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2021.07.30

454

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コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性があります。その際は他のフォームに再投稿していただけますでしょうか。お手数ですが、よろしくお願いいたします。(従来のDMによるお問い合わせは取りやめといたしました。ご理解くださいませ)

コメント

アマガエルさんこんにちは。

>たつじん先生添削お願いします。
お手数おかけしますが、60点満点で採点していただけると嬉しいです。
急ぎでなくて大丈夫ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

ありがとうございます。アマガエルさんの答案については、点数をつける都合上、ちょっとお時間をいただいているんですよ。お約束の一週間を越える場合もありますが(その際はちゃんとその旨をお伝えします)、ご容赦いただければと思います。

では添削いたします。

>2009東大

>大問1設問A

>(1)aは、多種類の常緑広葉樹が混在する多層構造の熱帯森林が広がる。bは、大きさが均一で種類の少ない針葉樹のタイガが広がる。(59字)(4/4)

いいですね。東大論述は60字ならば「2つのトピック、2つの文」です。その形式がキチンと守られています。

「大きさが均一」がちょっと気になる表現ではあります。ここは「高さ」でしょうか。あるいは単に「樹種が一様な針葉樹」で良かったと思いますよ。

>(2)
>アフリカ大陸の低緯度地域のサハラ砂漠西部やナミブ砂漠。近くを寒流が流れており、上昇気流が起こらず、降水量が少ないため。
(59字)(2/3)

なるほど、海岸冷涼砂漠ですね。サハラ砂漠西部については「近くを」は「沿岸を」にした方が適切でしょうか。

問題の問いかけ「二つの地域を挙げること」、「理由」がしっかり述べられています。とてもわかりやすいです。

ただ、やはりサハラ砂漠については「亜熱帯高圧帯」の影響で少雨となっているとした方が一般的理由かと思います。北半球で海岸冷涼砂漠の例といえば、メキシコのカリフォルニア半島だったでしょうか。


>(3)
>インドや中国の沿岸部。理由は森林を切り崩して、農地開発や都市開発や原料の輸入や製品の輸出に便利な工場を作っているため。(59字)(2/3)

工場に限定する必要はなかったと思いますよ。単に「都市化」でよかったでしょう。「都市化=人口増加」ですから、住宅地の拡大です。工場用地より住宅用地の方が広い面積を占めていると思います。

>設問B
>(1)標高が高い地域は急斜面が多く、谷は崖になっており森林が広がる。低い地域は緩やかに土砂が積もっており畑や果樹園が広がる。(59字)(1/3)

悪くありません。ただ、「侵食」や「堆積」などの地理用語を使用して欲しかったところです。

標高が高い地域で「侵食」、低い地域で「堆積」が生じている様子について言及しましょう。

>(2)
Xはピークが2つ見える。Yはピークが重なり1つに見える。(28字)(2/3)

適切です。わかりやすい解答になっています。ただ、こちらも「ビーク」ではなく「山頂」で良かったのではないかと。地理用語としては「山頂」ですよね。

>(3)
山の斜面を利用したゴルフ場や冬の雪を利用したスキー場。山の景色を楽しむための登山道や津軽岩木スカイラインがある。(56字)(3/4)

これはいいですね。「津軽岩木スカイライン」という固有名詞の使い方が上手いと思います。

私も書いてみました。

「急斜面であり積雪が多く巨大リフトを備えたスキー場の開発。火山の景観や高山の自然を楽しむための道路やロープウェーの整備。」(59字)」

「火山」も重要なキーワードだったように思うのですよ。火山という言葉も取り上げてみました。

第1問(14点/20点)


>大問2
>設問A
>(1)アフランス イイギリス ウスペイン(1点)

適切です。とくに問題ありませんね。正解です。

>(2)イは寒冷で土地も肥沃でないため、野菜の栽培に向いておらず、ジャガイモなどのイモ類が多く生産されている。ウは温暖であるため、野菜の栽培や豚などの家畜が飼育されておりその割合が高い。 (89字)(2/3)

