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2021.06.26

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コメント

では添削いたします。

>2009年 第2問設問A(日本と世界の農業)

>(1)ア:フランス
イ:イギリス 
ウ:スペイン

適切です。とくに問題ありませんね。正解です。

>(2)イギリスは冷涼な気候を活かしイモ類の生産が盛んであるためイモ類の自給率が高い。スペインは温暖な気候を利用し野菜生産や豚などの畜産業が盛んでそれらの自給率が高いから。(82字)

いいですね。イギリス=冷涼、スペイン=温暖で十分だったと思いますよ。スペインについて地中海性気候であることを指摘する人もいますが、今回はそれは必要なかったと思います。野菜生産が多いのは地中海性気候だからではなく、温暖だからですよね。

(3)の方ではホイットルセー農牧業区分を答えることが重要となりますが、こちらの(2)はそうでもなさそうですね。イギリスは酪農、スペインは地中海式農業ですが、表中の作物(穀物やイモ類、野菜)とはあまり関係ありません。

まずイギリスの特徴について。まず冷涼であることが挙げられますね。さらに(氷河に削られ)地力に乏しいこともポイントになるかもしれません。これらは、やせた土壌や厳しい環境にも適応するジャガイモの生産と関連づけられます。

さらに、こちらが実は非常に重要になるのですが、イギリスは世界で最も生産性の高い農業を行っている国の一つです。農業就業人口割合が極めて低い(1%)であることはよく知られていると思います。省力化が進み、労働生産性が高くなります。

さらに大規模化が進み、農業従事者当たりの農地面積も広いものとなります。以前は小麦を輸入していましたが、現在は輸出国となっています。EUの共通農業政策の恩恵を最も受けた国といえます。ただ、本問の時点では穀類の自給率は「99%」であり、輸出については触れない方がいいかもしれませんね。穀物生産が増加し、農業収益が上がったイギリスは、今度は農業後進地域への援助金の負担を強いられることになります。農業支出金の負担増も、この国のEU離脱の一つの要因でした(このような国際政治に関する話題は、東大論述では問われないので、簡単に知っておけば十分です)。

以上のことを踏まえてまずイギリスについて記述しましょう。

「イはイギリス。大規模で生産性の高い小麦栽培が行われる。冷涼な気候でイモ類の生産も多い。」(43字)

後半はスペインですね。これも非常にいいと思います。スペインは豚の世界的な飼育国ですから、これに触れるのは適切です。ただし、ちょっと気になるのは「地中海性気候=野菜類」としていることです。地中海性気候は高温乾燥となる夏の気候に対応した農業形態であり、耐乾性の樹木栽培を原則とします。「地中海式農業=樹木農業」とも呼ばれています。たしかにスペインでは地中海性農業地域がみられ、オレンジ(灌漑による)やオリーブの栽培が行なわれていますが、これらは「野菜」ではありませんよね。野菜を栽培する農業形態は「園芸農業」であり、これは都市周辺で行なわれる「近郊農業」と遠隔地で行なわれる「輸送園芸農業」の二つがあります。スペインはヨーロッパの主要部(オランダやフランス北部、ドイツ西部)からは遠く、「輸送園芸農業」が該当するでしょう。もしくは農業区分に関する記述は避け、単に「温暖な気候で野菜が栽培される」だけでも構いません。

このような書き方はどうでしょう。

「ウはスペイン。温暖な気候を利用しての輸送園芸農業や養豚が盛ん。野菜や肉類は輸出される。」(43字)

自給率が100を超えているので、ここではあえて「輸出」を強調してみました。

これら2つを合わせて、以下が解答例になります。

「イはイギリス。大規模で生産性の高い小麦栽培が行われる。冷涼な気候でイモ類の生産も多い。ウはスペイン。温暖な気候を利用しての輸送園芸農業や養豚が盛ん。野菜や肉類は輸出される。」(86字)

>(3)水はけが悪い低湿地のポルダーでは畜産が盛んで、海岸沿いの高燥な砂丘上では水はけの良さを利用し野菜栽培が盛ん。(54字)

もったいないですね。農業を説明する問題ではホイットルセー農牧業区分を使うのがコツですよ。

以下のことは知っておいていいと思いますよ。

酪農・・・海面下の低地(つまりポルダー)にて行われる。アジアならばこうした干拓地は水田として利用されるが、オランダにおいては牧草地となる。水捌けの悪い低湿地であり、根腐れが起きるため作物栽培には適さない。牧草地と利用され、家畜飼育が行われる。

園芸農業・・・野菜が一般的な作物となるが、オランダにおいては花卉や球根を考えるといい。とくに球根はかつて家畜の飼料として大きな需要があり、我々の想像以上に重要な作物。沿岸の砂丘において栽培されている。

これらをふまえて文章を作ってみましょう。

「海面下の干拓地が広く、牧草地として利用され酪農が行われる。海岸沿いには砂丘が広がり、野菜栽培など園芸農業が行われる。」(58字)

