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2017.11.04

添削フォーム14

 コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。

コメント

では、添削いたしますね(^^)

>A(1)アーフランス イーイギリス ウースペイン

正解です。

>(2)イは穀類といも類の自給率が高く、氷食を受けたやせ地が広がるがEU加盟後に小麦自給率の上昇したイギリス、ウは野菜類・肉類の自給率が高く、地中海式農業と豚肉生産が盛んなスペイン。

たいへん素晴らしい解答です。非常にうまく書けていると思いますよ。
ただ一点気になるのは「野菜」を「地中海式農業」と結びつけている点です。地中海式農業は、とくに夏季に乾燥するなど年間を通じ降水量の少ない気候の中で、耐乾性の樹木栽培を特徴とする農業形態であり、野菜栽培が主というわけではありません。野菜ならば、園芸農業が直接的に結びつくでしょう(オランダは園芸農業の国であり、なるほど野菜の自給率が際立って高いものとなっています)。もちろん、スペインでも園芸農業が行われている可能性はありますので、MAさんの解答について「地中海式農業」を「園芸農業」と変えてしまってもいいですし、あるいは端に「温暖」といった理由を付け加えて野菜栽培がさかんであることを強調してもいいと思います。上記のオランダは例外としても、一般的に温暖な地域では野菜類の栽培がさかんなことは事実でしょう。メキシコなどでも主な輸出品目の一つとなっています。

>(3)氷食を受けた低平なやせ地が広がり、冷涼湿潤な気候を生かし酪農等の牧畜が盛んなほか、大市場向けの輸送園芸農業も発達する。

こちらもいいですね。ただし、オランダ特有の事例としては、やはり海岸部の砂丘と、広大な干拓地を挙げて欲しいところです。砂丘では主に野菜が栽培されます。例えば、鳥取砂丘ではラッキョウの生産がさかんなことは有名ですよね。またチューリップやその球根などもオランダでは栽培がさかんですので、それに触れてもいいかもしれません。
一方、干拓地は低湿であり、こちらは根(球根)が腐ってしまうので野菜栽培には適しません。日本では水田として利用されることの多い干拓地ですが、ヨーロッパで米作は一般的ではなく(イタリアのポー川流域の沖積平野では米作がみられますが、そもそもオランダは夏季冷涼であるため米作は不可能です)、こちらは牧草地とするのが適切でしょう。牧草ならば根は深くありませんので、腐ることもありません。牧草地ということで「酪農」に結びつけ、乳製品の生産を強調してあげればいいかと思います(^^)

さらに「輸送園芸農業」というのは、かなりの遠隔地の場合であり、オランダの場合はとくにそのような表現にする必要はないと思いますよ。九州や四国で栽培された野菜が東京圏に送られたり、フロリダ半島で栽培された果実(園芸農業は、「穀物」以外をつくる農業形態ですので、広く捉えると果実も生産品の一つに入ります)がニューヨークなどメガロポリスに送られたりする場合を「輸送」園芸農業といいます。オランダは人口密度が高い地域であり、この場合は遠方まで輸送することなく、地域で消費されることが多くなりますよね。

>(4)熱量は高いが価格は低い自給作物である米を、家族経営の農家を主体として集約的に栽培するが、労働生産性は低いため。

たいへんいいと思います。「集約」や「労働生産性」などのキーワードもうまく使えています。表の読解も適切です。

>(5)熱量は低いが高価格な果実を栽培、例えば温暖な気候を生かした和歌山のみかんや高地の冷涼な気候を生かした山梨のぶどうなど。

こちらも素晴らしいですね。これぐらいの分析ができれば、十分に合格点はゲットできると思いますよ(^^)

B(1)アーインドネシア イーベトナム ウータイ エーフィリピン

正しいです。

(2)緑の革命による高収量品種の導入や灌漑整備が進んでいた中、経済発展に伴う急速な人口増加に対応するため自給用増産を行った。

「緑の革命」、素晴らしいですね。このキーワードを中心に据え、解答が作成できたことがとても評価できます。ただ、気になるのは「経済発展に伴う急速な人口増加」でしょうか。一般的にいって、経済発展が進んだ先進国においては人口増加率は低下する傾向にあります(女性の社会進出が進むなどの理由で)。ですので、この部分には触れる必要はなかったように思います。

自給率の上昇を目指し緑の革命により米など自給作物の増産が行われた。多収量品種の導入、灌漑施設の整備、化学肥料の普及など。

こういった感じでしょうか。「他国に先駆けて」について書けていませんが、とくに問題にならないと思っています。フィリピンは山国であるため、そもそも米作に適した土地が少なく、ベトナムは社会主義国であるため、ドイモイ政策による市場経済化を待たねば農業改革が進まなかったなど、むしろ他の国の方がそれぞれの事情を抱えているでしょう。タイはそもそも米の生産が(人口に比して)多かったので、伸び方が低くなっています。

(3)所得水準の上昇に伴い食の欧米化が進展、肉類用の家畜の飼料や食用油の原料の大豆需要が増大、自給で賄えなくなった。

たいへん素晴らしいです。全く文句がありません。ただ、中国の場合、(日本と異なり)そもそも肉や油を中心とした食文化ですので、ことさら「欧米化」を強調することもなかったかなとは思います。

所得水準の向上によって人々の食生活は豊かで多様となり、肉類や食用油の消費が増え、飼料や油脂用の大豆の需要が拡大した。

こういった感じでしょうか、よかったら参考にしてください。

今回も大変上手に書けていると思います。すでに次の解答をいただいておりますが、そちらについても今週中には添削ができると思いますので、今しばらくお待ち下さい(^^)


  • 2017.11.20 18:53
  • たつじん

重ねてですが、添削お願いいたします。
東京大学2009 第二問
A(1)アーフランス イーイギリス ウースペイン
(2)イは穀類といも類の自給率が高く、氷食を受けたやせ地が広がるがEU加盟後に小麦自給率の上昇したイギリス、ウは野菜類・肉類の自給率が高く、地中海式農業と豚肉生産が盛んなスペイン。

(3)氷食を受けた低平なやせ地が広がり、冷涼湿潤な気候を生かし酪農等の牧畜が盛んなほか、大市場向けの輸送園芸農業も発達する。

(4)熱量は高いが価格は低い自給作物である米を、家族経営の農家を主体として集約的に栽培するが、労働生産性は低いため。

(5)熱量は低いが高価格な果実を栽培、例えば温暖な気候を生かした和歌山のみかんや高地の冷涼な気候を生かした山梨のぶどうなど。

B(1)アーインドネシア イーベトナム ウータイ エーフィリピン
(2)緑の革命による高収量品種の導入や灌漑整備が進んでいた中、経済発展に伴う急速な人口増加に対応するため自給用増産を行った。

(3)所得水準の上昇に伴い食の欧米化が進展、肉類用の家畜の飼料や食用油の原料の大豆需要が増大、自給で賄えなくなった。

  • 2017.11.19 10:08
  • ***

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