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2021.08.10

461

すでにお申し込みされている添削メンバーの方のみ投稿ください(メンバー募集は4月で終わっています。追加募集の予定はありません)。最低、月に1回の投稿がノルマです。これが無き場合は登録取り消しになりますので、ご注意ください。

コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性があります。その際は他のフォームに再投稿していただけますでしょうか。お手数ですが、よろしくお願いいたします。(従来のDMによるお問い合わせは取りやめといたしました。ご理解くださいませ)

コメント

すいません。。。回答するべき問題を間違えました。

(コメント数を偶数にしておきたいので、これにコメントは加えないでくださいね)

  • 2021.08.18 23:51
  • たつじん

では添削いたします。

>2010年度 第二問設問A

>(1)ウ-フィリピン  エ-インド

いいですね、正解です。

>(2)総数から遠距離の国だと判断。ウは在留者が多く親族訪問の割合が高いフィリピン、エは技術貿易をするため商用割合が高いインド。

なるほど、これは上手いですね。素晴らしいと思います。これは字数が少なく、記述が困難な問題なのですよ。そーやさんは本当にうまく完璧にまとめています。私よりうまい解答です。模範解答レベルですよ。

>(3)最先端の技術を利用したレジャーが楽しめる施設の多い東京。日本の自然条件を生かした茶摘み体験や富士登山ができる静岡。
→どこを具体例にすべきか分かりませんでしたが、自分なりに書いてみました。

これは惜しいなと思いますね。東京はもちろん適切なのですが、秋葉原電気街での買い物や渋谷や表参道でのブランド品のショッピングなどを挙げて欲しかったところです。

さらに静岡ならば、伊豆の温泉地が有名なのではないでしょうか。富士山観光はともかく、茶摘み体験というものは特殊な例かと思います。

「東京都。美術館など都市型観光に加え高級品のショッピングも楽しめる。静岡県。世界遺産である富士山観光や温泉地での保養など。」(60字)

こういった形でしょうか。参考にしてくださいね。

>(4)低賃金で雇える労働力を求めた日系企業の進出によるビジネス客の増加。また、所得が高く金銭的な余裕による観光客の増加。

いいですね、十分合格圏の解答です。

ただ、どうなんでしょうね。本問は「不均衡」の理由を述べるべきものですし、日本から中国への訪問客の多さと、中国から日本への訪問客の少なさについて、並行して言及するべきだったとは思います。

例えば私はこう書いてみました。

「経済水準を比較し、中国人にとって日本への旅行はコスト高だが日本人にとって中国への旅行は割安感がある。日系企業も多く進出。(60字)」

字数のバランスは極端に悪いですが、一応2つのトピックを挙げています。一つが経済レベルの違い、一つが企業進出。そのうえで、最初の理由については、日本からみれば割安、中国からみれば割高という説明も加えました。

>(2)~(4)が事例を2つを並べて記述するものでしたので、前後半のバランスを意識してみました。

東大の問題って実はこのパターン多いですよね。問題文をじっくり読み込み、何について書けば得点できるのか、事前にしっかり考えてみましょう。

>また、できるだけ内容が薄くならないように、情報を多めに加えていらないと思ったところを削るといったことをしてみました。上手く書けていれば良いのですが、、。

たしかにそのことが十分に意識されているような気がしました。とてもいいのではないでしょうか。ただ、一部にまだまだ余分な部分はあります(例えば「低賃金で雇える労働力」ならば、単に「低賃金労働力」で十分です)。今後の課題にしてくださいね。

  • 2021.08.18 23:50
  • たつじん



>添削していただくことで東大の地理に必要な知識も増えますし、記述のポイントも少しづつ向上させることができてきて嬉しいです。

いいですね。アマガエルさんはかなりレベルの高い解答を提出してくれていて、こちらも大変嬉しいですよ。ただ、焦ることはありませんから、マイペースで問題をこなしていきましょう。今は「内容の深さ」より「演習の量」を重視する段階です。

>イギリスの農業が効率よく小麦は輸出していること。緑の長城計画、自民党の昔の支持と政策などの話も、自分で勉強している分には知る由もなかったため、面白いエピソードが知れて単純に楽しめてもいます。

