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2020.10.19

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コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性がありますので、ツイッター(@ts914)にDMをいただけますでしょうか。早々に対応いたします。

コメント

お待たせいたしました。遅れて申し訳ありません。

では添削いたします。

>筑波大 2018 Ⅰ前期

>この地域の多くは、等高線の間隔が狭い険しい山地で、標高300mから600m前後の山々が連なっており、主に荒地、針葉樹林、広葉樹林が見られる。また、河川と山地に挟まれた低地には、集落が見られる。北部の江師は、緩い傾斜のある低地に棚田が広がっており、家屋は周辺に点在している散村となっている。南部の田野々は、学校や駅、郵便局が見られ、この地形図中では、最も開発が進んでいる地域であり、主要な道路沿いに家屋が並んでいる。同じような地形条件の小石や吾川、川内のわずかな平地にも家屋が見られる。さらに、山地の円縁部には、河川に沿うように幹線道路が通っており、山地を縦断する箇所には、トンネルが建設されている。


とても上手い文章ですね。おそらくこれで満点だと思います。

一応、さらに改善するためのアイデアを紹介しておきますので、参考にしてくださいね。

本問のポイントは「地形」、「集落立地」、「土地利用」です。大まかな「設計図」を描いてみましょう。

まず地形について最初の一文で説明する。見たままの地形の特徴(山地である。河川が流れている)だけでなく、地理用語(地形輪廻の壮年期。深い谷を河川が蛇行している)、地形の成因(土地の隆起によって深い谷が刻まれた)といった点にまで言及できればベストかと思います。

こんな感じかと思います。

全体が山地である。等高線間隔は密で急勾配であり、地形輪廻の壮年期の地形である。谷が深く刻まれ、土地が隆起していると思われる。谷に沿って河川が曲流しており、河川が形成する谷は深いV字谷である。(95字)

いかがでしょうか。あえて文章は「稚拙」に書いてみました。長文だからといって文章テクニックに依存してしまうといたずらに文字数を消費するだけとなり、かえって要点を伝えることができません(例えば「見る」で済むところを「目にする」としたら2文字余分になってしまいますよね)。短い言い切りの形を意識するのが適策に思います。

まず「山地」は問題ありませんね。とくに急勾配の連続する険しい山地地形であることを「等高線間隔」から指摘しないといけません。さらにここでは「地形輪廻の壮年期」という言葉も用いています。日本の急峻な山地や山脈の多くは壮年期に該当します。地形輪廻には幼年期や老年期もありますね。

多くの谷がみられますが、いずれも深い谷となっています。このような谷はもちろん侵食によって形成されるのですが、とくに土地が大きく「隆起」するとこのような深い谷となります。地形の成因にまで言及するとポイントが高いと思いますよ。

また中央の河川について「曲流」という言葉で表現してみました。これを「蛇行」としても間違いではありませんが、ちょっと気をつけてくださいね。蛇行は本来土地の高低差が少ない河川下流域の低地(氾濫原)でみられるものです。ほぼ平坦な地形であるため、河川の流れがはっきりせず、多少の土地の凹凸によって河川の流れる向きが変わってしますのです。この図における河川はこうした本来の意味での「蛇行」ではないことはわかりますね。こうした山間部において急峻な地形の影響によって河川が極龍することを「穿入(せんにゅう)蛇行」ともいいます。「穿」とは「うがつ」という意味ですね。この言葉を用いても良かったかも知れません。

さらにここでは「V字谷」という言葉も加えました。氷河による侵食谷が「U字谷」というのと対照的になっています。

さらに山地における「土地利用」にも言及してしまいましょう。

山地は広く樹林地となっており針葉樹林と広葉樹林が広がっている。(31字)


ではここからは「集落立地」です。こ一つ一つの集落を取り上げ(江師や田野々など)、そこの集落の様子を述べながら、「土地利用」について個別に説明していくと簡単な気がします。

集落立地と土地利用について。江師には緩やかな斜面が広がり畑や田として利用されている。急傾斜地の麓や河川に沿う道路沿いに家屋が分散している。田野々付近は平坦な地形が広くみられ道路に沿って多くの家屋が位置し一部に中層建物もみられる。学校や郵便局、交番などもみられJRの駅もある。この地域の中心的な集落だろう。集落内には畑もみられる。(163字)

「緩やかな斜面」(つまりほぼ平坦ということです)や[平坦な地形]については河岸段丘の段丘面という解釈もできたと思います。とくに土地が隆起しているので段丘地形ができやすい条件でもあります。ただ、明確な河岸段丘というわけでもなく、そこまで記述することは求められていなかったとは思います。

