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2021.04.28

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すでにお申し込みされている添削メンバーの方のみ投稿ください(メンバー募集は4月で終わっています。追加募集の予定はありません)。最低、月に1回の投稿がノルマです。これが無き場合は登録取り消しになりますので、ご注意ください。

コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性がありますので、ツイッター(@ts914)にDMをいただけますでしょうか。早々に対応いたします。

コメント

では添削いたします。

>東大2006 第三問

>設問A (1)a-中国 b-台湾 c-マレーシア

適切です。

>(2)国内のバブル崩壊による不景気や産業のハイテク化を背景に、安価で豊富な労働力のある東南アジアや中国に企業移転が進んだから。(60/60)

どうなんでしょう。おそらく何を答えるべきかは十分にわかっているはずなのですが、それが文章に完全には反映されていないような印象です。ちょっと雑だったかな。

まず「バブル崩壊」は不適当でしょうね。これは90年代初頭ですので、1997年以降の動きとは無関係です。さらに「不景気」もちょっと気になるんですよね。あまり地理的な言葉とは言えない様な。僕はあまり使わない言葉ですね。

また「産業のハイテク化」というのもちょっと意味がわかりづかいかと思います。具体性がなく、感覚的に述べている印象です。さらに「ハイテク化」を背景に、発展途上国へと企業移転が進んだというのも同様に具体性がありません。

そもそも「企業」ではありませんよね。ここで指摘するべきは「工場」であり、とくに「労働集約型」工業の工場ですよね。だからこそ「安価で豊富な労働力」が必要になるわけで。

とはいえ「安価で豊富な労働力」という言い方はとてもいいと思いますよ。これこそまさに地理的なキーワードです。「雰囲気」ではなく「統計数字」に基づいた言葉を用いることこそ地理的な思考につながります。

こういった文章はどうでしょう。2パターン書いてみました。

「PC組立は労働集約型工業で高賃金の日本から低賃金の発展途上国へ生産拠点が移動した。なお研究開発は日本で行われる。(59字)」

「PC組立は労働集約型工業で高賃金の日本から安価で豊富な労働力の得られる発展途上国へ生産拠点が移動。国内では産業の空洞化。(59字)」

いずれも字数が余ったため、余分に短文を加えています。とくに減点にはならないでしょう。むしろここで得点できたらおいしいですよね。

本問のポイントは「パソコン」限定であるということです。パソコン組立が労働集約型工業であること、そして安価な労働力が得られる発展途上国(1人当たりGNIが低い)での組立が有利なことを述べてください。

たとえば「不景気」としてしまうと、これは経済の停滞もしくは衰退を表します。つまり1人当たりGNIは上昇しないわけで、むしろ日本国内の賃金水準が下がっているかもしれません、そうなると日本国内でこそ安価な労働力が得られることになり、工場の海外移転は必要ないことになります。統計や数字を用いた理論で考えれば、「不景気=工場の海外進出」は結びつかないことがわかりますよね。この点が、かいさんの回答が「雰囲気」で書かれているように感じる一因なんですよね。地理的な思考ではありません。

>(3)政府によるIT産業の推進でパソコンなど電子機器を使える人的資源の授業が高まり、経済発展した都市部で普及が進んだから。(60/60)

悪くありません。ただ、漠然とした部分もあり、具体性に欠ける箇所も目立ちます。たとえば「人材資源を重視」というのは具体的にどういったことでしょう?おそらくここでは高度に教育されることで先端産業や情報産業に堪能な有能な人材を育成することですよね。そこを明確に述べた方がいいと思いますよ。

また「パソコンを普及する政策」はどうでしょう。政府が情報化社会を推し進める中で、国民や企業がそれに必要なものとしてパソコンを購入し、それを生活やビジネスに活かしているという流れがあるわけです。政府が行ったことは「人材育成」や「インフラ整備」であり、その流れの中で「パソコンの普及」が広まっていったわけですよね。手段(パソコンの使用)と目的(情報化社会の実現)を明確化しておいた方がいいかなとは思います。

「工業化による経済発展を遂げた両国である。高度に教育された人材資源の育成が政府主導で進み、通信回線などインフラ整備も進む。(60字)」

たとえばこういった形でしょうか。この通信回線については注目してくださいね。韓国は「若い」国であるからこそ、日本よりも早くADSL回線が21世紀初頭には全土に広がり、いち早くインターネット社会を実現させた国です。今ではADSLは光ファイバーにその位置を譲っていますが、上方化社会の進展については韓国は日本より一日の長があると言われています。機会あれば韓国における通信インフラの整備も調べておくといいですね。

>設問B

>(1)人口の一極集中で東京圏の居住環境が悪化したから。企業誘致やバブル崩壊で工業団地など地方の工業化が進み、雇用が増えたから。(60/60)

なるほど、これはいいですね。上手いと思いますよ。とくに前半がおもしろいと思います。「居住環境の悪化」を理由にしている点はユニークです。かいさん独自の視点という感じがして、好印象ですよ。

これで満点回答です。以下は、同じ問題に対する他の生徒さんの投稿に対する私の回答になります。良かったら参考程度にお読みください。

(以下引用)

