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2021.05.27

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添削いたしますね(^^)

>東京大学 2009年度
>第2問
>設問A
>(1) ア − フランス イ – イギリス ウ – スペイン

適切です。とくに問題ありませんね。正解です。

>(2)イギリスは羊毛用の羊の飼育が盛んなため、飼料として穀類やいも類の生産が多い。スペインは温暖な気候を活かして、野菜の生産や畜産が盛んなため、自給率が高くなっている。(85字)

羊は牧草で生育しますから、飼料作物は関係ありません。ここはイギリスの気候と対応させて、「冷涼」であるためいも類の生産が多いとしておけば十分に思いますよ。

一方、スペインのキーワードとして「温暖」は適切です。ただし、こちらも「野菜」と対応させれば十分だったでしょう。冷涼な国であるドイツでも混合農業が盛んで畜産が行われていますから、気温との関係は薄いですね。

ではさらに実戦的な解説をしていきます。90字という制限に対し、イギリスとスペインの2か国について説明するため、各国45字ずつを意識したらいいですね。

問題(3)の方ではホイットルセー農牧業区分を答えることが重要となりますが、こちらの問題(2)はそうでもなさそうですね。イギリスは酪農、スペインは地中海式農業ですが、表中の作物(穀物やイモ類、野菜)とはあまり関係ありません。

まずイギリスの特徴について。上述のように「冷涼」であることが挙げられますね。さらに(氷河に削られ)地力に乏しいこともポイントになるかもしれません。これらは、やせた土壌や厳しい環境にも適応するジャガイモの生産と関連づけられます。

さらに、こちらが実は非常に重要になるのですが、イギリスは世界で最も生産性の高い農業を行っている国の一つです。農業就業人口割合が極めて低い(1%)であることはよく知られていると思います。省力化が進み、労働生産性が高くなります。

さらに大規模化が進み、農業従事者当たりの農地面積も広いものとなります。以前は小麦を輸入していましたが、現在は輸出国となっています。EUの共通農業政策の恩恵を最も受けた国といえます。ただ、本問の時点では穀類の自給率は「99%」であり、輸出については触れない方がいいかもしれませんね。穀物生産が増加し、農業収益が上がったイギリスは、今度は農業後進地域への援助金の負担を強いられることになります。農業支出金の負担増も、この国のEU離脱の一つの要因でした(このような国際政治に関する話題は、東大論述では問われないので、簡単に知っておけば十分です)。

以上のことを踏まえてまずイギリスについて記述しましょう。

「イはイギリス。大規模で生産性の高い小麦栽培が行われる。冷涼な気候でイモ類の生産も多い。」(43字)

後半はスペインですね。これも非常にいいと思います。スペインは豚の世界的な飼育国ですから、これに触れるのは適切です。ただし、ちょっと気になるのは「地中海性気候=野菜類」としていることです。地中海性気候は高温乾燥となる夏の気候に対応した農業形態であり、耐乾性の樹木栽培を原則とします。「地中海式農業=樹木農業」とも呼ばれています。たしかにスペインでは地中海性農業地域がみられ、オレンジ(灌漑による)やオリーブの栽培が行なわれていますが、これらは「野菜」ではありませんよね。野菜を栽培する農業形態は「園芸農業」であり、これは都市周辺で行なわれる「近郊農業」と遠隔地で行なわれる「輸送園芸農業」の二つがあります。スペインはヨーロッパの主要部(オランダやフランス北部、ドイツ西部)からは遠く、「輸送園芸農業」が該当するでしょう。もしくは農業区分に関する記述は避け、単に「温暖な気候で野菜が栽培される」だけでも構いません。

このような書き方はどうでしょう。

「ウはスペイン。温暖な気候を利用しての輸送園芸農業、養豚が盛ん。野菜や肉類は輸出される。」(43字)

自給率が100を超えているので、ここではあえて「輸出」を強調してみました。。

以上の2つをつなげてみると、こんな感じになりますね

「イはイギリス。大規模で生産性の高い小麦栽培が行われる。冷涼な気候でイモ類の生産も多い。ウはスペイン。温暖な気候を利用しての輸送園芸農業、養豚が盛ん。野菜や肉類は輸出される。(86字)」

いかがでしょうか。わかりやすいと思いますよ。

>(3)国土の大部分がポルダーのため穀物の栽培に向かない。近隣国の大市場に向けて野菜の栽培や畜産が盛んに行われている。(55字)

とても上手いですね。オランダの農業は頻出ですので、書き方を知っておくといいですよ。

基本的にはこんな感じです。

・干拓地;酪農・・・水はけが悪く穀物栽培に適さない。牧草地となる。
・砂浜海岸;園芸農業・・・畑作地となり球根や野菜など。

できれば、この「酪農」や「園芸農業」などホイットルセー農業区分のキーワードを使って欲しかったところですね。せっかく「近隣の大市場に向けて野菜の栽培」(園芸農業)や「ポルダーのため穀物の栽培に適さない」(酪農)など、いいところに目をつけているのですから、これらキーワードを使わない手はなかったと思いますよ。もったいないです。

