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2021.05.27

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では添削いたします。

>東大の地理 2010年度第3問(日本の貨物輸送と港湾、およびドイツと日本の都市分布の特色 より)

>設問A
(1)高度経済成長期は素材型産業が中心であったため、内航海運が多かった。石油危機後は、ジャストイン方式による加工組み立て型工業が発達したため、内航海運の割合は減少し、自動車の割合が増加した。

悪くはないのですが、のいさんならばワンランク上の答案を目指して欲しいと思っています。

いくつかポイントを列挙します。

1)なぜ「素材型産業が中心」だと内陸水運が多くなるのですか?素材型産業とは鉄鋼業や石油化学工業ですよね。鉄鉱石や石炭、原油など「資源」を輸送するからではありませんか?「資源」という言葉を加えておかないと、論理的に成り立ちません。

2)ジャストインではなく「ジャストインタイム」ですよね。お気をつけを。

3)割合は「減少」や「増加」ではありませんよね。「低下」や「上昇」など適当な言葉を用いましょう。

4)1)と同じく、なぜ加工組立工場が発達すると自動車の割合が増加するのでしょう。ここも「論理の関連性」がみえません。

5)「内陸水運の割合は減少し」という部分がちょっともったいないです。字数的にここは削って、他のことを説明した方がいいのでは。

以上のことを踏まえて以下の文を読んでください。

まず「ジャストインタイム」方式が聞き慣れない言葉だったと思いますWikipediaでは「生産過程において、各工程に必要な物を、必要な時に、必要な量だけ供給する」システムだと説明されていますね。在庫を減らして、無駄をなくす供給体制です。完成までに多くの工程と部品を必要とする自動車工業において一般的に行われ、トヨタがこれを導入することで生産性を上げていったことはよく知られています。ただ、大企業には有利なシステムではあるものの、関連工場にとっては負担が大きく、二次や三次の下受け企業にとっては過酷な生産体制を強いることになります。知識として知っておきましょう。「ジャストインタイム=即時」に部品を供給することです。

本問のポイントは間違いなく工業立地です。「臨海」と「内陸」の違いです。臨海部の工業地域がメインである時代は船舶による輸送、内陸部に工業地域が伸びていった時代には自動車による輸送がメインになります。このような「解答の柱」に沿って、指定語句を組合せていけばいいわけです。

内陸部へ工業の中心が移ったことこそ、船舶の割合が低下したことの一つの要因であるはずです(日本では河川を使った内陸水運はみられませんので)。

以上のことを意識して、文章をつくってみますね。

「高度経済成長期は臨海立地の素材型工業が主で資源等大量輸送に適した内航海運が重用。石油危機以降は自動車工業など内陸部に工業地域が拡大しジャストインタイム方式に適した自動車輸送が発達」(90字)

いかがでしょうか。90字という字数は長く感じますが、実際に解答をつくってみるとかなり厳しいことがわかります。大きく2つのこと(高度経済成長期と現在)を説明する必要がありますから、実質的な字数制限は「45字」ですよね。さらに「ジャストインタイム」という言葉だけで全体の1割の字数を占めてしまうのです。内容的には難しいとは思いませんが、いかに整理して効率的に文章を作るのかが課題の問題でした。

>(2)環境問題の観点からみると、鉄道は輸送量に対して使用するエネルギー量が少なく、排出する二酸化炭素の量も比較的に少ないから。

まず「環境問題の観点からみると」という部分が要らないんですよね。(1)でも「内陸水運の割合は減少し」が不要に思いましたが、「削ることができる部分は削る」という意識を持った方がベターに思いますよ。

それよりも、「環境問題」の内容を詳細に述べる方が適切です。同じ字数を消費するならば、もっと意味のあることを書くべきです。いったいどういった環境問題なのでしょう。

ある程度の字数がある論述問題のコツとしては「対比」を意識することがあります。「仮想の敵」をつくって、それと対比することによってメインの話題の特徴を述べるわけですね。本問ならばメインの話題は「鉄道」ですが、仮想の敵となる対比物は「自動車」なわけです。自動車より鉄道の方が優れていることを説明したらいいのです。