(3)の方ではホイットルセー農牧業区分を答えることが重要となりますが、こちらの(2)はそうでもなさそうですね。イギリスは酪農、スペインは地中海式農業ですが、表中の作物(穀物やイモ類、野菜)とはあまり関係ありません。

まずイギリスの特徴について。まず冷涼であることが挙げられますね。さらに(氷河に削られ)地力に乏しいこともポイントになるかもしれません。これらは、やせた土壌や厳しい環境にも適応するジャガイモの生産と関連づけられます。

さらに、こちらが実は非常に重要になるのですが、イギリスは世界で最も生産性の高い農業を行っている国の一つです。農業就業人口割合が極めて低い(1%)であることはよく知られていると思います。省力化が進み、労働生産性が高くなります。

さらに大規模化が進み、農業従事者当たりの農地面積も広いものとなります。以前は小麦を輸入していましたが、現在は輸出国となっています。EUの共通農業政策の恩恵を最も受けた国といえます。ただ、本問の時点では穀類の自給率は「99%」であり、輸出については触れない方がいいかもしれませんね。穀物生産が増加し、農業収益が上がったイギリスは、今度は農業後進地域への援助金の負担を強いられることになります。農業支出金の負担増も、この国のEU離脱の一つの要因でした(このような国際政治に関する話題は、東大論述では問われないので、簡単に知っておけば十分です)。

以上のことを踏まえてまずイギリスについて記述しましょう。

「イはイギリス。大規模で生産性の高い小麦栽培が行われる。冷涼な気候でイモ類の生産も多い。」(43字)

後半はスペインですね。これも非常にいいと思います。スペインは豚の世界的な飼育国ですから、これに触れるのは適切です。ただし、ちょっと気になるのは「地中海性気候=野菜類」としていることです。地中海性気候は高温乾燥となる夏の気候に対応した農業形態であり、耐乾性の樹木栽培を原則とします。「地中海式農業=樹木農業」とも呼ばれています。たしかにスペインでは地中海性農業地域がみられ、オレンジ(灌漑による)やオリーブの栽培が行なわれていますが、これらは「野菜」ではありませんよね。野菜を栽培する農業形態は「園芸農業」であり、これは都市周辺で行なわれる「近郊農業」と遠隔地で行なわれる「輸送園芸農業」の二つがあります。スペインはヨーロッパの主要部(オランダやフランス北部、ドイツ西部)からは遠く、「輸送園芸農業」が該当するでしょう。もしくは農業区分に関する記述は避け、単に「温暖な気候で野菜が栽培される」だけでも構いません。

このような書き方はどうでしょう。

「ウはスペイン。温暖な気候を利用しての輸送園芸農業や養豚が盛ん。野菜や肉類は輸出される。」(43字)

自給率が100を超えているので、ここではあえて「輸出」を強調してみました。

>(3)温暖な気候を生かした集約的な野菜の園芸農業や、土地の栄養の少ないポルダーの地域での酪農や肉類の生産が盛んである。(56字)(2/3)

事実誤認ではないでしょうか。オランダは寒冷な国です。もちろんスペインなど一般的な傾向としては「野菜=温暖」ですが、オランダは例外的な地域となります。カブや球根などの根菜が中心です。

本問の基本は「ホイットルセー農牧業区分」です。「園芸農業」と「酪農」を軸に論を展開できた点は評価できます。素晴らしいと思います。

オランダで穀物栽培があまり行われない理由は、この国が「園芸農業」と「酪農」が盛んであるからです。地形環境や自然条件ではなく、いきなり農牧業区分で結論づけることに違和感を感じるかもしれませんが、これが地理の論述問題というものなのです。(1)が「農業生産の面」から問うているのに対し、この(2)は「農業の特徴」ですよね。問われかたの違いに注意してください。