ありがとうございます。これらの知識については、イギリスの農業の生産性の高さは共通テストレベルの簡単な内容ですし、緑の長城計画は教科書でも説明されていることで国公立二次私大レベルの標準的な内容、自民党の政策は学習範囲から逸脱した発展的内容です。それぞれの知識についても「強弱」をつけて、自分なりに整理しておいてくださいね。絶対に知らなくてはいけない内容、知らなくても問題ない内容、いろいろありますよ。

>今回も60点満点で点数付き添削していただきたいです。よろしくお願いします。

今回も点数をつけさせていただきますね。ただ、前回も申し上げたかと思いますが、点数をつける必要上、どうしても「細かい減点箇所」を指摘することになり、添削コメントも厳しくなることをご了解ください。

点数つけなければ、合格圏の内容については「大変素晴らしいです」で終わるのですが、そうなるとどうしても満点をつけなくてはいけなくなりますよね。実際には満点にふさわしい解答は稀ですし、そもそも満点を取る必要もありません(だから「合格圏」なのです)。

重箱の隅をつつくようなコメントに気分を悪くされるかもしれませんが、その点はご承知くださいね。基本的にはそういった細かい点は全く修正する必要はありませんし、私も他の受験生の添削ならば触れることはありません。あくまで点数をつける都合上であることをご理解ください。気にしないでくださいね。

では添削いたします。

>2010東大
>大問1

こちらの内容は「スタディサプリ 地理・論述編 第3章[1]でも扱っていますので詳しくはそちらをご覧ください。ここでは簡単な解説にとどめます。

>(1) 前者は乾燥帯にあり、農業の灌漑用水の確保や銅の精錬用の電力確保のため。後者は冷帯にあり、雪解けによる洪水を防ぐため。(3/4)
(58字)

いいですね。ただ、「乾燥」ならば「電力確保」については触れる必要はなかったと思いますよ。また、ダムの重要な用途である「利水」や「治水」という言葉も入れることができたでしょう。灌漑用水としての「利水」、洪水を防ぐ「治水」です。

>(2) 前者は標高の高く急峻な山地山脈が多く、侵食の力が強い。後者は標高の低くなだらかな山地山脈で形成され、侵食の力が弱い。(58字)(2/4)

こちらもいいのですが、降水量に触れてみてもよかったかなと思います。中国地方も山陰側は降水量が多いのでしょうが、全体的な傾向として他地域より少雨であることは理由として挙げられたでしょう。

>(3) 洪水が減り天然の肥沃土が減少、海岸侵食により三角州が縮小し農地が減るなど農業への悪影響。ダムの貯水量が減ることで発電用や灌漑用の水資源も減少した。上流では洪水防止機能も低下した。(2/4)
(89字)

まず最初の文から。冒頭は「洪水が減り天然の肥沃土の供給が減少」ですね。さらに「海岸侵食により」ではなく「土砂の流出量が減り」が適切です。

二つ目の文は完璧です。とてもうまくかけています。

三つ目の文はよくわかりません。なぜダムに土砂が堆積すると「上流側の洪水防止機能」が低下するのでしょう?というか、そもそも「上流の洪水防止」とは何でしょうか?「上流での洪水」を防ぐ機能でしょうか。これはダムのはたらきとしては不可能ですね。それとも「上流が本来有している「洪水防止」機能が低下した」のでしょうか。これは例えば森林伐採により、上流側の水源涵養(*)能力が落ちるため、なるほど洪水防止機能は低下しますが、こちらもダムとは関係ありませんよね。この点が曖昧なのです。

(*)水を土中に蓄えるはたらき。少しずつ水を下流側に流すことで急激な増水を防ぎ、結果として洪水抑止となる。

例えば私はこう書いてみました。

「ダムに土砂が堆積することで貯水量が減少する。治水効果が下がり洪水が頻発する。水資源の減少で灌漑や発電の能力が下がる。下流側へ流出する土砂が減少することから、海岸侵食が生じる。」(87字)

どうでしょうか。無理のない文章になっていると思います。参考にしてくださいね。

>(4) 森林はC。森林は水を蓄える力が強く、降った雨はそのまま流れるのではなく、少しづつ長時間かけて流れ出していく。このように人工のダムと同様に洪水防止など治水機能が備わっているから。(89字)4/4


