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2021.05.27

投稿フォーム386

すでにお申し込みされている添削メンバーの方のみ投稿ください(メンバー募集は4月で終わっています。追加募集の予定はありません)。最低、月に1回の投稿がノルマです。これが無き場合は登録取り消しになりますので、ご注意ください。

コメント欄に、入試問題の大学名と年度、問題番号を書き、それに続けてあなたの解答をペーストしてください。こちらのフォームが他の投稿者によって既に使用されている場合は、他のフォーム(未使用)をご利用ください。投稿後、1週間を目処に添削回答いたします。もし1週間たっても回答がない場合、私が見落としている可能性があります。その際は他のフォームに再投稿していただけますでしょうか。お手数ですが、よろしくお願いいたします。(従来のDMによるお問い合わせは取りやめといたしました。ご理解くださいませ)

コメント

では添削いたします。

>東大2016第2問(植物油と農産物自給率の問題)

>添削よろしくお願いします。

>設問A

>(3)地球温暖化対策のバイオ燃料の需要の増加と、新興国の経済成長による食用油の需要が増加しているため。(46字)

とてもいいと思います。ただ、本問の場合は「字数が余る」ことに課題があるのですね。書くべき内容は簡単なのに、それを60字フルに使って記述することが実はかなり難しいのです。

例えば、字数に余裕があるのですから「新興国」にしても、「発展途上国」や「新興工業国」のように字数を使ってより正確に記述することもできましたよね。言葉を短く用いて字数を節約するテクニックも重要ですが、言葉を長く用いて字数を稼ぐテクニックも同じぐらい大切です。

私も書いてみました。

「発展途上国の経済発展で生活水準が向上し、食の西洋化で植物性油脂の需要が拡大。植物性バイオマスとしてアルコール燃料の抽出。」(60字)

60字ですので、2つのトピック、2つの文は必須です。それぞれの文について、「生活水準の向上」や「食の西洋化」、「植物性バイオマス」などのキーワードを加えています。

なお、つかのまさんの解答では「地球温暖化対策」について論じている点がとても素晴らしいと思いました。これは鋭いです。ただし、バイオマス拡大がイコール地球温暖化対策には必ずしもならないことも知っておいてくださいね。

近年バイオマス燃料としても注目を集めるパーム油。油ヤシのプランテーションは熱帯雨林を伐採してつくられており、ヨーロッパなどから国際的非難を浴びています。私の個人的な見解では、森林をつぶしても再度植物を植えているわけなので全く問題ないと思いますし、インドネシアでもアグロフォレストリーを積極的に行い、決して自然環境への意識が低いわけでもありません。しかし、やはり(地理のテスト的には)「東南アジアの熱帯林減少=油ヤシプランテーションの拡大」であったり「アマゾンの熱帯林の減少=大豆畑の拡大」だったりするのです。なかなか解釈が難しいところですね。今後はこういう考え方も変わってくるのかも知れませんが、現時点では農園開発は決して地球環境に対して優しいものではないことを知っておいてください。このことは(4)の問題でも登場してきますね。

>(4)農園開拓のための熱帯雨林破壊により、生物多様性が失われるほか、工場立地と、二酸化炭素吸収量の低下が、地球温暖化につながる。(56字)

上記の内容をふまえての(4)の問題ですね。繰り返しますが、私の個人的な考えとしては、老木だらけの熱帯林を伐採し、新たな農地開発により光合成の量は増えるのではないかとすら思っているのですが、現時点ではやはり環境負荷の方が大きいと考える方が適当ですよね。

私も書いてみました。

「油ヤシ農園の拡大のため熱帯林が伐採され、生物多様性が失われる。森林減少により二酸化炭素の吸収量が減少する。(53字)」

二酸化炭素について「温室効果ガス」であることや、その濃度上昇が「地球温暖化」の原因になることなどについても記述したかったのですが、字数の関係からシンプルに纏めてみました。

つかのまさんの解答では「工場立地」がちょっと気になりますね。たしかにパルプ工場が増えているという話も聞かないでもないですが(パルプ原料には針葉樹が適するのですが、熱帯林でもマングローブ林はパルプ材として利用されています)、そういった具体的な状況を説明するのでない限り、ちょっと曖昧になってしまいますので、工場に関する説明は不要だったかと思います。


>設問B
>(2)
>地中海性気候を活かした小麦、果物類の生産量が多く、周辺の大市場EUや、食料不足の中東地域へ輸出している。(47字)