この二つの農牧業区分について、さらに「国土の特性」と紐付けて解答(回答)することが求められています。

以下のことは知っておいていいと思いますよ。

酪農・・・海面下の低地(つまりポルダー)にて行われる。アジアならばこうした干拓地は水田として利用されるが、オランダにおいては牧草地となる。水捌けの悪い低湿地であり、根腐れが起きるため作物栽培には適さない。牧草地として利用され、家畜飼育が行われる。

園芸農業・・・野菜が一般的な作物となるが、オランダにおいては花卉や球根を考えるといい。とくに球根はかつて家畜の飼料として大きな需要があり、我々の想像以上に重要な作物。沿岸の砂丘において栽培されている。

これらをふまえて文章を作ってみましょう。

「海面下の干拓地が広く、牧草地として利用され酪農が行われる。海岸沿いには砂丘が広がり、野菜栽培など園芸農業が行われる。」(58字)

結局球根ではなく、表中にもある野菜を文に組み入れてみました。こちらの方がベターだったと思います。

>(4)冬は寒冷で降雪があるため、価格の高い家畜や野菜の生産は少ない。夏の米作りは盛んだが、米は熱量に対して価格は小さいため。(59字)(2/3)

なるほど、いいですね。「米」について強調して論じられています。さらに「寒冷で降雪がある」という気候的特徴に関しても明確に述べられています。とてもいいと思いますよ。ただ、野菜はともかく家畜は挙げるべきではありませんでしたね。「高価格、低カロリー」の野菜に対し、肉は「高価格、高カロリー」です(詳細は次の問題の解説で)。

私はこう書いてみました。

「熱量に比して価格の安い米の生産が盛ん。大都市圏から離れ広大な農地を有し、冬の農業が振るわない水田単作地域である。」(56字)

かなり強引に詰め込んでしまった印象ですが。「広さ」と「水田単作」を含めてみました。厳密には北海道は野菜栽培や畜産も盛んなので水田単作とは言い切れないのですが、特に問題はないでしょう。文字数に余裕があれば「寒冷であり冬に農業が困難であるため、水田単作となる」といったようなことも説明したかったんですけどね。

>(5)果実や旬でない時期に出荷する野菜、肉類と全て熱量に対して価格の高いものを中心に生産しており、生産額が高いため。(55字)(1/3)

なるほど、こちらも上手いです。先ほどの問題の「米」と比較して、野菜と肉類の特徴を述べている点が適切です。ただ、野菜はたしかに「熱量に対して価格の高い」つまり「価格に対し熱量が低い」ものであるのですが、それは肉類に当てはまるものでしょうか。肉類は一般に高カロリーであり、「価格に対し熱量は高い」のではないでしょうか(つまり「熱量に対し価格が安い」といういことです)。最近は低所得層に肥満が増えていると言います。低所得層が、栄養価が低く高カロリーのファストフード(肉や油脂を多く使用しています)を多く食べているため、肥満になりやすいということを聞いたことがありませんか?肉類は「低価格で高カロリー」なのです。

ですので、ここでは野菜のみに言及して論じるべきだったと思いますよ。

「熱量に比して価格の高い野菜栽培が盛ん。大都市圏から遠方にあり、温室での促成栽培を中心とした野菜の輸送園芸農業が行われる。」(60字)

どうでしょうか。わかりやすいとは思います。

ホイットルセー農牧業区分を国内の農業において持ち出すことは不要ですが、本問ではあきらかに「関東地方=近郊農業」「四国・九州=輸送園芸農業」の対比がなされています。「園芸農業=近郊農業+輸送園芸農業」であり、輸送園芸農業という言葉を使うとより適切だったでしょう。

>設問B
>(1)ア インドネシア イタイ ウベトナム エフィリピン(1点)

いいですね。正解です。

>(2)ア国は、人口が多く食糧不足が深刻であった。そのため、高収量品種の導入や灌漑設備が整える緑の革命を進めていったから。(3/3)
(57字)