(オランダは人口過密地域であり、都市出荷用の野菜(鶏卵や生乳を含む)が生産されるため、園芸農業の中でもとくに「近郊農業」と考えてしまっても構いません。)

なお、「大部分がポルダー」はちょっと言い過ぎですね。オランダで海面下の土地は国土の4分の1です(それでもかなりの割合ですけど)。

私も書いてみました。こんな感じでしょうか。

「海面下の干拓地が広く、牧草地として利用され酪農が行われる。海岸沿いには砂丘が広がり、野菜栽培など園芸農業が行われる。」(58字)

酪農と園芸農業を強調しています。「国土の特性」は、干拓地や砂丘が説明のキーワードとなっています。

>(4)寒冷な地域で米の生産が多い。カロリーが高い畜産は盛んではなく、生産額は安い米が占めるため比率が相殺されるから。(55字)

さすがに「寒冷=米」は誤っていますよね。北日本で冬は寒冷かも知れませんが、夏の気温は十分に上がります。北海道も中心となる米作地域の一つが旭川を中心とした上川盆地ですが、内陸部であるため夏は高温となり、稲の栽培に適します。

ここでは「冬に雪が降る」ことを説明すればいいのではないでしょうか。冬の農業が困難であることから「水田単作地帯」となることを述べてみてください。
また2つ目の文がちょっと意味がとりにくいように思います(私の文章読解力の無さゆえかも知れませんが。スイマセン)。

問題の意味を解釈してみましょう。

例えば表2の山形県と表3の高知県は、生産額ベースの自給率はほぼ同じです(山形県150%,高知県が144%)。しかし、熱量は山形県が128%であるのに対し、高知県は47%です。つまり、山形県も高知県もいずれも農業が盛んな県ではあるのですが(100%を越えているのですから)、山形県は「おなかにたまる」ものを作っているのに対し、高知県は「食べてもあまり満腹感のない」ものを作っているわけですよね。山形県が米、高知県が野菜中心であることが想像できます。

これを表の用語を使って説明してみると、こうなりますね。山形県は「生産額に対する熱量が高い」作物(つまり米)をつくっているのに対し、高知県は「生産額に対する熱量が低い」作物(野菜)をつくっているのです。低価格高カロリーの米、高価格低カロリーの野菜です。これ、納得ですよね。

これを踏まえて、山形県のような県で米が農業の中心となる理由を説明すればいいわけです。簡単でしょ?

以上より、こういった文章をつくってみました。

「熱量に比して価格の安い米の生産が盛ん。降雪に見舞われるため冬季の農業に適さないため、水田単作地帯となっている。」(55字)

「水田単作地帯」については中学地理でも登場するキーワードですが、知らなければ無理に使う必要はないでしょう。北海道は野菜栽培や家畜の飼育もさかんで、全体としてみれば水田単作地帯とは言いにくいですからね。

>(5)高価な果物や、促成栽培などで付加価値が多くついた野菜の栽培が盛んで、カロリーの割に価格が高いから。(49字)

こちらは適切です。とてもいいと思いますよ。

ただ、問題は字数が短いことですよね。例えば、一つの文で言い切ろうとせず、2つの文に分けて見たらどうですか?1文の目安は30字です。60字ですから2つの文が理想です。

こんな形でどうでしょう。

「熱量に比して価格の高い野菜栽培が盛ん。大都市圏から遠方にあり、温室での促成栽培を中心とした野菜の輸送園芸農業が行われる。」(60字)

最初に回答を言い切ってしまい、あとから説明を加えています。文を2つに切ることによって、多様な構成によって文章を組み立てることができますよね。今後はこういった文章構成の妙にもこだわって欲しいとは思います。

ホイットルセー農牧業区分を国内の農業において持ち出すことは不要ですが、本問ではあきらかに「関東地方=近郊農業」「四国・九州=輸送園芸農業」の対比がなされています。「園芸農業=近郊農業+輸送園芸農業」であり、輸送園芸農業という言葉を使うとより適切だったでしょう。

「温室での促成栽培」は中学地理でもよく取り上げられる話題ですね。ナスやピーマン、トマト、キューリなどの園芸野菜は輸送しやすい上に価格も高いので、本来の収穫期から外れ市場での出荷量が少ない時期(これを「端境期」といいます)に、四国や九州から東京圏へと運ばれます。