例えばこんな感じになります。

「鉄道輸送は自動車輸送に比べ大気汚染物質の排出量が少なく環境負荷が小さい。エネルギー当たりの輸送量が大きく効率的である。」(59字)

エネルギー当たりの輸送量が最も大きいのは船舶なのですが、ここでは話題とされていませんので、これでいいでしょう。「環境負荷」という言葉は便利なので「大きい・小さい」という言葉を組み合わせて使えるようにしておくといいですよ。まだまだ時間はありますので、数多くの問題に当たることにより、こうした言葉のストックを増やしていきましょう。

ここでは「大気汚染物質」と曖昧な表現にしていますが、より字数に余裕があるならば二酸化炭素(温室効果ガス)や窒素酸化物を挙げても良かったでしょう。もちろん化石燃料資源が有限であることにも触れられたでしょう。あるいは鉄道のメリットとして時間が正確であることも指摘できたかも知れません。書くべきことはたくさんありますから、いかに余分な表現をカットするかも大きな課題となります。


>設問B
>(1)自動車産業が発達している。自動車は重量が重く、輸送コストが高いため、太平洋に面した臨海部に発達している。

これは事実誤認だと思いますよ。自動車は付加価値が高く(つまり価格が高いということです)、輸送コストは素材工業(鉄鋼や石油化学製品)に比べて大きくありません。むしろ内陸部にこそ立地する工業です。

自動車工業の特徴は「集積立地」することです。周辺に関連工場が多く分布し、それら部品を調達しやすい中間地に工場が立地します。例えばアメリカ合衆国のデトロイトの周辺には、ゴム工業(タイヤですね)の都市やガラス工業の都市が立地しています(都市名は忘れましたが、アクロンとかトレドとかそういった都市だったような)。日本でも愛知県にはアイシンやデンソーといった自動車関連部品を製造するメーカーが集まっていますね。

自動車工業の場合、こうした関連工場の存在が必須になりますので、工業地域の移転が比較的難しいものとなっています。アメリカ合衆国における日系の自動車メーカーはオハイオ州などデトロイトから比較的近いところに主に進出していますが、これはもちろん部品の供給が受けやすいからであり、日本国内でも電気機械が中心だった阪神工業地帯が凋落が著しいのに対し、自動車工業が中心の中京工業地帯は現在でも高い出荷額を維持しています。

「主な輸出品目は自動車である。自動車工業は集積立地であり、周辺に部品工場や組立工場など集中し、自動車生産が盛ん。」(55字)

こういった形でしょうか。問題の要求に答え、まず例(自動車)を示し、その特徴として「集積立地」を挙げています。後半はそれに付随する説明ですが、むしろ字数稼ぎでしょうか(本問は書くべき内容に対し、字数制限が長いように思います)。自動車工業は臨海立地ではありませんので、「臨海」は入れてはいけません。

自動車など機械工業において潮風は大敵なんですよね。金属の腐食や塗装の剥げの原因となります。なおデトロイトは湖岸であり潮風の影響がないのが立地に有利だったのです。

>(2)ともに原料を輸入に依存する工業が臨海部に立地している。(イ)は原油や鉄鉱石などを輸入して、石油化学工業が発達している。(ウ)は木材チップを輸入して、パルプ工業が発達している。(87字)

こちらは完璧ですね。字数に余裕があるので、じっくりと述べられたと思います。「資本集約」という言葉も入れられたかも知れませんが、とくに不要だったでしょう。ほぼ完璧に思います。

「千葉=京葉工業地域」で石油化学工業が発達し、「苫小牧=北海道」でパルプ工業で全く問題ないと思います。

ちょっと細かい指摘になりますが。。。

「原油や鉄鉱石」を輸入ならば「石油化学工業や鉄鋼業」ではないでしょうか。「鉄鉱石」を削るか、「鉄鋼業」を加えるか、どちらかにした方がいいでしょう。なお、京葉工業地域は石油化学工業がメインですが(市原)、鉄鋼業も立地しています(君津)。

