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2021.07.30

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すでにお申し込みされている添削メンバーの方のみ投稿ください(メンバー募集は4月で終わっています。追加募集の予定はありません)。最低、月に1回の投稿がノルマです。これが無き場合は登録取り消しになりますので、ご注意ください。

コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性があります。その際は他のフォームに再投稿していただけますでしょうか。お手数ですが、よろしくお願いいたします。(従来のDMによるお問い合わせは取りやめといたしました。ご理解くださいませ)

コメント

では添削いたします。

>東京大学2018年第3問 人口と都市

>設問A
>(1)Aー沖縄県Bー東京都Cー埼玉県Dー福岡県

いいですね。難しかったと思いますが、よくできています。せいたんさんの高い地理能力を感じますよ。

こういったグラフは現在の値から考えるのがコツです。現在の日本で特に人口増加率の高い県は東京都と沖縄県ですので、AとBのいずれかがこれに該当します。

東京都の場合は高度経済成長期からバブル期にかけて、地価の高騰などで人口(常住人口)が郊外へと流出しました。このため、人口増加率は低い値(もしくはマイナス)となっています。2000年代以降は再開発による住宅開発によって都心への人口回帰が生じ、人口増加率が上がりました。Bが東京都ですね。

一方、Aが沖縄県となります。こちらは一定の高い人口増加率をキープしています。沖縄県の人口増加は自然増加によるものですね(経済レベルが低い地域ですので、社会増加はマイナスとなりますが、それをはるかに上回る自然増加率の高さなのです)。沖縄県の自然増加率が高い主な理由は、戦争による当時の若い世代の死亡ですね。今なら高齢者となっているはずのこの世代が大きく欠けており、一貫して死亡率が低くなっているのです(すでに戦争によって死んでしまっているわけですから、人はこれ以上死にません)。死亡率が低い状態で、高い出生率が維持されたならば、図のような高い人口増加率が続くわけです。

CとDについては現在の人口増加率はさほど高くありません。過去に注目してみましょう。東京都との対比でわかると思います。高度経済成長期からバブル期にかけて都心部から人口が郊外に流出し、多くのニュータウンが建設されました。ドーナツ化現象という言い方も知られていますね。「郊外」型のキャラクターを持つ県で特に人口増加率が上がり、Cが埼玉県となります。地方中枢都市のキャラクターを持つ福岡県はさほど極端な値とはなりません。

>(2)山地が地形的障害となり交通が未発達で、近隣の大都市への移動の時間距離が遠く通勤通学が困難なため人口が流出した。(55字)

いいですね。わかりやすい文章になっています。「交通が未発達」は言い過ぎのような気もしますが(鉄道や自動車道路は整備されているはずなので)とくに問題ないでしょう。「時間距離」はいい表現かと思います。的確です。

この問題は決して難しい内容を問うているわけではないのですが、字数制限がキツく、さらに使用語句の指定もあり、かなり書きにくい問題となっていますね。この手の問題がスムーズに書ければ、合格は近いですよ。じっくり取り組んでみましょう。

まず山梨県と和歌山県ですが、「周辺の都府県」と比べて、人口減少が顕著になっていますね。周辺とはもちろん東京大都市圏、大阪大都市圏に含まれる都府県です。東京や大阪といった巨大な都市に近接するという有利な条件がありながら、なぜかこの二つの県は人口が大きく減っています。

おそらくこれは山がちな地形であるという自然環境に由来するものではないでしょうか。「距離」は近いものの「移動」が困難な地形が多く、決してアクセスは良くない。こういったことを順を追って正しく述べていけばいいと思いますよ。(ですので、移動は「容易」ではありませんよね。「困難」なはずです)

「両県とも大都市からの距離は近いが、山がちな地形であるため、都心部へのアクセスは悪く、人口が流出している。」(52字)

こういった形でしょうか。「距離」「地形」を使っています。工夫すれば「移動が困難」「高速交通が未整備」「東京や大阪など都市規模の大きな都市」のように他の言葉も使えたとは思いますが、これでもとくに問題ないと思います。

>(3)都市規模が大きい三大都市圏や広域中心都市をもつ県は工業化やサービス業の発達で雇用機会が多く人口移動が少ない。一方、それらから遠い県は農村が多く過疎化が進展し人口減少率が高いため。(89字)


なるほど、うまいですね。これもとてもわかりやすい文章になっています。

これはおそらく後半の方がポイントになっていますね。東北地方で仙台を抱える宮城県で人口減少率が低いことに注目してください。地方中枢都市の存在によって、人口が惹きつけられるわけですね。語群に「地方中枢都市」という言葉はありませんが、おそらく「広域中心都市」という言葉で代用せよということだと思います。ほぼ同じ意味ですからね。

「①について。経済や産業の三大都市圏への集中が強まり、その周辺では人口の流出率が低い。②について。地方は大きく人口が減少しているが、広域中心都市では人口の流入がみられる。」(84字)

こういったことだと思いますよ。「①について」、「②について」といったように、項目ごとに整理して述べてみました。決して難しい内容ではないと思います。言われてみれば納得できる、極めて簡単なことを、シンプルに解答(回答)するのが東大入試の特徴ですね。

>設問B
>(1)鹿児島は台地の縁や海岸の低地に拡大した。(19字)

いいですね。海岸沿いに拡大したことがとくにポイントだったと思います。。

>広島は海岸沿いの三角州から海岸の埋立地、河川沿いに拡大した。(30字)

これも適当に思います。沖積平野の範囲で拡大した様子が述べられています。

>金沢は台地上に広がり、一部海岸と平行な砂丘上に拡大した。(28字)