いいですね。インドネシアに関しては「緑の革命」はキーワードとして使ってしまっていいと思いますよ(本来はインドにおいて典型的に使われる言葉ですが)。

インドネシアは人口大国ですし、人口の多さに触れている点も素晴らしいと思います。

むしろタイやベトナムの方が書きやすかったかもしれませんね。タイは雨季と乾季が明瞭で、一年一作しかできなかったのですが、灌漑施設の整備によって二期作が可能になりました。

ベトナムも同様に灌漑による二期作が普及したうえ、市場経済化の導入によって輸出用の作物の生産に力が入れられ、米の商業的栽培が拡大しました。

>設問C
>経済発展し、所得水準が上がり、高価格の肉類の消費量が急激に増えた。しかし、家畜の餌の大豆の生産は追いついていないため。
(59字)(2/3)

いいですね。とても上手い文章かと思います。輸入が増えた背景には2つの理由がありますよね。「消費量<生産量」なわけですから、消費量が増えたこと、そして生産量がそれに比して増えていないこと、この2点を2つの文で述べることが大切なわけです。アマガエルさんの解答はそれが見事にできています。これは、受験対策をしていない生徒には書けなかった解答かと思いますよ。

東大論述の特徴として「30字で1トピック」というものがあります。今回は60字ですから「2つのトピック」ですよね。2つの独立した内容をそれぞれ述べる必要があります。まず消費量について述べ、それから生産量について言及するべきです。これ、過去問を研究していないと、なかなかこういったテクニックは身に付かないと思いますよ。アマガエルさんはその点、完璧です。

肉類の需要拡大については経済成長に伴う「食の西洋化」を取り上げて欲しかったところですが、それは大きな問題ではないでしょう。「餌」についても「飼料」とした方が適当でしたが、意味的には問題ありません。

全体として、ほぼ完成された解答に思いますよ。

第2問(14点/20点)

>大問3
>設問A
(1)c輸送用機械器具製造業
b食料品製造業
a医療業 d情報サービス業
e宿泊業
この順番で考えました(2点)

なるほど、適切に思いますよ。「愛知県=製造業」、「北海道=食品」は判定が容易ですね。eも北海道や静岡など観光地が含まれていますから、これも判定は容易です。情報通信は東京への過度な集中ですね。

>(2)高齢化が進んでおり高齢者に必要な事業は拡大している。一方、人口の伸びや経済成長も鈍化しているため建設業は衰退している。(59字)(2/4)

総合工事業の減少については、国の工業事業費の削減という側面があるのです。それまでの日本では、道路や施設など地方を対象とした公共事業が盛んに行われていました。これは「バラマキ」と批判されたこともありますが、地方へとお金を回すためには実は有効な経済対策でもあったのです。

そもそも「総合工事業」という言い方がわかりにくいですもんね。我々からすると、建設だけでなく、土木も含まれるのだなとピンとくるのですが高校生だとなかなか厳しいかも知れません。

同様に我々年代ですと、かつては公共事業によって地方の経済活性化が行われていたことを知っており、さらにそれらが地方への「ばら撒き」と揶揄されたり、「ハコモノ」と呼ばれた公共施設の利用者が少ないことを批判されたりなどの状況も見聞きしていますからね。

かつての自民党政権は「地方」の農村票が支持の基盤でした。ゆえに地方へとふんだんに予算を割き、それは公共事業費の拡大によって表されました。しかし21世紀の日本においては東京への一極集中が顕著になり、地方が顧みられることが少なくなりました。こういった背景が「総合工事業」の縮小につながっているような気もしますね。

とはいえ、いずれにせよ「地理」の範囲からは逸脱している印象です。書ききれなかったとしても無理はないでしょう。

>設問B
>B県はA県と異なり人口が減っており年齢構成も高齢者が多く若者が減少していると想定できる。そのため、財政が悪化し、公共サービスの効率化を進める必要ができ市町村合併を進めていった。
(88字)(4/6)