なお、私の解答では果実は外しています。果実はむしろ高カロリーだったりしますよね。また、表3中の県でも果実中心は山梨県と和歌山県ですが、これらは「大都市圏」周辺の県でもあります。ここは促成栽培のさかんな高知県や宮崎県にターゲットをしぼって論述するのがオーソドックスな手法だったと思います。

>設問B
>(1)ア – インドネシア イ – ベトナム ウ − タイ エ – フィリピン

>(2)人口が急増したため、飢餓を防ぐために米の生産を増やし自給率を上げようとし、緑の革命によって米の生産効率を上げたから。(58字)

どうでしょう?ちょっと文章に無理がありませんか?一つの文にまとめようとしているので、わかりにくい文になっているのです。地理の論述問題は現代文でも国語でもありません。稚拙な文章でいいのです。文を短く切って、シンプルに組み立ててください。

まず「ため」が重なっていますよね。これは改めないといけません。また「〜し」も連続しています。これはおかしくはないのですが、ただ、読みにくい文になってしまっています。

「人口が急増。飢餓を防ぐために米の生産を増やし自給率を上げた。緑の革命により米の生産効率を上げた。」

こういうことですよね?それを踏まえた上で、さらに文章を改善してみてください。

例えばこういった感じです。

「人口大国であり米は輸入に頼っていた。自給率を向上させるために、灌漑施設の整備、品種改良などによって米の増産に成功した。」(59字)

こういった形でしょうか。「灌漑施設の整備」や「品種改良」は、あくまで一般論です。インドネシア特有のことでなく、米の増産にはこういった方策が有効ですよね。明確な答えがわからなければ、こうした一般論を適当に(?)書いてみるのも一つの手です。

「かつては商品作物の生産が優先されており、穀物自給率は低かった。品種改良や化学肥料、農薬の普及により、米の増産が図られた。」(60字)

こういった形もあります。やはり、こちらも同様に、具体性に乏しい内容になっています。ただ、間違ったことは言っていませんので、問題ないでしょう。

>設問C
国民の所得水準が向上し、肉類の消費が急増した。これをまかなうだけの飼料としての大豆が足りず、輸入が必要だったから。(57字)

いいですね。全く問題ありませんね。「所得水準」に言及できている点が素晴らしいと思いますよ。

私も書いてみました。

「所得水準の向上により食生活が変化し肉類の消費が増加。飼料となる大豆が国内生産だけでは不足し輸入に依存するようになった。」(59字)

ほぼ同じような内容ですね(笑)。東大に限らず、どこの大学で出題されてもおかしくない問題ですから、汎用性は高いと思います。このような「よくある」問題をたくさん解いて、「引き出し」を増やして行きましょうね。



>前回、先生からいただいたアドバイスをもとに、一文を長くしすぎないよう意識してみました。

そうでしたか、全体としてよく書けていますから、コツをつかんだのではないでしょうか。ただ、B(2)はまだ長文にこだわっているからか、ちょっとわかりにくい文章になってしまっていたようです。慣れてきたら一文で言い切る形にしても構いませんが、とりあえず今のうちは「短い文に切る」ことをもっと意識してみてもいいと思いますよ。

今回は知識というより、問題の解釈がやや足りなかったため十分な解答にならなかった点が目立ちました。じっくり問題を読み込んで、作問者がどういったことを君たちに答えさせようとしているのか、まず考えてみてください。焦らずに時間をかけて取り組めば、必ず解答への「糸口」が見えてきますよ。

  • 2021.06.01 18:39
  • たつじん

東京大学 2009年度
第2問
設問A
(1) ア − フランス イ – イギリス ウ – スペイン
(2)イギリスは羊毛用の羊の飼育が盛んなため、飼料として穀類やいも類の生産が多い。スペインは温暖な気候を活かして、野菜の生産や畜産が盛んなため、自給率が高くなっている。(85字)
(3)国土の大部分がポルダーのため穀物の栽培に向かない。近隣国の大市場に向けて野菜の栽培や畜産が盛んに行われている。(55字)
(4)寒冷な地域で米の生産が多い。カロリーが高い畜産は盛んではなく、生産額は安い米が占めるため比率が相殺されるから。(55字)
(5)高価な果物や、促成栽培などで付加価値が多くついた野菜の栽培が盛んで、カロリーの割に価格が高いから。(49字)

設問B
(1)ア – インドネシア イ – ベトナム ウ − タイ エ – フィリピン
(2)人口が急増したため、飢餓を防ぐために米の生産を増やし自給率を上げようとし、緑の革命によって米の生産効率を上げたから。(58字)

設問C
国民の所得水準が向上し、肉類の消費が急増した。これをまかなうだけの飼料としての大豆が足りず、輸入が必要だったから。(57字)


前回、先生からいただいたアドバイスをもとに、一文を長くしすぎないよう意識してみました。
よろしくお願いいたします。

  • 2021.05.30 08:42
  • ゆう

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