とてもいいと思いますよ。ただ、地中海性気候に触れる必要はなかったかも知れません。ここは単に「温暖」であることに言及すれば十分です。

地中海性気候=地中海式農業ですが、この農業形態に適合するする作物は基本的にはブドウとオリーブだけです。冬小麦の栽培もみられますが、決して主産物ではありません。オレンジは灌漑が必要ですので、結果として地中海地域での栽培は盛んですが、それは本来の気候環境と適応したものではありません。またトルコの輸出品も野菜があることにも注目しましょう。これは「温暖」な気候で栽培され、スペインやメキシコでも重要な輸出品となっています。地中海性気候にこだわるとかえって正確性を失ってしまいます。「温暖」であることが絶対条件になります。

「小麦」については特に気候と結びつける必要はなかったでしょう。たしかにやや少雨であるトルコの気候には適した作物ではありますが。

また「社会条件」について明確に記して欲しかったところです。あえていえば「大市場」がこれに該当するのでしょうか。しかし、これではちょっと弱かったと思いますよ。

私はこう書いてみました。

「温暖な気候で野菜や果実が栽培され経済的関係が緊密なEUへと輸出。乾燥地域で農業生産が振るわない西アジア諸国に小麦の輸出。」(60字)

表を正確に読解してみましょう。トルコで自給率が100を上回っている(輸出している)のは「小麦」「砂糖類」「野菜」「果実」「肉類」の5品目。EUは小麦と肉については自給していますので、この2品目は他地域への輸出であるはずで、西アジアが候補として上がってきます。一方、果実と野菜についてはEU市場向けでしょう。

トルコとEUの関係については「経済的関係が緊密」「経済的つながりが強い」ぐらいでいいと思います。西アジア地域については同じイスラームで食生活の指向性が近い(肉はおそらく羊の肉でしょう。トルコはケバブなど羊肉料理で有名な国ですね)ことを「社会条件」に挙げたかったのですが、字数が足りませんでした。ここでは「小麦」について論じるだけで字数が尽きました。

ちなみに、私は中東という言い方はあまり好きではないので(ヨーロッパからみた視点ですよね、この言い方は)、あえて「西アジア」という言葉を使っています。ちなみに「近東=トルコ」、「極東=東アジアとロシアの沿海州」ですが、さすがにこれらの言い方は今は全くしなくなったでしょうか。

>(3)NAFTA締結を背景に、野菜類や果物類はアメリカへ輸出、穀物類はアメリカから輸入している。(38字)

いいですね。「NAFTA」は北アメリカ自由貿易協定ですので「締結」は適切です。私は「調印」という言い方をしていますが、どちらでも構いません。「加盟」が不適切です。

なお、ご存知とは思いますが、NAFTAは現在「USMCA」へと発展していますね。こちらについても調べておいてくださいね。

私はこのように書いてみました。NAFTAという言葉は使っていませんが、もちろん「国際協定」の部分を「NAFTA」や「USMCA」に変更しても同じことです。

「メキシコは米国と国際協定により自由貿易が実現。温暖で野菜や果実を米国に輸出し、大量生産による安価な穀物を米国から輸入。」(59字)

こういった形でしょうか。やはり字数が厳しいので、アメリカ合衆国については「米国」としています。野菜や果実についてはメキシコの安価な労働力による生産も記述したかったのですが、字数が足りませんでした。

さて、つかのまさんの解答については全体的に字数が短い気がするんですよね。ちょっともったいないと思います。

ちょっと悪くクセだと思うのですが、「一文」で言い切ってしまおうという意識が強いように思います。60字制限ならば「2つのトピック、2つの文」です。実は現状でも、「2つのトピック」はしっかり書けていたりするのですよ。例えばBの(2)ならば、前半でEUへの輸出、後半で西アジアへの輸出について言及できています。しかし、これを一文で片付けてしまっているため「雑」な印象を受けるのです。1トピックにつき1つの文にすれば、より丁寧に論じることができます。字数に余裕があるのですから、それは「字数を稼ぐ」方法として取り入れるべきものだと思いますよ。次回への課題としてくださいね。

  • 2021.06.01 13:26
  • たつじん

東大2016第2問(植物油と農産物自給率の問題)

添削よろしくお願いします。

設問A

(3)地球温暖化対策のバイオ燃料の需要の増加と、新興国の経済成長による食用油の需要が増加しているため。(46字)


(4)農園開拓のための熱帯雨林破壊により、生物多様性が失われるほか、工場立地と、二酸化炭素吸収量の低下が、地球温暖化につながる。(56字)

設問B
(2)
地中海性気候を活かした小麦、果物類の生産量が多く、周辺の大市場EUや、食料不足の中東地域へ輸出している。(47字)

(3)NAFTA締結を背景に、野菜類や果物類はアメリカへ輸出、穀物類はアメリカから輸入している。(38字)

  • 2021.05.28 17:50
  • つかのま

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