これはうまいですね。満点解答だと思います。ここではしっかり「治水」が使えていますね。

>(5) 白いダムでは、氷河や冬の積雪が春から夏にかけて少しづつとけだし流出する。それを水需要が高まる季節にも農業や飲用水に使い渇水の心配がなくなるなど人工のダム同様の機能が備わっている。(89字)3/4

こちらもいいですね。ただ、字数が長いので、具体的な事例について触れる余裕もあったと思います。

例えばこう言った感じです。

「冬の間に積雪や氷河として標高の高い山岳部に蓄えられた水は、春先に融け出し、周辺地域へと流出する。田植えの時期など水需要の多い季節や夏の渇水期などに農業・生活用水として利用される。」(89字)

上が私の解答例です。長い字数を利用して、詳しく説明してみました。

「田植えの時期」はアジア限定の内容ですし、「夏の渇水期」はアルプス南麓の南ヨーロッパです。このように具体的な状況を想定して書くことも、「字数が長い」場合には有効な手段ですので、参考にしてください。


計 14点/20点


>大問2
>設問A
>(1)ウ-フィリピン エ-インド(ア-中国 イ-台湾)(1/1)

いいですね。ウとエについては正解です。

なお、アとイは逆でしたね。人数が多く商用メインのイが中国であるのはわかりやすいと思います。中国より多いので、アは台湾ですね。こちらは主に観光目的となります。残ったウとエについては、距離の遠さ、貿易や企業進出といった経済的なつながりの弱さから、フィリピンとインドになりますね。ウは親族訪問の割合が高く、これは日本国内にフィリピン人が多いことの影響でしょう。エのインドは商用目的が多いですが、IT産業と結びつければいいですね。
観光目的での入国の割合と、経済レベル(1人当たりGNI)が比例することを意識してみてください。

>(2) ウは、エより観光の割合が高く距離的に近い国であり、出稼ぎ労働者の親族訪問が多い。 エはIT産業などの商用が多い。(2/3)
(56字)

なるほど、悪くないのですが、これではアとイが無視されていますね。まずアとイを否定し、残ったウとエについて考えるという手順を説明するべきです。

例えば、このようにしてみてはどうでしょう。

「ウとエはともに総数が少なく中国台湾ではない。ウは日本国内の同国出身者への親族訪問が多い。エはICT産業が発達し商用が主。」(58字)

字数的にかなり厳しいですが、何とか意味は通じるとは思います。参考にしてくださいね。

>(3) 東京は経済の中心地で観光地が豊富にあり、商業施設も多い。千葉県はディズニーリゾートがあり、航空機でのアクセスが便利。(59字)(1/3)

うまいですね。適切に思います。ただ、惜しいと思うのは、東京と千葉は観光地としてのタイプが似ていると思うのです。いずれも都市型の観光ですよね。自然を楽しむといったリゾート型の観光地も挙げるべきだったと思います。そもそも東京を観光する外国人は千葉を訪れるでしょうし、その逆も然りです。まとめて「東京圏」という一つの観光地になってしまいます。

例えばこう言った感じです。

「北海道。スキー体験や温泉、雄大な自然を楽しめる。千葉。テーマパーク訪問。東京に近く買い物に便利。(48字)」

温暖な台湾からみると、雪景色のきれいな北海道が魅力的な観光地と考えられているようですね。

>(4) 日本はイ国より国土面積も広く気候や観光地も多様なため複数回訪れる観光客が多い。人口も多く市場として魅力的で商用も多い。(59字)(0/3)

>問題を読み誤っていました。総数だけ見て中国の方が多いだろうと考えてアが中国でイがイが台湾であると勘違いしました。
>そのこともあり、単位を意識して、文章を注意深く読めてなかったです。
日本からイが多いのに、読み違えてました。

なるほど、これは仕方ありませんね。アとイの判定は難しかったと思いますよ。

ちなみに私の解答はこういった形です。

「経済水準を比較し、中国人にとって日本への旅行はコスト高だが日本人にとって中国への旅行は割安感がある。日系企業も多く進出。(60字)」

経済レベル(1人当たりGNI)の違いを物価と結び付けて説明しています。中国の場合、「商用」目的も多いので、日系企業の進出により経済的な関係が強いことも強調しています。

>設問B
>(1)C-北京 A-ソウル B-東京 D-台北(2/2)
この順に考えました
c気温が低く乾燥
A冬の気温が低い
B気温が温暖 湿潤
D気温が年中温暖 降水量非常に多い