統計に目を移しましょう。1980年は高卒就職者数が極めて多く、そして県外就職者こそ現在に比べとくに多かったわけです。彼らはどこに就職したのでしょうか。おそらく東京の工場なのではないでしょうか。

主な勤め先が「東京の工場」から「県内の工場」に変化したことについて、キーワードを使いつつ確実に説明することが大事だと思います。

「企業誘致」、「高速道路」は使えます。これらにより「工業化」が進展したことを述べましょう。「新幹線」はどちらでもいいかなとは思います。人間の移動は便利になりますが、新幹線は貨物(工業製品)の輸送には用いませんものね。

「高速道路整備により製品輸送が容易となり、新幹線開通で大都市圏とのアクセスが向上。工場や企業誘致により県内の雇用が増加。」(59字)

こういった形でしょうか。納得はできると思います。

なお、データ自体、とても興味深いものですので、再確認しておいてくださいね。「高卒就職者数」については実数、「県内就業者の割合」「県外就業者の割合」は割合で示されています。人数そのものが大きく減少するなかで、とくに際立って減少しているのが県外への就職者というわけです。おもしろい傾向ですよね

(引用終わり)

>(2)東京圏は経済成長し、商業や金融業が集積し、高賃金の雇用が多かったから。新幹線など交通網の整備で移動しやすくなったから。(60/60)

この時期は九州新幹線は未開通だったような気がします。とはいえ、2020年の段階で2006年当時の交通状況を知っておけというのも無理な話ですので、とくに問題はないでしょう。

例えば、東京圏をテーマとしているのですから「一極集中」というキーワードは(1)ではなく、こちらでこそ使えたのかなという気はします。さらに、「サービス経済化」や「情報化」、「国際化」など、それっぽい言葉をパズルのピースのようにはめ込んでしまうことは一つの手だったと思います。「製剤成長」はいいですね。重要なキーワードです。

私も書いてみました。

「サービス経済化や情報化が進むことで中枢管理機能の東京への一極集中が高まった。航空路線など交通手段の整備も背景にある。(58字)」

このような形でしょうか。九州と東京とのアクセスの良さは背景に必ずあると思いますので、これに関しても言及してみました。

本問の難しいのは、数の捉え方です。1980年から1990年は母数となる高卒就職者が減少しているのですから、実数として東京で就職した人が増えているのか微妙なところですよね。むしろ他の地域での減少率が高く、東京の割合が相対的に上昇しているだけとも言えます。東京への雇用が増加したと素直に言い切れないことが難しいところなのです。完璧な回答が求められる問題でもなかったかなとは思います。

>(3)産業のサービス経済化や情報化により、地方中枢都市の役割も強まって経済発展し、高賃金雇用が多いから。高速道路など交通網の発達で地方中枢都市へ通える地域が拡大したから。

いいですね。うまく書けていますよ。この大問の難しい(というか、問題としての完成度が低い)ところは、(1),(2),(3)について問題内容に明確な差がないので、いずれも同じようなことを書かざるを得ない
点ですよね。でも、それで良かったと思いますよ。大筋は同じでも、微細なところを調整し、それぞれの設問に呼応した内容を記述する。かいさんは十分にそれができています。「サービス経済化」や「情報化」、「高速道路」などのキーワードの使い方も適切です。

>あまりこの問題は解けた手応えがないのでボロボロかもしれませんが、添削よろしくお願いします!

いえいえ、とても良かったですよ。驚いたほどです。この大問は、回答がしにくい設問ばかりだったと思います。ある程度は「こじつけ」的な回答をせざるを得なく、それが「手応えのなさ」の原因だったのでしょう。しかし、いずれも十分な合格点が狙える回答となっており、高い能力を見せつけることができたと思います。

こういった「完成度が低い」問題についてもそれなりの対応ができることは必要な技術です。さらに演習を続けていきましょう。

  • 2021.04.29 11:13
  • たつじん

東大2006 第三問

設問A (1)a-中国 b-台湾 c-マレーシア

(2)国内のバブル崩壊による不景気や産業のハイテク化を背景に、安価で豊富な労働力のある東南アジアや中国に企業移転が進んだから。(60/60)

(3)政府によるIT産業の推進でパソコンなど電子機器を使える人的資源の授業が高まり、経済発展した都市部で普及が進んだから。(60/60)

設問B

(1)人口の一極集中で東京圏の居住環境が悪化したから。企業誘致やバブル崩壊で工業団地など地方の工業化が進み、雇用が増えたから。(60/60)

(2)東京圏は経済成長し、商業や金融業が集積し、高賃金の雇用が多かったから。新幹線など交通網の整備で移動しやすくなったから。(60/60)

(3)産業のサービス経済化や情報化により、地方中枢都市の役割も強まって経済発展し、高賃金雇用が多いから。高速道路など交通網の発達で地方中枢都市へ通える地域が拡大したから。

あまりこの問題は解けた手応えがないのでボロボロかもしれませんが、添削よろしくお願いします!

  • 2021.04.28 20:04
  • かい

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