンが増えたということですね。dが千葉県でしょうか。

逆に常に「男性<女性」であるcは大都市圏に含まれないところとして北海道が該当します。(1)ではその北海道の人口変化について説明することが求められていました。

よく見ると、たしかに「男性<女性」ではあるのですが、男性が急激に減少しているようです。これは北海道の基幹産業である鉱業(石炭採掘)の衰退によるものと見ていいでしょうね。もちろん、女性の長命化を考えてみてもいいですが、男性もそれなりに寿命は伸びているはずですからね。寿命の変化だけで説明できるものではありません。

(*)なお大阪府については東京ほどの産業集積はみられず、現在は日本の他地域と同様に「男性<女性」となっています。bが大阪府です。

私はこう書いてみました。

「基幹産業の石炭採掘業が衰退。労働者である男性が道外へ流出。」(29字)

こういう形でしょうか。単なる「鉱業」ではなく、資源名の「石炭」も挙げています。また、それが「基幹産業」であるがゆえ、北海道全体の経済や人口動態に影響が大きい様子も記述しています。

>(2) 機械・鉄鋼・石油化学などの、男子労働力を必要とする工業が発達していた。したがって、域外から男子労働力が多数の流入した。(59字)

上述の通り、dが千葉県となります。郊外化によって東京に住む労働者が居を定めました。

eは愛知県でしょう。名古屋大都市圏は雇用が多く「男性>女性」のバランスとなっています。東京や大阪と同じように大都市圏の都心部に該当するからです。

ただ、本問の場合、問題の意図がよくわからないのですが、その「共通の理由」とありますよね。千葉は郊外なので「男性>女性」なのです。愛知県は都心部であるがゆえに「男性>女性」です。そもそも理由が異なっているのです。

だから仕方ありません。全く違う内容を述べるしかないのです。すでに上で述べているように「男性>女性」となる条件は「大都市圏」以外にもありますよね。それが「工業地域」なのです。愛知県はとくに日本最大の鉱業出荷額を誇る県です。工業をキーワードとしていいでしょう。

具体的にはこういったことです。

愛知県・・・自動車工業・鉄鋼業(自動車の部品をつくるため)
千葉県・・・石油化学工業・鉄鋼業(臨海型の京葉工業地域)

ただし、このうち、鉄鋼業と石油化学工業は資本集約型工業であり、労働力を必要としません。これらの工業種について強調しても、労働力(男性)の増加の説明には結びつかないのです。

その点、自動車工業は労働集約型工業であり、間違いなく男性労働力を必要とします。愛知県で男性が多いのはこれが理由です。しかし、千葉県には自動車工業はないんですよね。。。

千葉県で男性が多い理由は間違いなく「郊外」だからです。しかし、ここでそれを言っても仕方ありません。二つの県に共通した理由として、「漠然と」工業と言い切ってしまっていいと思います。具体的に自動車工業(千葉にはないではないか)や化学工業(労働力は要らないじゃないか)を挙げたところで、それは不正確な理由にしかなりません。問題意図が正直よくわかりません。

曖昧に、ごまかして書くしかないように思いますね。

「dは労働集約型である自動車工業が立地。eの臨海部は重工業地域として急成長。いずれも労働者となる男性人口が流入している。」(59字)

dとeの工業の種類をバラバラにしています。またeについてはそもそも労働力は必要とされない工業種ですが、「急成長」ということで相対的に現在の方が労働力が増えている様子を示しています。

問題として不完全な悪問と思います。時にはこういった問題もありますから仕方ありませんね。

チョウセイさんの解答のように、まとめて「機械・鉄鋼・石油化学などの、男子労働力を必要とする工業」してしまった方が良かったかも知れませんね。何とも疑問の残る問題です。


  • 2021.11.04 15:13
  • たつじん

東大 1999年



第2問

 
設問A

(1) a-アラブ首長国連邦  b-シンガポール  c-ドイツ 
   d-イタリア

(2) 石油収入による資金を使って、工業化や社会資本整備を進める。人口が少なく、不足する労働力を海外からの出稼ぎで補っている。(59字)

(3) 異なる言語・宗教を持つ人々の受け入れに伴う、文化摩擦。低所得層である外国人労働者向けの、教育費・社会保障費の増大。景気低迷による失業率の上昇が、外国人労働者の排斥運動につながる。(89字)


設問B

(1) 鉱業などの域内産業が衰退し、男子労働力が域外へ流出したから。(30字)

(2) 機械・鉄鋼・石油化学などの、男子労働力を必要とする工業が発達していた。したがって、域外から男子労働力が多数の流入した。(59字)

  • 2021.11.01 20:57
  • チョウセイ

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