いいですね。Dは気温で判定できます。低緯度の台北。Cは降水量の少なさで北京。以前は冷帯気候に含まれていましたが、現在はBSと捉える場合が多いようです。Aはシベリア高気圧の影響でとくに冬の降水量が少ないことから朝鮮半島のソウル。Bは東京ですが、最暖月平均気温25℃、最寒月平均気温5℃と直接覚えておいてもいいかもしれませんね。ソウルとは異なり、冬でも月に50ミリ程度の降水はあります。

>(2)
首都ソウルへの一極集中を緩和させるため、政府機関や大企業の地方都市への移転、企業立地の規制を行っている。国をいくつかの軸に分け、軸にあった工業開発を行い格差是正を進めている。(3/4)
(87字)

なるほど、とてもよく書けていると思います。「軸」というのは「国土軸」ということかと思いますが、たしかにこれがいくつかあることは確かです。とくに重要なものはソウル(京城)とプサン(釜山)を結んだ、国土中央を縦断する京釜国土軸ですね。

ただ、これを工業とするのは微妙であるのです。韓国の工業は、ポハンの鉄鋼業やウルサンの自動車工業など日本海沿岸地域も一つの中心地となっています。一方で、韓国の主要都市の多くがこの京釜国土軸に沿っていることから、産業や経済面から論じた方がよかったかもしれません。

つまり、後半は「国にいくつかの国土軸を設け、地方への都市開発や産業の振興を計画的に行なっている」のようにした方がよかったかなとは思います。

なお、私はこう書いてみました。

「ソウル。過度な集中を避けるため開発が規制されている。テジョンに政府機関の一部を移転させるなど行政の一極集中も避けられている。国内の格差是正のため地方の工業開発も積極的に行われる。(89字)」

90字は長いので、具体的な例を一つ入れるのはテクニックです。ここではテジョンを解答に含めてみました。首都機能の移転が行われている都市です。

>(3)
>以前は衣類や電気製品の組立といった労働集約型であった。賃金上昇に伴う国際競争力低下により、研究開発や税制面で優遇をし、現在はパソコンの部品など電子工業の様な技術集約型へ転換した。(89字)(3/4)

「国際競争力の低下」という表現には感心しました。これはとてもうまいですよ。この言葉を適切に使うことができる受験生はいないと思います。

「国際競争力=経済水準」と考えてしまうのですね。これ、全くの反対ですよね。経済水準とは1人当たりGNIのことですが、1人当たりGNIが上がれば国際競争力は下がります。要するに、賃金水準が上がれば、労働コストが製品価格に反映され、当該国の製品は高価格となりますよね。低価格の1人あたりGNIが低い国々に比べ、明らかに競争力を劣るわけです。これを理解しているアマガエルさんはたいしたものだと思いますよ。

「国際競争力」については必ず「低下」という言葉とセットで使うようにしてくださいね。

細かい点を指摘しておきますね。

「衣類や電気製品の組み立て」では「衣類」も「組み立て」になってしまいますね。ここはシンプルに「衣類や電気機械」で十分だったと思います。

「労働集約型であった」もやや不足ですね。ここは「労働集約型工業が中心だった」としてみてはどうでしょう。つまり「衣類や電気機械など労働集約型工業が中心だった」とした方がスッキリしませんか?「単純労働による」という言葉を加えてもいいかもしれません。

「賃金上昇による国際競争力の低下」は完璧です。とてもいいです。

「研究開発や税制面で優遇をし、」もちょっとぎこちない文章です。「研究開発」をするのは当たり前ですので、これはカットしていいと思いますし、あるいは本問がそもそも理由を伸べることが求められた問題ではありませんし、指定語句にもこれに関するものはありません。丸ごと削ってしまっていいのでは。


「パソコンの部品など電子工業の様な」についてはもっとうまく書けなかったかなと思います。パソコンの部品ならば「精密部品」で構いません。としてみてはどうでしょう?労働集約型「工業」に対し、技術集約型「産業」としている点にも注意してください。

以上をまとめると以下のようになります。

「以前は衣類や電気製品など単純労働による労働集約型工業が中心だった。賃金上昇に伴う国際競争力低下により、現在は精密部品製造に代表される電子工業など技術集約型産業へと転換した。」(86字)