以上の3つの文章をつなげてみますね。これで300字が埋まると思います。

全体が山地である。等高線間隔は密で急勾配であり、地形輪廻の壮年期の地形である。谷が深く刻まれ、土地が隆起していると思われる。谷に沿って河川が曲流しており、河川が形成する谷は深いV字谷である。山地は広く樹林地となっており針葉樹林と広葉樹林が広がっている。集落立地と土地利用について。江師には緩やかな斜面が広がり畑や田として利用されている。急傾斜地の麓や河川に沿う道路沿いに家屋が分散している。田野々付近は平坦な地形が広くみられ道路に沿って多くの家屋が位置し一部に中層建物もみられる。学校や郵便局、交番などもみられJRの駅もある。この地域の中心的な集落だろう。集落内には畑もみられる。(289字)

いかがでしょうか。文章としては全く上手くありません。一つの文中に「みられる」が連続していたり、日本語の文章としては不適切です。しかし、これはあえて「下手」に書いてみているのです。接続詞も使っていません。3つの文章をそのままつなげただけです。でも、これで十分に意味は通じますよね。それに「地形」、「土地利用」、「集落立地」についても説明はできています。「無難」な解答であり、常にこうした答案を安定して書けるようにして欲しいのですよ。




ではここからは KZMさんの解答について部分ごとに分析していきます。

>この地域の多くは、等高線の間隔が狭い険しい山地で、

素晴らしいですね。等高線の状況から地形の様子を読み取っています。「山地」と言い切っている点も良いと思います。

>標高300mから600m前後の山々が連なっており、

ここはとくに素晴らしいと思います。数字によって山の高さを表現しています。図の読解が精緻にできています。

>主に荒地、針葉樹林、広葉樹林が見られる。

ここも素晴らしいです。土地利用が述べられています。「荒地」は土地が「利用されていない」状態ですから本来は「土地利用」ではないのですが、もちろんこれを挙げることには全く問題はありません。

>また、河川と山地に挟まれた低地には、集落が見られる。

これも適切です。「集落立地」について記述しようという意思が感じられ、好印象です。

>北部の江師は、緩い傾斜のある低地に棚田が広がっており、家屋は周辺に点在している散村となっている。

ここも悪くありません。ただ「田」については「棚田」かどうかはわかりませんよね。これぐらいの傾斜地ならば(さほど急傾斜でもありません)棚田になっていない可能性もあります。また「散村」についても注意です。おそらく単に「散らばっている村」として散村という言葉を登場させたのでしょうが、地理で散村という場合には計画的に建設された新田集落や屯田兵村につくられたものを指す場合が一般的で、実は「専門用語」ではあったのですね。ここは「家屋が分散している」、「家屋が疎らにみられる」などの表現の方が妥当だったでしょう。

>南部の田野々は、学校や駅、郵便局が見られ、

ここもいいですね。できれば「田野々」の地形の特徴(「平坦な土地である」、「段丘面である」のように)にも言及して欲しかったところですが。「学校」、「駅」、「郵便局」も妥当です。土地利用とは本来関係ないところですが、文字数制限が長いので、こういった「余分なこと」も書く必要がありますね(そうしないと字数が埋まりません)。

>この地形図中では、最も開発が進んでいる地域であり、主要な道路沿いに家屋が並んでいる。

「開発が進んでいる」という言い方にちょっと違和感を覚えます。「中心的な集落」といった言い方で良かったと思いますよ。また、ここで「畑」など土地利用について述べてみても良かったでしょう。

>同じような地形条件の小石や吾川、川内のわずかな平地にも家屋が見られる。

ここは素晴らしいですね。私は「江師」と「田野々」の2つの集落にしか言及できませんでしたが、KZMさんはそれ以外の集落にも着目しています。非常に高い評価ができます。

>さらに、山地の円縁部には、河川に沿うように幹線道路が通っており、山地を縦断する箇所には、トンネルが建設されている。

ここもいいですね。字数を埋めるためのテクニックとして「いかに余分なことを書くか」があるわけですが、この部分はまさにそれを満たしています。「余分」というと悪い言い方のように思えますが、決してそんなことはありません。筑波のような長文論述の場合、このテクニックこそ合否を分けるはずです。

今回は添削までにお時間をいただきました。次回は多少は短縮できるとは思います。さらに演習を続け、投稿してくださいね。

  • 2020.11.17 18:28
  • たつじん

筑波大 2018 Ⅰ前期
この地域の多くは、等高線の間隔が狭い険しい山地で、標高300mから600m前後の山々が連なっており、主に荒地、針葉樹林、広葉樹林が見られる。また、河川と山地に挟まれた低地には、集落が見られる。北部の江師は、緩い傾斜のある低地に棚田が広がっており、家屋は周辺に点在している散村となっている。南部の田野々は、学校や駅、郵便局が見られ、この地形図中では、最も開発が進んでいる地域であり、主要な道路沿いに家屋が並んでいる。同じような地形条件の小石や吾川、川内のわずかな平地にも家屋が見られる。さらに、山地の円縁部には、河川に沿うように幹線道路が通っており、山地を縦断する箇所には、トンネルが建設されている。

  • 2020.11.09 07:50
  • KZM

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