なるほど、納得の文章です。アマガエルさんの意図は十分に伝わりますよ。十分合格圏の解答ではないでしょうか。

気になる点を少々。「B県はA県と異なり人口が減っており」とありますが、これは確実なことでしょうか。たしかに現在日本の多くの県では人口が減っているのでBが人口減少県であることは可能性が高いとはいえ、三大都市圏に含まれるからといってAで確実に人口が増えているとは言い切れないと思います。そういったデータがないので、安易にここは断定しない方がいいかと。

A県には触れず、「B県は人口減少県と思われ、若年層の割合低下、高齢者の割合上昇が生じていると思われる。」などとしてみたらどうだったでしょう。

なお、私はこう書いてみました。

「地方圏のB圏の人口構成は高齢者に偏り、経済を支える若年労働者の割合が低く財政基盤が弱い。公共サービスの拡充と財政健全化を目指し、中心市による周辺町村の編入や市町村合併が進行した。」(89字)

「中心しによる周辺町村の編入」とは要するに「市町村合併」のことなのですが、あえて分けて書いてみました。

それから個人的には「生産年齢人口」という言い方が好きではないので(高校生や大学生もこれに含まれることになりますね。また、65歳以上で働いているかたもたくさんいますので)この言葉は用いませんでした。ただ、だからといって「若年労働者」と言い切ってしまうのもどうかなとは思いますね。壮年や高齢者も含めたうまい言い方があればいいのですが。


>設問C
>(1)ア郊外 イ都心 ウ中間(2点)

いいですね。非常に「モダン」な問題と思います。2010年代以降の日本の社会情勢をうまく示した問題です(もっとも、本問の出題は2009年ではありますが)。現代の日本の人口変化の特徴は、「郊外のニュータウンにおける高齢化の進行」と「都心への人口回帰」ですからね。トレンドに沿っています。

>(2)都心は土地が値上がったバブルの時に生産年齢人口が減ったが、崩壊後再開発で高層マンションができ増加した。地方からも若者が多く入ってくるため老年人口の割合に変化は少ない。一方土地の値段の安い郊外は、バブル時に入居した人の高齢化が進んでいる。(118字)(3/6)

どうなんでしょう?バブルにこだわりすぎではないでしょうか。一般にバブル経済は1980年代後半であり、バブル崩壊は1990年代初頭です。都心の人口変化はなるほど、1980年代後半と1990年代とで動きに明確な差があり、これをバブルおよびその崩壊で説明するのは悪くありませんが、郊外のニュータウンの開発は高度経済成長期(60年代)より行われているものであり、「バブル時に入居」は必ずしも当てはまるものではないと思います。

「都心は高地価で人口が流出し、バブル期には生産年齢人口が減少。しかしバブル崩壊後は地価も下がり再開発によって若年層を中心に人口が流入。郊外は高度経済成長期に若年層が流入。しかし年を経て彼らが高齢化することで老年人口割合が上昇。(112字)

こういったことが言いたかったのではないでしょうか。「地方からも若者が多く入ってくるため老年人口の割合に変化がない」点については、「若年層を中心に人口が流入」だけに説明をとどめ「老年人口」に関する言及を避けています。とくに問題なかったと思います。

本問はグラフをしっかり読解することがポイントでしたね。それぞれのグラフの動きから都心と郊外の特徴について考察しましょう。

ア(郊外)については、生産年齢人口も老年人口も1980年以降増加しています。しかし、生産年齢人口は1995年から停滞そして減少しているのに対し、老年人口は伸び方がさらに急になっています。

イ(都心)についてはトータルとして人口が減少し続けてきました。しかし、2000年以降は人口が増加し、とくに生産年齢人口の伸び方は顕著です。

ウ(中間)はおそらく地方都市などでしょう。非大都市圏に位置する。人口に大きな変化はありませんが、日本全体の人口動態の特徴である「微減」「老年人口の増加」をそのまま反映しています。