どうでしょうか。これで収まりのいい文章になったと思いますよ。もちろん「研究開発」や「政策」に関する話題も入れることができればベストだったと思いますが、指定語句から考え、そこまで論ずる必要はなかったかと思います。「賃金」と「国際競争力」の関係を捉え、さらに「技術集約型」の対比語として「労働集約型」を登場させることができれば、ひとまず出題者の要求には答えたことになるかと思いますよ。その点で、アマガエルさんの解答は十分な合格圏です。

なお、私はこのように書いてみました。

「1980年代以前は賃金水準の低さから衣類や機械組立など労働集約型工業が中心。賃金水準の上昇によりその分野の国際競争力が低下し、精密部品や電子機器など技術集約型産業へ産業構造が転換。(90字)」

とくに不明点はないかと思います。「賃金」という言葉を二重に使っている点が特徴的でしょうか。

計(12/20点)








2010 東大 3


>第3問
>設問A
>(1) 高度経済成長では鉄鋼など原料製品ともに重厚長大な素材型産業が臨海部に発達し、内航海運が増加。石油危機後自動車など加工組立型産業が中心。ジャストインタイムで部品を運ぶ自動車が増加。(89字)(1/3)

前半の文はいいと思います。とてもよく書けています。

ただ、後半が弱いですね。

・自動車工業が「内陸部」だからこそ自動車輸送が増えたことを指摘するべきです。「臨海部=船舶、内陸部=自動車」の対比は必要です。

・「ジャストインタイム」の用法がちょっと雑な気がします。「ジャストインタイムで輸送」という用法は正確ではありません。輸送方法に関する言葉ではなく、供給体制を表す言葉です。

Wikipediaでは「生産過程において、各工程に必要な物を、必要な時に、必要な量だけ供給する」システムだと説明されていますね。在庫を減らして、無駄をなくす供給体制です。完成までに多くの工程と部品を必要とする自動車工業において一般的に行われ、トヨタがこれを導入することで生産性を上げていったことはよく知られています。ただ、大企業には有利なシステムではあるものの、関連工場にとっては負担が大きく、二次や三次の下受け企業にとっては過酷な生産体制を強いることになります。知識として知っておきましょう。「ジャストインタイム=即時」に部品を供給することです。

私はこう書いてみました。


「高度経済成長期は臨海立地の素材型工業が主で資源等大量輸送に適した内航海運が重用。石油危機以降は自動車工業など内陸部に工業地域が拡大しジャストインタイム方式に適した自動車輸送が発達」(90字)

いかがでしょうか。まず「臨海部」と「内陸部」の対比を示しています。それぞれ「素材型工業」と「自動車工業」を具体例として挙げています。

また「ジャストインタイム」については「ジャストインタイム方式」とすると言葉として用いやすかったと思いますよ。あくまで「供給体制」に関する言葉と考えてください。

90字という字数は長く感じますが、実際に解答をつくってみるとかなり厳しいことがわかります。大きく2つのこと(高度経済成長期と現在)を説明する必要がありますから、実質的な字数制限は「45字」ですよね。さらに「ジャストインタイム」という言葉だけで全体の1割の字数を占めてしまうのです。内容的には難しいとは思いませんが、いかに整理して効率的に文章を作るのかが課題の問題でした。

>(2)
現在中心の自動車に比べ、鉄道は大型でエネルギー効率もよく、酸性雨、光化学スモッグ、地球温暖化などの環境問題対策になる。(1/3)
(59字)

言いたいことはわかるのですが、言葉の用い方が曖昧な気がしますよ。「大型」という表現はどうでしょう?ここを詳しく述べるべきです。

まず前提として、60字制限なのですから、「2つの文」で組み立てることを考えてください。

一つは電気化されていて、排ガスを生じないということですね。
もう一つは、エネルギー当たりの輸送量が大きく(おそらくこのことをアマガエルさんは「大型」と言ったのでしょう。このように数値に基づいた表現にしないと意味が伝わりませんよ)、効率的であることです。

どうでしょう?最初から2つのことを書くのだ、と頭に入れておくと、鉄道のメリットが浮かび上がってきませんか?