結局球根ではなく、表中にもある野菜を文に組み入れてみました。こちらの方がベターだったと思います。

酪農と園芸農業を強調しています。「国土の特性」のみに注目し、気候に関する記述は外しています。

>(4)冷涼な気候で、熱量が高いが販売額が安い米の生産が盛んな地域であるため、熱量に比べて生産額が少なくなるから。(53字)

「冷涼な気候」でしょうか?夏は高温となりますよ。ここは「雪」が降るために冬の農業ができない「水田単作地帯」であることを取り上げるべきです。

水田単作地帯という言い方は中学地理でも登場しますし、十分に知っておくべき言葉だったと思いますよ。

「これらの道県に共通する農業の特徴」に対する受け応えがちょっと弱いように思います。いずれも「米の単作」地域であり、そのような農業が行われる背景について述べる必要があります。

「熱量に比して価格の安い米の生産が盛ん。大都市圏から離れ広大な農地を有し、冬の農業が振るわない水田単作地域である。」(56字)

かなり強引に詰め込んでしまった印象ですが。「広さ」と「水田単作」を含めてみました。厳密には北海道は野菜栽培や畜産も盛んなので水田単作とは言い切れないのですが、特に問題はないでしょう。文字数に余裕があれば「寒冷であり冬に農業が困難であるため、水田単作となる」といったようなことも説明したかったんですけどね。

>(5)温暖な気候により園芸農業が盛んで、熱量は低いが高付加価値で販売額が高い野菜の生産により、熱量に対し生産額が多くなるから。(60字)

こちらで「園芸農業」という言葉を遣っていますね。悪くないのですが、日本でこの農業形態を取り上げる場合には、「近郊農業」と「輸送園芸農業」を区別して用いるべきです。

「園芸農業=近郊農業+輸送園芸農業」ですよね。そして、本問ではあきらかに「関東地方=近郊農業」「四国・九州=輸送園芸農業」の対比がなされています。四国・九州の野菜栽培を説明する言葉として「輸送園芸農業」を使うとよだったでしょう。

このように書いてみました。

「熱量に比して価格の高い野菜栽培が盛ん。大都市圏から遠方にあり、温室での促成栽培を中心とした野菜の輸送園芸農業が行われる。」(60字)

「温室での促成栽培」は中学地理でもよく取り上げられる話題ですね。ナスやピーマン、トマト、キューリなどの園芸野菜は輸送しやすい上に価格も高いので、本来の収穫期から外れ市場での出荷量が少ない時期(これを「端境期」といいます)に、四国や九州から東京圏へと運ばれます。

>イギリスが小麦などの穀物生産が盛んなイメージは持っていませんでした。氷河により侵食されて痩せた土壌だから低いものだと勝手に思い込みしてました。

いいですね。「氷河による侵食」はその通りです。正しい認識ですよ。素晴らしいと思います。

その上で、イギリス本島の南部までは氷河が及んでおらず、ロンドン周辺はむしろ肥沃な土壌が集まっていることを知っておいてください。氷河が表土を削り、その末端に集めるわけですね(消しゴムの削り屑みたいなものです)。風によって周辺に散布され、風積土壌のレスとなります。同様の土壌は、やはり同じく氷河の外側にあったパリ盆地やハンガリー盆地にもみられます。

これによりロンドンはヨーロッパ最大の小麦地域となっているのですね。そもそもロンドンがあれだけ大きな都市となった背景には、それを支える農業があったはずですよね。小麦栽培がさかんな地域だからこそ、ロンドンは人口1000万人を超える巨大都市となっているのです。

イギリスはヨーロッパの中で最も生産性の高い農業が行われていると考えてください。

全体としてはたいへん良く書けていますよ。次回以降の課題として、キーワードの使用(今回ならホイットルセー農牧業区分、「水田単作地帯」など)を意識しましょう。

  • 2021.06.30 21:16
  • たつじん

2009年 第2問設問A(日本と世界の農業)
(1)ア:フランス
イ:イギリス 
ウ:スペイン
(2)イギリスは冷涼な気候を活かしイモ類の生産が盛んであるためイモ類の自給率が高い。スペインは温暖な気候を利用し野菜生産や豚などの畜産業が盛んでそれらの自給率が高いから。(82字)
(3)水はけが悪い低湿地のポルダーでは畜産が盛んで、海岸沿いの高燥な砂丘上では水はけの良さを利用し野菜栽培が盛ん。(54字)
(4)冷涼な気候で、熱量が高いが販売額が安い米の生産が盛んな地域であるため、熱量に比べて生産額が少なくなるから。(53字)
(5)温暖な気候により園芸農業が盛んで、熱量は低いが高付加価値で販売額が高い野菜の生産により、熱量に対し生産額が多くなるから。(60字)

イギリスが小麦などの穀物生産が盛んなイメージは持っていませんでした。氷河により侵食されて痩せた土壌だから低いものだと勝手に思い込みしてました。

  • 2021.06.30 07:38
  • せいたん

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