以上を考慮して、さらに考えを進めていきます。

都心と郊外の典型的な人口動態は以下のとおりです。

都心・・・最初は人口が減少しているが、現在は急増。
郊外・・・人口は増加しているが、現在は高齢者の割合が高まっている。

その原因について「住宅供給」と合わせて考えてみます。都心では、まず高い地価によって人口が減少していたものの、現在は「再開発」により多くの集合住宅が建設されたことが背景にあるはずです。郊外ではニュータウンの建設でしょうか。ただしそれは本図から考えるに1980年代までが中心であり、現在は住民構成の高齢化が際立ちます。

「都心では高地価で人口が郊外に流出したが、近年は再開発によって多くの集合住宅が建設され、とくに若年層の人口流入が目立つ。」(59字)

「郊外ではニュータウン建設によってとくに若い世代の入居が多かったが、現在は年齢構成の上昇により高齢者が増加している。」(57字)

二つを並べて

「都心では高地価で人口が郊外に流出したが、近年は再開発によって多くの集合住宅が建設され、とくに若年層の人口流入が目立つ。郊外ではニュータウン建設によってとくに若い世代の入居が多かったが、現在は年齢構成の上昇により高齢者が増加している。」(116字)

どうでしょうか。とくに難しい言葉は使っていませんが、無理のない説明にはなっていると思います。120という長い文章ですが、トピックを分化させ、さらに「出題者が求める内容」を意識して(今回は「住宅」ですね)文章を構築するのがコツです。

第3問(13点/20点)

>質問
>設問B問1
この国の判定問題はどのように考えればいいでしょうか?
人口が圧倒的に一番多いインドネシアが一番多いのは分かるのですが、その先が違ったみたいです。
赤本の解説も人口の多さと輸出輸入多い国かどうかで判断するとのことだったのですが、
それだとフィリピンの方が多いですし。
ベトナムとタイの区別できないですし。

米の生産は「アジアで人口順」でしたね。以下のような順位です。

1位;中国 2位;インド 3位;インドネシア 4位;バングラデシュ 5位;ベトナム(1億人) 6位;タイ(7千万人) 7位;ミャンマー(5千万人)

例外はパキスタン、日本、フィリピンです。パキスタンは乾燥国であり、主穀が小麦(ナン)であることから自給的な米の栽培はなされません(この国はむしろ輸出が多いですね。生産9位、輸出5位)。日本は国の政策として農業に重きを置かず(生産調整や減反など)生産が低迷しています。フィリピンは島嶼国で平野に恵まれず、米作に適した環境ではありません。

>私は米の生産と輸出が特に多いタイは2番目にはきそうであると考えました。
3番目と4番目は、フィリピンは山がちな地形で棚田が多い。一方、ベトナムは半島部で環太平洋造山帯でもなく平坦な土地が多い。そのため、ベトナムの方が多いのではないか?と考えたためベトナム、フィリピンの順になると思いました。
しかし、答えはベトナムとタイが逆でした。

いいですね、とてもいい視点だと思いますよ。ベトナムについては「社会主義」がキーワードになるのです。ベトナム戦争で統一されたベトナムは社会主義体制による国づくりを行なってきましたが、1980年代後半にドイモイ政策によって市場経済化を目指します。21世紀に入り、市場経済化が実を結び、ベトナムは輸出用産業に力を入れることになります。衣類を中心とした工業製品の輸出のみでなく、多くの一次産品も輸出用に生産が拡大します。原油、コーヒー、エビ、そして米ですね。とくに米については比較的早い段階から灌漑施設の整備が進められ。それまで雨季のみ作付けする「一年一作」だったものが「二期作」地域がメコンデルタを中心に拡大しました。このことにより、1990年代以降ベトナムの米の生産は急成長しているわけですね。イがベトナムです。

ベトナムの二期作の普及はテストでも良く問われますので、知っておくといいと思いますよ。

合計(41点/60点)

  • 2021.08.05 12:10
  • たつじん

たつじん先生添削お願いします。
お手数おかけしますが、60点満点で採点していただけると嬉しいです。
急ぎでなくて大丈夫ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