そもそも「酸性雨」と「地球温暖化」を一緒に考えてはいけません。前者は「二酸化炭素」であり、後者は「硫黄酸化物」です。理論的に考えれば、両者は全く違った環境問題であり、理由が違うこともわかると思います。

私はこう書いてみました。

「鉄道輸送は自動車輸送に比べ大気汚染物質の排出量が少なく環境負荷が小さい。エネルギー当たりの輸送量が大きく効率的である。」(59字)

いかがでしょう?最初から2つのことを書くのだと決めてから実際に書き進めています。字数と内容とのバランスを考慮して書いてみてくださいね。

>設問B
>ア名古屋 イ千葉 ウ横浜 エ苫小牧

>(1) 豊田市や横浜市は重量の重い自動車の生産の中心の都市。企業城下町を形成。近くの港であるアやウから海外や他県に輸出。
(56字)(1/3)

たしかに単位が「百万トン」ですので重量にこだわる気持ちもわかりますが、一般に自動車の特徴を述べる際に「重さ」を挙げることはなく、ここはそれに触れる必要はなかったと思いますよ。単に数量として「多い」で問題ないと思いますよ。

また国内の「他県」に輸送する場合は輸出ではありませんよね。これも言及する必要はありません。

まずともに主な輸出品目が自動車であることを挙げましょう。さらに「周辺地域の特徴」を述べればいいのです。自動車工業の立地としては「集積立地」という言葉が最も適切です。

このように書いてみました。

「主な輸出品目は自動車である。自動車工業は集積立地であり、周辺に部品工場や組立工場など集中し、自動車生産が盛ん。」(55字)

こういった形でしょうか。問題の要求に答え、まず例(自動車)を示し、その特徴として「集積立地」を挙げています。後半はそれに付随する説明ですが、むしろ字数稼ぎでしょうか(本問は書くべき内容に対し、字数制限が長いように思います)。自動車工業は臨海立地ではありませんので、「臨海」は入れてはいけません。

アマガエルさんの解答には、キーワードが「自動車」と「企業城下町」の2点のみとなっています。都市名をあげる必要はありませんでしたし、後半の文(「近く〜輸出。」)も不要です。自動車工業の特徴を丁寧に挙げるべきでした。

>(2)
イは石油や鉄鉱石を輸入し、化学製品や鉄鋼を輸出。エはチップを輸入し、紙製品を輸出。ともに近くの臨海部の都市で輸入依存度の高く、重い原料を使い、比較的軽い製品を生産する工業が発展。(2/3)
(89字)

いいですね。わかりやすいです。

>イは石油や鉄鉱石を輸入し、化学製品や鉄鋼を輸出。

適切です。

>エはチップを輸入し、紙製品を輸出。

こちらもいいですね。チップについては「木材チップ」の方が正確でしたし、「紙製品」のみでなく「パルプ」も含めても良かったかもしれません。とはいえこの形で十分です。

>ともに近くの臨海部の都市で

ここは満点です。これは絶対に必要はキーワードでした。

>輸入依存度の高く、

これはどうなんでしょう?一般に、輸入依存度とは「GDPに対する輸入額の割合」であり、ここでの用法は不適切です。「輸入に依存し」と丁寧に書くべきです。

>重い原料を使い、比較的軽い製品を生産する工業が発展。

こちらでも重量について述べていますが、これもとくに不要だったかと思います。

例えば、これら工業のキーワードに「資本集約型工業」という言葉もありますよね。いずれも資源に依存する資本集約型工業である点を指摘しても良かったでしょう。字数に余裕があるのでいろいろなことを述べられたと思いますし、それが加点要素になる可能性はあります。

なお、ちなみにエの苫小牧は石油関連産業の立地もみられます。巨大な原油の備蓄基地もあり、化学工業も発達しています。これに関して言及することはなかったと思いますが、苫小牧港が日本5位の港である背景には原油の取り扱いがあることも知っておいてください。

>設問C
>(1)a-ルール b-ライン c-フランクフルト d-ドルトムント e-ベルリン(0/2)

>dは分からなかったので、ドイツの知っている都市を書きました。言われればあーとはなりましたが、ミュンヘンがどの辺にあるかとかその都市の名前が頭に浮かびませんでした。

ミュンヘンは基本ですね。共通テストレベルの都市です。私のホームページの「共通テストで問われる都市名100」にもあります(YouTubeでこれら100の都市名については説明しています)。良かったら確認しておいてくださいね。むしろドルトムントは知る必要のない都市だと思います。「知るべき知識、知らない方がいい知識」のメリハリをつけておきましょうね。

http://ts9ts9ts.cloud-line.com/page21455/page63912/

https://youtube.com/playlist?list=PLUghhx20IdXDFoxbV96b_EMw2C_DWPobO


>(2) ウは太平洋ベルト上の東海道山陽新幹線。工業地域として人口も増え大都市に発展。相互に機能的に連携を深めたメガロポリス。(58字)(1/3)

「東海道山陽新幹線」を指摘する必要はなかったと思います。また「メガロポリス」については「東海道メガロポリス」という使い方が適切だったのでは?