なるほど、図を正確に読み取っていますね。問題ないかと思います。

本問は解答が困難な問題だったと思います。図の読み取りが難しいのですよね。私も考えてみました。

金沢;内陸部の扇状地から沿岸部へ。海岸沿いにも拡大。
広島;三角州から沿岸部へ。内陸の扇状地や谷底平野へも拡大。
鹿児島;山地に接した狭隘な平野から海岸に沿って拡大。

こういったことだとは思いますが、いずれも釈然としませんね。。。金沢や広島は河川沿いということは分かるのですが、扇状地や三角州の判定が困難です。鹿児島にしても、そもそもの城跡の位置がちょっとわかりにくいですよね。丘陵に接しているのでしょうか。曖昧すぎますよね。東大の入試問題らしくないと思います。

>(2)海沿いの低平な地帯で津波や高潮、埋立地で液状化現象、山間部では大雨による土砂崩れや土石流などの土砂災害の危険性がある。(60字)

上手いですね。こういった問題はこのような「箇条書きスタイル」が有効なことにせいたんさんは気づいていますね。適切な解答です。

私も書いてみました。

「沿岸部では台風の際の高潮や地震の際の液状化。内陸部の傾斜地では崖崩れや土石流。」(39字)

字数は少ないですが、こんな感じでしょうか。どうも本問は解答しにくいですね。東大の問題としてはクオリティが低いような気が。。。

>設問C
>(1)地価が高い都心は中心業務地区となっており、家具や装飾品などの買い回り品を扱う百貨店などが立地する。一方で、住宅地や生鮮食品などの最寄り品を扱うスーパーは郊外に立地する。(84字)

いいですね。これもわかりやすいです。「都心」と「郊外」の対比がきちんとなされています。

これも曖昧な問題だとは思います。「大都市の土地利用と生活圏との関係」というのがよくわかりません。指定語句から書くべき内容を類推しないといけないでしょう。

「大都市では、地価の高い都心部は中心業務地区であり買回り品を扱う商業施設も集まる。地価の安い郊外は生鮮食料品など最寄り品を扱う店舗が多く、都心部へと通う人々の生活圏となっている。」(88字)

どうなんでしょうね。会話文を読んで私がピンときたのは「買回り品」と「最寄品」なんですけどね。買回り品とは高級品や耐久消費財のことで、これを扱う商店は都心部に集まります。デパートですね。最寄品や日用雑貨や生鮮食料品で、人が住むところどこでもあります。コンビニやスーパーであり、「郊外」に限定はされないのですが、会話文を読む限り「近所のスーパー」に関する内容が、郊外に住む自分の家の近所のことを全体に取り上げられているようで、とくに「郊外」限定であっても問題ないかと思います。

本問については、「買回り品」「最寄品」という言葉が使われているかどうかが、勝敗の分かれ目だったと思いますよ。

>(2)郊外のニュータウンなどで、若年層の流出や居住者の高齢化が発生したことでスーパーなどの小売店が撤退したから。(53字)

う〜ん、、、これは惜しいですね。これ、いわゆる「フードデザート」の問題なのですよ。近年問題になっていることで、都心部での生鮮食料品を扱うスーパーマーケットの減少があります。都心部は常住人口の減少により、それらスーパーマーケットの多くが閉店となりました、都心部の人々はコンビニやファストフード店で出来合いの調理品を買うことで食事をまかなっているわけですが、それらは塩分や油脂が多かったり、決して栄養豊富なものではありません。イギリスなどでは実際に、都心部の住民の平均寿命が下がった事例があります。

本来、「最寄り品」を扱う店舗は都心部だろうが郊外だろうが(あるいは都市圏外だろうが)人が住んでいれば必ず存在したのですが、その傾向が都心部においては弱まっているということです。

つまり、こういったことです。

「都心部である。高地価により常住人口が減少し、最寄品を扱う店舗が減少。利便性の高い商業施設は郊外に多い。」(51字)

なるほど、と思いませんか。こういったフードデザートの問題にも敏感になってください。

全体としてとても良く出来ていると思います。とくにこの大問は解答しにくい問題が多かったにもかかわらず、せいたんさんは高いレベルでクリアできています。さらに演習を続けていきましょう。

  • 2021.08.03 14:20
  • たつじん

東京大学2018年第3問 人口と都市

設問A
(1)Aー沖縄県Bー東京都Cー埼玉県Dー福岡県
(2)山地が地形的障害となり交通が未発達で、近隣の大都市への移動の時間距離が遠く通勤通学が困難なため人口が流出した。(55字)
(3)都市規模が大きい三大都市圏や広域中心都市をもつ県は工業化やサービス業の発達で雇用機会が多く人口移動が少ない。一方、それらから遠い県は農村が多く過疎化が進展し人口減少率が高いため。(89字)

設問B
(1)鹿児島は台地の縁や海岸の低地に拡大した。(19字)
広島は海岸沿いの三角州から海岸の埋立地、河川沿いに拡大した。(30字)
金沢は台地上に広がり、一部海岸と平行な砂丘上に拡大した。(28字)
(2)海沿いの低平な地帯で津波や高潮、埋立地で液状化現象、山間部では大雨による土砂崩れや土石流などの土砂災害の危険性がある。(60字)

設問C
(1)地価が高い都心は中心業務地区となっており、家具や装飾品などの買い回り品を扱う百貨店などが立地する。一方で、住宅地や生鮮食品などの最寄り品を扱うスーパーは郊外に立地する。(84字)

(2)郊外のニュータウンなどで、若年層の流出や居住者の高齢化が発生したことでスーパーなどの小売店が撤退したから。(53字)

  • 2021.07.31 19:04
  • せいたん

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