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2020.10.29

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コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性がありますので、ツイッター(@ts914)にDMをいただけますでしょうか。早々に対応いたします。

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では添削いたします。

>東大 2008年 第三問

>設問A
>(2)
>白豪主義の廃止に伴い、永住ビザの取得が容易になったことで、保養地であるこれらの都市に移住する人が増えたから。

白豪主義政策の廃止は1970年代ですので、さすがにちょっと時代に合致していないかと思います。
また、本問のポイントは(シドニー、メルボルンだけでなく)ゴールドコーストやブリズベンで日本人永住者が増えたことについて論じることにあります。これら二つの都市は、北東部のクインズランド州に位置するということですね。温暖な気候がみられることを明示しつつ、これを中心に論じるべきです。

ちなみに同じ州のケアンズは空路による日本への直行便があり、かなりアクセスがよくなっています。ただ、両都市からは距離がありますが。海外移住の場合は、実は日本とのアクセスも非常に重要な要因になったりするわけです。

ちょっと書き換えてみましょう。

温暖な気候でリゾート地に近く、日本へのアクセスも比較的いい。治安が良く、生活環境に恵まれている。(48字)

字数が短くなってしまいましたが、この程度にまとめればいいと思います。発展的な内容ですが、実はこの地域、日本からはリタイアした高齢者の移住も多いのですよ。そのことを含めて書いても良かったかもしれません。

それをふまえるとこのような文章になります。

温暖な気候でリゾート地に近く、日本へのアクセスも比較的いい。定年後の高齢者を中心に移住者が多い。(48字)

後半部分を書き換えてみました。

>設問B
>工業分野で国際競争力維持し、価格を抑える為、人件費の安い未熟練労働力が必要になった。ゆえに、入国管理法の改正で、日本人移民の子孫に限り未熟練労働者であっても、入国が認められたから。(90字)

素晴らしいと思いますよ。この話題は書くべき内容が多いので、解答に困るわけですよ。しかし、マツケイさんの解答はカットするところは大胆にカットし(例えば、ブラジルに日系人が多いことまで書けたらさらによかったと思います)、短い字数で伝えられる範囲の内容に特化して記述されています。これで十分に思います。

マツケイさんの解答をアレンジしてみました。「国際競争力を高める」ことと「価格を抑える」ことは同じ意味なので、後者を削っています。また「日系人」、「ブラジル」という言葉を追加してみました。案外とこれが解答のキーワードだったかも知れません。「ゆえに」のような接続詞で字数を消費してしまうのは勿体ないので、できるだけキーワードを詰め込んでみてくださいね。

工業分野での国際競争力を高めるため人件費の安い労働力が必要となる。出入国管理法の改正で日本人移民の子孫である日系人に限り外国人未熟練労働力が就業可能となりブラジルからの入国が増加。(90字)

こちらは同じく私が作った別解です。以下をご覧ください。

労働力不足の解消、安価な労働力の利用で国際競争力を高めるため、日系人に限り未熟練労働力の受入が法的に可能になった。日本からの移民が多く日系人の人口が大きいブラジルからの流入が急増。(90字)

法律の名称(出入国管理法)という言葉を使ってみたかったのですが、うまくいきませんでした。やや不満足ではあります。とはいえ、なぜブラジル人が増加したのか(ブラジルに日系人が多い)まで言及してみました。短い字数の中でここまで論じるのは物理的に困難ですが、良かったら参考にしてみてくださいね。

>設問C
>(1)
>バブル経済崩壊後の不景気や1997年の金融危機によって、金融センターであるこれらの都市から日本の銀行の支店が撤退したから。

とてもいいですね。確実にポイントが抑えられています。

個人的には「金融危機」という言葉の使い方に頭を悩ませてしまいます。アジア金融危機はたしかに1997年ですが、この時期に該当しますが、日本や欧米への影響がとくに大きかったのは2007〜2008年のサププライムローンの破綻やリーマンショックだったような気がします。しかし2007〜2008年というのは問題文の求める時期からはズレていますからね。問題があまり適切でないような気もしますね。悩まされるところです。

バブル期に銀行など金融業が多く進出していたが、バブル崩壊や金融危機によって一部が撤退した。(45字)

この程度のことが書ければ十分だったように思います。

>(2)
>中国最大の都市、経済の中心であるため、工業が発達。人件費削減のため日系企業が多く進出し、工場を建てたから。

これもとてもいいですね。的確です。ただ、シャンハイについて「中国最大の都市」という言い方には注意してください。行政区分としての「市」の人口を比べた場合、内陸部のチョンチンの方が人口が多いのです。ただ、チョンチン市は面積が九州とほぼ同じであり、「市」というより「省」の規模を有しています。実質的な都市域人口はシャンハイの方が大きいのです。とはいえ、あくまで数字的なデータでは「チョンチン>シャンハイ」であり、シャンハイを「最大」とすることは誤りとも言えるのです。よってここは「中国最大の商工業都市」とするといいと思いますよ。人口が「最大」であるとは言い切らないようにします。



また、おそらく本問では「後背地」を使うことが求められていたと思いますよ。後背地とはつまり「背後の土地」のことですが、その都市を支える経済的な基盤がその背後に広がっていることを述べるとさらに良かったとおもいます。

上海は中国最大の商工業都市であるだけでなく、港湾都市として華中地域の経済を支えます。上海の背後には多くの都市が近接し、巨大な経済圏を形成しています。これらの支えがあってこそ、さらに上海は発展するわけです。

都市開発が進み人口も多い上海は広い後背地を有し経済力も大きい。日本から企業進出が急増し、工場も多く設けられた。(55字)

こんな感じでしょうか。「中枢管理機能」はちょっと使いにくい言葉だと思います。むしろ中枢管理機能は首都のペキンの方が発達しているかもしれません。

なお、厳密には「日系企業の進出」より「日本企業の進出」や「日系企業の設立」の方が表現としては好ましかったように思います。日系企業については、正確には「日本企業の海外現地法人の設立」となりますが、こちらはとくに問題ないでしょう。日本企業が進出し、現地に日系企業を設立したという意味です。

今回もよく書けています。次も期待しています。

  • 2020.11.01 09:50
  • たつじん

東大 2008年 第三問
設問A
(2)白豪主義の廃止に伴い、永住ビザの取得が容易になったことで、保養地であるこれらの都市に移住する人が増えたから。
設問B
工業分野で国際競争力維持し、価格を抑える為、人件費の安い未熟練労働力が必要になった。ゆえに、入国管理法の改正で、日本人移民の子孫に限り未熟練労働者であっても、入国が認められたから。
設問C
(1)バブル経済崩壊後の不景気や1997年の金融危機によって、金融センターであるこれらの都市から日本の銀行の支店が撤退したから。
(2)中国最大の都市、経済の中心であるため、工業が発達。人件費削減のため日系企業が多く進出し、工場を建てたから。

  • 2020.10.31 20:56
  • マツケイ

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