メガロポリスの特徴を考えるならば、東京、名古屋。大阪の都市がそれぞれ別個に発達し、それらが交通網や通信網で結びつく様子を説明するべきです。

例えばこうなります。

「東京圏、名古屋圏、大阪圏は工業地域として発達し、人口が流入。大都市が連続する東海道メガロポリスが形成された。」(54字)

「工業地域として発達→人口が流入→メガロポリスを形成」といった流れを強調しています。このような三大都市圏の発達が、その周辺地域も含め「東海道」全体で発展する流れは、高度経済成長期を特徴づけるものです。

>(3) 日本は山地の割合も大きく平野が少ない。中央集権で政治経済文化の中心を東京に一極集中しており人口も集中。ドイツは、平野も多い。連邦制で都市機能を分散させ、都市による人口差も少ない。(2/3)
(89字)

どうなんでしょう?平野が多いことは関係ありませんね。ドイツ同様に中小都市が分散する国の例としてイタリアがありますが、こちらは山岳国です。ヨーロッパの歴史背景が重要で、かつてドイツ地域もイタリア地域も多くの小国が林立していました。ドイツならばプロイセンやザクセン、バイエルン、イタリアならばフィレンツェ、ベネチア、ナポリなど。これらが一体化して現在の「大国」になっているのであり、ドイツの連邦制はこれが根拠となっているのです。ただ、本問ではこのような歴史背景は述べる必要はありませんでしたが。

日本=中央集権的=一極集中=大都市(東京)
ドイツ=連邦制=分散=中小都市が並ぶ

こういったことをしっかり書き切れば十分です。

「連邦制のドイツは州ごとの独自性が強く、都市機能が諸都市に分散。各都市の規模もさほど大きくはない。日本は中央集権的な傾向が強く、東京が突出して巨大であり、世界都市としても重要。」(87字)

ドイツは「州」、日本は「世界都市」といった言葉も付け加えてみました。さらに都市の規模(ドイツは「規模は大きくなく」、日本の東京は「巨大」)にも言及しています。

「中央集権」については「中央集権的な傾向が強く」としています。例えば我々が普段生活していて「日本は中央集権国家だ」なんていう言い方、聞きますか?「中央集権国家」と断言するのではなく、「中央集権的な性格が強い」のように、ややソフィスティケートした言い方にとどめた方が無難だったかもしれません。

計(8/20)


第1問 14点/20点
第2問 12点/20点
第3問 8点/20点

合計;34点/60点

全体としてとてもよくできていますよ。最初にも申し上げたように、得点をつけるとなると、どうしても減点部分を細かく説明しないといけないので、一部に「辛い」コメントもあったかも知れません。しかし、それは気にしないでくださいね。論述は自由度が高い出題形式ですので、本来そういった細かいことにはこだわらなくてもいいのです。

今回は1週間ギリギリ時間をいただきましたが、どうしても採点に慎重になるので、それなりの時間がかかる場合があります。アマガエルさんの場合は添削回答までの期限を「2週間」としていただけますでしょうか。本来は1週間の期限で回答するようにしているのですが、ご理解いただければと思います。

では次回も期待しています。


  • 2021.08.18 21:52
  • たつじん

2010 東大

添削していただくことで東大の地理に必要な知識も増えますし、記述のポイントも少しづつ向上させることができてきて嬉しいです。

イギリスの農業が効率よく小麦は輸出していること。緑の長城計画、自民党の昔の支持と政策などの話も、自分で勉強している分には知る由もなかったため、面白いエピソードが知れて単純に楽しめてもいます。

今回も60点満点で点数付き添削していただきたいです。よろしくお願いします。

2010東大
大問1
(1) 前者は乾燥帯にあり、農業の灌漑用水の確保や銅の精錬用の電力確保のため。後者は冷帯にあり、雪解けによる洪水を防ぐため。
(58字)