苫小牧は石油関連産業の立地もみられます。巨大な原油の備蓄基地もあり、化学工業も発達しています。これに関して言及することはなかったと思いますが、苫小牧港が日本5位の港である背景には原油の取り扱いがあることも知っておいてください。

>設問C
>(1)a-ルール b- ライン c-フランクフルト d-ミュンヘン e-ベルリン

適切です。問題ないでしょう。

>(2)太平洋ベルト上に多数の工業地域が発達しているため、人口が流入し、メガロポリスを形成したから。

いいですね。「工業地域として発達→人口が流入→メガロポリスを形成」といった流れを強調しています。

「東京圏、名古屋圏、大阪圏は工業地域として発達し、人口が流入。大都市が連続する東海道メガロポリスが形成された。」(54字)

こういうことですよね。シンプルな書き方でいいと思います。ここでは「東海道メガロポリス」としましたが、メガロポリスだけでも問題なかったと思います。

>(3)ドイツは連邦制であり、都市機能が首都以外にも分散しているため。日本は中央集権国家であるため、都市機能が東京を中心に集中している。(64字)

悪くありません。ただ、この大問全体に言えるのですが、書くべき内容に比して文字数制限に余裕がありすぎることが問題点となっています。自分なりに考えた語句を「余分」なものとして付け加えるテクニックも必要だったかも知れません。もちろんそれが本当に余分なものであってはいけないのですが。余分であっても、意味を成すことを付け加えなければいけません。

唯一気になるのは「日本は中央集権国家である」という部分です。例えば我々が普段生活していて「日本は中央集権国家だ」なんていう言い方、聞きますか?「中央集権国家」と断言するのではなく、「中央集権的な性格が強い」のように、ややソフィスティケートした言い方にとどめた方が無難だったかもしれません。

「連邦制のドイツは州ごとの独自性が強く、都市機能が諸都市に分散。各都市の規模もさほど大きくはない。日本は中央集権的な傾向が強く、東京が突出して巨大であり、世界都市としても重要。」(87字)

ドイツは「州」、日本は「世界都市」といった「意味のある余分な言葉」も付け加えてみました。さらに都市の規模(ドイツは「規模は大きくなく」、日本の東京は「巨大」)にも言及しています。

全体としてとてもよく書けていますが、最初にも述べたようにのいさんならばワンランク上の答案を目指して欲しいと思っています。もうちょっと時間をとってじっくり考えればさらに良い文章が書けたと思いますよ。なんとなくですが、焦って解いているような印象を受けます。「ジャストインタイム」を「ジャストイン」としたり。落ち着いて、ゆっくり問題と相対してみましょう。

  • 2021.06.02 11:45
  • たつじん

東大の地理 2010年度第3問(日本の貨物輸送と港湾、およびドイツと日本の都市分布の特色 より)

設問A
(1)高度経済成長期は素材型産業が中心であったため、内航海運が多かった。石油危機後は、ジャストイン方式による加工組み立て型工業が発達したため、内航海運の割合は減少し、自動車の割合が増加した。
(2)環境問題の観点からみると、鉄道は輸送量に対して使用するエネルギー量が少なく、排出する二酸化炭素の量も比較的に少ないから。

設問B
(1)自動車産業が発達している。自動車は重量が重く、輸送コストが高いため、太平洋に面した臨海部に発達している。
(2)ともに原料を輸入に依存する工業が臨海部に立地している。(イ)は原油や鉄鉱石などを輸入して、石油化学工業が発達している。(ウ)は木材チップを輸入して、パルプ工業が発達している。

設問C
(1)a-ルール b- ライン c-フランクフルト d-ミュンヘン e-ベルリン
(2)太平洋ベルト上に多数の工業地域が発達しているため、人口が流入し、メガロポリスを形成したから。
(3)ドイツは連邦制であり、都市機能が首都以外にも分散しているため。日本は中央集権国家であるため、都市機能が東京を中心に集中している。


添削よろしくお願いします。




  • 2021.05.30 19:46
  • のい

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