2009東大
大問1設問A
(1)aは、多種類の常緑広葉樹が混在する多層構造の熱帯森林が広がる。bは、大きさが均一で種類の少ない針葉樹のタイガが広がる。(59字)
(2)
アフリカ大陸の低緯度地域のサハラ砂漠西部やナミブ砂漠。近くを寒流が流れており、上昇気流が起こらず、降水量が少ないため。
(59字)
(3)
インドや中国の沿岸部。理由は森林を切り崩して、農地開発や都市開発や原料の輸入や製品の輸出に便利な工場を作っているため。
(59字)

設問B
(1)標高が高い地域は急斜面が多く、谷は崖になっており森林が広がる。低い地域は緩やかに土砂が積もっており畑や果樹園が広がる。(59字)

(2)
Xはピークが2つ見える。Yはピークが重なり1つに見える。(28字)

(3)
山の斜面を利用したゴルフ場や冬の雪を利用したスキー場。山の景色を楽しむための登山道や津軽岩木スカイラインがある。(56字)

大問2
設問A
(1)アフランス イイギリス ウスペイン
(2)イは寒冷で土地も肥沃でないため、野菜の栽培に向いておらず、ジャガイモなどのイモ類が多く生産されている。ウは温暖であるため、野菜の栽培や豚などの家畜が飼育されておりその割合が高い。 (89字)
(3)温暖な気候を生かした集約的な野菜の園芸農業や、土地の栄養の少ないポルダーの地域での酪農や肉類の生産が盛んである。(56字)
(4)冬は寒冷で降雪があるため、価格の高い家畜や野菜の生産は少ない。夏の米作りは盛んだが、米は熱量に対して価格は小さいため。(59字)
(5)果実や旬でない時期に出荷する野菜、肉類と全て熱量に対して価格の高いものを中心に生産しており、生産額が高いため。(55字)

設問B
(1)ア インドネシア イタイ ウベトナム エフィリピン

(2)ア国は、人口が多く食糧不足が深刻であった。そのため、高収量品種の導入や灌漑設備が整える緑の革命を進めていったから。
(57字)

設問C
経済発展し、所得水準が上がり、高価格の肉類の消費量が急激に増えた。しかし、家畜の餌の大豆の生産は追いついていないため。
(59字)

大問3
設問A
(1)c輸送用機械器具製造業
b食料品製造業
a医療業 d情報サービス業
e宿泊業
この順番で考えました

(2)高齢化が進んでおり高齢者に必要な事業は拡大している。一方、人口の伸びや経済成長も鈍化しているため建設業は衰退している。(59字)

設問B
B県はA県と異なり人口が減っており年齢構成も高齢者が多く若者が減少していると想定できる。そのため、財政が悪化し、公共サービスの効率化を進める必要ができ市町村合併を進めていった。
(88字)

設問C
(1)ア郊外 イ都心 ウ中間
(2)都心は土地が値上がったバブルの時に生産年齢人口が減ったが、崩壊後再開発で高層マンションができ増加した。地方からも若者が多く入ってくるため老年人口の割合に変化は少ない。一方土地の値段の安い郊外は、バブル時に入居した人の高齢化が進んでいる。(118字)



質問
設問B問1
この国の判定問題はどのように考えればいいでしょうか?
人口が圧倒的に一番多いインドネシアが一番多いのは分かるのですが、その先が違ったみたいです。
赤本の解説も人口の多さと輸出輸入多い国かどうかで判断するとのことだったのですが、
それだとフィリピンの方が多いですし。
ベトナムとタイの区別できないですし。

私は
米の生産と輸出が特に多いタイは2番目にはきそうであると考えました。
3番目と4番目は、フィリピンは山がちな地形で棚田が多い。一方、ベトナムは半島部で環太平洋造山帯でもなく平坦な土地が多い。そのため、ベトナムの方が多いのではないか?と考えたためベトナム、フィリピンの順になると思いました。
しかし、答えはベトナムとタイが逆でした。

  • 2021.08.03 21:24
  • アマガエル

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