(2) 前者は標高の高く急峻な山地山脈が多く、侵食の力が強い。後者は標高の低くなだらかな山地山脈で形成され、侵食の力が弱い。(58字)

(3) 洪水が減り天然の肥沃土が減少、海岸侵食により三角州が縮小し農地が減るなど農業への悪影響。ダムの貯水量が減ることで発電用や灌漑用の水資源も減少した。上流では洪水防止機能も低下した。
(89字)

(4) 森林はC。森林は水を蓄える力が強く、降った雨はそのまま流れるのではなく、少しづつ長時間かけて流れ出していく。このように人工のダムと同様に洪水防止など治水機能が備わっているから。(89字)

(5) 白いダムでは、氷河や冬の積雪が春から夏にかけて少しづつとけだし流出する。それを水需要が高まる季節にも農業や飲用水に使い渇水の心配がなくなるなど人工のダム同様の機能が備わっている。(89字)

大問2
設問A
(1)ウ-フィリピン エ-インド(ア-中国 イ-台湾)

(2) ウは、エより観光の割合が高く距離的に近い国であり、出稼ぎ労働者の親族訪問が多い。 エはIT産業などの商用が多い。
(56字)

(3) 東京は経済の中心地で観光地が豊富にあり、商業施設も多い。千葉県はディズニーリゾートがあり、航空機でのアクセスが便利。(59字)

(4) 日本はイ国より国土面積も広く気候や観光地も多様なため複数回訪れる観光客が多い。人口も多く市場として魅力的で商用も多い。(59字)

問題を読み誤っていました。総数だけ見て中国の方が多いだろうと考えてアが中国でイがイが台湾であると勘違いしました。
そのこともあり、単位を意識して、文章を注意深く読めてなかったです。
日本からイが多いのに、読み違えてました。


設問B
(1)C-北京 A-ソウル B-東京 D-台北
この順に考えました
c気温が低く乾燥
A冬の気温が低い
B気温が温暖 湿潤
D気温が年中温暖 降水量非常に多い

(2)
首都ソウルへの一極集中を緩和させるため、政府機関や大企業の地方都市への移転、企業立地の規制を行っている。国をいくつかの軸に分け、軸にあった工業開発を行い格差是正を進めている。
(87字)

(3)
以前は衣類や電気製品の組立といった労働集約型であった。賃金上昇に伴う国際競争力低下により、研究開発や税制面で優遇をし、現在はパソコンの部品など電子工業の様な技術集約型へ転換した。
(89字)

第3問
設問A
(1) 高度経済成長では鉄鋼など原料製品ともに重厚長大な素材型産業が臨海部に発達し、内航海運が増加。石油危機後自動車など加工組立型産業が中心。ジャストインタイムで部品を運ぶ自動車が増加。(89字)

(2)
現在中心の自動車に比べ、鉄道は大型でエネルギー効率もよく、酸性雨、光化学スモッグ、地球温暖化などの環境問題対策になる。
(59字)

設問B
ア名古屋 イ千葉 ウ横浜 エ苫小牧

(1) 豊田市や横浜市は重量の重い自動車の生産の中心の都市。企業城下町を形成。近くの港であるアやウから海外や他県に輸出。
(56字)

(2)
イは石油や鉄鉱石を輸入し、化学製品や鉄鋼を輸出。エはチップを輸入し、紙製品を輸出。ともに近くの臨海部の都市で輸入依存度の高く、重い原料を使い、比較的軽い製品を生産する工業が発展。
(89字)

設問C
(1)a-ルール b-ライン c-フランクフルト d-ドルトムント e-ベルリン
dは分からなかったので、ドイツの知っている都市を書きました。言われればあーとはなりましたが、ミュンヘンがどの辺にあるかとかその都市の名前が頭に浮かびませんでした。

(2) ウは太平洋ベルト上の東海道山陽新幹線。工業地域として人口も増え大都市に発展。相互に機能的に連携を深めたメガロポリス。(58字)

(3) 日本は山地の割合も大きく平野が少ない。中央集権で政治経済文化の中心を東京に一極集中しており人口も集中。ドイツは、平野も多い。連邦制で都市機能を分散させ、都市による人口差も少ない。
(89字)

  • 2021.08.11 05:14
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